Cupid Rekindling the Torch of Hymen

この作品は前に一度紹介したことがありましたが、作者についての説明がまだだったので改めてご紹介。
スコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(George Rennie/1802-1860)による1831年の作品「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」
ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート美術館」が所蔵している大理石像です。
タイトルは直訳すると「ヒュメンのトーチを再燃させるクピド」という意味。
向かって左のトーチを持っているのが婚姻の神ヒュメンで、右にいるのが愛の神クピドです。
ヒュメンもクピドもどちらも神でありながら少年の姿で表現されることが多いですね。
婚姻や愛を司る神は純潔であるというイメージからこうなったのでしょうが、現代人から見るとちょっと奇妙にも思えます。
この彫像では身を委ねるようなクピドや、ヒュメンがクピドの腰に手を回していることなどから、互いに気の置けない仲であることがわかりますね。
ヒュメンは他人の婚姻を司り、クピドは他人の恋愛を司り、気がつけばどちらも独り者。
たまにはふたりで慰め合うこともあるのでしょう。
ちなみにタイトルにある「kindling」とは点火や燃焼という意味ですが、気持ちを掻き立てるという意味もあるので、トーチの火と心の火をかけているのかもしれませんね。


作者のジョージ・レニーは1802年、スコットランドのイースト・ロージアンで生まれました。
父は農業学者であり叔父は土木技術者でしたが、彼は幼少期から芸術に興味を持ち、若くしてイタリアのローマに渡り彫刻を学びます。
母国に戻った後も彫刻家として活動し、1828年から1837年まで王立芸術アカデミーやサフォーク・ストリート・ギャラリーにて作品を発表しています。
1841年、彼はイギリスのサフォーク州の州都、イプスウィッチの議会議員となりました。
主な功績としては、農業に関する法律の制定やデザイン学校のための議会委員会の設立など。
議員としてのキャリアは6年ほどでしたが、彼は1847年12月15日にフォークランド諸島の知事に就任します。
1855年にイギリスに戻り、1860年3月22日に病気のためロンドンでその生涯を終えました。
画像出典:ウィキメディア・コモンズ
File:George Rennie Cupid Rekindling the Torch of Hymen at the V and A 2008.jpg
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
- 関連記事
-
-
Cupids Arrows 2015/01/11
-
天使のいる家 2015/12/12
-
L'éveil du Printemps 2016/03/07
-
タグ: Europa 少年 ♂♀ 彫像 CC-License