Le Vainqueur au Combat de Coqs

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    フランスの彫刻家、アレクサンドル・ファルギエール(Alexandre Falguière/1831-1900)による1864年の作品「Le Vainqueur au Combat de Coqs」

    フランスのトゥールーズにある庭園「グランド・ロンド」に設置されている、高さ約180cmのブロンズ像。
    オリジナルは1868年に設置されましたが、1942年に戦争により破壊されてしまいました。
    現在のこの像は1963年に作られたレプリカです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Vainqueur combat coqs.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    タイトルは英語に訳すと「Winner of the Cockfight」で、日本語で言うと「闘鶏の勝者」
    オスのニワトリ同士を闘わせる、あの闘鶏です。

    闘鶏の大会で優勝した少年が喜びのあまり自慢のニワトリを抱えて走り回っている、そんなシーンですね。
    高く振り上げた腕、後ろに蹴り上げた足、鶏を愛おしむように見つめる表情。
    少年の喜びが伝わってくるような躍動感のある作品です。

    作者のファルギエールは19世紀の古典彫刻の代表とも言える彫刻家で、リアリズム芸術に貢献した人物でした。
    1831年にフランスのトゥールーズで生まれた彼は、国立美術学校で美術を学び、1859年にローマにて彫刻賞を受賞。
    1882年には美術学校の教授となり、美術アカデミーのメンバーにも選出されました。

    しかし老後は病気を患ってしまいます。
    1900年4月、記念碑の設置のためにフランス南東の都市ニームに出掛け、帰宅したその日に亡くなったそうです。


    この作品は彼の代表作であり、パリのオルセー美術館も所蔵しています。
    インテリアとしても人気が高い作品ですが、現在は微妙に形の違う2種類のレプリカが存在しています。

    alexandre_falguiere-cockfight01.jpg alexandre_falguiere-cockfight02.jpg

    違いがわかりますか?
    そう、右の像はニワトリの足下から布が垂れ下がり、少年の股間を隠しているんです。
    以前、別な彫像でも同じことを語りましたが、インテリア用の複製品は布がプラスされることが多いですね。

    この作品は股間さえも自由な少年だからこそ、今にも動き出しそうな躍動感が表現されているわけです。
    オリジナルにはない謎の布の出現によって、どこか束縛めいた雰囲気を感じさせることは否めません。

    まぁ一般向けの商品となると様々な事情があるのでしょうが、人々の多くが「人間の体に対する敬意」を持たない限りは、このような改変は続いてしまうのかもしれませんね。
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    彫刻家のリアリズム

    wim_van_der_kant-luctatio.jpg

    彫刻作品は必ずしも写実的とは限りませんが、人間の形を忠実に再現していれば、それは人間を学習するための資料にもなり得ます。

    人形(ひとがた)の制作においてリアルさを追求するならば「型取り」が最良の方法でしょう。
    実際の人間から型を取り、それに素材を流し込んで作る方法です。

    しかしこれは彫刻とは言えませんね。(作品作りの一環としておこなう彫刻家や芸術家はいます)
    やはり彫刻は盛ったり掘ったり削ったり、作者の審美眼と造形技術の賜物であってほしいと思うのです。

    余談ですが、人体彫像が実際の人間よりも小さかったり大きかったりするのは「これは型取りではないよ」という意思表示もあるのでしょうか?

    まぁそれはそうと、リアルな人体彫像を作る彫刻家は数多くいますが、中でも私がとくに好きなのが、ヴィム・ファン・デル・カント(Wim van der Kant/1949- )というオランダの彫刻家。

    【Wim van der Kant】
    https://www.wimvanderkant.nl


    顔がリアル、体がリアルというだけならば、そのような彫像は昔からありました。
    数千年前に作られたギリシア彫刻でさえ、その躍動感ある筋肉の造形には驚かされます。

    しかし、どこかリアルではない箇所があるのも否めません。
    それが作者の意図であれ、依頼主の注文であれ、当時の風潮であれ、モデルの形を100%は再現していないことは確かです。

    その点カント氏の作品はリアルさにおいて、ある種の凄みさえ感じるほど。
    ほとんどが少年像で、大きさは50〜80cmほどと小さいのですが、形には全く不自然さが無く、写真で見るとまるで肌をコーティングした本物の人間にさえ思えるほどです。

    このリアルさは人間と見比べてみるとよくわかるでしょう。
    カント氏の作品と実際の人間の写真を並べてみたのでご覧ください。
    (人物は同じようなポーズをしていますが彫像のモデルではありません。古いナチュリストの記録写真から似たポーズを選びました)

    wim_van_der_kant-tollit.jpg wim_van_der_kant-tollit_like.jpg
    wim_van_der_kant-suspensus.jpg wim_van_der_kant-suspensus_like.jpg

    作者のヴィム・ファン・デル・カントは1949年生まれのオランダの彫刻家。
    ユトレヒト州アメルスフォールト市の視覚芸術アカデミーで彫刻を学び、1980年代後半から数々の魅力的な作品を生み出してきました。

    1990年代以降は「ギャラリーユトレヒト」を始めとして、アムステルダム、ロスマーレン、ハーグ、ベルギーのヘントなど、多くの美術館や展覧会で作品展示をおこなっています。

    彼の心がリアリズム彫刻へと揺れ動いたその原点、それはある日曜日、故郷の野外展覧会で見たロダンの作品でした。

    彫像「考える人」で有名なフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin/1840-1917)の1877年の作品「L'Âge d'airain」を見たカント氏は、これこそが自分の求めるテーマだと確信したそうです。


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    左の画像が、カント氏が影響を受けたとされるロダン作の彫像「L'Âge d'airain」
    この写真は日本の兵庫県朝来市にある「但陽信用金庫会館」の本館に設置されている像を撮影したものです。

    そして右の画像はこの作品のモデルとなった22歳の男性。
    撮影は写真家のガウデンツィオ・マルコーニ(Gaudenzio Marconi/1841-1885)によるものです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tanyo Shinkin bank Hall03bs1800.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    File:Marconi, Gaudenzio (1841-1885) - 1877 - Auguste Neyt, modello 22enne di L'age d'arain.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    若きカント氏をリアリズムへと導いたロダンの彫刻作品。
    その素晴らしい造形は初めにモデルありきと言っても過言ではないでしょう。

    カント氏も自分の作品にモデルがいることは公言していますが、モデルの素性は一切明らかにしていません。
    でもその姿勢が素晴らしいですね。彼は写真家ではなく彫刻家なのですから。

    カント氏の作品は大きさこそ実物大ではありませんが、誇張も省略もしないそのリアルさはモデルへの敬意を感じさせます。

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    wim_van_der_kant-ad_dextram.jpg wim_van_der_kant-ad_dextram_like.jpg

    19世紀の彫刻家、オーギュスト・ロダンは22歳の男性をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。
    現代の彫刻家、ヴィム・ファン・デル・カントは12歳くらいの少年をモデルに精巧なブロンズ像を作りました。

    我々がそこから感じることは、そして学ぶべきことは、物体としてのリアルさはもとより、彫刻家とモデルの人生が交わったときにこそ美を後世に伝える作品が生まれるのだという、その歴史のリアルさではないでしょうか。


    Copyright : Win van de Kant

    人体画像出典
    Jeunes et Naturels (Copyright : Peenhill Ltd. Publishers)
    Sonnenfreunde (Copyright : Hanseatic Buch & Presse-Erzeugnisse)
    ウィキメディア・コモンズ
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    Millennium

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    ロシアの彫刻家、エフゲニー・ロタノフ(Evgeniy Rotanov/1940-2010)による1989年の作品「Millennium」

    ロシア北西部の都市サンクトペテルブルクにあるベリンスキーとモホヴォイ(方面?)の交差点付近に設置してある、高さ約180cmのブロンズ像です。

    頭上で腕を組み、誰かを待っているような仕草で大通りを眺めている少年。

    像が作られたのは1989年ですが、この場所に設置されたのは1999年です。
    ミレニアムというタイトルのとおり、西暦2000年を記念して設置されました。

    evgeniy_rotanov-millennium01.jpg evgeniy_rotanov-millennium02.jpg

    作者の制作意図は定かではありませんが、この場所に設置されたのには何か意味があるのでしょう。
    遠くを見ているのは未来への展望、背伸びは飛躍を意味し、膝を軽く曲げたポーズは躍動を表している・・・のかもしれません。

    作者のエフゲニー・ロタノフは1940年にロシアのウラル地方で生まれました。
    1959年から1965年までレニングラード高等芸術大学で芸術を学び、才能ある教師たちによって彼もまた頭角を現します。
    1968年に牧師学校を卒業してからは数多くの彫刻作品を作り上げました。

    彼は1980年から1988年にかけてサンクトペテルブルクの芸術家協会のメンバーであり、クリエイティブ部門の委員長でもありました。
    1999年にはアフガニスタンで死亡した兵士の記念碑のモニュメントプロジェクトにも参加しています。

    多数の展覧会を開き、彫刻に関する国際シンポジウムにも参加するなど、人生を彫刻に捧げたロシアの名誉ある彫刻家のひとり。
    現在彼の作品はモスクワのトレチャコフ美術館など、ロシアの多くの美術館にて展示されています。


    evgeniy_rotanov-millennium_bw.jpg evgeniy_rotanov-millennium_like.jpg

    エフゲニー・ロタノフ作「Millennium」と、それと同じポーズの人間との比較。
    (人体画像出典:Sonnenfreunde)
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    着色した彫像

    みなさんは彫像の色といえば何色を思い浮かべますか?
    金色、茶褐色、青緑色など、これはブロンズ像の色ですね。
    白色、グレー、アイボリーなど、これは大理石像や石膏像の色ですね。

    蝋人形やマネキンとは違い、美術館の彫像はほとんどが単一の素材で作られ、全身がほぼ同じ色です。
    これは彫像が人間の代替品ではないからです。

    ところが近年の美術研究によると、大昔の彫像の中には色を付けたり派手に装飾したものも少なくなかったそうです。
    もしかしたら今では美術品である彫像も、大昔は人間の代替品だったのかもしれませんね。

    ヨーロッパのバチカン市国にある「バチカン美術館」では、それを再現して着色した彫像がいくつか展示されています。
    もちろん本物に塗装するわけにはいきませんから、そっくりなレプリカを作って塗装したのでしょう。

    musei_vaticani-athena_lemnia.jpg musei_vaticani-apollon.jpg

    左は紀元前450年頃の女神アテナの像、右はギリシア神話の男神アポロンの像。
    どちらも着色して当時の彫像を再現したものです。

    出典:Top 10 Color Classical Reproductions

    こうして色のついた彫像を見ると、原色で派手なせいもありますが、随分と風格が落ちるもんですね。
    質感も軽くなり、なんだかハリボテのようにも見えてしまいます。


    wolff_eros02.jpg

    これはベルリンのナショナル・ギャラリーにある、ドイツの彫刻家エイミル・ウルフ(Emil Wolff/1802-1879)作の大理石像。
    ギリシア神話に登場する愛の神、エロースの像です。

    この画像の人体部分をPhotoshopを使って着色してみました。

    emil_wolff-eros_colour.jpg

    色味を派手にしなかったせいか、あまり安っぽくはなっていませんね。
    むしろ色を付けたことで、作者の造形技術の高さがより明確になりました。

    しかし先ほどのバチカン美術館の作品と同じく、どこか俗っぽさを感じさせるのは何故でしょう?
    素材の質感が失われるからでしょうか?
    それとも色を固定してしまうことで、見る者に想像の余地を与えないからでしょうか?

    彫像はその造形を味わうものであり、必要以上の色付けは彫像本来の味わいを落としかねません。
    人間の姿そのものが芸術であるとはいえ、リアル過ぎれば美術館には場違いな物に思えてしまいます。

    やはり美術館の彫像は、素材本来の色を活かした単色だからこそ、心に響くのだと思います。
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    Jeune Athlète

    jean_larrive-jeune_athlete.jpg

    フランスの彫刻家、ジャン・ラリヴェ(Jean Larrivé/1875-1928)による1908年の作品「Jeune Athlète」
    リヨンのパレ・サン・ピエールにある市立美術館「リヨン美術館」の庭に設置されています。

    英語のタイトルは「Young Athlete」
    若い運動競技選手という意味ですね。

    頭にハチマキ(包帯?)を巻いている若い選手を表現したこの作品は、1911年にこの場所に設置されました。
    緑青(銅の表面にできる緑色の錆)がアンティーク調の良い雰囲気を醸しています。

    足を肩幅に開き、背筋を伸ばしたポーズで横を見つめるアスリートの少年。
    視線の先にあるのはゴールでしょうか?ライバルの選手でしょうか?
    彼が欲するのは優勝のみ。
    他には何もいりません!パンツさえもいりません!

    作者のジャン・ラリヴェはフランスのリヨン生まれの彫刻家。
    1890年から1896年にかけてリヨンの美術学校で美術を学び、1897年にパリの国立美術学校に入学しました。

    その後1901年にフランス主催のコンクールにて2位を獲得。
    1904年にはローマ大賞のグランプリを獲得し、1905年から1910年までローマに滞在しました。

    彼は建築家との共同作業も多く、1901年には陶芸家のアレクサンドル・ビグーと建築家のジュール・ラビロットと共に、パリの7区にある大通り、ラップアベニューの入り口を設計しています。
    また、建築家のトニー・ガルニエとも多くのプロジェクトに携わりました。

    彼は1928年3月20日にフランスのリヨンで亡くなり、リヨンで最も古い墓地であるロワイヤス墓地に埋葬されました。
    リヨンの3区の通りには彼の名前が付けられています。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Jeune athlète, Jean Larrivé.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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    L’Enfant à la Vague

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    フランスの彫刻家、クレマン・ダスタニエール(Clément d'Astanières/1841-1917)による1886年の作品「L’Enfant à la Vague」
    フランス北部の都市ドゥエにあるシャルトルーズ美術館が所蔵しています。

    タイトルは「波の上の子供」という意味で、波打ち際で遊ぶ子供の像です。
    落ちないように怖々と、それでいて水面にギリギリまで近付きたい、そんな子供の心情が表れている作品です。
    ゴツゴツした岩場としなやかな体の対比が面白いですね。

    作者のダスタニエールは軍人の家系に生まれ育ちながらも、絵画や彫刻などに情熱を注ぎ、パリで芸術を学んだ後に軍隊に所属しました。

    1860年、彼は大戦の連隊に加わってウィーンの守備隊に就き、その後騎兵学校へと進みました。
    しかし1870年の普仏戦争(フランスとプロイセン王国の間でおこなわれた戦争)にて負傷し、ドイツ軍の捕虜となってしまいます。

    その後フランスに送還され、1871年にジョルジュ・ムートン将軍の孫娘と結婚しますが、芸術に専念するため1875年に軍隊に辞表を提出。
    芸術家としては遅咲きですが、1982年に初めての金メダルを獲得し、1887年のサロンや1889年のパリ万国博覧会など、多くの展覧会で数々の賞に輝いています。

    晩年はリウマチに苦しみ、1900年にフランスの漁港の町カップブルトンに安住の地を求め、亡くなるまでそこで暮らしました。
    現在は生前の意思に従い、この町の墓地に静かに埋葬されています。
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    Boy with a Snail

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    ハンガリーの彫刻家、イストヴァン・セントジェルジ(Istvan Szentgyörgyi/1881-1938)による作品「Boy with a Snail」
    制作年は不明です。
    この画像だと大理石像に見えますが、高さ約73cmのブロンズ像です。

    少年が手に持っているのはスネール、つまりカタツムリ。
    男の子の好奇心と小さな命の大切さが表現された作品です。

    私も子供の頃は、雨上がりに外に出てカタツムリを探したものです。
    現代はカタツムリに触れたことがない子も多いようですが、摘みやすい丸い殻、伸び縮みするユーモラスな動き、ヌルヌルした感触など、小さな子供の好奇心をくすぐる生き物であることは確かです。

    しかし今では寄生虫などの危険性が叫ばれているので、できれば触れないほうが良いでしょう。

    作者のイストヴァン・セントジェルジは新古典主義を実証したハンガリーの彫刻家。
    彼の作品の多くは「ハンガリー国立美術館」が所蔵しています。

    1881年生まれの彼は応用芸術学校で彫刻を学んだ後、1905年から1910年までベルギーのブリュッセルアカデミーにて彫刻家のチャールズ・ファン・デル・シュタッペンの生徒として学びました。
    その後多くの彫像を発表し、墓地や噴水等も手掛け、1925年にはアートスクールの教師となりました。

    この彫像は制作年が不明でモデルについても定かではありませんが、彼の作品には自分の子供をテーマとしたものがあるので、この子も息子さんかもしれません。
    きっとカタツムリが好きな子だったのでしょうね。


    istvan_szentgyorgyi-boy_with_a_snail_bw.jpg istvan_szentgyorgyi-boy_with_a_snail_like.jpg

    イストヴァン・セントジェルジ作「Boy with a Snail」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    Histrio

    durand_ludovic-histrio.jpg

    フランスの彫刻家、デュラン・ルドヴィク(Durand Ludovic/1832-1905)による1872年の作品「Histrio」
    フランスの都市ブロワにあるブロワ美術館が所蔵している大理石像です。

    タイトルの「ヒストリオ」とは「俳優・役者」という意味のラテン語。
    この時代だと舞台役者でしょうが、右手には衣装、左手には目と口がくり抜かれたマスクを持っています。
    出番前にくつろいでいるところでしょうか?

    非常にスタイルが良く、また表情やポーズも柔らかで、ヴィーナス像にも似た崇高さがあります。
    高い位置に設置されているので股間が目の前ですが、舞台俳優と考えると丁度良い展示位置かもしれませんね。

    作者のデュラン・ルドヴィクはフランスの都市サン=ブリユー生まれの彫刻家。
    16歳の時に美術学校エコール・デ・ボザールに入学し、彫刻家のフランソワ・トゥサンの弟子となりました。

    1872年に制作したこの彫像「Histrio」は、パリのサロンにて2位のメダルを獲得しています。
    1874年の作品でも3位のメダルを獲得し、その後も数々の大理石像を制作したフランスを代表する彫刻家のひとりです。

    この彫像は台座を含めた高さが約167cmなので、13歳の少年であればほぼ等身大です。
    モデルも実際にそのくらいの歳だったのかもしれません。

    舞台で何を演じるにせよ、これほどまでに美しいと服やマスクで隠すのがもったいないくらいです。
    かといってこのままの格好で出演したのでは、きっと主役を食ってしまうことでしょう。
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    モデル画像「Tinymodel - Sonny」

    フランスのパリにある「ルーブル美術館」の入館案内書の記述によると、美術モデルは紀元前からその存在が確認されており、モデルと名のつく物の中では最古の存在だそうです。

    美術モデルとは、絵画や彫刻を作り上げるにあたって用意する資料となる人間のことです。

    academy_modelboy.jpg aristide_maillol_and_modelboy.jpg
    美術モデルの少年たち

    19世紀に入り「写真」が発明されると、写真作品のためのモデルも現れ、それは職業にもなりました。
    写真が様々な用途に使われるに連れモデルという職業も様々に枝分かれし、今や手のモデル、脚のモデルも存在するほどです。

    絵画や彫刻のモデルはあくまでも素材であり、決して主役にはなりませんでしたが、写真やビデオの登場によりモデルはより存在感を高め、いつしかモデル自身が商品価値を持つようになりました。

    現代社会におけるモデルという職業には大きく分けて二通りあります。
    ひとつはファッションモデルや広告モデルのように、特定の商品や作品を引き立たせるためのモデル。
    もうひとつはグラビアアイドルのように、自分の姿を商品としたモデル。
    商品というと聞こえが悪いですが、要するに撮影した写真や動画等が商品となるモデルです。

    sukumizu_boygirl.jpg

    テレビ界では昔から子役や子供の歌手が人気を博していましたが、2000年代に入るとテレビとは違う分野で「水着モデル」の子供たちの活躍が目立ち始めました。
    水着モデルといっても水着を宣伝するモデルではなく、水着姿を披露するモデルです。
    美術モデルとは違い、ヌードにはなりません。

    それは日本ではジュニアアイドルと呼ばれ、ほとんどが女の子でした。
    商業的にはDVDの販売が中心でしたが、AVメーカーが制作に携わることもあったため次第に性的な演出が目立ち、内容が過激だとして問題視され、やがて終焉を迎えたのでした。

    同じころ海外では、水着やスポーツウェアを着た子供モデルを撮影するプロダクションが存在していました。
    定期的に50枚ほどの写真作品(JPEG画像)を制作し、オフィシャルサイトでサンプルを発表。
    有料会員のみが全ての画像をダウンロードできるという、まさにインターネット時代ならではの商法でした。

    日本と違い性別が偏ることはなく、また性的な表現もないため多くが合法的に運営されていました。
    しかしこちらもとっくにピークは過ぎたようで、現在も残っているサイトはごくわずかです。
    同じ水着モデルでありながら日本ではDVD販売、海外では画像DLが主流だったというのは面白いですね。

    sonny_001-030.jpg sonny_031-060.jpg

    そんな海外の水着モデルの中でもとくに印象に残っているのが、Tinnymodel-Sonnyというサイトで公開されていたソニー君。
    著作権の関係で実際の画像は掲載できないので、ここでご紹介するのはサムネイルのスクリーンショットです。
    各画像セットの一枚目を並べたもので、これらはオフィシャルサイトでもご覧になれます。

    【Tinymodel-Sonny】
    http://www.tinymodel-sonny.info

    現在は2代目ソニー君に代わっていますが、Free Previewのページを辿っていくと8ページ目から初代ソニー君のサムネイルが表示されます。

    sonny_061-090.jpg sonny_091-110.jpg

    2011年に登場した初代ソニー君は、ファッションモデルに引けを取らないほどの超美形な少年でした。
    確証はありませんがたぶん東欧の子で、年齢は11歳前後だと思います。
    顔や体形が綺麗なだけでなく、表情やポーズなど、モデルとしての実力もじゅうぶんでした。

    殺風景なスタジオ内での撮影でありながら、子供の撮影にありがちな同じような写真ばかりになることもなく、楽しそうな表情で様々なポーズを繰り出すソニー君はスタッフにとってはかなり有難いモデルだったのではないでしょうか。
    撮影を「美しさの記録を兼ねた思い出作り」として考えると、年齢的にもちょうど良い期間だったかもしれませんね。

    私はこの子を初めて見た時、中世を舞台にした物語の王子役が似合いそうな子だと思いました。
    7600枚以上の写真作品を残した水着モデルのソニー君は、モデル界の王子様として今後も語り継がれていくことでしょう。
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    Le charmeur de lézards

    daniel_bourcart-le_charmeur_de_lezards.jpg

    スイスの彫刻家、ダニエル・ブルカール(Daniel Bourcart/1862-1887)による1885年の作品「Le charmeur de lézards」

    岩の上でフルートを演奏している少年。
    スイスのジュネーブにある「モン・ルポ公園」に設置されているブロンズ像です。

    タイトルはフランス語ですが「トカゲの魅惑」と訳せます。
    少年の斜め下に1匹のトカゲがいるのがお分かりでしょうか?
    トカゲの魅惑というよりは、この子の演奏にトカゲがウットリ聴き入っているようにも見えます。

    作者のダニエル・ブルカールに関しては情報が少なく、検索してもまったくわかりませんでした。
    大きな公園に設置されているくらいですから無名ではないと思いますが、世界的に有名な彫刻家というわけでもないんですね。

    しかも生没年を見ると、なんと25歳で亡くなっています。
    この像は彼の死後、姉のエリーゼ・ブルカールによって街に寄贈され、1903年にこの公園に設置されたそうです。

    裸の少年が吹くフルートは、どんな音色を奏でるのでしょう?
    できることなら聴いてみたいですね。


    daniel_bourcart-le_charmeur_de_lezards_2.jpg daniel_bourcart-le_charmeur_de_lezards_like.jpg

    ダニエル・ブルカール作「Le charmeur de lézards」と、それと同じポーズの人間との比較。
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    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
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    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:22年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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