Bogenschießender Knabe

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    ドイツの画家兼彫刻家、フリッツ・ベスト(Fritz Best/1894-1980)による1933年の彫刻作品「Bogenschießender Knabe」

    地面に膝をついて弓を構えている少年を象った、高さ約30cmのブロンズ像です。
    斜め上を向いているということは、木の上の鳥を狙っているのでしょうか?
    矢が見当たらないので、放った瞬間かもしれませんね。

    芸術作品には少年と弓矢を組み合わせたものが少なくありません。
    写真では百数十年前から、彫刻に至っては紀元前の作品にもそのモチーフが見受けられます。

    神話が元であるのは言わずもがなですが、もともと狩猟の道具であった弓矢は構えた時の力強さ、矢の形が男性器に似ているなど、男らしさの象徴としては最適なのでしょう。

    この像はレプリカですが、オリジナルを忠実に再現していると思われます。
    神話の登場人物でもなく、たくましい戦士でもありませんが、放った矢の行き先をシッカリと見据えている様子は未来への希望を暗示させます。

    この像の作者、フリッツ・ベストはドイツのクロンベルク生まれの画家であり、彫刻家でもある人物。
    小さな農家の末っ子として生まれた彼は、少年期に彫刻家の見習いを3年間続け、その後応用芸術学校のカール・モール教授のもとで芸術を学びました。

    1921年からフランクフルトで修士課程の学生として技術を磨いた彼は、1930年に生まれ故郷のクロンベルクに戻り、自宅とスタジオを建てました。
    彼はこの家に亡くなるまで住んでいましたが、現在この家は「フリッツベスト美術館」という名の美術館になっています。

    彼は生前、この自宅を美術館にすることを条件に、家と土地、そして自身の作品をクロンベルク市に寄贈しました。
    フリッツベスト美術館では、人間や動物、花などをテーマとした彼の作品が多数展示されています。

    クロンベルク市は彼の功績を称え、1995年に旧市街の一角に彼の胸像を設置しました。


    fritz_best-bogenschie_bw.jpg fritz_best-bogenschie_like.jpg

    フリッツ・ベスト作「Bogenschießender Knabe」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Der Bocksprung

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    ドイツの彫刻家、ヴィルヘルム・ハーバーカンプ(Wilhelm Haverkamp/1864-1929)による1891年の作品「Der Bocksprung」

    タイトルのDer Bocksprungとは「馬跳び」という意味。
    以前も馬跳びしている彫像を紹介したことがありましたが、こちらは下になっているのが人間の子ではありません。
    上半身が人間で下半身が山羊のような姿をしている、半人半獣の男の子。
    その半獣の男の子と人間の男の子が馬跳びして遊んでいるという像ですね。

    人間と山羊の姿をしたキャラクターというと、ギリシア神話に登場する牧神「パン」、同じくギリシア神話の精霊「サテュロス」、ローマ神話に登場する牧神「ファウヌス」がいますが、これらはほぼ同一視されています。

    三者に共通しているのは、家畜や田畑、森などを守る神や精霊であるということと、非常に性欲が強く、子宝や多産のシンボルとされているところ。
    絵画や彫刻ではしばしば、巨大な陰茎をそそり立たせた姿で表現されています。

    この半獣の男の子はパン、サテュロス、ファウヌスの子供のときの姿なのかというと、それはちょっと違うような気がします。
    ではいったい何者かというと、たぶん「フォーン」ではないでしょうか?
    フォーンとはローマ神話に登場する豊穣を司る精霊で、ファウヌスの親類だと言われています。

    パンやサテュロスよりも美しく気品があり、性質はとてもおとなしく、他者に危害を加えたりはしません。
    耳と足が鹿に似ているそうで、なるほどたしかに耳が鹿っぽいですね。
    ショームというフルートを奏でるのがとても上手く、他の精霊たちを踊り手によく演奏会を開いているそうです。
    人間の子供とも仲良く遊ぶこの子は、フォーンで間違いないでしょう。

    この像の作者、ヴィルヘルム・ハーバーカンプはドイツの彫刻家。
    13歳から彫刻を学び始めた彼は、1883年に奨学金を得てプロイセン芸術アカデミーに入学し、1885年から彫刻家フリッツ・シャーパーの生徒となりました。

    1887年に学業を終え、パリやローマを訪れた彼は滞在中にいくつかの作品を発表します。
    その後ドイツに戻った彼は結婚し、1901年からロイヤル・アーツ&クラフト博物館の教育機関で教鞭をとりました。

    多くの大会でメダルや勲章を獲得した彼は1913年からプロイセン国家美術委員会のメンバーとなり、1924年に引退しました。
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    アンノウン - 2

    ネットを辿りながら絵画や彫刻を鑑賞していると、たまにUnknown Artist、つまり作者不詳の作品を目にします。
    私が知らないということではなく、作者不詳として紹介されている作品。

    と、2年前の記事と同じ始まり方ですが・・・
    今回も同じく、ちょっと気になった「作者不詳のアート作品」をご紹介します。


    【絵画作品】

    french_painter-l’etude_de_dessin

    フランスのモンペリエにあるファーブル美術館が所蔵している19世紀の絵画。
    作者名と制作年が不明です。

    小さな彫像を見ながらデッサンの練習をしているふたりの少年。
    壁には手の形をしたオブジェが飾られており、美術の授業風景であることをうかがわせます。

    もしかしたらこの絵も同じ学校の生徒によるものかもしれませんね。
    あるいは美術教師の作品かも。


    【彫刻作品】

    thailand-unknown_artist.jpg

    タイのどこかの施設にあるブロンズ像だそうです。
    あまり写実的とは言えない造形ですが、商業施設のエントランスなどには似合いそうですね。

    肩に掛けた布、頭と足の装飾などは古いギリシア彫刻を思わせますが、視線を落とした優しい顔立ちや観音菩薩のような手付きからはどことなくアジアっぽさを感じさせます。

    それでいて突起した乳首や長い陰茎という独自の自己主張もあるようですし、もしかしたら古い彫刻をモチーフに作られた現代作品かもしれません。


    【写真作品】

    unknown_photographer.jpg

    かなり古い写真だと思いますが、これも作者不詳、詳細不明です。
    天使のような髪型をした少年が建物の壁に手をついて佇んでいます。
    演出なのかハッキリしませんが、ちょっと寂しそうにうなだれているのが気になります。

    コンクリートの無機質な空間に少年のなだらかな姿態が上手く溶け込んでおり、縦の柱が額縁のような効果を出しているところも面白いですね。

    堕天使を思わせる退廃的な雰囲気ですが、奥行きのある背景とともに奥深い意図を感じさせる作品です。


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    Goethe Denkmal

    fritz_schaper-goethe_denkmal.jpg

    ドイツの彫刻家、フリッツ・シャーパー(Fritz Schaper/1841-1919)による1880年の作品「Goethe Denkmal」(ゲーテ記念碑)

    ドイツの首都ベルリンにある都市公園「ティーアガルテン」に設置されている彫像。
    有名な文豪であり科学者や政治家でもあったヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)の功績を称えた記念碑です。

    高さが6メートルもあり、中央にはゲーテの肖像、周囲には3つの寓話的な像が配されています。
    上の写真はその一部分であるエロース(キューピッド)の像。

    女神に寄り添うように立つエロース。
    右手に太い矢を持ち、左手にはバラの花。

    女神はエロースの腰にそっと手をやり、優しく語りかけています。
    他人の愛情を操るイタズラなエロースも、女神様の前では素直な少年なのでしょう。

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    【ティーアガルテンに設置されているゲーテ記念碑】

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Berlin, 2014 (14777332332).jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    作者のフリッツ・シャーパーはドイツのアルスレーベンの出身。
    上から4番目の息子として生まれた彼は6歳のときに父親を亡くし、母親と共にドイツの街ハレに引っ越します。

    しかしその翌年に母親も死亡。
    孤児となった彼と彼の兄弟たちは、様々な家に散り散りにもらわれていきました。

    やがて彫刻家になることを決意した彼は、1859年にベルリンに移り住んで2年間プロイセン芸術アカデミーに通い、その後、彫刻家アルバート・ウォルフのワークショップの従業員となりました。

    23歳で親の財産を相続し、26歳で自身のスタジオを設立したシャーパーでしたが、当初はあまり仕事の依頼がありませんでした。
    しかし度々参加していた芸術コンテストでいくつかの功績を果たした彼は、その後ベルリンからゲーテ記念碑の制作を任命され、1880年6月に上記の作品を発表しました。

    1875年からプロイセン芸術アカデミーの会員だった彼は、ゲーテ記念碑の制作により教授の称号を取得し、1881年には芸術アカデミーの名誉会員、および上院議員となりました。

    その後、彼の彫刻家としての人気は高まり、多くの制作依頼を受けるようになりました。
    1891年、彼は詩人エミール・リッタースハウスの娘ヘレンと結婚し、4人の子供をもうけます。

    しかし1900年頃から心理的な病を患った彼は、療養所で暮らすことを余儀なくされました。
    多くの賞を獲得した彼も晩年は健康問題などから活動が衰退し、そして引退。
    1919年に78歳でこの世を去りました。
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    Angel Gardenの壁紙

    昨日、新元号が発表されましたね。
    それとはまったく関係ありませんが、当ブログ「Angel Garden」の壁紙を作りました。

    庭にいる天使、または美術館にいる天使というイメージで統一しようと思ったんですが、なかなか良い素材が見つからないものです。

    とりあえず3種類だけ作ったので、天使好きの方はPCの壁紙にしたり、大きく印刷して本当に部屋の壁紙にしたり、個人的な用途にお使いください。


    【公園の天使】

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    Copyright : RUKA

    1600 × 900px(カラー)
    1600 × 900px(モノクロ)

    イメージ:
    ある春の日、埼玉県内の某公園に降り立った天使くん。
    肌寒い日だったので人間のように服を着ています。
    奥に見える建物は県内アーティストの作品(写真や絵画など)を展示するギャラリー。

    使用素材:オリジナル写真



    【クピド像を見つめる天使】

    angelgarden_wp02_1600.jpg
    Copyright : RUKA

    1600 × 900px(カラー)
    1600 × 900px(モノクロ)
    1920 × 1080px(カラー)
    1920 × 1080px(モノクロ)

    イメージ:
    緑の庭で彫刻家アントニオ・カノーヴァ作のクピド像を見つめる天使くん。
    思うは「クピド兄さんはカッコイイなぁ」でしょうか?
    それとも「大したことないな」でしょうか?

    使用素材:オリジナル写真・翼の素材・庭の写真
    翼の画像:Angel wings PSD
    背景画像:Creative Vix



    【美術館に迷い込んだ天使】

    angelgarden_wp03_1600.jpg
    Copyright : RUKA

    1600 × 900px(カラー)
    1600 × 900px(モノクロ)
    1920 × 1080px(カラー)
    1920 × 1080px(モノクロ)

    イメージ:
    美術館に迷い込んでしまった天使くん。
    ちょうど人がいない時間帯で良かったね。
    彫刻たちは突然のことに戸惑いながらも、天使の訪問を歓迎しています。

    使用素材:オリジナル写真・翼の素材・美術館の写真
    背景画像:File:TÜ kunstimuuseum, sinine saal.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    (この壁紙画像は上記背景画像と同じ許諾条件[表示-継承]にて公開します)


    余談ですが・・・
    新元号が「令和(REIWA)」だとは全く予想外でしたね。
    M、T、S、Hと来て、今度はR。

    私のイニシャルもRですから、縁起の良い元号かもしれません。(^^)
    この壁紙で天使になっている子もレイ君です。
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    Le Vainqueur au Combat de Coqs

    alexandre_falguiere-vainqueur_combat_coqs.jpg

    フランスの彫刻家、アレクサンドル・ファルギエール(Alexandre Falguière/1831-1900)による1864年の作品「Le Vainqueur au Combat de Coqs」

    フランスのトゥールーズにある庭園「グランド・ロンド」に設置されている、高さ約180cmのブロンズ像。
    オリジナルは1868年に設置されましたが、1942年に戦争により破壊されてしまいました。
    現在のこの像は1963年に作られたレプリカです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Vainqueur combat coqs.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    タイトルは英語に訳すと「Winner of the Cockfight」で、日本語で言うと「闘鶏の勝者」
    オスのニワトリ同士を闘わせる、あの闘鶏です。

    闘鶏の大会で優勝した少年が喜びのあまり自慢のニワトリを抱えて走り回っている、そんなシーンですね。
    高く振り上げた腕、後ろに蹴り上げた足、鶏を愛おしむように見つめる表情。
    少年の喜びが伝わってくるような躍動感のある作品です。

    作者のファルギエールは19世紀の古典彫刻の代表とも言える彫刻家で、リアリズム芸術に貢献した人物でした。
    1831年にフランスのトゥールーズで生まれた彼は、国立美術学校で美術を学び、1859年にローマにて彫刻賞を受賞。
    1882年には美術学校の教授となり、美術アカデミーのメンバーにも選出されました。

    しかし老後は病気を患ってしまいます。
    1900年4月、記念碑の設置のためにフランス南東の都市ニームに出掛け、帰宅したその日に亡くなったそうです。


    この作品は彼の代表作であり、パリのオルセー美術館も所蔵しています。
    インテリアとしても人気が高い作品ですが、現在は微妙に形の違う2種類のレプリカが存在しています。

    alexandre_falguiere-cockfight01.jpg alexandre_falguiere-cockfight02.jpg

    違いがわかりますか?
    そう、右の像はニワトリの足下から布が垂れ下がり、少年の股間を隠しているんです。
    以前、別な彫像でも同じことを語りましたが、インテリア用の複製品は布がプラスされることが多いですね。

    この作品は股間さえも自由な少年だからこそ、今にも動き出しそうな躍動感が表現されているわけです。
    オリジナルにはない謎の布の出現によって、どこか束縛めいた雰囲気を感じさせることは否めません。

    まぁ一般向けの商品となると様々な事情があるのでしょうが、人々の多くが「人間の体に対する敬意」を持たない限りは、このような改変は続いてしまうのかもしれませんね。
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    彫刻家のリアリズム

    wim_van_der_kant-luctatio.jpg

    彫刻作品は必ずしも写実的とは限りませんが、人間の形を忠実に再現していれば、それは人間を学習するための資料にもなり得ます。

    人形(ひとがた)の制作においてリアルさを追求するならば「型取り」が最良の方法でしょう。
    実際の人間から型を取り、それに素材を流し込んで作る方法です。

    しかしこれは彫刻とは言えませんね。(作品作りの一環としておこなう彫刻家や芸術家はいます)
    やはり彫刻は盛ったり掘ったり削ったり、作者の審美眼と造形技術の賜物であってほしいと思うのです。

    余談ですが、人体彫像が実際の人間よりも小さかったり大きかったりするのは「これは型取りではないよ」という意思表示もあるのでしょうか?

    まぁそれはそうと、リアルな人体彫像を作る彫刻家は数多くいますが、中でも私がとくに好きなのが、ヴィム・ファン・デル・カント(Wim van der Kant/1949- )というオランダの彫刻家。

    【Wim van der Kant】
    https://www.wimvanderkant.nl


    顔がリアル、体がリアルというだけならば、そのような彫像は昔からありました。
    数千年前に作られたギリシア彫刻でさえ、その躍動感ある筋肉の造形には驚かされます。

    しかし、どこかリアルではない箇所があるのも否めません。
    それが作者の意図であれ、依頼主の注文であれ、当時の風潮であれ、モデルの形を100%は再現していないことは確かです。

    その点カント氏の作品はリアルさにおいて、ある種の凄みさえ感じるほど。
    ほとんどが少年像で、大きさは50〜80cmほどと小さいのですが、形には全く不自然さが無く、写真で見るとまるで肌をコーティングした本物の人間に思えるほどです。

    このリアルさは人間と見比べてみるとよくわかるでしょう。
    カント氏の作品と実際の人間の写真を並べてみたのでご覧ください。
    (人物は同じようなポーズをしていますが彫像のモデルではありません。古いナチュリストの記録写真から似たポーズを選びました)

    wim_van_der_kant-tollit.jpg wim_van_der_kant-tollit_like.jpg
    wim_van_der_kant-suspensus.jpg wim_van_der_kant-suspensus_like.jpg

    作者のヴィム・ファン・デル・カントは1949年生まれのオランダの彫刻家。
    ユトレヒト州アメルスフォールト市の視覚芸術アカデミーで彫刻を学び、1980年代後半から数々の魅力的な作品を生み出してきました。

    1990年代以降は「ギャラリーユトレヒト」を始めとして、アムステルダム、ロスマーレン、ハーグ、ベルギーのヘントなど、多くの美術館や展覧会で作品展示をおこなっています。

    彼の心がリアリズム彫刻へと揺れ動いたその原点、それはある日曜日、故郷の野外展覧会で見たロダンの作品でした。

    彫像「考える人」で有名なフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin/1840-1917)の1877年の作品「L'Âge d'airain」を見たカント氏は、これこそが自分の求めるテーマだと確信したそうです。


    682px-tanyo_shinkin_bank_hall03bs1800.jpg marconi_gaudenzio_model_2x.jpg

    左の画像が、カント氏が影響を受けたとされるロダン作の彫像「L'Âge d'airain」
    この写真は日本の兵庫県朝来市にある「但陽信用金庫会館」の本館に設置されている像を撮影したものです。

    そして右の画像はこの作品のモデルとなった22歳の男性。
    撮影は写真家のガウデンツィオ・マルコーニ(Gaudenzio Marconi/1841-1885)によるものです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tanyo Shinkin bank Hall03bs1800.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    File:Marconi, Gaudenzio (1841-1885) - 1877 - Auguste Neyt, modello 22enne di L'age d'arain.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    若きカント氏をリアリズムへと導いたロダンの彫刻作品。
    その素晴らしい造形は初めにモデルありきと言っても過言ではないでしょう。

    カント氏も自分の作品にモデルがいることは公言していますが、モデルの素性は一切明らかにしていません。
    でもその姿勢が素晴らしいですね。彼は写真家ではなく彫刻家なのですから。

    カント氏の作品は大きさこそ実物大ではありませんが、誇張も省略もしないそのリアルさはモデルへの敬意を感じさせます。

    wim_van_der_kant-quis_mihi_iniurian_facet.jpg wim_van_der_kant-quis_mihi_iniurian_facet_like.jpg
    wim_van_der_kant-ad_dextram.jpg wim_van_der_kant-ad_dextram_like.jpg
    (造形比較のため似たポーズを並べています)

    19世紀の彫刻家、オーギュスト・ロダンは22歳の男性をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。
    現代の彫刻家、ヴィム・ファン・デル・カントは12歳くらいの少年をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。

    我々がそこから感じることは、そして学ぶべきことは、物体としてのリアルさはもとより、彫刻家とモデルの人生が交わったときにこそ美を後世に伝える作品が生まれるのだという、その歴史のリアルさではないでしょうか。


    Copyright : Win van de Kant

    人体画像出典
    Jeunes et Naturels (Copyright : Peenhill Ltd. Publishers)
    Sonnenfreunde (Copyright : Hanseatic Buch & Presse-Erzeugnisse)
    ウィキメディア・コモンズ
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    Millennium

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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millennium」

    ロシア北西部の都市サンクトペテルブルクにあるベリンスキーとモホヴォイ(方面?)の交差点付近に設置してある、高さ約180cmのブロンズ像です。

    頭上で腕を組み、誰かを待っているような仕草で大通りを眺めている少年。

    像が作られたのは1989年ですが、この場所に設置されたのは1999年です。
    ミレニアムというタイトルのとおり、西暦2000年を記念して設置されました。

    evgeniy_rotanov-millennium01.jpg evgeniy_rotanov-millennium02.jpg

    作者の制作意図は定かではありませんが、この場所に設置されたのには何か意味があるのでしょう。
    遠くを見ているのは未来への展望、背伸びは飛躍を意味し、膝を軽く曲げたポーズは躍動を表している・・・のかもしれません。

    作者のエフゲニー・ロタノフは1940年にロシアのウラル地方で生まれました。
    1959年から1965年までレニングラード高等芸術大学で芸術を学び、才能ある教師たちによって彼もまた頭角を現します。
    1968年に牧師学校を卒業してからは数多くの彫刻作品を作り上げました。

    彼は1980年から1988年にかけてサンクトペテルブルクの芸術家協会のメンバーであり、クリエイティブ部門の委員長でもありました。
    1999年にはアフガニスタンで死亡した兵士の記念碑のモニュメントプロジェクトにも参加しています。

    多数の展覧会を開き、彫刻に関する国際シンポジウムにも参加するなど、人生を彫刻に捧げたロシアの名誉ある彫刻家のひとり。
    現在彼の作品はモスクワのトレチャコフ美術館など、ロシアの多くの美術館にて展示されています。


    evgeniy_rotanov-millennium_bw.jpg evgeniy_rotanov-millennium_like.jpg

    エフゲニー・ロタノフ作「Millennium」と、それと同じポーズの人間との比較。
    (人体画像出典:Sonnenfreunde)
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    着色した彫像

    みなさんは彫像の色といえば何色を思い浮かべますか?
    金色、茶褐色、青緑色など、これはブロンズ像の色ですね。
    白色、グレー、アイボリーなど、これは大理石像や石膏像の色ですね。

    蝋人形やマネキンとは違い、美術館の彫像はほとんどが単一の素材で作られ、全身がほぼ同じ色です。
    これは彫像が人間の代替品ではないからです。

    ところが近年の美術研究によると、大昔の彫像の中には色を付けたり派手に装飾したものも少なくなかったそうです。
    もしかしたら今では美術品である彫像も、大昔は人間の代替品だったのかもしれませんね。

    ヨーロッパのバチカン市国にある「バチカン美術館」では、それを再現して着色した彫像がいくつか展示されています。
    もちろん本物に塗装するわけにはいきませんから、そっくりなレプリカを作って塗装したのでしょう。

    musei_vaticani-athena_lemnia.jpg musei_vaticani-apollon.jpg

    左は紀元前450年頃の女神アテナの像、右はギリシア神話の男神アポロンの像。
    どちらも着色して当時の彫像を再現したものです。

    出典:Top 10 Color Classical Reproductions

    こうして色のついた彫像を見ると、原色で派手なせいもありますが、随分と風格が落ちるもんですね。
    質感も軽くなり、なんだかハリボテのようにも見えてしまいます。


    wolff_eros02.jpg

    これはベルリンのナショナル・ギャラリーにある、ドイツの彫刻家エイミル・ウルフ(Emil Wolff/1802-1879)作の大理石像。
    ギリシア神話に登場する愛の神、エロースの像です。

    この画像の人体部分をPhotoshopを使って着色してみました。

    emil_wolff-eros_colour.jpg

    色味を派手にしなかったせいか、あまり安っぽくはなっていませんね。
    むしろ色を付けたことで、作者の造形技術の高さがより明確になりました。

    しかし先ほどのバチカン美術館の作品と同じく、どこか俗っぽさを感じさせるのは何故でしょう?
    素材の質感が失われるからでしょうか?
    それとも色を固定してしまうことで、見る者に想像の余地を与えないからでしょうか?

    彫像はその造形を味わうものであり、必要以上の色付けは彫像本来の味わいを落としかねません。
    人間の姿そのものが芸術であるとはいえ、リアル過ぎれば美術館には場違いな物に思えてしまいます。

    やはり美術館の彫像は、素材本来の色を活かした単色だからこそ、心に響くのだと思います。
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    Jeune Athlète

    jean_larrive-jeune_athlete.jpg

    フランスの彫刻家、ジャン・ラリヴェ(Jean Larrivé/1875-1928)による1908年の作品「Jeune Athlète」
    リヨンのパレ・サン・ピエールにある市立美術館「リヨン美術館」の庭に設置されています。

    英語のタイトルは「Young Athlete」
    若い運動競技選手という意味ですね。

    頭にハチマキ(包帯?)を巻いている若い選手を表現したこの作品は、1911年にこの場所に設置されました。
    緑青(銅の表面にできる緑色の錆)がアンティーク調の良い雰囲気を醸しています。

    足を肩幅に開き、背筋を伸ばしたポーズで横を見つめるアスリートの少年。
    視線の先にあるのはゴールでしょうか?ライバルの選手でしょうか?
    彼が欲するのは優勝のみ。
    他には何もいりません!パンツさえもいりません!

    作者のジャン・ラリヴェはフランスのリヨン生まれの彫刻家。
    1890年から1896年にかけてリヨンの美術学校で美術を学び、1897年にパリの国立美術学校に入学しました。

    その後1901年にフランス主催のコンクールにて2位を獲得。
    1904年にはローマ大賞のグランプリを獲得し、1905年から1910年までローマに滞在しました。

    彼は建築家との共同作業も多く、1901年には陶芸家のアレクサンドル・ビグーと建築家のジュール・ラビロットと共に、パリの7区にある大通り、ラップアベニューの入り口を設計しています。
    また、建築家のトニー・ガルニエとも多くのプロジェクトに携わりました。

    彼は1928年3月20日にフランスのリヨンで亡くなり、リヨンで最も古い墓地であるロワイヤス墓地に埋葬されました。
    リヨンの3区の通りには彼の名前が付けられています。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Jeune athlète, Jean Larrivé.jpg
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    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:22年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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