隠せばOK? - 1【カップ編】

    数年前、島根県のとある町の公園にダビデ像が設置された際、一部の町民が「教育上悪い!」と苦情を言い、ダビデ像にパンツを穿かせるよう要求した...というニュースがありました。

    この出来事は海外からも嘲笑されてしまい、私も「おかしな人がいるもんだ」と思ったものです。
    この人にはダビデがストリッパーに見えたり、美術館がアダルトショップに見えたりするのかもしれませんね。

    美術品の裸像は性的な表現のないものは基本的に真面目なものであり、真面目に鑑賞するべきものです。

    しかし近年では、美術館でも彫像の股間を隠して展示することが稀にあります。
    これも上の例と同じく、そこを隠せと抗議なり苦情なりがあったということでしょう。

    ところが不思議なことに女性の裸像の場合は、公園等にあるブロンズ像も含め、股間を何かで隠すというケースはほとんどありません。
    もし股間を隠して展示していたら、それはほとんどが男性の裸像です。

    これはいったい何を意味しているのかというと、要するに「生殖器」が見えているかで判断しているわけです。
    つまり彫像の股間の露出を問題視する者は「性行為に使う猥褻なモノが見えている」と考えていることになります。

    これは極めて奇異な感覚であり、彫像に対して性行為を連想しておいて、それを見えているせいにするのは滑稽なことです。
    しかし美術館としてはそのような苦情も無視するわけにはいかないのでしょうね。
    股間の見え隠れとともに、美術館の葛藤も見え隠れしているかのようです。

    foulcup.jpg
    【ミズノの子供用ファールカップ】(画像出典:楽天市場)


    今回から3回に分けて「裸像の股間は隠すべきなのか?」「隠すことで品位は上がるのか?」といったことを軽く考察していきたいと思います。

    まず第1回目の今回は「美術館で股間を隠された彫像」について。


    wolff_eros02.jpg emil_wolff-eros.jpg

    これはドイツの彫刻家、エミール・ウォルフ(Emil Wolf/1802-1879)による1836年の作品「Eros」
    ギリシア神話の愛の神です。
    どちらも美術館での展示の様子ですが、左はオリジナルの状態で、右は股間に葉っぱ状のカップを取り付けた状態。

    たぶんヒモを通して固定しているのだと思いますが、このカップ、専門用語ではなんと言うのでしょうか?
    野球や空手で使うファールカップのような・・・いずれにしても神の姿としては不自然ですね。

    見た目が少年なので、ふざけて遊んでいるようにも見えます。
    少なくともこれを付けたら上品になった、ということはなさそうです。


    canova_cupid2.jpg canova_cupid3.jpg

    これはイタリアの彫刻家、アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova/1757-1822)による1791年の作品「Cupid」
    ローマ神話の愛の神です。
    こちらのカップはかなり小さめで、とにかくモノが隠れりゃイイだろうって感じですね。

    これを取り付けることに何の意味があるの?と思ってしまいます。
    そのままであればとても無垢な少年、あるいは無垢な天使に見えるのに、そんなものを付けるからかえって品がなくなってしまう。

    結局は真面目な彫像を不真面目に作り変えているだけではないでしょうか。


    ivanov_boy_in_the_bath_03.jpg ivanov_boy_in_the_bath_01.jpg

    こちらはロシアの彫刻家、セルゲイ・イワノフ(Sergei Ivanov/1828-1903)による1858年の作品「A Boy in the Bath-House」
    公衆浴場で体を洗っている少年の像。
    左がオリジナルで、右は葉っぱ状のプレートで股間を隠して展示しています。

    旧約聖書に登場するアダムとエバの恥じらいのシーンならともかく、浴場での格好としてはあまりに不自然。
    もし銭湯にいて、股間に葉っぱを貼り付けた少年が入ってきたら、誰だって目を丸くしてしまいますよね。


    【結論!股間にカップは不真面目】

    ありのままの姿と、股間にカップをはめている姿。
    神話の登場人物としてどちらが自然かといえば、そりゃあ前者です。
    また、どちらが不真面目な格好に見えるかといえば、私は後者に思えます。

    美術館はなにも見たくない人に無理やり見せているのではないのですから、人の体を猥褻物扱いしている者の意見は参考程度に留め、ある程度の威厳と信念をもって運営してほしいですね。


    次回は「複製品でパンツを穿かせられた彫像」についてあれこれ考えてみたいと思います。


    関連記事:隠せばOK? - 2【パンツ編】
    関連記事:隠せばOK? - 3【タオル掛け編】
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    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像 

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    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
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    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:21年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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