モデル君は背中で語る - 3

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    あなたが観光地で自分の写真を撮ろうとしたとき、セルフタイマー機能も自撮り棒も無いので、道ゆく人に「シャッターを押してください」と頼んだとします。
    するとその人が「じゃあ背中を向けて」と言うので、素直に後ろを向いたらシャッターの音が・・・。

    こんなことをされたら怒るか、あるいは戸惑いますよね?
    「私の顔は写す価値がないってこと?」と落ち込んでしまう人もいるかもしれません。
    絵でも同じですが、人物写真は基本的には顔が見える位置から捉えるものです。

    しかし絵画や写真作品の中には、あえて背中側を描写したものも少なくありません。
    人は後ろ姿も十分に芸術的であり、後ろ姿だからこそ伝えられる表現もあるからです。

    天使の後ろ姿を捉えた「モデル君は背中で語る」
    第3回目の今回は、よりアーティスティックな絵画作品と写真作品をセレクトしてみました。
    絵画と写真を交互に並べましたが、写真のほうは残念ながら作者不詳です。


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    左はイギリスの画家、ヘンリー・スコット・タク(Henry Scott Tuke/1858-1929)による1896年の作品「The Bather」
    右はイギリスの画家、ネリー・ジョシュア(Nellie Joshua/1877-1960)による1905年の作品「The Dragonfly」

    モデルが背景の海を見つめているなら、当然後ろ向きになりますね。
    そこにあるのは喜びか?哀愁か?
    右側の妖精の絵はあえて後ろ向きにすることで、森の中をそうっと覗いているような雰囲気を醸しています。


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    どちらも詳細不明、作者不詳の作品です。

    それぞれ湖と森で撮影された写真ですが、大自然の背景と人間の背中が妙にマッチしています。
    左はハイティーンで右は10歳くらいだと思いますが、こうして見ると成長の度合いがわかりますね。


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    左はデンマークの画家、モーゲンズ・ガード(Mogens Gad/1887-1931)による1914年の作品「Drenge i Hornbæk」
    右はトルコの画家、イゼット・ジヤ(Izzet Ziya/1880-1934)による作品「Children diving into the sea」

    船に向かって手を振る少年と、海で遊ぶ兄弟。
    どちらも表情は見えませんが、楽しんでいる様子がその後ろ姿から伝わってきます。


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    楽しんでいるといえばこちらも同じ。

    左の写真は地面に水着が落ちているので、着替えの時におどけてポーズをとったのでしょう。
    スタンスといい背筋といい、男の子の元気さが表れている作品です。


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    左はドイツの画家、リチャード・ミュラー(Richard Muller/1874-1954)による1933年の作品「Rückenakt eines Knaben auf roter Matratze」
    右は1840年に描かれた作者不詳の作品ですが、たぶんアカデミーの生徒作品だと思います。

    人の後ろ姿は独立したオブジェのようでもあり、また背中側だからこそ伝えられる意図というのもあります。
    人によってそう大差のない背中ですが、それをどう造形するかは芸術家の技量といったところでしょうか。


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    モデルに助けられているところもありますが、構図的に見事な作品ですね。
    どちらも背筋を伸ばしており、腕から背中、そして脚にかけての流線形が美しい。

    左の少年が手にしているのは流木でしょうか?
    このS字型の姿勢には、まさに流木の如く余計なものがそぎ落とされた美を感じます。


    日本の古い慣用句には「顔で笑って心で泣く」という言葉があります。
    また、アニメ「ルパン三世」のテーマ曲の歌詞には「背中で泣いてる男の美学」という言葉が登場します。

    つまり人の心は背中に表れ、それは男性のほうが顕著である、と考えて良いのではないでしょうか。
    そして後ろ姿を描写した絵画や写真は、人の心を表現するひとつの手段である、と考えても良いのではないでしょうか。


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    Histrio

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    フランスの彫刻家、デュラン・ルドヴィク(Durand Ludovic/1832-1905)による1872年の作品「Histrio」
    フランスの都市ブロワにあるブロワ美術館が所蔵している大理石像です。

    タイトルの「ヒストリオ」とは「俳優・役者」という意味のラテン語。
    この時代だと舞台役者でしょうが、右手には衣装、左手には目と口がくり抜かれたマスクを持っています。
    出番前にくつろいでいるところでしょうか?

    非常にスタイルが良く、また表情やポーズも柔らかで、ヴィーナス像にも似た崇高さがあります。
    高い位置に設置されているので股間が目の前ですが、舞台俳優と考えると丁度良い展示位置かもしれませんね。

    作者のデュラン・ルドヴィクはフランスの都市サン=ブリユー生まれの彫刻家。
    16歳の時に美術学校エコール・デ・ボザールに入学し、彫刻家のフランソワ・トゥサンの弟子となりました。

    1872年に制作したこの彫像「Histrio」は、パリのサロンにて2位のメダルを獲得しています。
    1874年の作品でも3位のメダルを獲得し、その後も数々の大理石像を制作したフランスを代表する彫刻家のひとりです。

    この彫像は台座を含めた高さが約167cmなので、13歳の少年であればほぼ等身大です。
    モデルも実際にそのくらいの歳だったのかもしれません。

    舞台で何を演じるにせよ、これほどまでに美しいと服やマスクで隠すのがもったいないくらいです。
    かといってこのままの格好で出演したのでは、きっと主役を食ってしまうことでしょう。

    タグ: Europa  少年  笑顔  彫像  ♂♀ 

    オットー・ローミュラーの絵画作品

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    ドイツの画家、オットー・ローミュラー(Otto Lohmüller/1943- )による絵画作品。

    ローミュラー氏は様々な世代のポートレイトを手掛けているドイツの画家。
    主に地元の人々や東南アジアで出会った人々、著名人を題材とした肖像画などを描いている具象派の芸術家です。

    ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州ゲンゲンバッハで生まれた彼は、ミケランジェロの絵画やピエール・ジュベールのイラスト等に影響を受け、1960年にパリで芸術を学びました。

    1969年に結婚し、1978年に最初の作品集を出版。
    1982年からは歌集や詩集、ボーイスカウトのための本を出版しています。
    また、彫刻作品もいくつか手掛けています。

    彼の作品の中で私がとくに素晴らしいと思ったのが上の4作品。
    リアルな描写でありながら絵画ならではのタッチを残した、再現性と創造性を味わえる作品です。
    骨格や肉付きなど人間の形がわかりやすく描かれており、医学的な資料にもなりそうですね。

    彼の作品はドイツ国立図書館の目録にも掲載されています。


    Copyright : Otto Lohmüller
    http://www.otolo.eu/

    タグ: Europa  少年  Water  ♂♀  笑顔  絵画 

    Le charmeur de lézards

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    スイスの彫刻家、ダニエル・ブルカール(Daniel Bourcart/1862-1887)による1885年の作品「Le charmeur de lézards」

    岩の上でフルートを演奏している少年。
    スイスのジュネーブにある「モン・ルポ公園」に設置されているブロンズ像です。

    タイトルはフランス語ですが「トカゲの魅惑」と訳せます。
    少年の斜め下に1匹のトカゲがいるのがお分かりでしょうか?
    トカゲの魅惑というよりは、この子の演奏にトカゲがウットリ聴き入っているようにも見えます。

    作者のダニエル・ブルカールに関しては情報が少なく、検索してもまったくわかりませんでした。
    大きな公園に設置されているくらいですから無名ではないと思いますが、世界的に有名な彫刻家というわけでもないんですね。

    しかも生没年を見ると、なんと25歳で亡くなっています。
    この像は彼の死後、姉のエリーゼ・ブルカールによって街に寄贈され、1903年にこの公園に設置されたそうです。

    裸の少年が吹くフルートは、どんな音色を奏でるのでしょう?
    できることなら聴いてみたいですね。


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    ダニエル・ブルカール作「Le charmeur de lézards」と、それと同じポーズの人間との比較。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  OldPhoto 

    レーネルト&ランドロックの写真作品

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    19世紀生まれのドイツの写真家、ルドルフ・フランツ・レーネルト(Rudolf Franz Lehnert/1878-1948)
    そして同じくドイツの写真家、エルンスト・ハインリッヒ・ランドロック(Ernst Heinrich Landrock/1978-1966)
    このふたりの共同制作による1910年頃の写真作品です。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Lehnert et Landrock - Jeune femme nue au tambourin, Tunisie, vers 1900-1910.jpg

    彼らのことは過去に一度記事にしていますので、経歴などはそちらをご覧ください。(該当記事)

    20世紀の初め、写真学校を卒業したレーネルトとランドロックはふたりで共同し「Lehnert et Landrock」という著作者名で数々の写真作品を発表しました。
    ふたりは1904年から1914年までチュニジアに滞在し、その間はチュニジアの女性をモデルとしたヌード写真を撮影しています。

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    装飾品や小物類に凝り、ポーズも如何にもモデルといった感じで演出されています。
    写真の一部には署名も見えるので、ポストカード等の商品となった可能性もありますね。

    モデルは主に10代〜20代の女性ですが、中にはこのような10歳前後のモデルも見受けられます。
    しかしよく見ると上の4枚とも同じ子ですし、低年齢のモデルはそう多くはなかったようです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Lehnert et Landrock - 033.jpg
    File:Lehnert et Landrock - 040.jpg
    File:Lehnert et Landrock - Jeune fille au mirroir, Afrique du Nord, circa 1910.jpg
    File:Lehnert et Landrock - 061.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


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    lehnert_et_landrock-deux_adolescentes_nues_vers.jpg lehnert_et_landrock-trois_jeunes_filles_fumant_le_narguile_circa.jpg

    この写真も4枚とも同じ少女たちですね。
    レーネルト&ランドロックの作品は、その数の割にはモデルの人数は少ないと言えます。

    当時ヌードモデルは一般的な職業ではなかったので、もしかしたら地元の女性たちに頼んでモデルになってもらっていたのかもしれません。
    当時の日本(明治43年頃)では「写真を撮られると魂を抜かれる」と、撮影されることを嫌う人も多かったそうですが、そういう意味ではチュニジアの女性のほうが新しいものに積極的だったと言えますね。

    チュニジアは北アフリカのマグリブに位置する共和制国家で、人口の98%がアラブ人。
    現在では女性の社会進出が著しく、アラブ世界で最も女性の地位が高い国となっているそうです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Lehnert et Landrock - Les trois grâces, Tunisie, vers 1900-1910.jpg
    File:Lehnert et Landrock - Jeunes filles à la jarre, Tunisie, circa 1910.jpg
    File:Lehnert et Landrock - Deux adolescentes nues, vers 1915.jpg
    File:Lehnert et Landrock - Trois jeunes filles fumant le narguilé, circa 1920.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    タグ: Europa  少女  ♂♀  衣装  OldPhoto  CC-License 

    Tireur d'arc

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    フランスの彫刻家、ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ(Joseph-Antoine Gardet/1861-1891)による1890年の作品「Tireur d'arc」
    タイトルは「弓矢の射手」という意味。

    上に向けているのは鳥を狙っているからでしょうか?
    それとも天に向かって矢を射るという古い物語でもあるのでしょうか?

    そんなに大きな作品ではないと思いますが、ディテールが細かいですね。
    手の先から足の先に至るまで、男性特有の筋肉の凹凸がしっかり表現されており、全体のバランスも見事。

    モデルの体形と作者の造形技術に感嘆できる作品です。
    とくに胸回りや足の筋肉はいかにも健康美といった雰囲気を醸しています。
    真ん中の小さい矢はちょっと頼りなさげですが、これは彫像なので仕方がないですね。


    作者のジョセフ・アントワーヌ・ガルデは1861年にフランスのパリで生まれました。
    弟は動物彫刻家として名高いフランスの彫刻家、ジョルジュ・ガルデであり、父親も同じく彫刻家でした。

    ジョセフはパリの国立美術学校に通い、ジュール・カヴリエやアイメ・ミレーの生徒として学びました。
    彼は1884年に大会で2位を獲得し、1885年には1位のローマ賞を受賞。
    これがきっかけとなり、1889年までイタリアのローマに滞在します。

    彼はフィレンツェのウフィツィ美術館にある古代彫刻「トルソ・デ・ファウノ」のレプリカを作ってパリの美術学校に寄贈するなど、イタリア滞在中にも精力的に活動しました。

    1890年にパリに戻った彼は、フランス芸術家協会に参加してすぐにサロンで作品を発表します。
    それがこの作品「Tireur d'arc」でした。

    彼は翌年の1891年に幼少期のキリストを題材とした「El sueño del Niño Jesús」という作品を発表しますが、同年2月24日、病気により30歳の若さで亡くなりました。


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    ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ作「Tireur d'arc」と、それと同じポーズの人間との比較。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  OldPhoto 

    HIATUS

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    スペインの画家、ディーノ・ヴァルス(Dino Valls/1959- )による2003年の作品「HIATUS」
    HIATUSはハイエイタスと読み、隙間、ひび、割れ目、途切れている部分という意味の英単語。

    最初にサムネイルを見たときは怪我をした少女が担架に乗せられている絵かと思いましたが、よく見ると壁に張り付けられているんですね。
    手足に巻かれた包帯、足の指に付けられた赤い糸、いったい何を表現しているのか理解に苦しむ作品ではあります。

    画像出典
    【Dino Valls】
    https://www.dinovalls.com

    オフィシャルサイトでは彼の多くの作品を鑑賞できます。
    どの作品も独自の雰囲気を持っていますが、全体を通して感じるのは重い束縛感と、ある種の痛み。
    顔や体に針が刺さっていたり、矯正器のようなものを付けていたり、触診していたりと、医療や解剖学を感じさせる絵が多いようです。

    またそのようなテーマでありながら古い宗教画を思わせる構図やアイテムも散見され、見る者に錯視にも似た違和感を感じさせます。
    人によって好き嫌いがハッキリ分かれる作品であることは確かでしょう。

    作者のディーノ・ヴァルスは1959年、スペインのサラゴサ生まれ。
    現在は主にマドリードで活動している、非常に緻密な絵を描く画家です。

    彼は学生時代にサラゴサ大学で医学を専攻し、学位を取得しているそうです。
    なるほど、医学の心得がなければ描けない絵だとは思いましたが、レオナルド・ダ・ヴィンチの如く、人体へのあくなき探究心が根底にあるのですね。

    ただそのアプローチは彼独自のものと言えるかもしれません。
    国際的な美術展にも出展し、これまでにアメリカとヨーロッパで個展をおこなっています。

    タグ: Europa  少女  ♂♀  絵画 

    Drei Mädchen und ein Knabe

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    ドイツの彫刻家、ヴィルフリート・フィツェンライター(Wilfried Fitzenreiter/1932-2008)による1988年の作品「Drei Mädchen und ein Knabe」

    タイトルは日本語に訳すと「3人の少女たちと少年」
    ドイツのミッテ区にあるベルリン大聖堂の斜め向かい、シュプレー川のほとりにさりげなく設置されています。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Drei Mädchen ein Knabe (1).JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    水辺のブロンズ像にしてはあまりサビや汚れが付いていませんが、観光地だけあって手入れが行き届いているのでしょう。
    多くの人がこの像の隣に座ったり、肩に手をかけたりして記念撮影しています。

    少年少女とは言っても、日本でいうと中学生以上でしょうか。
    この歳の男女が川で裸になるかどうかは微妙ですが、風景とマッチした落ち着いた作品であることは確かですね。

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    ご覧のとおり、この像は当初同じミッテ区の「Palast Hotel」の前に設置されていました。
    ホテルは建設時にアスベストを使用していたため、2000年に閉鎖されてその後解体。
    彫像は2007年に現在の場所、シュプレー川のほとりに移動されたというわけです。

    この子たち、元々は互いに背を向けて円形に並んでいたんですね。
    現在の場所のほうが川を眺めて語り合っているようで、観光地の雰囲気には合っているのではないでしょうか。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Bundesarchiv Bild 183-1988-0726-024, Berlin, Brunnen vor dem Palasthotel.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    作者のフィツェンライターは1932年、ドイツの都市ノルトハウゼンの生まれ。
    高校を卒業後、1951年から1952年にかけて採石場で石工技術を学び、1952年から1958年にかけて地元の学校やベルリンの美術大学で彫刻を学びました。

    その後ベルリンでフリーの彫刻家として活動し、晩年は各地で講演などもおこないました。
    彼の作品には彫像の他に、コイン、メダル、ドローイングなどがあります。


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    ヴィルフリート・フィツェンライター作「Drei Mädchen und ein Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。

    塀の上に座って観光客を眺める。
    観光客は塀の上の彼らを眺める。
    人間と彫像が互いにつながり合っている場所と言えるかもしれませんね。

    タグ: Europa  少年  少女  Water  ♂♀  彫像  CC-License  OldPhoto 

    グレーデンとプリュショーの写真作品

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    19世紀のドイツの写真家、ヴィルヘルム・フォン・グレーデン(Wilhelm von Gloeden/1856-1931)と、その従兄弟(いとこ)であるヴィルヘルム・フォン・プリュショー(Wilhelm von Plüschow/1852-1930)の作品をご紹介します。

    このふたりについては過去にそれぞれ記事にしているので、経歴などはそちらをご覧ください。

    「ヴィルヘルム・フォン・グレーデン男爵の写真作品」
    「ヴィルヘルム・フォン・プリュショーの写真作品」

    作風が似ているためしばしば混同されることもあるグレーデンとプリュショー。
    まず初めに質問ですが、上の写真はグレーデンとプリュショー、どちらの作品でしょうか?
    答えはこの記事の最後にて。

    まずはふたりの作風の傾向を見ていきましょう。

    【グレーデンの写真作品】

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    イタリアのシチリア島の都市、タオルミーナで1890年頃に撮影されたこれらの写真には、グレーデンの撮影技術および撮影に対する姿勢が如実に表れています。

    古代ギリシアをモチーフとした作品ですが、モデルをただ配置して撮っただけの簡単なものではなく、小道具を巧みに使ったり、絵画的な構図を取り入れたり、肌の写りを良くするためにモデルに化粧をほどこすなど、その技法やアイデアは現在でも高く評価されています。

    モデルには自然なポーズをさせ、ギリシア彫刻のような品位を保ち、背景との重なり具合や光の向きも計算した上での撮影。
    言うなれば非常に絵画的な作品ということです。

    アメリカやヨーロッパの各地で展覧会を開いたり、イギリスで書籍を出版したのも、芸術作品としての質の高さがあったからこそと言えるでしょう。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Gloeden, Wilhelm von (1856-1931) - n. 0797 - Caputo, p. 22 e Debutdusiècle, p. 71 - Deponirt 23 Oct 1901.jpg
    File:Gloeden, Wilhelm von (1856-1931) - n. 0320 - Getty Museum.jpg
    File:Gloeden, Wilhelm von (1856-1931) - n. 2091 r - Twelwetrees p. 55 - ma con timbro di Galdi, ebay Gentileschi2.jpg
    File:Wilhelm von Gloeden Young male nude against wall 1890s.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    【プリュショーの写真作品】

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    グレーデンの従兄弟(いとこ)であるヴィルヘルム・フォン・プリュショーは、ワインの販売業から転身して写真家となりました。
    突然の転身だったらしいので、グレーデンの活躍に感化されたのかもしれませんね。
    イタリアのナポリに住み、グリエルモ・プリュショーの名で多くの写真作品を発表しています。

    グレーデンのように古代ギリシア風にこだわってはおらず、モデルには女性も多く見受けられます。
    しかし撮影に関しては写真家らしい工夫はあまりなく、モデルの美しさに助けられていたところが大きいように感じます。

    モデルは若干年齢が低いようですが、これが後に貴重な資料となります。
    産婦人科の医師であるカール・ハインリヒ・シュトラッツが1903年に出版した子供の成長に関する医学書では、プリュショーの作品が成長期の体形の資料として使われました。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Stratz - Körper des Kindes 24.jpg
    File:Plüschow, Wilhelm von (1852-1930) - n. 1060 - Napoli - ebay recto.jpg
    File:Stratz - Körper des Kindes 21.jpg
    File:Stratz - Körper des Kindes 09.jpg
    カール・ハインリヒ・シュトラッツ著「Der Körper des Kindes und seine Pflege」より
    ライセンス:パブリックドメイン


    グレーデンの作品もプリュショーの作品も、今では19世紀の貴重な写真として一般公開されています。
    彼らの作品を通して1世紀以上前の人を知り、果ては古代ギリシアにまで思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。


    さて最初の質問の答えですが・・・
    一番上の画像は「ヴィルヘルム・フォン・グレーデン」の作品でした。

    斜めの背景や手前の草木など画面に奥行きを持たせ、右下には倒れた壺を配置するなど、アクセントを与えるものが要所要所にあり、グレーデンらしい絵画的な絵作りが成されています。

    左の少年がパンフルート、真ん中の少年が縦笛を持っているのもギリシア神話からのモチーフですね。
    左奥の壁にはボトルが1本置いてあり、これも面白いアクセントとなっています。(後から描き込んだ絵のようにも見えます)


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Gloeden, Wilhelm von (1856-1931) - n. 0106 - da - Auch ich in Arkadien, p. 186.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    タグ: Europa  少年  少女  ♂♀  衣装  OldPhoto  CC-License 

    彫像と人間

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    今月初めに掲載した「彫像の形・人間の形」と題した記事では、『モノクロ写真という二次元的な視覚情報では、彫像と人間のどちらも明暗による形の表現を鑑賞できる作品になり得る』という話をしました。

    では写真ではなく、実際の「彫像と人間」を比べてみた場合、どんな違いがあるのでしょう?

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    ざっと思い付くのはこんなところです。
    命の有る無しは最も大きな違いですが、彫像が人間を(正確には人間の外観を)模したものである以上、美の優位性は人間にあると言っても良いでしょう。
    その姿が有限であり儚いことも人間の価値をさらに高めています。

    彫像の主な素材といえばブロンズと大理石ですね。
    まずはブロンズ像。

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    イタリアの彫刻家、ベルナルド・バレストリエリ(Bernardo Balestrieri/1884-1965)による1900年初頭の作品「Giovane Acquaiolo」
    18〜19世紀に存在していた水売りという商売。
    その少年を再現したブロンズ像です。

    同じように見える彫像と人間も、実際に触ってみればその違いは明白です。
    感触の違いは素材の違い。


    【ブロンズ像の素材】

    ブロンズとは日本語で「青銅」と言い、銅を主成分としてスズを含ませた合金のことです。
    用途により亜鉛や鉛を含ませることもあります。

    添加するスズの量が多くなるほど黄色味が増し、また大気により徐々に酸化されて緑青(ろくしょう)が生じることで、くすんだ青緑色にも変化します。
    日本語の青銅という言葉はこの色から来たものですが、本来のブロンズの色は新品の十円硬貨とほぼ同じです。

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    ドイツの彫刻家、リチャード・ダニエル・ファブリシウス(Richard Daniel Fabricius/1863-1923)による作品「Young man」
    たとえ錆びにくいブロンズ像であっても水は苦手。
    かたや人間は、水がなくてはその姿を維持することさえできません。


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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millenium」
    街の歩道に設置されている、両手を上げて立つ少年のブロンズ像。


    ブロンズは強度では鉄に劣りますが、加工性に優れており錆びにくいので古くから造形作品の素材として使われてきました。
    ブロンズ像の歴史はかなり古く、現存する世界最古のものは現在エジプト考古学博物館が所蔵している、約4千年前に作られた「エジプト第6王朝ペピ1世の像」だと言われています。


    彫像の素材としてもうひとつお馴染みなのが大理石。

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    フランスの彫刻家、ポール・メリン(Paul Melin/生没年不明)による1895年の作品「Narcisse」
    ギリシア神話に登場する美少年、ナルキッソスが泉のほとりで横たわっているシーンを再現しています。

    彫像では横たわるポーズは少なめですが、人間は毎日横になって眠る必要があります。


    【大理石像の素材】

    大理石は英語ではマーブルと呼ばれています。
    石灰石を源岩とする結晶質石灰岩であり、マグマの熱を受けて接触変成作用で再結晶化した変成岩の一種です。
    その色合いや模様の美しさから、古代より建築物や彫刻作品の素材として使われてきました。

    大理石の主成分は炭酸カルシウムで、塩酸などの強酸と反応して二酸化炭素を放出します。
    そのため塩酸が含まれる洗剤を使うと光沢が無くなったり痩せたりするので注意が必要です。

    george_rennie-cupid_rekindling.jpg george_rennie-cupid_rekindling_like.jpg

    スコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(George Rennie/1802-1860)による1831年の作品「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」
    ギリシア神話の婚姻の神ヒュメンと、そこに寄り添う愛の神クピドの大理石像。
    足を交差させてリラックスしているのは、ヒュメンがそばにいる安心感からでしょうか。


    adolf_von_hildebrand-schlafender_hirtenknabe.jpg adolf_von_hildebrand-schlafender_hirtenknabe_like.jpg

    ドイツの彫刻家、アドルフ・フォン・ヒルデブラント(Adolf von Hildebrand/1847-1921)による1871年の作品「Schlafender Hirtenknabe」
    羊飼いの少年が仕事の合間に腰を下ろして休んでいるシーンです。
    こういうときこそオオカミに狙われないように気をつけなくてはなりません。


    ブロンズ像同様、大理石像にもかなりの歴史があります。
    世界最古は定かではありませんが、ギリシャでは紀元前620年頃のアルテミス神の像や、紀元前590年頃の青年の像が発掘されています。

    石ではなく動物の牙を使ったものでは、2009年にドイツのホーレ・フェルス洞窟の遺跡から発掘された女性の形をした彫像が世界最古と言われており、約3万5000年以上も前のものだそうです。


    【人間の素材】

    human_body_statues.jpg

    それでは、生きた芸術作品ともいえる「人間」はいったい何でできているのでしょう?

    人体を構成する物質は主に約30種類。
    成分の多い順に、酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、フッ素、ケイ素、亜鉛、ストロンチウム、ルビジウム、鉛、マンガン、銅、アルミニウム、カドミウム、スズ、バリウム、水銀、セレン、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、ホウ素、クロム、ヒ素、コバルト、バナジウムなど。
    (出典:ウィキぺディア - 人体 より)

    ではこれらの物質を集めれば人工的に人間を作ることは可能なのかというと、それは技術的に不可能です。
    理由は、親から受け継いでいる微生物を生成できないからとも、細胞分裂を人間の手でおこなうことが困難であるからとも言われています。

    モノクロ写真では同じように見える彫像と人間。
    しかしどんなに優れた彫刻家でも、命を再現することはできません。

    地球という環境が作り上げた人間という生命体は、まさに奇跡の賜物。
    生命の仕組みのみでこの美しい形が出来上がったのか、それとも我々の脳がそれを美しいと感じるように作られているのか、いずれにしても神秘と言わざるを得ません。

    人間に生まれたことを感謝しつつ、自分の体も他人の体もどちらも大切にしていきましょう。

    タグ: Europa  少年  少女  ♂♀  彫像  OldPhoto  眠り 

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:21年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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