弓矢と褌

    以前書いた「キューピッドの弓矢」と題した記事では、最後に『手法による表現の違いはあれど、愛の神が人々の心に存在する限り、少年と弓矢の組み合わせはこれからも受け継がれていくのでしょう。』という言葉で締め括りました。(該当記事)

    たしかに弓矢を持ったアート作品はほとんどが少年です。
    弓矢を持った少女の像も存在するのかもしれませんが、私は見たことがありません。

    やはりその下地としてローマ神話の愛の神クピド(キューピッド)のイメージがあるからでしょう。
    19世紀に普及したポストカードやスタジオ写真には、小さな子供をクピドに見立てた作品が数多く見受けられます。

    julia_margaret_cameron-love_in_idleness.jpg

    イギリスの写真家、ジュリア・マーガレット・キャメロン (Julia Margaret Cameron/1815-1879)による1867年頃の作品「Love in Idleness」

    弓矢を小道具として使った肖像写真ですが、ちょっと眠たそうですね。
    子供のコスプレ写真を撮影するスタジオは今もありますが、その走りみたいなものでしょうか?

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Love in Idleness, by Julia Margaret Cameron.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    しかし弓矢を持った子供が全てキューピッドのイメージなのかと言うと、そうでもありません。

    postcard-two_naked_boys_hunting.jpg

    これは19世紀のポストカード。
    少年が弓矢を構えていますが、腰に褌(ふんどし)のような布を巻いており、どう見てもキューピッドではないですね。
    狩りをする野生の子というイメージで演出した写真でしょう。

    この写真のように褌姿の場合は弓矢を持っていてもそれはキューピッドではなく、多くはアメリカ大陸の先住民、つまりアメリカンインディアンをモチーフとした作品です。

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    indian_boy03.jpg indian_boy04.jpg
    【弓矢と褌でインディアンに扮した少年】

    アメリカンインディアンにとって弓矢は狩猟の道具であり、武器でもあります。
    弓矢は旧石器時代から中石器時代にかけて現れた道具で、オセアニアを除いたほとんどの国の歴史に登場します。
    最も初期のものと思われる明確な痕跡はヨーロッパにあり、ドイツからは18,000年前の弓矢も発見されています。

    また、彼らが身に着けている褌は日本のものとは形が違い、腰に巻いたヒモに布を引っ掛けるタイプが多いようです。
    着脱が容易であり、狩猟においては日本の褌のような巻き付けるタイプよりも利便性が高かったのではないでしょうか。

    indian_hunter_and_his_dog.jpg
    【Indian Hunter and His Dog】
    Alexis Rudier Fondeur/1926年フランス

    画像出典:Indian Hunter and His Dog
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    西洋褌(ロインクロス)を身に着けて、洋弓(アーチェリー)を持っているというこのスタイルはアメリカンインディアンに由来したものですが、中にはこの組み合わせでありながらインディアンとは無関係の作品も存在します。

    loincloth_boy_and_bow.jpg loincloth_boy_and_arrow.jpg
    【褌姿で弓矢を持つ少年】

    左はフランスの写真家ジェレミー氏によるもので、右は詳細不明。
    どちらも小型の褌を着用しており、左の子は弓を、右の子は矢を持っています。

    この写真のモチーフはキューピッドでもインディアンでもありませんね。
    弓矢と褌は単に勇ましさを引き立てるアイテムとして使っているのでしょう。

    弓矢も褌も古来より人々に愛用されてきた道具で、どちらもその歴史は有史以前にまで遡ります。
    アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジアの多くの国々で人間の生活とともに歩み、その形を変えることなく今に至るアイテム。

    現代の生活にはどちらも馴染みの薄いものですが、絵画、彫像、写真に登場している場合は、そこから古い歴史を鑑みてみるのも良いのではないでしょうか。
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    タグ: America  Europa  Asia  少年  衣装  伝統  彫像  OldPhoto  Thong  CC-License 

    大自然の家族

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    今年の夏は家族でどこへ行きましたか?
    日本にはなかなかこういう場所がないけれど、
    大自然の中での開放感は心と体の健康に最適!

    FKK Family fun
    Copyright : naked.hedonist
    パブリックドメイン
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    可愛いシンメトリー

    2018-03-25_05-03-56

    映画「シャイニング」では恐怖の表現として、
    シンメトリー(左右対称)が効果的に使われていました。
    こちらのトイレもシンメトリー。
    真夜中のホテルでこんな光景に出会ったら、どうしましょう?

    2018-03-25_05-03-56
    Copyright : MATĚJ, JÁCHYM a NIKOLKA
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)
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    タグ: Europa  少年 

    天使の工房

    Wyatt

    天使くん、これから何を作るんだい?
    天地創造を成した神様のようにはいかないだろうけど、
    思うがままに、創造してみよう!

    Wyatt
    Copyright : Sara
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)
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    Knabe

    margit-tierpark_berlin_knabe.jpg

    ドイツの画家であり彫刻家である女性、マルギット・シェッシェル(Margit Schötschel/1933-2017)による1980年の作品「Knabe」

    Knabeとは、ドイツ語で少年を意味するちょっと古めの言葉だそうです。
    日本では子供を古い言い方で童(わらべ)と言いますが、そんなニュアンスかな?

    うつ伏せになって遊んでいる子が誰かに呼ばれて振り向いたような像ですね。
    このブロンズ像はドイツのベルリンにある動物園「ティアパーク・ベルリン」、バルニム郡の町ベルナウの老人ホーム、シュヴェリン地区の町ランコウにそれぞれ設置されています。

    地べたにそのまま置かれているわけではなく、花壇の中に植物とともに設置されています。
    花が咲き誇ると、ヤンチャな子が花壇に入ってしまったようにも見えるでしょうね。

    作者のマルギット・シェッシェルは建築家ヨハネス・ガブリエルの娘です。
    彼女は家族のために14歳ですでに農業の仕事に従事し、16歳で家政婦の見習いとなりました。
    その後、幼稚園の教師となるべく職業訓練を始め、19歳で教師の資格を得て、アイゼナハの児童施設に就職しました。

    そのころ彼女は独学でアートを学んでおり、1954年から1960年まではドイツの彫刻家ハイリッヒ・ドレイクやワルデマール・グルジメクの作品から多くを学びます。
    結婚後は夫と共にベルリンのビジュアルアーティスト協会に参加し、フリーランスのアーティストとして活動しました。

    1979年に彼女は10代のモデルサークルを設立し、ディレクターを務め、主に障害者の人々と働き始めます。
    彼女のサークルはクリエイティブなワークショップに発展し、広く知られることとなりました。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tierpark Berlin 250-355.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    ところで・・・
    この作品のように地面に直接寝転がっている彫像は公園内であっても珍しいと思うのですが、詳細不明ながらこのような像もありました。

    unknown_statue_sleeping_girl.jpg

    これはブロンズでしょうか石でしょうか?女の子が地面に仰向けに横たわっている像です。
    目が開いているようにも見えるので、眠っているのではなく寝転がって遊んでいるシーンでしょうね。
    詳細不明とは言っても私が知らないだけですので、もしかしたら有名な作家の作品なのかもしれません。

    マルギット・シェッシェルのうつ伏せの男の子像も、この仰向けの女の子像も、作者は無邪気に遊んでいる子供の様子を表現したに違いありません。
    しかし見る人によっては、あるいは伝え方によっては、誤解を受けそうな作品であるようにも感じます。

    とはいえ、アートはある意味、見る者の心の内を映す鏡のようなものですから、子供たちが遊ぶ公園にはこのようなリトマス試験紙のような像があったほうが良いのかもしれません。
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    露天風呂

    DSC05416

    せっかくの露天風呂なのに、天気がイマイチだったね。
    でも子供は小さな魔法使い。
    魔法のスティックをひと振りすれば、太陽だって顔を出す。

    DSC05416
    Copyright : 하나만쥬 꽃만두
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)
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    タグ: Asia  少年  風呂 

    安全地帯

    5958777186.jpg

    「ママは波のほうに行っちゃダメって言うんだ」
    「ボクたちだって泳ぎたいのに〜」

    キミたち、パンツがひとりでに脱げてしまううちは、
    ママの言うとおりそこで遊んでいようね。

    The two most adorable beach bums on the planet.
    Copyright : Mark Iocchelli
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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    タグ: America  少年  Water  CC-License 

    シルエットクイズ

    【シルエットクイズ!彫像と人間】

    下に12枚のシルエット画像が並んでいます。
    これは彫像の姿と人間の姿をトレースしたものです。

    さて、どれが「彫像」で、どれが「人間」か、わかりますか?

    (注:スマホ版表示では画像のレイアウトが崩れるので、PC版表示で見ることをお勧めします)


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    9silhouette09.jpg 10silhouette10.jpg

    11silhouette11.jpg12silhouette12.jpg


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    タグ: America  Europa  少年  少女  ♂♀  彫像  OldPhoto  CC-License 

    Jeune garçon portant un flambeau

    abel_de_pujol-Jeune_garcon.jpg

    フランスの画家、アビル・デ・プジョル(Abel de Pujol/1785-1861)によるデッサン作品「Jeune garçon portant un flambeau」

    制作年は不明ですが、たぶん作者の美術学校時代の習作でしょう。
    美術の基本とも言うべき人物デッサン。
    その形がシッカリと描かれており、右腕の横に見られる薄い線からは腕の位置に悩んだ様子もうかがえますね。

    手に持っているのは松明(たいまつ)でしょうか?
    古代ギリシアのオリンピックをイメージしているのかもしれません。
    なんとなく顔が千原ジュニアに似ているような気もしますが、上半身の筋肉の発達具合は立派ですね。

    余談ですが、この頃の美術学校のヌードモデルは仕事として学校と契約していたのでしょうか?
    それとも教師が自分の子や知り合いのお子さんに謝礼を払ってモデルになってもらっていたのでしょうか?
    このへんの事はそのうちきちんと調べてみたいと思います。


    作者のアビル・デ・プジョルは、1785年にフランス北部の都市バランシエンヌで生まれました。
    アカデミーではジャック・フランソワ・モマルの生徒となり、卒業後はパリでジャック=ルイ・ダヴィッドの弟子となりました。

    1811年にはローマ賞を獲得し、その後はパリのルーブル宮殿の大階段の天井画、フォンテーヌブロー城のダイアンギャラリー、ブロンニャール宮殿の天井画を手掛けました。
    また、パリのブルボン宮殿やサンシュルピス教会の礼拝堂のフレスコ画も担当しています。

    彼は1814年にマリーという女性と結婚し、4人の息子をもうけます。
    息子はそれぞれ、歴史画家、名誉軍団の騎士、中等教育機関の教授、芸術省の事務局長となりました。

    プジョルは1861年に76歳で死去し、現在はバランシエンヌのサン・ロック墓地に埋葬されています。
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    バングラウォッシュ

    Bath Time (15,000+ views!)

    井戸の前で体を洗うバングラデシュの男の子。
    ひとりで洗えるなんて偉いね。
    ゴツゴツした石には気を付けて。

    Bath Time (15,000+ views!)
    Copyright : Russell John
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    タグ: Asia  少年  ♂♀  笑顔  Water 

    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログでは天使や子供をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:22年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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