Bogenschießender Knabe

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    ドイツの画家兼彫刻家、フリッツ・ベスト(Fritz Best/1894-1980)による1933年の彫刻作品「Bogenschießender Knabe」

    地面に膝をついて弓を構えている少年を象った、高さ約30cmのブロンズ像です。
    斜め上を向いているということは、木の上の鳥を狙っているのでしょうか?
    矢が見当たらないので、放った瞬間かもしれませんね。

    芸術作品には少年と弓矢を組み合わせたものが少なくありません。
    写真では百数十年前から、彫刻に至っては紀元前の作品にもそのモチーフが見受けられます。

    神話が元であるのは言わずもがなですが、もともと狩猟の道具であった弓矢は構えた時の力強さ、矢の形が男性器に似ているなど、男らしさの象徴としては最適なのでしょう。

    この像はレプリカですが、オリジナルを忠実に再現していると思われます。
    神話の登場人物でもなく、たくましい戦士でもありませんが、放った矢の行き先をシッカリと見据えている様子は未来への希望を暗示させます。

    この像の作者、フリッツ・ベストはドイツのクロンベルク生まれの画家であり、彫刻家でもある人物。
    小さな農家の末っ子として生まれた彼は、少年期に彫刻家の見習いを3年間続け、その後応用芸術学校のカール・モール教授のもとで芸術を学びました。

    1921年からフランクフルトで修士課程の学生として技術を磨いた彼は、1930年に生まれ故郷のクロンベルクに戻り、自宅とスタジオを建てました。
    彼はこの家に亡くなるまで住んでいましたが、現在この家は「フリッツベスト美術館」という名の美術館になっています。

    彼は生前、この自宅を美術館にすることを条件に、家と土地、そして自身の作品をクロンベルク市に寄贈しました。
    フリッツベスト美術館では、人間や動物、花などをテーマとした彼の作品が多数展示されています。

    クロンベルク市は彼の功績を称え、1995年に旧市街の一角に彼の胸像を設置しました。


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    フリッツ・ベスト作「Bogenschießender Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    彫刻家のリアリズム

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    彫刻作品は必ずしも写実的とは限りませんが、人間の形を忠実に再現していれば、それは人間を学習するための資料にもなり得ます。

    人形(ひとがた)の制作においてリアルさを追求するならば「型取り」が最良の方法でしょう。
    実際の人間から型を取り、それに素材を流し込んで作る方法です。

    しかしこれは彫刻とは言えませんね。(作品作りの一環としておこなう彫刻家や芸術家はいます)
    やはり彫刻は盛ったり掘ったり削ったり、作者の審美眼と造形技術の賜物であってほしいと思うのです。

    余談ですが、人体彫像が実際の人間よりも小さかったり大きかったりするのは「これは型取りではないよ」という意思表示もあるのでしょうか?

    まぁそれはそうと、リアルな人体彫像を作る彫刻家は数多くいますが、中でも私がとくに好きなのが、ヴィム・ファン・デル・カント(Wim van der Kant/1949- )というオランダの彫刻家。

    【Wim van der Kant】
    https://www.wimvanderkant.nl


    顔がリアル、体がリアルというだけならば、そのような彫像は昔からありました。
    数千年前に作られたギリシア彫刻でさえ、その躍動感ある筋肉の造形には驚かされます。

    しかし、どこかリアルではない箇所があるのも否めません。
    それが作者の意図であれ、依頼主の注文であれ、当時の風潮であれ、モデルの形を100%は再現していないことは確かです。

    その点カント氏の作品はリアルさにおいて、ある種の凄みさえ感じるほど。
    ほとんどが少年像で、大きさは50〜80cmほどと小さいのですが、形には全く不自然さが無く、写真で見るとまるで本物の人間に思えるほどです。

    このリアルさは人間と見比べてみるとよくわかるでしょう。
    カント氏の作品と実際の人間の写真を並べてみたのでご覧ください。
    (人物は同じようなポーズをしていますが彫像のモデルではありません。古いナチュリストの記録写真から似たポーズを選びました)

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    作者のヴィム・ファン・デル・カントは1949年生まれのオランダの彫刻家。
    ユトレヒト州アメルスフォールト市の視覚芸術アカデミーで彫刻を学び、1980年代後半から数々の魅力的な作品を生み出してきました。

    1990年代以降は「ギャラリーユトレヒト」を始めとして、アムステルダム、ロスマーレン、ハーグ、ベルギーのヘントなど、多くの美術館や展覧会で作品展示をおこなっています。

    彼の心がリアリズム彫刻へと揺れ動いたその原点、それはある日曜日、故郷の野外展覧会で見たロダンの作品でした。

    彫像「考える人」で有名なフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin/1840-1917)の1877年の作品「L'Âge d'airain」を見たカント氏は、これこそが自分の求めるテーマだと確信したそうです。


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    左の画像が、カント氏が影響を受けたとされるロダン作の彫像「L'Âge d'airain」
    この写真は日本の兵庫県朝来市にある「但陽信用金庫会館」の本館に設置されている像を撮影したものです。

    そして右の画像はこの作品のモデルとなった22歳の男性。
    撮影は写真家のガウデンツィオ・マルコーニ(Gaudenzio Marconi/1841-1885)によるものです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tanyo Shinkin bank Hall03bs1800.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    File:Marconi, Gaudenzio (1841-1885) - 1877 - Auguste Neyt, modello 22enne di L'age d'arain.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    若きカント氏をリアリズムへと導いたロダンの彫刻作品。
    その素晴らしい造形は初めにモデルありきと言っても過言ではないでしょう。

    カント氏も自分の作品にモデルがいることは公言していますが、モデルの素性は一切明らかにしていません。
    でもその姿勢が素晴らしいですね。彼は写真家ではなく彫刻家なのですから。

    カント氏の作品は大きさこそ実物大ではありませんが、誇張も省略もしないそのリアルさはモデルへの敬意を感じさせます。

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    (造形比較のため似たポーズの写真を並べています)

    19世紀の彫刻家、オーギュスト・ロダンは22歳の男性をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。
    現代の彫刻家、ヴィム・ファン・デル・カントは12歳くらいの少年をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。

    我々がそこから感じることは、そして学ぶべきことは、物体としてのリアルさはもとより、彫刻家とモデルの人生が交わったときにこそ美を後世に伝える作品が生まれるのだという、その歴史のリアルさではないでしょうか。


    Copyright : Win van de Kant

    人体画像出典:
    Jeunes et Naturels (Copyright : Peenhill Ltd. Publishers)
    Sonnenfreunde (Copyright : Hanseatic Buch & Presse-Erzeugnisse)
    ウィキメディア・コモンズ
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    Millennium

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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millennium」

    ロシア北西部の都市サンクトペテルブルクにあるベリンスキーとモホヴォイ(方面?)の交差点付近に設置してある、高さ約180cmのブロンズ像です。

    頭上で腕を組み、誰かを待っているような仕草で大通りを眺めている少年。

    像が作られたのは1989年ですが、この場所に設置されたのは1999年です。
    ミレニアムというタイトルのとおり、西暦2000年を記念して設置されました。

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    作者の制作意図は定かではありませんが、この場所に設置されたのには何か意味があるのでしょう。
    遠くを見ているのは未来への展望、背伸びは飛躍を意味し、膝を軽く曲げたポーズは躍動を表している・・・のかもしれません。

    作者のエフゲニー・ロタノフは1940年にロシアのウラル地方で生まれました。
    1959年から1965年までレニングラード高等芸術大学で芸術を学び、才能ある教師たちによって彼もまた頭角を現します。
    1968年に牧師学校を卒業してからは数多くの彫刻作品を作り上げました。

    彼は1980年から1988年にかけてサンクトペテルブルクの芸術家協会のメンバーであり、クリエイティブ部門の委員長でもありました。
    1999年にはアフガニスタンで死亡した兵士の記念碑のモニュメントプロジェクトにも参加しています。

    多数の展覧会を開き、彫刻に関する国際シンポジウムにも参加するなど、人生を彫刻に捧げたロシアの名誉ある彫刻家のひとり。
    現在彼の作品はモスクワのトレチャコフ美術館など、ロシアの多くの美術館にて展示されています。


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    エフゲニー・ロタノフ作「Millennium」と、それと同じポーズの人間との比較。
    (人体画像出典:Sonnenfreunde)
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    Boy with a Snail

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    ハンガリーの彫刻家、イストヴァン・セントジェルジ(Istvan Szentgyörgyi/1881-1938)による作品「Boy with a Snail」
    制作年は不明です。
    この画像だと大理石像に見えますが、高さ約73cmのブロンズ像です。

    少年が手に持っているのはスネール、つまりカタツムリ。
    男の子の好奇心と小さな命の大切さが表現された作品です。

    私も子供の頃は、雨上がりに外に出てカタツムリを探したものです。
    現代はカタツムリに触れたことがない子も多いようですが、摘みやすい丸い殻、伸び縮みするユーモラスな動き、ヌルヌルした感触など、小さな子供の好奇心をくすぐる生き物であることは確かです。

    しかし今では寄生虫などの危険性が叫ばれているので、できれば触れないほうが良いでしょう。

    作者のイストヴァン・セントジェルジは新古典主義を実証したハンガリーの彫刻家。
    彼の作品の多くは「ハンガリー国立美術館」が所蔵しています。

    1881年生まれの彼は応用芸術学校で彫刻を学んだ後、1905年から1910年までベルギーのブリュッセルアカデミーにて彫刻家のチャールズ・ファン・デル・シュタッペンの生徒として学びました。
    その後多くの彫像を発表し、墓地や噴水等も手掛け、1925年にはアートスクールの教師となりました。

    この彫像は制作年が不明でモデルについても定かではありませんが、彼の作品には自分の子供をテーマとしたものがあるので、この子も息子さんかもしれません。
    きっとカタツムリが好きな子だったのでしょうね。


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    イストヴァン・セントジェルジ作「Boy with a Snail」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Le charmeur de lézards

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    スイスの彫刻家、ダニエル・ブルカール(Daniel Bourcart/1862-1887)による1885年の作品「Le charmeur de lézards」

    岩の上でフルートを演奏している少年。
    スイスのジュネーブにある「モン・ルポ公園」に設置されているブロンズ像です。

    タイトルはフランス語ですが「トカゲの魅惑」と訳せます。
    少年の斜め下に1匹のトカゲがいるのがお分かりでしょうか?
    トカゲの魅惑というよりは、この子の演奏にトカゲがウットリ聴き入っているようにも見えます。

    作者のダニエル・ブルカールに関しては情報が少なく、検索してもまったくわかりませんでした。
    大きな公園に設置されているくらいですから無名ではないと思いますが、世界的に有名な彫刻家というわけでもないんですね。

    しかも生没年を見ると、なんと25歳で亡くなっています。
    この像は彼の死後、姉のエリーゼ・ブルカールによって街に寄贈され、1903年にこの公園に設置されたそうです。

    裸の少年が吹くフルートは、どんな音色を奏でるのでしょう?
    できることなら聴いてみたいですね。


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    ダニエル・ブルカール作「Le charmeur de lézards」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Tireur d'arc

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    フランスの彫刻家、ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ(Joseph-Antoine Gardet/1861-1891)による1890年の作品「Tireur d'arc」
    タイトルは「弓矢の射手」という意味。

    上に向けているのは鳥を狙っているからでしょうか?
    それとも天に向かって矢を射るという古い物語でもあるのでしょうか?

    そんなに大きな作品ではないと思いますが、ディテールが細かいですね。
    手の先から足の先に至るまで、男性特有の筋肉の凹凸がしっかり表現されており、全体のバランスも見事。

    モデルの体形と作者の造形技術に感嘆できる作品です。
    とくに胸回りや足の筋肉はいかにも健康美といった雰囲気を醸しています。
    真ん中の小さい矢はちょっと頼りなさげですが、これは彫像なので仕方がないですね。


    作者のジョセフ・アントワーヌ・ガルデは1861年にフランスのパリで生まれました。
    弟は動物彫刻家として名高いフランスの彫刻家、ジョルジュ・ガルデであり、父親も同じく彫刻家でした。

    ジョセフはパリの国立美術学校に通い、ジュール・カヴリエやアイメ・ミレーの生徒として学びました。
    彼は1884年に大会で2位を獲得し、1885年には1位のローマ賞を受賞。
    これがきっかけとなり、1889年までイタリアのローマに滞在します。

    彼はフィレンツェのウフィツィ美術館にある古代彫刻「トルソ・デ・ファウノ」のレプリカを作ってパリの美術学校に寄贈するなど、イタリア滞在中にも精力的に活動しました。

    1890年にパリに戻った彼は、フランス芸術家協会に参加してすぐにサロンで作品を発表します。
    それがこの作品「Tireur d'arc」でした。

    彼は翌年の1891年に幼少期のキリストを題材とした「El sueño del Niño Jesús」という作品を発表しますが、同年2月24日、病気により30歳の若さで亡くなりました。


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    ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ作「Tireur d'arc」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Drei Mädchen und ein Knabe

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    ドイツの彫刻家、ヴィルフリート・フィツェンライター(Wilfried Fitzenreiter/1932-2008)による1988年の作品「Drei Mädchen und ein Knabe」

    タイトルは日本語に訳すと「3人の少女たちと少年」
    ドイツのミッテ区にあるベルリン大聖堂の斜め向かい、シュプレー川のほとりにさりげなく設置されています。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Drei Mädchen ein Knabe (1).JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    水辺のブロンズ像にしてはあまりサビや汚れが付いていませんが、観光地だけあって手入れが行き届いているのでしょう。
    多くの人がこの像の隣に座ったり、肩に手をかけたりして記念撮影しています。

    少年少女とは言っても、日本でいうと中学生以上でしょうか。
    この歳の男女が川で裸になるかどうかは微妙ですが、風景とマッチした落ち着いた作品であることは確かですね。

    wilfried_fitzenreiter_palasthotel.jpg

    ご覧のとおり、この像は当初同じミッテ区の「Palast Hotel」の前に設置されていました。
    ホテルは建設時にアスベストを使用していたため、2000年に閉鎖されてその後解体。
    彫像は2007年に現在の場所、シュプレー川のほとりに移動されたというわけです。

    この子たち、元々は互いに背を向けて円形に並んでいたんですね。
    現在の場所のほうが川を眺めて語り合っているようで、観光地の雰囲気には合っているのではないでしょうか。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Bundesarchiv Bild 183-1988-0726-024, Berlin, Brunnen vor dem Palasthotel.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    作者のフィツェンライターは1932年、ドイツの都市ノルトハウゼンの生まれ。
    高校を卒業後、1951年から1952年にかけて採石場で石工技術を学び、1952年から1958年にかけて地元の学校やベルリンの美術大学で彫刻を学びました。

    その後ベルリンでフリーの彫刻家として活動し、晩年は各地で講演などもおこないました。
    彼の作品には彫像の他に、コイン、メダル、ドローイングなどがあります。


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    ヴィルフリート・フィツェンライター作「Drei Mädchen und ein Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。

    塀の上に座って観光客を眺める。
    観光客は塀の上の彼らを眺める。
    人間と彫像が互いにつながり合っている場所と言えるかもしれませんね。
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    彫像と人間

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    今月初めに掲載した「彫像の形・人間の形」と題した記事では、『モノクロ写真という二次元的な視覚情報では、彫像と人間のどちらも明暗による形の表現を鑑賞できる作品になり得る』という話をしました。

    では写真ではなく、実際の「彫像と人間」を比べてみた場合、どんな違いがあるのでしょう?

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    ざっと思い付くのはこんなところです。
    命の有る無しは最も大きな違いですが、彫像が人間を(正確には人間の外観を)模したものである以上、美の優位性は人間にあると言っても良いでしょう。
    その姿が有限であり儚いことも人間の価値をさらに高めています。

    彫像の主な素材といえばブロンズと大理石ですね。
    まずはブロンズ像。

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    イタリアの彫刻家、ベルナルド・バレストリエリ(Bernardo Balestrieri/1884-1965)による1900年初頭の作品「Giovane Acquaiolo」
    18〜19世紀に存在していた水売りという商売。
    その少年を再現したブロンズ像です。

    同じように見える彫像と人間も、実際に触ってみればその違いは明白です。
    感触の違いは素材の違い。


    【ブロンズ像の素材】

    ブロンズとは日本語で「青銅」と言い、銅を主成分としてスズを含ませた合金のことです。
    用途により亜鉛や鉛を含ませることもあります。

    添加するスズの量が多くなるほど黄色味が増し、また大気により徐々に酸化されて緑青(ろくしょう)が生じることで、くすんだ青緑色にも変化します。
    日本語の青銅という言葉はこの色から来たものですが、本来のブロンズの色は新品の十円硬貨とほぼ同じです。

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    ドイツの彫刻家、リチャード・ダニエル・ファブリシウス(Richard Daniel Fabricius/1863-1923)による作品「Young man」
    たとえ錆びにくいブロンズ像であっても水は苦手。
    かたや人間は、水がなくてはその姿を維持することさえできません。


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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millenium」
    街の歩道に設置されている、両手を上げて立つ少年のブロンズ像。


    ブロンズは強度では鉄に劣りますが、加工性に優れており錆びにくいので古くから造形作品の素材として使われてきました。
    ブロンズ像の歴史はかなり古く、現存する世界最古のものは現在エジプト考古学博物館が所蔵している、約4千年前に作られた「エジプト第6王朝ペピ1世の像」だと言われています。


    彫像の素材としてもうひとつお馴染みなのが大理石。

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    フランスの彫刻家、ポール・メリン(Paul Melin/生没年不明)による1895年の作品「Narcisse」
    ギリシア神話に登場する美少年、ナルキッソスが泉のほとりで横たわっているシーンを再現しています。

    彫像では横たわるポーズは少なめですが、人間は毎日横になって眠る必要があります。


    【大理石像の素材】

    大理石は英語ではマーブルと呼ばれています。
    石灰石を源岩とする結晶質石灰岩であり、マグマの熱を受けて接触変成作用で再結晶化した変成岩の一種です。
    その色合いや模様の美しさから、古代より建築物や彫刻作品の素材として使われてきました。

    大理石の主成分は炭酸カルシウムで、塩酸などの強酸と反応して二酸化炭素を放出します。
    そのため塩酸が含まれる洗剤を使うと光沢が無くなったり痩せたりするので注意が必要です。

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    スコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(George Rennie/1802-1860)による1831年の作品「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」
    ギリシア神話の婚姻の神ヒュメンと、そこに寄り添う愛の神クピドの大理石像。
    足を交差させてリラックスしているのは、ヒュメンがそばにいる安心感からでしょうか。


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    ドイツの彫刻家、アドルフ・フォン・ヒルデブラント(Adolf von Hildebrand/1847-1921)による1871年の作品「Schlafender Hirtenknabe」
    羊飼いの少年が仕事の合間に腰を下ろして休んでいるシーンです。
    こういうときこそオオカミに狙われないように気をつけなくてはなりません。


    ブロンズ像同様、大理石像にもかなりの歴史があります。
    世界最古は定かではありませんが、ギリシャでは紀元前620年頃のアルテミス神の像や、紀元前590年頃の青年の像が発掘されています。

    石ではなく動物の牙を使ったものでは、2009年にドイツのホーレ・フェルス洞窟の遺跡から発掘された女性の形をした彫像が世界最古と言われており、約3万5千年以上も前のものだそうです。


    【人間の素材】

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    それでは、生きた芸術作品ともいえる「人間」はいったい何でできているのでしょう?

    人体を構成する物質は主に約30種類。
    成分の多い順に、酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、フッ素、ケイ素、亜鉛、ストロンチウム、ルビジウム、鉛、マンガン、銅、アルミニウム、カドミウム、スズ、バリウム、水銀、セレン、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、ホウ素、クロム、ヒ素、コバルト、バナジウムなど。
    (出典:ウィキぺディア - 人体 より)

    ではこれらの物質を集めれば人工的に人間を作ることは可能なのかというと、それは技術的に不可能です。
    理由は、親から受け継いでいる微生物を生成できないからとも、細胞分裂を人間の手でおこなうことが困難であるからとも言われています。

    モノクロ写真では同じように見える彫像と人間。
    しかしどんなに優れた彫刻家でも、命を再現することはできません。

    地球という環境が作り上げた人間という生命体は、まさに奇跡の賜物。
    生命の仕組みのみでこの美しい形が出来上がったのか、それとも我々の脳がそれを美しいと感じるように作られているのか、いずれにしても神秘と言わざるを得ません。

    人間に生まれたことを感謝しつつ、自分の体も他人の体もどちらも大切にしましょう。
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    ダビデという名の勇敢な少年

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    美術に興味がない人でも「ダビデ」または「ダビデ像」という言葉は聞いたことがあると思います。
    世界的に有名な男性彫像のひとつですが、おそらくダビデと聞いてほとんどの人が思い浮かべるのはこの「ミケランジェロのダビデ像」でしょう。

    File:'David' by Michelangelo Fir JBU002.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    イタリアの彫刻家、ミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni/1475-1564)が1501年に制作した、高さが5メートル以上もある巨大な大理石像。
    イタリアのアカデミア美術館に収蔵されています。

    下から見上げたときに美しく見えるよう上半身が大きめに作られていたり、リラックスした姿勢でありながら表情の険しさが緊張感を漂わせるなど数々の特徴を備えており、数あるダビデ像の中でも最高傑作と言われています。

    数ある・・・そう、ダビデ像は一種類ではありません。
    これまでに様々な彫刻家が様々なダビデ像を制作してきました。

    david_donatello.jpg

    これはイタリアの彫刻家、ドナテッロ(Donatello/1386-1466)が1440年頃に制作したダビデ像。
    イタリアのフィレンツェにあるバルジェロ美術館が所蔵しています。

    ミケランジェロのダビデが青年であるのに対し、こちらは少年。
    洒落た帽子をかぶり誇らしげなポーズをとり、討ち取った敵の兵士ゴリアテの頭を踏みつけています。

    File:David Donatello 01.JPG
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    これはフランスの彫刻家、ジョン・エティエンヌ・シャポニエール(John-Étienne Chaponnière/1801-1835)が1834年に制作したダビデ像。
    フランスのジュネーブの公園に設置されています。

    巨大なゴリアテの頭を踏みつけ、神に感謝するかのように天を仰ぐ若きダビデ。


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    これはイタリアの彫刻家、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(Andrea del Verrocchio/1435-1488)が1470年頃に制作したダビデ象。
    ヴェロッキオはあのレオナルド・ダ・ヴィンチの師です。

    非常に軽微な衣を身につけ、何故か乳首のところが花のようになっています。
    この像も足元にゴリアテの首がありますね。

    File:Museo pushkin, calchi, verrocchio, david 01.JPG
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    ここまで読んで「そもそもダビデって誰?」「ゴリアテって誰?」と思った人もいるでしょうから、簡単に説明します。

    紀元前1000年頃、今から3千年ほど前の話。
    羊飼いから身を起こして初代イスラエルの王サウルに仕え、サウルの死後ユダで王位に就くとペリシテ軍を撃破して全イスラエルの王となった、40年ものあいだ王として君臨した人物がダビデ(David)。

    かたや「ゴリアテ」(Goliath)とは、サウル王治下のイスラエルと敵対していたペリシテ軍の巨人兵士の名前。
    身長は約2.9メートルと記されており、身にまとう鎧は約57キログラム、手にする槍は先の部分だけで約7キログラムあったそうです。

    ダビデがまだ羊飼いの少年だった頃、イスラエル人とペリシテ人は戦争状態にありました。
    ペリシテ軍最強の巨人兵士であるゴリアテは、しばしばイスラエル軍の前に現れては挑発を繰り返していました。

    『おまえらの勇者と1対1で決着をつけようではないか。もしそっちが勝てばペリシテはおまえらの奴隷となってやる。ただし俺様が勝てばおまえたちはペリシテの奴隷だ!』
    と朝夕の2回、40日間にわたってイスラエル兵たちを脅し続けました。
    イスラエルの兵士たちはゴリアテに恐れをなし、戦いを挑もうとするものは一人もいませんでした。

    ある日ダビデは、イスラエル軍に従軍していた兄たちに食料を届けるために戦陣を訪れました。
    ダビデはこのゴリアテの挑発を聞いて大いに怒り、イスラエル軍を率いていたサウル王にゴリアテ退治を申し出ます。

    サウル王は初めは難色を示しましたが、他に手段がなかったためダビデの出陣を許可しました。
    ダビデはサウル王から授けられた鎧と剣を一度は身にまといますが「慣れていないので歩くこともできない」とそれらを脱ぎ捨て裸になり、羊飼いの道具である杖と、布でできた投石器と、川で拾った滑らかな5個の石という軽装でゴリアテに挑んだのでした。

    突進してくるゴリアテと待ち構えるダビデ。
    ダビデが勢いよく放った石は見事にゴリアテの額に命中し、ゴリアテはうつぶせに倒れました。
    ダビデは剣を持っていなかったので、倒れたゴリアテに駆け寄って剣を奪い、その剣でゴリアテの首を一刀両断!

    ペリシテ軍はゴリアテの予想外の敗退により総崩れとなり、イスラエル軍はダビデの勝利に歓喜の声をあげました。
    この戦いによりダビデの名声は広まり、サウル王の側近として仕えるようになったのです。

    ダビデ像と呼ばれている彫像のほとんどは、このゴリアテ退治のシーンを表現したものです。
    ではその他の彫像も見てみましょう。

    david_et_goliath-mercie.jpg

    これはフランスの彫刻家、アントナン・メルシエ(Antonin Mercié/1845-1916)が1873年に制作したダビデ像。
    フランスのトロワ近代美術館で展示されています。

    切り落としたゴリアテの顔を無慈悲に踏みつけ、剣を鞘に収めようとしているスタイルの良いダビデ。

    File:David et Goliath-Mercié.JPG
    ライセンス:パブリックドメイン


    opernhaus_zurich_-_utoquai.jpg

    これはスウェーデンの彫刻家、イヴァール・ヴィクトール・ジョンソン(Ivar Viktor Johnsson/1885-1970)が制作したダビデ像。
    スイスのチューリヒにあるオペラハウスの庭に設置されているブロンズ像です。

    こちらのダビデは片膝をついて踏みつけています。

    File:Opernhaus Zürich - Utoquai 2010-09-13 19-00-16.JPG
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    hugo_kaufmann-david.jpg

    これはドイツの彫刻家、ヒューゴ・カウフマン(Hugo Kaufmann/1868-1919)が制作したダビデ像。
    このダビデは討ち取ったゴリアテの頭を持ちながらも、どこか悲しげな佇まいで遠くを見つめています。
    勝利した安堵感か、己の行く末を憂いてのことなのか・・・。


    多くのダビデ像が戦闘後の様子を表しているのに対し、一番上のミケランジェロのダビデ像だけは戦闘前の様子を表しています。
    右手に石を持ち、投石用の布を肩にかけたミケランジェロのダビデ像は、今まさに巨人兵ゴリアテに戦いを臨まんとする緊張感までもが見事に再現されており、物語のイメージとしては最も正確なのかもしれません。

    しかし気になるのは当時のダビデの年齢です。
    旧約聖書の記述によると、ダビデは父エッサイの第八子、つまり8番目の子供。
    イスラエル軍に従軍していた兄たちに食料を届けるために戦陣を訪れたということは、当時のダビデは従軍できる年齢ではなかったということです。

    また、ミケランジェロのダビデ像以外はほとんどが無毛なので、そうなると12歳くらいだったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
    ミケランジェロのダビデ像はどう見ても青年の姿であり、少年には見えませんね。

    数あるダビデ像の中ではドナテッロのダビデが最も実際の姿に近いような気がしますが、それよりももっとイメージに合う画像がありました。

    unknown_realdavid.jpg

    これは某写真家による写真作品。
    残念ながら詳細は不明ですが、タイトルを付けるとしたら間違いなくDAVID(ダビデ)となる作品だと思います。

    石を握りしめ、片足に体重をかけ、真剣な表情で横を見つめる姿はまさに臨戦態勢のダビデ。
    ミケランジェロのダビデ像と同じ雰囲気を漂わせています。
    年齢的に見ると、当時のダビデにより近いのはこちらのほうかもしれません。

    また、ダビデ少年はイスラエル民の証である「割礼」を受けていたとされているので、そういう意味でもこちらのほうが似ていると言えますね。(ミケランジェロのダビデ像には割礼の痕がない)

    巨人ゴリアテもまさかこのような少年に殺されるとは思ってもみなかったでしょう。
    油断大敵、小よく大を制す、驕れる者は久しからず。
    現代も教訓となる故事のひとつです。
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    彫像の形・人間の形

    humanbody_back.jpg

    人間の美しさに気付いたなら、それを深く知るには多くの人体絵画を鑑賞すると良い。
    人間の形に神秘を感じたなら、それを深く知るには多くの人体彫刻を鑑賞すると良い。
    人に優しくありたいなら、人間の真の姿(生まれたままの姿)を鑑賞すると良い。

    とは言っても、現実的には人間の裸を鑑賞できる機会はとても少ないですね。
    アメリカやヨーロッパには全裸になっても良いイベントがありますが、どちらかというと裸になる側の活動であって鑑賞の場ではありません。
    そのため多くの人は古くから、裸を撮影した「写真」を鑑賞してきました。

    写真は何を撮影したものであれ、平面状の点の集まりで構成されています。
    そのせいか彫像の写真と人体の写真の両方を眺めていると、どちらも同じ感覚で鑑賞できるものがあることに気付かされます。

    上の画像はフリー写真素材サイト「Pixabay」にあった人間の写真(パブリックドメイン)ですが、まるで大理石の彫像のように見えませんか?
    色情報のないモノクロ写真では、人は彫像のように写り、彫像は人のように写るというわけです。

    しかも双方が同じポーズであれば、尚のことその差は小さくなります。
    彫像と人間の同じポーズの写真を並べて比較することで、彫像の緻密さや再現性、人の形の芸術性などを実感できるはずです。

    人体画像(ナチュリスト画像)の出典は不明ですが、形のみを比較できるようすべてモノクロで統一しました。


    vladimir_tishin-boy_brut.jpg vladimir_tishin-boy_brut_like.jpg

    ロシアの彫刻家、ウラジミール・ティシン(Vladimir Tishin/1963- )による2001年の作品「Boy Brut」

    これは粘土の原型を撮影したものだと思います。
    右手を腰に当て、左手にナイフを持った勇壮な立像ですが、うつむいて地面を見つめる仕草には憂いの気持ちも表れています。
    胸部の凹凸や足の筋肉の表現が見事ですね。


    august_kattentidt-junge_schwimmer.jpg august_kattentidt-junge_schwimmer_like.jpg

    ドイツの彫刻家、オーギュスト・カッテントット(August Kattentidt/生年不明-1956)による作品「Junge Schwimmer」

    タイトルは「スイマーの少年」という意味で、水に飛び込もうとしているところ。
    両腕を広げている姿は水鳥のようでもあり、動物愛護的な感情さえ湧き立たせる作品です。
    少年らしい活発さと可愛らしさが上手く表現されています。


    benito-nino_flautista.jpg benito-nino_flautista_like.jpg

    スペインの彫刻家、ベニート(Benito/生年不明)による2003年の作品「Nino Flautista」

    フルートを吹く少年の像。
    直立して手元を見ながら演奏する姿は、本番に向けての練習であることを物語っています。
    ポーズはシンプルながら、少年の真剣さが伝わってくる作品です。


    wim_van_der_kant-david.jpg wim_van_der_kant-david_like.jpg

    オランダの彫刻家、ヴィム・ファン・デル・カント(Wim van der Kant/1949- )による作品「David」

    旧約聖書にも登場する、紀元前1000年頃に君臨した古代イスラエルの王、ダビデ。
    巨人兵ゴリアテに石を投げつける若いダビデを表現した作品です。
    斜め上を見上げるこの姿から、ゴリアテの巨大さがわかりますね。


    harry_keast-the_boy_st_john.jpg harry_keast-the_boy_st_john_like.jpg

    イギリスの彫刻家、ハリー・キースト(Harry Keast/生没年不明)による1909年の作品「The Boy St. John」

    新約聖書に登場するイエスの使徒のひとりである聖人ヨハネ。
    この彫像はヨハネの少年期の姿です。
    左手に十字架を持ち、右手を高く上げて民衆に応える、その表情は自信に満ち溢れています。


    jacopo_sansovino-bacchus.jpg jacopo_sansovino-bacchus_like.jpg

    イタリアの彫刻家、ヤコポ・サンソヴィーノ(Jacopo Sansovino/1486-1570)による1512年の作品「Bacchus」

    盃を高々と掲げ、宴に興じるローマ神話のワインの神様、バックス(バッカス)。
    背中から腰にかけての力強い造形は、思わず見惚れてしまうほどの美しさ。
    どうせ掲げるならお酒よりも花束のほうが絵になるでしょう。


    capitoline_antinous_replica.jpg capitoline_antinous_replica_like.jpg

    18世紀にイタリアで発掘された、アンティノウスという人物の彫像。

    この像はレプリカですが、発掘されたオリジナルは2世紀頃に作られたと見られており、ナポリ国立考古学博物館が所蔵しています。
    アンティノウスはローマ皇帝ハドリアヌスのお気に入りだったと言われている少年。
    たしかに均整のとれた美しい姿ですね。


    上記の文章はすべて左側の彫像に関する説明ですが、右の人物写真の説明だとしても違和感がないのがお分かりいただけるでしょうか。
    写真という二次元的な表現によって、彫刻家の造形技術の素晴らしさと、命の器とも言える人体の造形美をともに実感することができます。

    人間という神秘的で魅力的な存在。
    その姿を石や金属で再現した彫刻家と、写真という形で残した写真家に、改めて敬意を表したいと思います。
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    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログでは天使や子供をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
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    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
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    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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