タオルでギリシア彫刻になろう!

    ほとんどの人はお風呂から上がると、まず初めにバスタオルで体を拭き、そのあと下着を着けて服を着ます。
    しかし中には風呂上がりにしばらく裸でいる人もいますね。とくに夏場は。
    「裸でウロウロしないでよ!」と娘に文句を言われている親父さんもいたりして。

    子供たちも、ときには裸のままリビングにやってきてしまうことがあります。
    そのときバスタオルをまとっていると、彫刻作品のように見えませんか?

    古い絵画や彫像には、服ではなく布をまとっているシーンが多く見受けられます。

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    左は19世紀のイタリアの彫刻家、ジュゼッペ・キアリ(Giuseppe Chiari)による1854年の作品「Abele」
    右はタオルを腰に巻いてポーズをとる少年。

    均整のとれた体形であれば、タオルを無造作に腰に巻くだけでもギリシア神話の登場人物のような雰囲気が出ます。
    お子さんがお風呂から上がったら、タオルを巻いて格好良くポーズをしたところを写真に残すのも良いですね。

    しかしただ腰に巻いただけでは銭湯のような光景になってしまうので、巻くのではなくふわりと掛かっていたほうが絵的ではあります。


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    左はロシアのサンクトペテルブルクにある「エルミタージュ美術館」が所蔵する作者不詳の彫像。
    右はバスルームでタオルを肩に掛けている少年。

    どちらも片手を上にあげたポーズですが、垂れ下がった布がドレスのように見えるのはスタイルが良いからでしょうか。
    全国のパパさんも、ビール片手に裸でウロウロするなら、こういう洒落たタオルの使い方をしましょう。


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    左はフランスの彫刻家、ユージン・マリトン(Eugène Marioton/1857-1933)による1894年の作品「Le Zéphyr」
    右は寝転がって大きな布を体に掛けているアジアのモデル君。

    片や立像、片や寝転がりですが、どちらも楽しげなポーズ。
    写真のほうはタオルではなくカーテン生地のような大きな布を使っていますが、子供は昔からカーテンやらシーツやら、大きな布に絡まるのが好きですね。


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    左はドイツの画家、アントン・ラファエル・メングス(Anton Raphael Mengs/1728-1779)の作品「St.John the Baptist」
    右は緑の芝の上で赤い布を肩に掛けている少年。

    どちらも地面に座り込んだリラックスしたポーズで、赤い布が良いアクセントになっています。
    大きな布を肩から掛け、腰を紐で縛ると古代ギリシアっぽいコスチュームになります。


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    左はオランダの彫刻家、マシュー・ケッセルス(Mathieu Kessels/1784-1836)による1829年の作品「Génie funèbre éteignant un flambeau」
    右はお風呂上がりにソファーで一息ついている少年。
    どちらもうつむき加減なところと、腹から股にかけて隠しているところが似てますね。

    男性の場合、公衆浴場では「タオルを腰に巻く」「手に持ったタオルを股間に当てる」「何も隠さない」というこの3パターンに分かれるそうです。
    女性は何も隠さないか、タオルを縦にして体の前で垂らすという人が多いんじゃないでしょうか?(よくは知りませんが)
    上の彫像はちょっと女性的な仕草ですね。

    ちなみに私は温泉では、どちらかと言うとタオルを股間に当てる派です。(^^)
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    Sportininkas

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    ロシアの彫刻家、バレンティーナ・リバルコ(Valentina Rybalko/1918-1991)による1972年の作品「Sportininkas」
    リトアニア南部のネムナス川沿いにあるドルスキニンカイという保養地に設置されています。

    タイトルは「アスリート」という意味。運動選手、主に陸上選手のこと。
    その名のとおり、立ちポーズでありながら今にも動き出しそうな躍動感ある作品です。

    少年アスリートが腰に手を当てて遠くを見据えています。
    右足を少し浮かせて、これから走り始めるところでしょうか?
    それとも途中で立ち止まって休んでいるところでしょうか?

    雨の雫や朝露に濡れると、それが汗に見えて一段と凛々しく感じられますね。

    画像出典:Blogi z drogi.Druskienniki.Muzeum komunizmu


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    これは制作当時に撮影された写真。
    左側にいるのが作者のバレンティーナ・リバルコさん。

    彼女は1918年にロシアのクリミア共和国の首都、シンフェロポリで生まれました。
    1937年から翌年までレニングラードで絵画、彫刻、建築を学び、その後1946年まで彫刻家のビクター・シナイスキーに師事しました。

    大学院で学んだ後は芸術家協会のメンバーとなり、1951年から1989年までレニングラードのヴェラ・ムーヒナ美術学校で講師を務めました。
    1991年にサンクトペテルブルクにて死去。

    2006年にはロシア博物館にて「変化の時代:ソビエト連邦の芸術」展が開かれ、彼女の作品が展示されました。


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    バレンティーナ・リバルコ作「Sportininkas」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Bogenschießender Knabe

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    ドイツの画家兼彫刻家、フリッツ・ベスト(Fritz Best/1894-1980)による1933年の彫刻作品「Bogenschießender Knabe」

    地面に膝をついて弓を構えている少年を象った、高さ約30cmのブロンズ像です。
    斜め上を向いているということは、木の上の鳥を狙っているのでしょうか?
    矢が見当たらないので、放った瞬間かもしれませんね。

    芸術作品には少年と弓矢を組み合わせたものが少なくありません。
    写真では百数十年前から、彫刻に至っては紀元前の作品にもそのモチーフが見受けられます。

    神話が元であるのは言わずもがなですが、もともと狩猟の道具であった弓矢は構えた時の力強さ、矢の形が男性器に似ているなど、男らしさの象徴としては最適なのでしょう。

    この像はレプリカですが、オリジナルを忠実に再現していると思われます。
    神話の登場人物でもなく、たくましい戦士でもありませんが、放った矢の行き先をシッカリと見据えている様子は未来への希望を暗示させます。

    この像の作者、フリッツ・ベストはドイツのクロンベルク生まれの画家であり、彫刻家でもある人物。
    小さな農家の末っ子として生まれた彼は、少年期に彫刻家の見習いを3年間続け、その後応用芸術学校のカール・モール教授のもとで芸術を学びました。

    1921年からフランクフルトで修士課程の学生として技術を磨いた彼は、1930年に生まれ故郷のクロンベルクに戻り、自宅とスタジオを建てました。
    彼はこの家に亡くなるまで住んでいましたが、現在この家は「フリッツベスト美術館」という名の美術館になっています。

    彼は生前、この自宅を美術館にすることを条件に、家と土地、そして自身の作品をクロンベルク市に寄贈しました。
    フリッツベスト美術館では、人間や動物、花などをテーマとした彼の作品が多数展示されています。

    クロンベルク市は彼の功績を称え、1995年に旧市街の一角に彼の胸像を設置しました。


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    フリッツ・ベスト作「Bogenschießender Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    彫刻家のリアリズム

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    彫刻作品は必ずしも写実的とは限りませんが、人間の形を忠実に再現していれば、それは人間を学習するための資料にもなり得ます。

    人形(ひとがた)の制作においてリアルさを追求するならば「型取り」が最良の方法でしょう。
    実際の人間から型を取り、それに素材を流し込んで作る方法です。

    しかしこれは彫刻とは言えませんね。(作品作りの一環としておこなう彫刻家や芸術家はいます)
    やはり彫刻は盛ったり掘ったり削ったり、作者の審美眼と造形技術の賜物であってほしいと思うのです。

    余談ですが、人体彫像が実際の人間よりも小さかったり大きかったりするのは「これは型取りではないよ」という意思表示もあるのでしょうか?

    まぁそれはそうと、リアルな人体彫像を作る彫刻家は数多くいますが、中でも私がとくに好きなのが、ヴィム・ファン・デル・カント(Wim van der Kant/1949- )というオランダの彫刻家。

    【Wim van der Kant】
    https://www.wimvanderkant.nl


    顔がリアル、体がリアルというだけならば、そのような彫像は昔からありました。
    数千年前に作られたギリシア彫刻でさえ、その躍動感ある筋肉の造形には驚かされます。

    しかし、どこかリアルではない箇所があるのも否めません。
    それが作者の意図であれ、依頼主の注文であれ、当時の風潮であれ、モデルの形を100%は再現していないことは確かです。

    その点カント氏の作品はリアルさにおいて、ある種の凄みさえ感じるほど。
    ほとんどが少年像で、大きさは50〜80cmほどと小さいのですが、形には全く不自然さが無く、写真で見るとまるで本物の人間に思えるほどです。

    このリアルさは人間と見比べてみるとよくわかるでしょう。
    カント氏の作品と実際の人間の写真を並べてみたのでご覧ください。
    (人物は同じようなポーズをしていますが彫像のモデルではありません。古いナチュリストの記録写真から似たポーズを選びました)

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    作者のヴィム・ファン・デル・カントは1949年生まれのオランダの彫刻家。
    ユトレヒト州アメルスフォールト市の視覚芸術アカデミーで彫刻を学び、1980年代後半から数々の魅力的な作品を生み出してきました。

    1990年代以降は「ギャラリーユトレヒト」を始めとして、アムステルダム、ロスマーレン、ハーグ、ベルギーのヘントなど、多くの美術館や展覧会で作品展示をおこなっています。

    彼の心がリアリズム彫刻へと揺れ動いたその原点、それはある日曜日、故郷の野外展覧会で見たロダンの作品でした。

    彫像「考える人」で有名なフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin/1840-1917)の1877年の作品「L'Âge d'airain」を見たカント氏は、これこそが自分の求めるテーマだと確信したそうです。


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    左の画像が、カント氏が影響を受けたとされるロダン作の彫像「L'Âge d'airain」
    この写真は日本の兵庫県朝来市にある「但陽信用金庫会館」の本館に設置されている像を撮影したものです。

    そして右の画像はこの作品のモデルとなった22歳の男性。
    撮影は写真家のガウデンツィオ・マルコーニ(Gaudenzio Marconi/1841-1885)によるものです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tanyo Shinkin bank Hall03bs1800.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    File:Marconi, Gaudenzio (1841-1885) - 1877 - Auguste Neyt, modello 22enne di L'age d'arain.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    若きカント氏をリアリズムへと導いたロダンの彫刻作品。
    その素晴らしい造形は初めにモデルありきと言っても過言ではないでしょう。

    カント氏も自分の作品にモデルがいることは公言していますが、モデルの素性は一切明らかにしていません。
    でもその姿勢が素晴らしいですね。彼は写真家ではなく彫刻家なのですから。

    カント氏の作品は大きさこそ実物大ではありませんが、誇張も省略もしないそのリアルさはモデルへの敬意を感じさせます。

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    wim_van_der_kant-ad_dextram.jpg wim_van_der_kant-ad_dextram_like.jpg
    (造形比較のため似たポーズの写真を並べています)

    19世紀の彫刻家、オーギュスト・ロダンは22歳の男性をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。
    現代の彫刻家、ヴィム・ファン・デル・カントは12歳くらいの少年をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。

    我々がそこから感じることは、そして学ぶべきことは、物体としてのリアルさはもとより、彫刻家とモデルの人生が交わったときにこそ美を後世に伝える作品が生まれるのだという、その歴史のリアルさではないでしょうか。


    Copyright : Win van de Kant

    人体画像出典:
    Jeunes et Naturels (Copyright : Peenhill Ltd. Publishers)
    Sonnenfreunde (Copyright : Hanseatic Buch & Presse-Erzeugnisse)
    ウィキメディア・コモンズ
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    Millennium

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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millennium」

    ロシア北西部の都市サンクトペテルブルクにあるベリンスキーとモホヴォイ(方面?)の交差点付近に設置してある、高さ約180cmのブロンズ像です。

    頭上で腕を組み、誰かを待っているような仕草で大通りを眺めている少年。

    像が作られたのは1989年ですが、この場所に設置されたのは1999年です。
    ミレニアムというタイトルのとおり、西暦2000年を記念して設置されました。

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    作者の制作意図は定かではありませんが、この場所に設置されたのには何か意味があるのでしょう。
    遠くを見ているのは未来への展望、背伸びは飛躍を意味し、膝を軽く曲げたポーズは躍動を表している・・・のかもしれません。

    作者のエフゲニー・ロタノフは1940年にロシアのウラル地方で生まれました。
    1959年から1965年までレニングラード高等芸術大学で芸術を学び、才能ある教師たちによって彼もまた頭角を現します。
    1968年に牧師学校を卒業してからは数多くの彫刻作品を作り上げました。

    彼は1980年から1988年にかけてサンクトペテルブルクの芸術家協会のメンバーであり、クリエイティブ部門の委員長でもありました。
    1999年にはアフガニスタンで死亡した兵士の記念碑のモニュメントプロジェクトにも参加しています。

    多数の展覧会を開き、彫刻に関する国際シンポジウムにも参加するなど、人生を彫刻に捧げたロシアの名誉ある彫刻家のひとり。
    現在彼の作品はモスクワのトレチャコフ美術館など、ロシアの多くの美術館にて展示されています。


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    エフゲニー・ロタノフ作「Millennium」と、それと同じポーズの人間との比較。
    (人体画像出典:Sonnenfreunde)
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    Boy with a Snail

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    ハンガリーの彫刻家、イストヴァン・セントジェルジ(Istvan Szentgyörgyi/1881-1938)による作品「Boy with a Snail」
    制作年は不明です。
    この画像だと大理石像に見えますが、高さ約73cmのブロンズ像です。

    少年が手に持っているのはスネール、つまりカタツムリ。
    男の子の好奇心と小さな命の大切さが表現された作品です。

    私も子供の頃は、雨上がりに外に出てカタツムリを探したものです。
    現代はカタツムリに触れたことがない子も多いようですが、摘みやすい丸い殻、伸び縮みするユーモラスな動き、ヌルヌルした感触など、小さな子供の好奇心をくすぐる生き物であることは確かです。

    しかし今では寄生虫などの危険性が叫ばれているので、できれば触れないほうが良いでしょう。

    作者のイストヴァン・セントジェルジは新古典主義を実証したハンガリーの彫刻家。
    彼の作品の多くは「ハンガリー国立美術館」が所蔵しています。

    1881年生まれの彼は応用芸術学校で彫刻を学んだ後、1905年から1910年までベルギーのブリュッセルアカデミーにて彫刻家のチャールズ・ファン・デル・シュタッペンの生徒として学びました。
    その後多くの彫像を発表し、墓地や噴水等も手掛け、1925年にはアートスクールの教師となりました。

    この彫像は制作年が不明でモデルについても定かではありませんが、彼の作品には自分の子供をテーマとしたものがあるので、この子も息子さんかもしれません。
    きっとカタツムリが好きな子だったのでしょうね。


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    イストヴァン・セントジェルジ作「Boy with a Snail」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Le charmeur de lézards

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    スイスの彫刻家、ダニエル・ブルカール(Daniel Bourcart/1862-1887)による1885年の作品「Le charmeur de lézards」

    岩の上でフルートを演奏している少年。
    スイスのジュネーブにある「モン・ルポ公園」に設置されているブロンズ像です。

    タイトルはフランス語ですが「トカゲの魅惑」と訳せます。
    少年の斜め下に1匹のトカゲがいるのがお分かりでしょうか?
    トカゲの魅惑というよりは、この子の演奏にトカゲがウットリ聴き入っているようにも見えます。

    作者のダニエル・ブルカールに関しては情報が少なく、検索してもまったくわかりませんでした。
    大きな公園に設置されているくらいですから無名ではないと思いますが、世界的に有名な彫刻家というわけでもないんですね。

    しかも生没年を見ると、なんと25歳で亡くなっています。
    この像は彼の死後、姉のエリーゼ・ブルカールによって街に寄贈され、1903年にこの公園に設置されたそうです。

    裸の少年が吹くフルートは、どんな音色を奏でるのでしょう?
    できることなら聴いてみたいですね。


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    ダニエル・ブルカール作「Le charmeur de lézards」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Tireur d'arc

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    フランスの彫刻家、ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ(Joseph-Antoine Gardet/1861-1891)による1890年の作品「Tireur d'arc」
    タイトルは「弓矢の射手」という意味。

    上に向けているのは鳥を狙っているからでしょうか?
    それとも天に向かって矢を射るという古い物語でもあるのでしょうか?

    そんなに大きな作品ではないと思いますが、ディテールが細かいですね。
    手の先から足の先に至るまで、男性特有の筋肉の凹凸がしっかり表現されており、全体のバランスも見事。

    モデルの体形と作者の造形技術に感嘆できる作品です。
    とくに胸回りや足の筋肉はいかにも健康美といった雰囲気を醸しています。
    真ん中の小さい矢はちょっと頼りなさげですが、これは彫像なので仕方がないですね。


    作者のジョセフ・アントワーヌ・ガルデは1861年にフランスのパリで生まれました。
    弟は動物彫刻家として名高いフランスの彫刻家、ジョルジュ・ガルデであり、父親も同じく彫刻家でした。

    ジョセフはパリの国立美術学校に通い、ジュール・カヴリエやアイメ・ミレーの生徒として学びました。
    彼は1884年に大会で2位を獲得し、1885年には1位のローマ賞を受賞。
    これがきっかけとなり、1889年までイタリアのローマに滞在します。

    彼はフィレンツェのウフィツィ美術館にある古代彫刻「トルソ・デ・ファウノ」のレプリカを作ってパリの美術学校に寄贈するなど、イタリア滞在中にも精力的に活動しました。

    1890年にパリに戻った彼は、フランス芸術家協会に参加してすぐにサロンで作品を発表します。
    それがこの作品「Tireur d'arc」でした。

    彼は翌年の1891年に幼少期のキリストを題材とした「El sueño del Niño Jesús」という作品を発表しますが、同年2月24日、病気により30歳の若さで亡くなりました。


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    ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ作「Tireur d'arc」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Drei Mädchen und ein Knabe

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    ドイツの彫刻家、ヴィルフリート・フィツェンライター(Wilfried Fitzenreiter/1932-2008)による1988年の作品「Drei Mädchen und ein Knabe」

    タイトルは日本語に訳すと「3人の少女たちと少年」
    ドイツのミッテ区にあるベルリン大聖堂の斜め向かい、シュプレー川のほとりにさりげなく設置されています。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Drei Mädchen ein Knabe (1).JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    水辺のブロンズ像にしてはあまりサビや汚れが付いていませんが、観光地だけあって手入れが行き届いているのでしょう。
    多くの人がこの像の隣に座ったり、肩に手をかけたりして記念撮影しています。

    少年少女とは言っても、日本でいうと中学生以上でしょうか。
    この歳の男女が川で裸になるかどうかは微妙ですが、風景とマッチした落ち着いた作品であることは確かですね。

    wilfried_fitzenreiter_palasthotel.jpg

    ご覧のとおり、この像は当初同じミッテ区の「Palast Hotel」の前に設置されていました。
    ホテルは建設時にアスベストを使用していたため、2000年に閉鎖されてその後解体。
    彫像は2007年に現在の場所、シュプレー川のほとりに移動されたというわけです。

    この子たち、元々は互いに背を向けて円形に並んでいたんですね。
    現在の場所のほうが川を眺めて語り合っているようで、観光地の雰囲気には合っているのではないでしょうか。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Bundesarchiv Bild 183-1988-0726-024, Berlin, Brunnen vor dem Palasthotel.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    作者のフィツェンライターは1932年、ドイツの都市ノルトハウゼンの生まれ。
    高校を卒業後、1951年から1952年にかけて採石場で石工技術を学び、1952年から1958年にかけて地元の学校やベルリンの美術大学で彫刻を学びました。

    その後ベルリンでフリーの彫刻家として活動し、晩年は各地で講演などもおこないました。
    彼の作品には彫像の他に、コイン、メダル、ドローイングなどがあります。


    wilfried_fitzenreiter-knabe.jpg wilfried_fitzenreiter-knabe_like.jpg

    ヴィルフリート・フィツェンライター作「Drei Mädchen und ein Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。

    塀の上に座って観光客を眺める。
    観光客は塀の上の彼らを眺める。
    人間と彫像が互いにつながり合っている場所と言えるかもしれませんね。
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    彫像と人間

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    今月初めに掲載した「彫像の形・人間の形」と題した記事では、『モノクロ写真という二次元的な視覚情報では、彫像と人間のどちらも明暗による形の表現を鑑賞できる作品になり得る』という話をしました。

    では写真ではなく、実際の「彫像と人間」を比べてみた場合、どんな違いがあるのでしょう?

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    ざっと思い付くのはこんなところです。
    命の有る無しは最も大きな違いですが、彫像が人間を(正確には人間の外観を)模したものである以上、美の優位性は人間にあると言っても良いでしょう。
    その姿が有限であり儚いことも人間の価値をさらに高めています。

    彫像の主な素材といえばブロンズと大理石ですね。
    まずはブロンズ像。

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    イタリアの彫刻家、ベルナルド・バレストリエリ(Bernardo Balestrieri/1884-1965)による1900年初頭の作品「Giovane Acquaiolo」
    18〜19世紀に存在していた水売りという商売。
    その少年を再現したブロンズ像です。

    同じように見える彫像と人間も、実際に触ってみればその違いは明白です。
    感触の違いは素材の違い。


    【ブロンズ像の素材】

    ブロンズとは日本語で「青銅」と言い、銅を主成分としてスズを含ませた合金のことです。
    用途により亜鉛や鉛を含ませることもあります。

    添加するスズの量が多くなるほど黄色味が増し、また大気により徐々に酸化されて緑青(ろくしょう)が生じることで、くすんだ青緑色にも変化します。
    日本語の青銅という言葉はこの色から来たものですが、本来のブロンズの色は新品の十円硬貨とほぼ同じです。

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    ドイツの彫刻家、リチャード・ダニエル・ファブリシウス(Richard Daniel Fabricius/1863-1923)による作品「Young man」
    たとえ錆びにくいブロンズ像であっても水は苦手。
    かたや人間は、水がなくてはその姿を維持することさえできません。


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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millenium」
    街の歩道に設置されている、両手を上げて立つ少年のブロンズ像。


    ブロンズは強度では鉄に劣りますが、加工性に優れており錆びにくいので古くから造形作品の素材として使われてきました。
    ブロンズ像の歴史はかなり古く、現存する世界最古のものは現在エジプト考古学博物館が所蔵している、約4千年前に作られた「エジプト第6王朝ペピ1世の像」だと言われています。


    彫像の素材としてもうひとつお馴染みなのが大理石。

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    フランスの彫刻家、ポール・メリン(Paul Melin/生没年不明)による1895年の作品「Narcisse」
    ギリシア神話に登場する美少年、ナルキッソスが泉のほとりで横たわっているシーンを再現しています。

    彫像では横たわるポーズは少なめですが、人間は毎日横になって眠る必要があります。


    【大理石像の素材】

    大理石は英語ではマーブルと呼ばれています。
    石灰石を源岩とする結晶質石灰岩であり、マグマの熱を受けて接触変成作用で再結晶化した変成岩の一種です。
    その色合いや模様の美しさから、古代より建築物や彫刻作品の素材として使われてきました。

    大理石の主成分は炭酸カルシウムで、塩酸などの強酸と反応して二酸化炭素を放出します。
    そのため塩酸が含まれる洗剤を使うと光沢が無くなったり痩せたりするので注意が必要です。

    george_rennie-cupid_rekindling.jpg george_rennie-cupid_rekindling_like.jpg

    スコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(George Rennie/1802-1860)による1831年の作品「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」
    ギリシア神話の婚姻の神ヒュメンと、そこに寄り添う愛の神クピドの大理石像。
    足を交差させてリラックスしているのは、ヒュメンがそばにいる安心感からでしょうか。


    adolf_von_hildebrand-schlafender_hirtenknabe.jpg adolf_von_hildebrand-schlafender_hirtenknabe_like.jpg

    ドイツの彫刻家、アドルフ・フォン・ヒルデブラント(Adolf von Hildebrand/1847-1921)による1871年の作品「Schlafender Hirtenknabe」
    羊飼いの少年が仕事の合間に腰を下ろして休んでいるシーンです。
    こういうときこそオオカミに狙われないように気をつけなくてはなりません。


    ブロンズ像同様、大理石像にもかなりの歴史があります。
    世界最古は定かではありませんが、ギリシャでは紀元前620年頃のアルテミス神の像や、紀元前590年頃の青年の像が発掘されています。

    石ではなく動物の牙を使ったものでは、2009年にドイツのホーレ・フェルス洞窟の遺跡から発掘された女性の形をした彫像が世界最古と言われており、約3万5千年以上も前のものだそうです。


    【人間の素材】

    human_body_statues.jpg

    それでは、生きた芸術作品ともいえる「人間」はいったい何でできているのでしょう?

    人体を構成する物質は主に約30種類。
    成分の多い順に、酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、フッ素、ケイ素、亜鉛、ストロンチウム、ルビジウム、鉛、マンガン、銅、アルミニウム、カドミウム、スズ、バリウム、水銀、セレン、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、ホウ素、クロム、ヒ素、コバルト、バナジウムなど。
    (出典:ウィキぺディア - 人体 より)

    ではこれらの物質を集めれば人工的に人間を作ることは可能なのかというと、それは技術的に不可能です。
    理由は、親から受け継いでいる微生物を生成できないからとも、細胞分裂を人間の手でおこなうことが困難であるからとも言われています。

    モノクロ写真では同じように見える彫像と人間。
    しかしどんなに優れた彫刻家でも、命を再現することはできません。

    地球という環境が作り上げた人間という生命体は、まさに奇跡の賜物。
    生命の仕組みのみでこの美しい形が出来上がったのか、それとも我々の脳がそれを美しいと感じるように作られているのか、いずれにしても神秘と言わざるを得ません。

    人間に生まれたことを感謝しつつ、自分の体も他人の体もどちらも大切にしましょう。
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    Author:RUKA


    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログでは天使や子供をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
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    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:22年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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