Lída Šechtlová

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    チェコの写真家、ヨセフ・インジヒ・チェチェル(1877-1954)による1921年の作品「Lída Šechtlová」

    写真スタジオで撮影された少女モデルのポートレイトです。
    作者の娘さんだと思いますが、1912年生まれなので撮影時は9歳ですね。

    オフィシャルサイトの注釈には「彫刻家のJ.V. Dušekと協力して撮影」とあったので、彫刻のモデルもしていたのでしょう。
    均整のとれた体形をした良いモデルですね。
    彼女の他の写真はオフィシャルサイトでご覧になれます。

    画像出典:Digitální archiv Šechtl a Voseček - Liduška Šechtlová


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    作者のヨセフ・チェチェルは19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した、肖像写真を専門とするチェコの写真家。
    1877年、チェコの都市ターボルにて、写真家のイグナック・チェチェル(1840-1911)の2番目の子として生まれました。
    父親が写真スタジオを経営していたため幼い頃から写真に興味を持ち、中学卒業とともにプラハのジャン・ビリム印刷工房で見習いとして働き始めます。

    2年後の1893年にケルンのスタジオで写真家の職に就き、その後21歳の時に軍に入隊し2年間務めてから、父親が設立した写真会社「Šechtl & Voseček」で働き始めました。

    彼は父親とともに、肖像写真からドキュメンタリー、ストリート撮影など、幅広い分野の撮影をおこなっていました。
    作品はポストカードや写真集などの出版物として販売され、小さな町にもかかわらず彼の作品はチェコで大きな評価を得ます。

    1904年に父親から事業を受け継いだ彼は、父親の死後チェコ各地にスタジオを展開し、事業はさらに繁栄していきました。
    彼の作品はもともと絵画の影響を受けていましたが、1911年に結婚してからは芸術好きな妻アンナの影響を強く受けたそうです。
    翌年には最初の子が生まれ、順風満帆な日々を送っていました。

    しかし1926年、わずか半年前に2番目の子を産んだばかりの妻のアンナが腎臓病により他界。
    翌年に再婚するも、彼は家庭よりも仕事を優先し、もはや幸せな家庭生活とは言えなかったようです。

    1944年に彼の息子とその妻がスタジオの経営を引き継ぎますが、1951年に政府によって作品とスタジオが国有化されてしまいます。
    わずかな年金のみを受け取った彼は、その後、生まれ故郷のターボルにて77年間の生涯を終えました。

    父親のイグナックから息子のヨセフへ、そしてその息子夫婦へと3世代に渡り150年以上も守り継がれた写真作品の数々は、ターボルにあるŠechtl & Voseček博物館が所蔵しています。

    現在アーカイブのデジタル化プロジェクトが進行しており、ほとんどの作品はオンラインで閲覧が可能です。


    【Šechtl a Voseček】
    http://sechtl-vosecek.ucw.cz

    タグ: Europa  少女  ♂♀  OldPhoto 

    Rückenakt eines Knaben auf roter Matratze

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    ドイツの画家、リチャード・ミュラー(1874-1954)による1933年の作品「Rückenakt eines Knaben auf roter Matratze」
    タイトルは「赤いマットレスの男の子の背中」という意味。

    最初は少女かと思いましたが、少年だったんですね。
    作者の息子さんでしょうか?
    右上に扇風機のようなものが見えるので、暑い日に部屋でゴロ寝しているところかもしれません。

    絵柄はシンプルながらも緻密に正確に描写しており、とくに背中から腰にかけての柔らかな質感は見事ですね。
    息子がモデルであるならば、じつに良いシチュエーションに出会ったものだと思います。

    作者のリチャード・ミュラーは1874年、チェコ共和国のボヘミアで織物職人の息子として生まれました。
    14歳のときにドイツのマイセン地方の美術学校に入学すると、彼はメキメキと頭角を現します。
    1890年には、まだ16歳であるにも関わらず、これまでで最も若い学生として美術アカデミーへの入学が認められました。

    彼は1895年にグラフィック・アーティストであり彫刻家でもあるマックス・クリンガー(1857-1920)と出会い、エッチングの技術を習得します。
    エッチングとは様々な分野で応用される技法ですが、美術用語としては銅板などの金属表面を酸で腐食させて凹版を作る技法、およびこれを利用して刷った版画を指します。

    彼の作品を見てみますと、通常の油彩だけでなく図鑑の挿絵のような緻密なドローイングが多数見受けられますが、エッチングの技術がこれらの作品作りにも役立ったということでしょう。
    彼は1896年、プロイセン芸術アカデミーの展覧会にて見事グランプリを獲得しています。

    1900年からはアカデミーの教授を務め、1933年には会長に就任した彼でしたが、2年後の1935年、当時の教育大臣であるヴィルヘルム・ハートナック大臣から、作品の思想が破壊的な傾向にあるとして退任させられてしまいます。

    たしかに彼のドローイング作品はどことなく退廃的で深く考えさせられるものが多いのですが、教育者としては不適切と判断されてしまったのでしょうか?
    単に大臣の好みの問題だったのかもしれませんが。

    しかし彼の作品は世間からは高い評価を得ており、1939年にはミュンヘン市の美術館、ハウス・デア・クンストにて数々の展覧会をおこなっています。

    第二次世界大戦当時のドイツで最も重要なアーティスト、と言わしめるまでになったリチャード・ミュラー。
    1954年にドイツ東部の都市ドレスデンにて、その80年の生涯を終えました。

    タグ: Europa  少年  絵画  眠り 

    ベイヨー・ロンコネンの彫刻作品

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    画像出典:BIGSTOCK

    フィンランドの南カレリア州のパリッカラに存在する奇妙な彫刻庭園。
    この場所を訪れた人は、誰もが驚きの声を上げることでしょう。

    この画像だけでは驚きが伝わらないので、まずはGoogleの画像検索をご覧ください。
    Googleの画像検索で「Veijo Ronkkonen」を検索

    多くの人が「なんだこれは!?」と思ったのではないでしょうか。

    あまりにも奇抜で不気味な彫刻の数々。
    しかも森の中に数百体が設置されているという、彫刻庭園というよりもお化け屋敷か肝試し会場のよう。

    veijo_ronkkonen02.jpg

    彫像と言うべきか人形と言うべきか、大雑把な粘土細工にも見えるこれらの作品。
    一体一体がそれぞれ違うポーズをしており、塗装までされているので不気味さがさらに増しています。

    さらにこの庭園、スピーカーで森の中に効果音を流すなど、観客を楽しませる(怖がらせる)仕組みにも凝っているようです。

    作者はベイヨー・ロンコネン(1944-2010)というフィンランドの彫刻家。
    若いころ製紙工場で働いていた彼は、1961年に彫刻を作り始め、以後人生の大半を彫刻作りに費やします。

    16歳の時に最初の給料でリンゴの苗木10本と、コンクリートを購入した彼。
    ここから「家の周りに広大な森を作り、そこに自作の彫刻を設置する」という彼の壮大な計画が始まります。
    彼はその後50年間で約450体もの彫刻を作り上げ、この奇妙な彫刻庭園は完成したのでした。

    彼は家から出ることがあまりなく、他人ともコミュニケーションを取りたがらない人でした。
    死去する3年前の2007年には「フィンランディア賞」を受賞しましたが、授賞式には出席していません。

    彼は庭園を訪れる客と会うこともほとんどありませんでした。
    しかし庭園にはゲストブックが設置され、そこに書かれる客からのメッセージを読むことが彼の楽しみだったそうです。

    彼の死後、この彫刻庭園は親族によって売却されました。
    現在は別のオーナーによって運営され、毎年2〜3万人が訪れるパリッカラの人気観光スポットとなっています。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像 

    みだれ髪ダンス



    ダンススクールの子供たちがクールなダンスを披露。
    長い髪を効果的に使って、歌舞伎の連獅子みたいだね。
    男の子がもうちょっと目立つとイイな。

    Elvana Gjata - Puthe - Dance Cover
    Copyright : Dreams House Dance Academy
    標準の YouTube ライセンス

    タグ: Europa  少年  少女  衣装  ダンス  動画 

    Strömkarlen

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    スウェーデンの画家、エルンスト・ジョセフソン(1851-1906)による1884年の作品「Strömkarlen」

    水の流れる岩場で少年がバイオリンを弾いています。
    この少年はノッケンまたはネックという名で呼ばれる、ゲルマン神話・民話に登場する水の精霊です。
    主な物語は、バイオリンの音色で女性と子供を引き寄せて川や池で溺れさせようとする、というものですが、演奏を聴かせるだけで危害を加えないという話も残っているそうです。

    清流の音とバイオリンの二重奏とはたしかに優美。
    しかしこれがもし現代社会での出来事なら、女性と子供どころか、おまわりさんを引き寄せてしまうでしょう。
    そもそもバイオリンは水のかかる場所で使っても良いものなんでしょうか?

    とは言えこの作品は見事。
    水しぶきといい精霊のポーズといい、実際に音が聞こえてきそうなほどの臨場感。
    足下のハスの花も良いアクセントとなっています。

    作者のエルンスト・ジョセフソンはスウェーデンの画家。
    16歳のときに首都ストックホルムの国立美術学校、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに入学しました。
    その後イタリア、フランス、オランダなどで本格的に美術を学んだ彼は「私はスウェーデンのレンブラントになるか、死ぬかのいずれかだ」とまで語っていたそうです。

    その言葉どおり、彼はその後大きな成功を収めました。
    1876年には国から王冠を授与され、1879年にもフランスのパリでその功績が認められています。

    彼の主な仕事は肖像画や民族絵画の制作でしたが、1884年のこの作品「Strömkarlen」は彼の名を一躍有名にしました。
    ところがこの絵はストックホルムの王立博物館から展示を拒絶されてしまいます。
    スウェーデン国王オスカー2世の孫であるエウシェン王子は、この博物館の決定に怒り、自らこの絵を買い取ったそうです。

    王子からも有望視された彼でしたが、37歳のときに精神分裂病を患い、ウプサラの病院に入院します。
    それからは幻覚や過食症、宗教的妄想に悩まされる日々を送り、絵のスタイルにも変化が現れました。
    発症後の彼の絵には、細かなパターンとドットを繰り返し使用する絵と、大胆で自信に満ちた描写の絵の2種類が見受けられるそうです。

    しかし彼の作品はパブロ・ピカソとアンリ・マティスにも影響を与えたと言われており、1896年にはベルリン国際美術展にて金メダルを獲得しています。
    その後はストックホルムに移りますが、1906年に妻と娘に看取られながら55歳の若さで亡くなりました。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Stromkarlen 1884.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    タグ: Europa  少年  Water  ♂♀  絵画  CC-License 

    人間になれたら...

    george_rennie-hymen.jpg george_rennie-hymen_like.jpg

    以前の記事で、絵画の中の人物が本物の人間になって現れたら・・・と考えてみたことがありましたが(該当記事)、イメージを掴みやすいのは絵画よりもむしろ彫像のほうでしょう。
    もともと彫像は駅前や公園にも設置され、街の風景にすっかり溶け込んでいますから。

    彫像が勝手に動き出したらそれこそホラーですが、数十年前までは夏になると、動く芸術作品があちらこちらの水辺で見られたものです。
    公園の池でも、動かぬ芸術作品のそばで動く芸術作品がはしゃぎまわる光景は珍しくありませんでした。

    今回は「もし彫像が本物の人間になったら・・・」というテーマで、同じポーズをしている画像を並べてみました。

    上の画像はスコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(1802-1860)による1831年の大理石像「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」

    ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で展示されている、婚姻の神ヒュメンの像です。
    いつもライトで照らされているとはいえ、もし人間になれたら暖かい太陽の下で水浴びしたいでしょうね。


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    ハンガリーの彫刻家、ベニ・フェレンツィ(1890-1967)によるブロンズ像「Kisfiús díszkút」

    首都ブタペストのベルヴァーロシュという街の通りに設置されているこの像は、うつむき加減でどことなく寂しげ。
    もし人間になって自由に歩けたら、少しは笑顔になれるでしょうか?
    潮風を気にすることなく、広い海岸を歩かせてあげたいですね。


    街にある彫像がなぜ裸なのか、考えてみたことがありますか?
    現代社会の中で我々がつい忘れがちな、生命への敬い、自然からの恩恵、そして人間であることの意味。
    それらを無意識のうちに理解させてくれるのが、真の姿、すなわち心の鏡としての彫像たち。


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    フランスの彫刻家、フランソワ・ジョゼフ・ボジオ(1768-1845)による1817年の大理石像「Hyacinth」
    右はフランスの写真家、ジェラール・マロ(1946- )による1982年の写真作品。

    ルーブル美術館で展示されている横たわるヒアキントスの像。
    頭に円盤が当たって倒れ込んだシーンですが、その美しい姿態はたくさんの人を感動させています。
    もし命を吹き込まれたら、さらに多くの人を魅了することでしょう。


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    スイスの彫刻家、アンリ・ケーニッヒ(1896-1983)による1975年のブロンズ像「Adolescent」
    右はフランスの写真家、ジャックス・デュバル(生没年不明)による1985年の写真作品。

    ジュネーブのヴォルテール博物館の前で、腰に手を当てて立っているスタイルの良い男の子の像。
    もし人間になったら、この場所で交通安全運動でもしてもらいましょうか。
    えっ?わき見運転が増えそう?


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    アメリカの彫刻家、チャールズ・レイ(1953- )による2006年の彫刻作品「The New Beetle」

    車のオモチャで遊ぶ彫像の男の子も、浜辺で弁当箱のようなものを開ける人間の男の子も、どちらもくつろいでいることに違いはありません。
    違うのは、かたわらに家族がいるか否か。


    siegfried_krepp_1970.jpg siegfried_krepp_1970_like.jpg

    ドイツの彫刻家、ジークフリード・クレープ(1930-2013)による1970年のブロンズ像。

    住宅街の公園に設置されているこの彫像は、人間になっても逆立ちを続けるのでしょうか?
    雨の日も、風の日も、来る日も、来る日も・・・。


    人形が人間になるという話で最も有名なのは、イタリアの作家、カルロ・コッローディ作の童話「ピノッキオの冒険」
    ピノキオの名でも知られ、多くの映画やアニメーションが作られました。

    「人間になれたピノキオは幸せだったのだろうか?」という疑問は今でも論じられることです。

    街の彫像は人間になれたらはたして幸せなのでしょうか?
    美術館の彫像はすぐにでも外に出たいと思うかもしれません。
    駅前の彫像はもっと静かな場所に行きたいと思うかもしれません。

    しかし彫像たちはきっと、動きたいとは思っても人間になりたいとは思わないでしょう。
    何故なら彼らは、自分たちに課せられた大切な役割を知っているのだから。

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  OldPhoto 

    Badende gutter. Sommerdag

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    ノルウェーの画家、ハンス・ヘイエルダール(1857-1913)による1886年の作品「Badende gutter. Sommerdag」

    海岸の岩場で水に飛び込んで遊ぶ子供たち。
    手前の子はちょっと恥ずかしそうな仕草ですが、そこは無邪気な天使たち、すぐに翼を広げてはしゃぎ出すでしょう。

    タイトルは日本語に訳すと「入浴する少年たち・夏の日」となります。
    なかなか風情のあるタイトルですね。
    たしかに岩場に腰掛けてこんな情景を一日中眺めていられたら、日々のストレスも解消できるはず。

    現代は子供に対してイライラしたりムラムラしたり、いずれにしても感情を高ぶらせる人が多くなりました。
    つまり子供のいる光景に落ち着いた風情を感じる人が少なくなったように思います。
    これも日常から天使の姿が遠ざかってしまったひとつの弊害と言えるかもしれません。


    作者のハンス・ヘイエルダールはスウェーデン生まれのノルウェーの画家。
    1857年にスウェーデンのダーラナ県で生まれ、2歳の時に家族とノルウェーのドラメンに移り住みました。

    1873年にクリスチャニア(現在のオスロ)の美術工芸学校に入学し、画家のペダー・カペレン・サーマン(1839-1919)のもとで美術を学びました。
    その後は1877年までドイツの「ミュンヘン美術院」で学び、1878年から1882年まではフランスのパリに在住。
    パリのサロンで3位のメダルを獲得した彼はその後も精力的に制作を続け、1881年の作品ではグランプリを獲得しています。

    その後ノルウェーに戻ってクリスチャニアに定住した彼は、仲間とともに私立の絵画学校を設立しました。
    彼の描いた肖像画や風景画、北欧の歴史をモチーフとした作品は高い評価を得て、彼はノルウェーにおける写実主義画家の第一人者となりました。


    写実主義とは、現実主義とも言いますが、現実の光景を客観的にありのままに捉えようとする主義のこと。
    つまり写真で言えば、演出やエフェクトを施さない記録写真のようなものです。
    この少年たちの絵も、その時たしかにそこには海があり、船が浮かび、裸の少年たちがいて、そしてそれを見つめるひとりの画家がいたわけです。

    裸の子供が遊んでいる、その光景に風情があるのではなく、それが当たり前の環境があってこその風情。
    人々が忘れてしまったかつての情緒を、古い絵画はそれとなく教えてくれています。

    タグ: Europa  少年  Water  絵画 

    Narcisse

    jean_pierre_cortot_narcisse01.jpg

    フランスの彫刻家、ジャン=ピエール・コルト(1787-1843)による1818年の作品「Narcisse」
    フランスのアンジェ美術館で展示されている大理石像です。

    英語ではNarcissusと書く、ギリシア神話に登場するナルキッソスという名の美少年。
    泉に映った自分の姿を見て自分に恋をしてしまった少年で、自己愛を意味する「ナルシスト」の語源でもあります。

    泉の片隅に座り込み、自分の姿を眺めているナルキッソス君。
    自己中だったり自分の能力を過信するいわゆる「うぬぼれ」の人ならごまんといますが、自分自身に恋をするというのはやはり特殊な感情なのでしょう。

    しかしナルキッソス君がそうなったのにはワケがありました。
    ある日、エコーという名の森の精霊が彼に恋をします。
    しかし彼はその求愛を冷たくあしらい、エコーを見捨てました。
    それを知った神メネシスは怒り、ナルキッソスに他人を愛せなくなる呪いをかけたのでした。

    メネシスによって泉へと呼び寄せられたナルキッソスは、水を飲もうと水面に近づき、そこに映る美少年(自分自身)に恋をしてしまいます。
    そしてそこからいっときも離れることができなくなり、やがてやせ細って死んでしまいました。

    ナルキッソスの亡き骸のあとにはスイセンの花が咲いたと言われています。
    スイセンを英語でNarcissus(ナルシスまたはナーシサス)と言うのはそのためです。

    jean_pierre_cortot_narcisse02.jpg

    1枚目の画像も構図的にはなかなか良いのですが、やはりこの作品の良さは足のほうから眺めてこそだと思います。
    顔だけでなく体全体が美しい子ですね。

    この像の作者であるジャン=ピエール・コルトはフランスの首都パリ生まれの彫刻家。
    13歳のときに彫刻家のチャールズ・アントワーヌ・ブリドンの講座に出席し、その後は彫刻家のもとで働きながら古代彫像の制作などに携わりました。

    1809年にパリのエコール・デ・ボザールにて彼の作品がグランプリを受賞。
    その後はイタリアのローマに移住し、その頃同じくローマに滞在していた画家のジャン・オーギュスト・ドミニク・アングルの友人となりました。

    1819年、パリに戻った彼はサロンにてこのナルキッソスの大理石像を発表します。
    この像は人々から高い評価を得て、彼の名声を確実に高めました。
    その後1840年まで作品を発表し続け、その間1825年にはサロンの所長に選出され、さらにエコール・デ・ボザールの教授となりました。

    ジャン=ピエール・コルトは18世紀後半のフランス芸術とグレコローマンの伝統を継承した、新古典主義の流れを汲む彫刻家でした。
    生涯にわたりロマンチックな表現を貫き、数々の名作を残した彼は、1843年に55歳の若さでこの世を去りました。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:AngersMBA 14.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    YouTubeより
    「平沢 進 - ナーシサス次元から来た人」


    ♪ 香れよ胸の水仙 尽きる命をなだめて
     吹けよ街に 一陣の風 眠る我が子が癒えるまで...

    ライブ映像はこちら

    タグ: Europa  少年  Water  ♂♀  彫像  CC-License  音楽紹介 

    写真家の清岡純子さんと女神のようなモデル

    ingres_la_source-trace.jpg kiyookamodel-trace.jpg

    いきなりですが問題です。
    上の線画のうち、左の画像はある有名な美術作品の人物をトレースしたものです。
    その作品とはいったい何でしょう?

    解答もいきなりですが・・・
    答えはフランスの画家、ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(1780-1867)の1856年の作品「泉」でした。(原題:La Source)

    元の絵を知っている人には簡単な問題でしたね。

    jean_auguste_dominique_ingres_-_the_spring.jpg
    アングル作「泉」
    File:Jean Auguste Dominique Ingres - The Spring - Google Art Project 2.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    では上の線画のうち、右側の画像は何をトレースしたものかわかりますか?

    「ヴィーナスの誕生かな?」「ギリシア神話の三美神のひとり?」「このふくよかさはルネサンス期の宗教画かもしれない」・・・と、多くの人が西洋絵画だと思ってしまうでしょう。

    じつはこれ、日本の写真家、清岡純子さん(1921-1991)の1981年の写真作品から、そこに写るモデルをトレースしたものです。
    残念ながら元の画像は掲載できませんが、西洋絵画の裸婦像に非常に近い体形をしていることがわかると思います。


    私は中学生のときに美術科で初めてアングルの「泉」を知り、その均整のとれた美しい姿に感動を覚えました。
    多感な時期でしたが性的な感情ではなく、純粋に人間の形に感動したのでした。

    アングルの「泉」の女性は人間ではなく泉を擬人化したもの、つまり簡単に言えば泉の精霊です。
    女神や天使の姿もそうですが、作者は架空の存在に自分の理想を当てはめ、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら美を追求していくわけです。
    アングルは「泉」を描き上げるのになんと36年を要しています。
    私はそんな、理想の美を追い求める作者の姿勢にも共感し、美術がさらに好きになりました。

    2年後の高校生のとき、私は地元の駅前にある大きな書店の美術図書コーナーに立ち寄りました。
    そして目の前の棚から何気なく一冊の写真集を手に取ったとき、私はアングルの「泉」を見たとき以上の衝撃を受けました。
    何しろそこに写るモデルの女性が、まるでアングルの「泉」から抜け出てきたかのような姿をしていたからです。

    それは単にヌードだからということではなく、身体の形、縦横の比率、適度なふくよかさ、優しい表情に至るまで何から何までそっくりでした。
    そのモデルは当時の私よりも4歳ほど年下の少女でしたが、私はその子に女神様のような神々しさを感じました。

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    タグ: Europa  日本  少女  Water  ♂♀  絵画  CC-License 

    J.L.デルモンテの彫刻作品

    j_l_delmonte_unknown.jpg

    ベルギーの彫刻家、J.L.デルモンテ(生没年不明)による、水をかぶる少年のブロンズ像。
    場所は公園の休憩所でしょうか?
    こういう涼しげな像を見ながら1日をのんびり過ごすのも良さそうですね。

    この彫像、下が池になっており、バケツのところから水が出るようになっています。
    この子は罰を受けているわけでも荒行をしているわけでも、アイス・バケツ・チャレンジをしているわけでもありません。
    たぶん川などで沐浴しているシーンでしょう。

    各地の公園には噴水彫刻が設置されていることがありますが、このように本体に常に水が掛かる構造のものは少ない気がします。
    いくらブロンズでも常に濡れていたら腐食しやすいですから。
    水垢も付きやすいので日々の手入れは大変でしょうが、訪れる者にとっては非常に見応えのある像だと思います。

    また、少女ではなく少年であるところもよく考えられています。
    何故かって、男性なら風呂で湯をかぶったときにわかると思いますが、勝手に小便小僧になってしまうんですよね。(^^)
    そんな水の動きの面白さもこの像の魅力といったところでしょうか。

    bucketshowerboy.jpg unknown_fountain_sculpture.jpg

    同じ姿の人間と彫像。
    「ちょいとそこの少年くん、バイトしないかい? 水をかぶるだけの簡単な仕事さ!」
    もしこんなことを言われても、実際にやるのは超大変。
    1時間もやっていたら手足はふやけ、体は冷えきり、確実に風邪をひいてしまいます。

    やはりこういうことはブロンズ像にまかせたほうが良いみたいですね。

    作者のJ.L.デルモンテに関しては情報がまったく得られませんでした。
    検索してもトマトケチャップばかり見つかります。(T_T)

    タグ: Europa  少年  Water  ♂♀  彫像 

    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:21年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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