多くの人が誤解していること - 3

【子供は純真である】という誤解...
天使はもともと宗教的には、性別が曖昧で、大人の姿をしていると伝えられてきました。(光のようなものだとも言われています)
しかし近世以降、神話に登場する愛の神クピドや人間の子供のイメージとダブり、次第に幼児や少年の姿として描かれるようになりました。
今では天使といえば子供、子供といえば天使というイメージがすっかり定着しています。(当ブログもそのイメージを基本としています)
しかしはたして人間の子供は、天使になぞらえるほど純真無垢な生き物なのでしょうか?
「純真」とは一般的には「心が清らかで、悪いことや下品なことを考えもしない」という意味になりますが、結論から言うと答えはノーです。
そもそも誰しも自分が子供の頃を思い出してみれば、わかりそうなことですよね。
ところが世の中には「子供は純真である」あるいは「純真なままでいるべきだ」と思い込む人がおり、様々な表現に対して「子供に悪影響」という言葉をかざして反対する人がいます。
それが本当に子供に被害を与えるものならば、確かに規制すべきだと私も思います。
しかしこの言葉を発する人の多くは、子供にとってどうなのかというよりも、単純に子供が知ることへの不快感によるものであるように思えてなりません。
だからこそ子供に「教え諭す」のではなく、「知ることを防ぐ」という対策をしてしまうのでしょう。
人は物心ついたときから、世の中の善しも悪しも吸収しながら(知りながら)成長していきます。
それを自分の中で選り分け、何を肯定するか何を否定するかで個性が形作られていくわけですが、その選り分けを正しく教えるのが親や周りの大人たちの役目です。
それを「しつけ」と言います。
大切なのは多くの情報を自ら正しく選り分けられるようになることであり、純真無垢のまま生きることではありません。
子供はある程度の年齢になれば、悪いこと(人に迷惑をかけること)や、性的なこと(異性の身体など)に興味を持ち始めます。
悪事に嫌悪感を持てるかどうか、性的好奇心を人への愛情に変えることができるかどうか、そこが大切。
もうずいぶん前になりますが、私の甥っ子のひとりが小学5年生のとき、学校で性教育の授業があったことを楽しそうに話してくれました。
4年生の時には体の変化について習い、5年生になったらもう少し本格的に、人間の生殖の仕組みについて習ったそうです。
話を聞いていると、どうやらこの子やクラスの友だちにとって性教育は完全にギャグの世界らしく、授業中も大笑いだったそうです。
きっと先生も楽しく授業を進めたのでしょう。
でも私はそれで良いと思いました。いやむしろそうあるべきだと思いました。
最初の段階で嫌悪してしまうと、正しい知識も身に付きません。
ニュースで知ったのですが、最近子供たちのあいだで「うんこ漢字ドリル」という学習教材が人気だそうです。
例文がすべてウンコにちなんだ文章となっていて、楽しく笑いながら漢字を覚えられることをコンセプトにしており、すでに100万部以上の大ヒットとなっています。
下品だと非難する親もいるようですが、実際に利用した子供たちの学習意欲が上がったのは確かなようです。
そしてこれもニュースからですが、漫画雑誌の購買数が低迷する中、小学生向けの漫画雑誌「月刊コロコロコミック」は今もかなりの部数を誇っています。
たしか私の甥っ子も小学生の時よく読んでいたような記憶がありますが、メインの読者層が小学4〜6年生の男児であるため、男性器や排泄物の描写など、いわゆる下ネタを積極的に取り入れたことが人気の理由となっているそうです。
下ネタが子供にとってとても面白いギャグだということは、昔から変わらぬ事実。
うんこ漢字ドリルで勉強すると将来スカトロ趣味になりますか?
裸が登場するギャグ漫画を読むと将来ヘンタイ趣味になりますか?
大人が大人の感覚でばかり規制していると、かえって子供たちの精神の発育を阻害しかねません。
現代の子供たちはすでに、大人が思っているほど純真な天使ではありません。
だからこそ、純粋な愛情で包み込む子育てが必要なのです。
関連記事:多くの人が誤解していること - 1
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