書籍「Strandläufer ~Sandpipers」

フランスの写真家、ジャックス・デュバル(Jacques Duval/生年不明)による1988年の書籍「Strandläufer ~Sandpipers」
ドイツのJanssen-Verlagという出版社から発行された、全編モノクロの写真集です。
作者のデュバルに関しては、生い立ちや経歴についてはほとんどが不明です。
しかし地元フランスの子供たちのイキイキとした姿を捉えた彼の作品は現在も評価が高く、貴重な記録にもなっています。
タイトルの「Strandläufer」とは鳥の「イソシギ」のこと。
Strandläufer がドイツ語で、Sandpipers が英語。
イソシギとは海浜や河口などに生息するシギ科の鳥ですが、デュバルは何故このタイトルを付けたのでしょうか?
きっと彼は、いつも浜辺で遊んでいる少年たちとイソシギに共通点を見つけたのでしょう。
イソシギの写真とデュバルの作品を並べてみると、たしかに非常に似通っていることがわかります。
【飛び立つイソシギ】



イソシギと人間の子じゃまるで違うだろうと思ったら大間違い。
翼を広げたイソシギのように力強く跳ね、飛びまわる子供たちの姿。
夏の強い日差しの下、速いシャッター速度で捉えた彼らの姿は、鳥のごとく優雅で、大胆で、躍動感に溢れています。
このときばかりは天使ではなく、イソシギとして夏を謳歌するのです。
【たたずむイソシギ】



砂浜にたたずみオブジェと化す。
それは目を凝らすと、ときにイソシギであったり、ときに遊ぶ子供たちであったり。
単なる生き物の姿が、そこでは緻密に計算され形作られた彫刻作品のように、見る者に感動を与えます。
それは我々に命の尊さを教えてくれているかのようです。
【戯れるイソシギたち】



体操競技のように、祭りのように、そしてイソシギのように戯れ躍動する子供たち。
目まぐるしく変化し、いっときたりとも同じ所にはいない。
太陽の熱い日差しと爽やかな海風に呼応し、少年たちは今日もイソシギとなる。
そしてその光景を見た人々は思うのです。
命とはかくも素晴らしきものだったのかと・・・
(イソシギの画像はパブリックドメインのフリー素材を使用しました)
関連記事:ジャックス・デュバルの写真作品
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