
私が所有している本のご紹介です。
1978年から1982年まで、河出書房新社より「イメージの冒険」という書籍が刊行されていました。
全7巻のシリーズで、それぞれイメージを掻き立てられるテーマを設け、多方面からわかりやすく解説している本でした。
○ イメージの冒険 - 1 「地図」 不思議な夢の旅
○ イメージの冒険 - 2 「絵本」 不思議の国一覧
○ イメージの冒険 - 3 「文字」 文字の謎と魅力
○ イメージの冒険 - 4 「少女」 謎とエロスの妖精
○ イメージの冒険 - 5 「神話」 始原の夢と戦慄
○ イメージの冒険 - 6 「イラストレーション」 線と色彩がうみだす、もうひとつの宇宙
○ イメージの冒険 - 7 「写真」 光をとらえる驚異
当時の私はこの中から7巻の「写真」を買いました。
定価は1,800円と決して安くはありませんが、様々な写真家の作品が掲載されていてとても為になったことを覚えています。
篠山紀信、高梨豊、沢渡朔、浅井慎平らのインタビュー、写真術の誕生と歴史、現在の様々な写真技術、そして未来のデジタル製版についての考察など、じつに盛りだくさんな内容でした。
未来の技術としてデジタル製版が紹介されているのに、この本にはデジタルカメラについての記述が全くありません。
この頃は写真といえばフィルムカメラだったので、デジカメは想像もつかなかったのでしょう。
しかしこの13年後にはCASIOから民生用のデジタルカメラQV-10が発売され、本格的にデジカメ時代が始まります。
今では写真といえばデジタルが当たり前ですから、つくづくこの分野の変化の速さを感じますね。

左は目次ページの一部で、右は沢渡朔氏のインタビュー記事。
沢渡氏といえば1973年の写真集「少女アリス」の作者として有名ですが、当ブログでも過去に一度とりあげています。
(該当記事)私も子供の頃に購入しましたが、こうして技術的な裏話などを知るとさらに感慨深いですね。

「イメージの冒険 - 7」には、ルイス・キャロル(Lewis Carroll/1832-1898)について書かれた記事もありました。
左の画像がそのページで、右はキャロルが1879年に撮影した写真。
ルイス・キャロルについては私も過去に記事にしていますので、そちらも併せてご覧ください。
(該当記事)画像出典:ウィキメディア・コモンズ
File:Hatch, Evelyn (Lewis Carroll, 29.07.1879).jpgライセンス:パブリックドメイン
この記事、誰が書いているのかと見てみれば、なんとあの日本が誇る劇作家、寺山修司氏ではないですか。
しかも掲載されたのは寺山氏が亡くなるわずか半年前。
キャロルの内面をえぐるように考察している寺山氏の文章は、写真を解説したこの本の中ではちょっと異質ですが、写真というものは技術的・歴史的な話にとどまらず、他のアートと同じく人間の精神の話にまで行き着くものなんでしょうね。
「写真」の奥深さを感じることのできる一冊でした。
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