Prüfung des ersten Flügels

    sacrevoir-prufung_des_ersten_flugels.jpg

    ドイツの画家、サクレボワール(Sacrevoir/1964- )による絵画作品「Prüfung des ersten Flügels」
    制作年はわかりませんでした。

    タイトルは日本語に訳すと「最初の翼の検討」となります。
    ソファーの上でひとりの少年が眠っていて、その横に翼が無造作に置いてあります。
    この翼は仮装などで使う、背負うタイプの衣装でしょうね。

    右側の少年がその翼を拾い上げようとしています。
    同時に自分の腰に巻いてあるタオルを外そうともしており、タイトルのとおり天使になることを検討しているのかもしれません。

    とは言っても、舞台の天使役を検討しているわけではないでしょう。
    たぶんこの絵は比喩的な表現なのだと思います。
    どのような意味なのかは、見る者の受け取り方次第といったところでしょうか。

    作者のサクレボワールはベルリンを拠点として活動する現代画家のひとり。
    1964年にベルリンで生まれた彼は、数学と視覚芸術(絵画)を学んでプロの画家となりました。

    若者たち、とくに少年のか弱さや静けさ、美しさを絶妙なタッチで描き、これまでにベルリンやミュンヘン、アムステルダムなどで数々の個展を開いています。

    オフィシャルサイトでは、独自の味わいを持った彼の作品が存分に堪能できます。


    【SACREVOIR】
    http://www.sacrevoir.de

    タグ: Europa  少年  ♂♀  眠り  衣装  絵画 

    ルイ・イグアウトの写真作品

    louis_jean-baptiste_igout_1875.jpg louis_jean-baptiste_igout_1870.jpg

    フランスの写真家、ルイ・イグアウト(Louis Igout/1837-1881)による写真作品。

    バイオリンを弾く少女は1875年、長い棒を持つ少年は1870年の撮影です。
    どちらもタイトルは付けられていません。

    当時、プロが撮影したヌード写真は雑誌やポストカードとして流通することが多かったのですが、これとは別に、画家が絵を描く時の資料、つまり人体ポーズ集としての需要もそれなりにありました。

    当時の画家の中にはカメラの出現を脅威と感じた人もいましたが、逆に絵画制作に役立てる画家も少なくなかったということです。
    17世紀のオランダの画家、フェルメールはカメラの原型であるカメラ・オブスクラを多用したと言われていますし、印画紙に定着できるようになってからはさらに多くの画家が写真を資料としていました。

    何しろ写真をもとにして絵を描けば、モデルに何時間も同じポーズをさせる必要がないのですから、とても便利なことは確かです。(トレースするのではなく、形を知るための資料として)

    ルイ・イグアウトも画家の絵画制作のためにヌードを撮影していた写真家でした。
    そのため彼の作品には同じモデルを様々なポーズ、様々な角度から撮影したポーズ集が多く見受けられます。

    Googleの画像検索で「Louis Igout」を検索

    彼の経歴については詳しいことはわかりませんでした。
    美術学校との繋がりがあったらしく、生徒たちが人間の体を正しく描けるようにと、男性、女性、子供の様々なポーズを撮影していたようです。

    学生を対象として作られた彼の作品は、現代の美術学校においても良い教材となるのではないでしょうか。

    タグ: Europa  少年  少女  ♂♀  衣装  OldPhoto 

    La petite baigneuse

    thomas_couture-la_petite_baigneuse.jpg

    フランスの画家、トマ・クチュール(Thomas Couture/1815-1879)による1849年の作品「La petite baigneuse」
    ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵している作品で、日本語では「小さな水浴者」というタイトルが付けられています。

    10歳くらいの少女が岩の上に腰掛けている絵ですね。
    少女の横にはリンゴが置いてあり、その下には十字架の付いた赤い布があります。

    水浴とは水に浸かることですが、この子の足下に池があるということでこのタイトルなのでしょう。
    しかしこれは作者が付けたタイトルではないのかもしれません。

    というのも、この絵は1850年代後半にロシアの美術収集家が所有し、その後「ロシア芸術アカデミー美術館」に移されたのですが、1868年の展示目録では「森の中の少女」というタイトルだったからです。

    この絵は背景に情報がほとんど含まれておらず、見えるのは葉っぱと岩だけですが、そこにいる少女が裸であることに何か理由が必要だったのでしょうか?

    水浴をしているから、というのはもっともらしい説明ではありますが、初めの「森の中の少女」というタイトルのほうがこの作品には相応しいような気がします。

    「森の中になぜ裸の少女が?」「きっと精霊なのだろう」
    それでイイんじゃないでしょうか。


    作者のトマ・クチュールは1815年、フランスのオワーズ県サンリス生まれ。
    11歳のときに家族とパリに移り住み、やがて国立の工芸学校とエコール・デ・ボザールで美術を学びます。

    彼はフランス国家による奨学金付き留学制度「ローマ賞」に6回も挑みますが、ことごとく失敗。
    7回目の挑戦でようやく受賞を手にし、1840年からサロンに歴史画と風俗画を出展し始めました。

    彼の革新的なテクニックは各所から注目されますが、政府や教会から依頼された壁画制作に関しては良い成果を上げることができず、このことで批判を浴びてしまいます。

    その批判に耐えられなかった彼は1860年に故郷のサンリスに戻り、その後は美術教師として若い画家たちの指導にあたりました。
    1879年3月にパリ郊外の街ヴィリエ・ル・ベルにて63歳で亡くなりました。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Couture, Thomas - Little Bather.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    タグ: Europa  少女  絵画  Water  CC-License 

    天使たちの表現ダンス

    jenny_gertz-bewegungs_chore01.jpg

    フォークダンス、ジャズダンス、ヒップホップにブレイクダンス・・・
    タップダンス、フラダンス、社交ダンスに日本舞踊・・・
    世の中には様々な国で生まれた様々なダンスがあり、人々の生活に潤いを与えています。

    そんな数多くのダンスの中で、喜怒哀楽の感情や物語を表現するダンスの代表と言えば、バレエダンスですね。
    16世紀に西ヨーロッパで発生して広まったとされる、歌詞や台詞を伴わない舞台舞踊。
    その美しさと表現力の豊かさは、あらゆるダンスの中で最高峰と言えるでしょう。

    20世紀初頭にアメリカで誕生したモダン・ダンスや、1980年代にフランスで誕生したコンテンポラリー・ダンスなど、従来の型にはまらない前衛芸術的なダンスも、多くはバレエの流れを組むものです。


    【ジェニー・ガーツ】

    20世紀初頭のドイツにジェニー・ガーツ(Jenny Gertz/1891-1966)という女性のダンサーがいました。
    彼女はヨーロッパのモダンダンスの先駆者と言われる、ルドルフ・フォン・ラバン(Rudolf von Laban/1879-1958)からダンスを学んだひとりです。

    1923年に運動コーディネーターとしての学位を取得した彼女は、ダンサーで振付師であるアルブレヒト・ナスト(Albrecht Knust/1896-1978)の下で「ハンブルク運動合唱団」(Bewegungs chöre)の副代表として働きました。

    1927年にドイツの都市ハレ・アン・デア・ザーレに移り住んだ彼女は、子供と大人のための運動合唱団を設立します。
    その後1934年にプラハに、1939年にイギリスに移住しますが、1947年に再びドイツに戻り、1953年まで子供たちのダンススクールを営みました。

    jenny_gertz-bewegungs_chore02.jpg
    「小動物の反撃」1925年

    ジェニー・ガーツが教えていたダンスは彼女の師であるルドルフ・フォン・ラバンの即興ダンスの理論に基づくもので、最初にテーマを決めて子供たちに提示するというものでした。

    喜怒哀楽など感情を示す動きは比較的容易ですが、物語全体を体の動きで表現することはとても困難です。

    しかし子供たちはテーマに沿って気持ちの赴くままに動き、それは次第に自由な集団行動として連鎖し、素晴らしいダンスパフォーマンスとなりました。


    jenny_gertz-bewegungs_chore03.jpg jenny_gertz-bewegungs_chore04.jpg
    「戦いの最中」「攻撃と防御」1926年

    生徒たちはいつもは衣装を着て踊りますが、1925年頃に発表したこれらの写真では全員が全裸で踊っています。
    しかしこれにも理由があります。

    たとえば驚きや興奮の表現など、呼吸を荒げたときの胸の動きは服で覆われていては認識できません。
    自然や動物をテーマにしたダンスであれば、動物たちの気持ちになることも必要です。
    ジェニー・ガーツの生徒たちは、自らの体で物語を表現することを楽しみ、物語を「経験」することを楽しんでいたそうです。

    子供たちが全裸で踊るダンスパフォーマンス。
    前衛芸術(アバンギャルド)が台頭し始めた1920年代だからこそできた試みだと思いますが、真面目に見ればこれほど愛らしい舞台は他にありませんね。

    100年前の天使ダンサーたちに大きな拍手を送りましょう。


    出典:Jenny Gertz

    タグ: Europa  少年  少女  ♂♀  ダンス  OldPhoto 

    Gymnasion

    sascha_schneider-gymnasion.jpg

    ドイツの画家、サシャ・シュナイダー(Sascha Schneider/1870-1927)による1912年の作品「Gymnasion」

    Gymnasionは「ギュムナシオン」と読みます。
    ギュムナシオンとは、古代ギリシアにて運動競技選手が訓練をおこなった施設のこと。

    競技者育成のために作られた公共施設で、施設内では全裸であることが義務付けられていました。
    ギュムナシオンという名称もギリシャ語で「裸の...」を意味する γυμνός (gymnos)という言葉に由来しています。

    学校と同じように教師やトレーナーがおり、若者に対して肉体的鍛錬をおこなっていました。
    当初は18歳以上専用の施設でしたが、やがて子供への教育施設としても使われるようになり、体育だけでなく道徳や倫理の授業もそこでおこなわれたそうです。

    この絵は教師の前で整列したシーンでしょうか。
    身長や体格に個人差がありますね。
    どのような鍛錬がおこなわれたのかは資料がないのでわかりませんが、向かって右端の華奢な少年もやがてはたくましい競技者となるのでしょう。

    palestra_pompeii.jpg
    【ポンペイにあるギュムナシオンの遺跡】

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Gymnasion.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
    File:Palestra, Pompeii.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    この絵を描いたドイツの画家、サシャ・シュナイダーは1870年にロシアのサンクトペテルブルクで生まれました。
    1889年にドイツのドレスデン美術アカデミーに入学し、その後は本のカバーイラストを制作するイラストレーターとなりました。

    1900年代に入ってからはドイツとイタリアで交互に生活していましたが、第一次世界大戦が始まると再びドイツに戻り、その後仲間とともに「クラフト・クンスト」という芸術のための研究所を設立します。

    しかし晩年は糖尿病を患い、船での旅行中に糖尿病による発作を起こして亡くなりました。
    現在はドイツのドレスデンにあるロシュヴィッツ墓地に埋葬されています。


    彼の1912年の作品「Gymnasion」は整列している古代ギリシアの少年たちを描いていますが、このように身長の違う裸の子供を横に並べた写真をどこかで見たことはありませんか?

    そう、医学書や保健体育の資料などに載っている、人間の成長を記録した学術写真にそっくりです。


    the_adolescent_period.jpg
    書籍「The Adolescent Period」より

    これはアメリカの医学博士、フランク・ケイリー・シャトルワース(1899-1958)が1951年に発表した書籍「The Adolescent Period」に掲載されている写真。
    子供の成長に関する研究論文で、ある少年の10歳から17歳までの体の変化を記録したものです。

    シャトルワースは1938年にも同様の書籍を出しており、その本は現在Googleブックスで全ページが公開されています。

    Googleブックスより
    「The Adolescent Period: A Graphic and Pictorial Atlas」


    croissance_d_un_garcon_sur_10_ans.jpg
    「Croissance d un garcon sur 10 ans」

    そしてこれは著作者不明ですが、ある母親が撮影した息子の10年間の成長記録だそうです。

    見たところ5歳から15歳くらいまででしょうか。
    年齢が記載されておらず、見た目の大きさが揃えられているため身長の変化がわかりませんが、正面から捉えているので体形の変化はよくわかりますね。
    幼少期にぽっちゃりしていた男の子が、第二次性徴が見られるあたりから筋肉が発達し、体が引き締まってくる様子が見てとれます。

    母親は医学の関係者だったのか、それとも一般の人だったのか?
    学術研究のための撮影だったのか、それとも単なる家族写真か?
    そのへんの詳細はまったく不明ですが、医学的には大変貴重な記録です。

    また、息子さんが思春期に入ってからもモデルを続けたのは、幼い頃からの習慣もあるでしょうが、何よりも家族の愛情あらばこそだと思います。


    子供の健康に運動が深く関係しているという考え方は古代ギリシアに始まり、現代にも根付いています。

    画家のサシャ・シュナイダーが「Gymnasion」を描くときにこのような学術写真をモチーフとしたかどうかは定かではありませんが、その見た目の類似性同様、根底にあるのはどちらも、子供の成長と健康を願う心なのでしょう。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  スポーツ  絵画  CC-License  OldPhoto 

    Le Vainqueur au Combat de Coqs

    alexandre_falguiere-vainqueur_combat_coqs.jpg

    フランスの彫刻家、アレクサンドル・ファルギエール(Alexandre Falguière/1831-1900)による1864年の作品「Le Vainqueur au Combat de Coqs」

    フランスのトゥールーズにある庭園「グランド・ロンド」に設置されている、高さ約180cmのブロンズ像。
    オリジナルは1868年に設置されましたが、1942年に戦争により破壊されてしまいました。
    現在のこの像は1963年に作られたレプリカです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Vainqueur combat coqs.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    タイトルは英語に訳すと「Winner of the Cockfight」で、日本語で言うと「闘鶏の勝者」
    オスのニワトリ同士を闘わせる、あの闘鶏です。

    闘鶏の大会で優勝した少年が喜びのあまり自慢のニワトリを抱えて走り回っている、そんなシーンですね。
    高く振り上げた腕、後ろに蹴り上げた足、鶏を愛おしむように見つめる表情。
    少年の喜びが伝わってくるような躍動感のある作品です。

    作者のファルギエールは19世紀の古典彫刻の代表とも言える彫刻家で、リアリズム芸術に貢献した人物でした。
    1831年にフランスのトゥールーズで生まれた彼は、国立美術学校で美術を学び、1859年にローマにて彫刻賞を受賞。
    1882年には美術学校の教授となり、美術アカデミーのメンバーにも選出されました。

    しかし老後は病気を患ってしまいます。
    1900年4月、記念碑の設置のためにフランス南東の都市ニームに出掛け、帰宅したその日に亡くなったそうです。


    この作品は彼の代表作であり、パリのオルセー美術館も所蔵しています。
    インテリアとしても人気が高い作品ですが、現在は微妙に形の違う2種類のレプリカが存在しています。

    alexandre_falguiere-cockfight01.jpg alexandre_falguiere-cockfight02.jpg

    違いがわかりますか?
    そう、右の像はニワトリの足下から布が垂れ下がり、少年の股間を隠しているんです。
    以前、別な彫像でも同じことを語りましたが、インテリア用の複製品は布がプラスされることが多いですね。

    この作品は股間さえも自由な少年だからこそ、今にも動き出しそうな躍動感が表現されているわけです。
    オリジナルにはない謎の布の出現によって、どこか束縛めいた雰囲気を感じさせることは否めません。

    まぁ一般向けの商品となると様々な事情があるのでしょうが、人々の多くが「人間の体に対する敬意」を持たない限りは、このような改変は続いてしまうのかもしれませんね。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  CC-License 

    Die Nymphe der Düssel

    eduard_steinbruck-die_nymphe_der_dussel.jpg

    ドイツの画家、エドゥアルド・シュタインブルック(Eduard Steinbrück/1802-1882)による1837年の作品「Die Nymphe der Düssel」

    物思いにふけるようなちょっと虚ろな眼差しで佇んでいる少女。
    大人の女性にも見えますが、胸の膨らみ具合から言ってたぶん10代でしょう。

    タイトルは訳すと「デュッセルのニュンペー」となりますが、デュッセルとはドイツの都市デュッセルドルフを流れる「デュッセル川」のことで、ニュンペーとは英語で言うとニンフ、つまり精霊です。
    「デュッセル川の精霊」という意味ですね。

    精霊は非常に長生きで、いつまでも美貌を保つそうですが、それゆえに退屈な日々を送ることもあるのでしょう。

    と言うのも、花を咲かせたり人間の病を治すなど人々に恩恵を与える精霊がいる反面、一方では粗野な面を持つ精霊もおり、森の中を歩く人間を魔力で惑わせたり、とり憑いて正気を失わせることもあるそうです。

    人間の若者に恋をして強引にさらっていくこともあり、Nympheという言葉は女性の過剰性欲を意味するニンフォマニアという言葉の語源でもあります。

    この絵が人間の少女を描いたものならば「片思いの少女」とか「家事手伝いも楽じゃない」というタイトルが思い浮かびますが(浮かばないか...)、もし悪事をする精霊なのだとしたら、この表情にも何か怖いものを感じてしまいますね。

    作者のエドゥアルド・シュタインブルックは1802年、ドイツのマクデブルク生まれ。
    ベルリンの美術学校にて、画家のカール・ウィルヘルム・ワッハ(1787-1845)の指導を受けました。

    神話や伝説などの歴史画を描き続けた彼は、1876年に引退し、1882年に亡くなりました。

    タグ: Europa  少女  Water  絵画 

    お空と天使

    oikko_rei.jpg

    遊具の下から空を覗けば、そこには元気な天使くん。
    この時期草木は枯れたって、
    元気な天使は咲き誇る。


    撮影と著作
    Copyright : RUKA

    タグ: 日本  少年  RUKA 

    ルノワールの絵画作品

    pierre_auguste_renoir-portrait_of_irene.jpg

    フランスの画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir/1841-1919)による1880年の作品「Portrait d'Irène Cahen d'Anvers」

    日本では「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」と呼ばれている作品です。

    描かれているのは、ベルギーのアントワープ出身のルイ・カーン・ダンヴェール伯爵の長女、イレーヌちゃん8歳。
    多くの印象派の絵画の中で「最も美しい肖像画」とも称され、日本でも人気の高い作品のひとつです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Pierre-Auguste Renoir, 1880, Portrait of Mademoiselle Irène Cahen d'Anvers, Sammlung E.G. Bührle.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    絵画に造詣がない人でも「ルノワール」という名前は聞いたことがあるでしょう。
    優しく温かなタッチで幸福感あふれる作品を描いた、世界的に有名なフランスの画家です。

    女性の美を追求し続けた彼の作品には、美しい裸婦や可愛らしい少女の肖像画が多数残されています。
    その中でもとくに有名なのが、このイレーヌちゃんの肖像画。

    しかし今回ご紹介するのは、そういった作品ではないのです。

    ルノワールが生涯でたった一度だけ、少年を描いていたことをご存知でしょうか?
    彼が描いた唯一の少年の絵がこちら。

    pierre_auguste_renoir-le_garcon_au_chat.jpg

    ルノワールが1868年、27歳のときに描いた「Le garçon au chat」(猫と少年)という作品。
    現在はパリのオルセー美術館が所蔵しています。

    10代前半と思われる少年が、台の上の猫に寄り添って立っています。
    おだかやな表情からは幸せなひとときであることを感じさせます。
    柔らかく手を組む仕草、艶やかな後ろ姿には、女性モデルのような色っぽさがありますね。

    じつはこの少年、当時の男娼ではないかと言われています。
    男娼とは、売春や性的サービスを仕事としている男性のこと。(男性の娼婦という意味)

    当時パリでは女性の売春は条件付きで認められていましたが、男性の売春は違法行為でした。
    そのため街頭で大っぴらに活動する者は少なく、多くの男娼は売春宿でこっそりと働いていました。
    この少年の素性も明確には語られていませんが、売春宿で働いていた少年の可能性があるそうです。

    ルノワールは同性愛者ではありませんし、この前年には愛人との間に子供も生まれているので、単なる絵のモデルとして雇っただけでしょう。
    しかし少年は絵画モデルというこの仕事に、束の間の安らぎを覚えたのではないでしょうか。


    ルノワールは1841年、決して裕福ではない仕立て屋の六男として生まれました。
    13歳から陶器の絵付け職人となりましたが、やがて陶器印刷の機械が発明され、彼は職を失ってしまいます。

    その後、画家の道を志して21歳でシャルル・グレールのアトリエに入り、そこでモネやシスレーらと出会います。
    彼は印象派の画家として活動を始め、いくつかの展覧会に参加して入選を果たします。
    とくに女性を明るく華やかに描いた作品は人々の好評を博し、肖像画家としても成功を収めました。

    しかし晩年はリウマチを患い、車椅子の生活となってしまいます。
    彼は痛む手に絵筆を縛り付け、そんな状態であっても精力的に絵を描き続けました。

    1919年12月3日、亡くなったその日もアネモネの花の絵を描いていたそうです。


    ルノワールの作品には暗い絵がひとつもなく、描かれている人々はみな楽しそうに微笑んでいます。
    彼は生涯一貫して、人々の幸せそうな様子を描き続けました。

    「君はなぜ綺麗で愛らしい絵ばかりを描くんだ?」
    他人からそう問われた彼は、こう答えたそうです。

    「芸術が愛らしいものであってなぜいけないんだ? 世の中は不愉快なことだらけじゃないか」

    ルノワールは自分の作品が誰かの家に飾られることを常に意識し、「絵は家を明るくするものでなければならない」という信念を持っていたそうです。

    男娼の少年をモデルに絵を描いたのも、せめて絵の中だけでも安らいでいてほしい、微笑んでいてほしい・・・そんな思いがあったからかもしれません。

    タグ: Europa  少年  少女  Face  CC-License  絵画 

    Millennium

    evgeniy_rotanov-millennium03.jpg

    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millennium」

    ロシア北西部の都市サンクトペテルブルクにあるベリンスキーとモホヴォイ(方面?)の交差点付近に設置してある、高さ約180cmのブロンズ像です。

    頭上で腕を組み、誰かを待っているような仕草で大通りを眺めている少年。

    像が作られたのは1989年ですが、この場所に設置されたのは1999年です。
    ミレニアムというタイトルのとおり、西暦2000年を記念して設置されました。

    evgeniy_rotanov-millennium01.jpg evgeniy_rotanov-millennium02.jpg

    作者の制作意図は定かではありませんが、この場所に設置されたのには何か意味があるのでしょう。
    遠くを見ているのは未来への展望、背伸びは飛躍を意味し、膝を軽く曲げたポーズは躍動を表している・・・のかもしれません。

    作者のエフゲニー・ロタノフは1940年にロシアのウラル地方で生まれました。
    1959年から1965年までレニングラード高等芸術大学で芸術を学び、才能ある教師たちによって彼もまた頭角を現します。
    1968年に牧師学校を卒業してからは数多くの彫刻作品を作り上げました。

    彼は1980年から1988年にかけてサンクトペテルブルクの芸術家協会のメンバーであり、クリエイティブ部門の委員長でもありました。
    1999年にはアフガニスタンで死亡した兵士の記念碑のモニュメントプロジェクトにも参加しています。

    多数の展覧会を開き、彫刻に関する国際シンポジウムにも参加するなど、人生を彫刻に捧げたロシアの名誉ある彫刻家のひとり。
    現在彼の作品はモスクワのトレチャコフ美術館など、ロシアの多くの美術館にて展示されています。


    evgeniy_rotanov-millennium_bw.jpg evgeniy_rotanov-millennium_like.jpg

    エフゲニー・ロタノフ作「Millennium」と、それと同じポーズの人間との比較。
    (人体画像出典:Sonnenfreunde)

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  造形比較  OldPhoto 

    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
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    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:22年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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