動く子供を素描で表現

当ブログで過去に何度も登場した言葉「デッサン」
日本の自動車メーカー?いやそれはニッサン。中年の男性?いやそれはオッサン。
などと冗談を言っている場合ではなく、今回はデッサンの話。
デッサン(Dessin)という言葉はフランス語。
英語ではドローイング(Drawing)、日本語では素描(そびょう)といって、主に鉛筆や木炭、パステル、コンテなどを用いて物体の形状や明暗などを平面に描画する技法、およびその作品のことです。
輪郭線によって対象の視覚的特徴をつかむことを目的とした、人物画では基礎中の基礎とも言えるものです。


いつ頃の作品かは不明ですが、これはフランスの「Galerie du nu」という書籍に掲載されたデッサン画。
子供をモデルとした単色のスケッチ、いわゆる人体デッサンです。
描いたのはニコラさんという方らしいのですが、詳しいことはわかりませんでした。
子供モデルのデッサン画の例として引用いたしました。


デッサンは古代から様々な用途でおこなわれ、ルネサンス時代には絵画、彫刻、建築の試作にも用いられるようになりました。
絵画を制作するときの下絵であったり、基礎練習であることには間違いないのですが、現代では彩画と共にデッサン画もひとつの作品として成り立っています。
用いる道具で一般的なのは鉛筆と木炭。
鉛筆は様々な硬度のものを使用しますが、硬すぎる鉛筆はあまり使いません。
木炭の場合はデッサン用の木炭を使います。
このニコラさんの絵はたぶん鉛筆を使用しているのでしょう。


通常デッサンは単色の線画で描かれ、背景を省略することが多いですね。
そういう意味ではモノクロの肖像写真に近いと言えますが、色彩を排除している分、形状がより色濃く反映されます。
見た目が正確でないことを「デッサンが狂っている」などと言いますが、意図的にデフォルメした抽象画の場合はこれには当たりません。
しかしだからといって抽象画の画家にはデッサン能力が必要ないのかというとそうではなく、有名な画家の多くが若い頃にデッサンの勉強に勤しんでいたように、画家にとってはとても大切な基礎のひとつです。


美術学校などではモデルを用意してデッサンの授業をおこなうことがあります。
そのとき単なる立ちポーズが多いのは、モデルへの負担を考えるとある意味仕方がないことだと思います。
しかし子供の場合は子供らしい様々なポーズを描いてみたくもなりますね。
そのため動きのあるポーズの場合は写真を模写することもあります。
これらの作品も一部は写真を模写したのだろうと思います。
写真の模写をデッサンと言うのか?というと、まぁ正確には違うんですが、子供がモデルの場合そのほうが良いのかもしれません。
ネコと人間の子供は、絵画のモデルにはちょっと不向きなようです。(^-^)