「ヘンリク・ルボミルスキ」という少年

    canova_henryk_lubomirski01.jpg canova_henryk_lubomirski02.jpg

    唐突ですが、皆さんは「世界で最も美しい少年」といったら誰だと思いますか?

    洋画が好きな人なら海外の子役から選ぶでしょうし、「そりゃあもちろんうちの子だよ」という親御さんもいるでしょうね。
    以前このブログで紹介した日本のジュニアモデルの男の子もかなりの美形でした。

    ギリシア神話では、花のヒアシンスの語源となった「ヒアキントス」という少年は、太陽の神アポロンと西風の神ゼピュロスの両方から惚れられるほどの美少年でした。
    花のスイセン(Narcissus)の語源となった「ナルキッソス」という少年は、泉に映った自分の姿に恋をしてしまったそうです。(自己愛を意味するナルシストの語源でもあります)
    また「ヒュラス」という少年は、彼のあまりの美しさに魅了された泉の精霊たちにより、水の中に引き込まれてしまいました。

    これらは神話なのでもちろん実在した人物ではありません。(宗教的には実話ってことになっているんでしょうけど)
    では、実在した人物で、数百年の長きにわたり「世界で最も美しい少年」と言われているのは誰でしょう?

    前置きが長くなりましたが、それが上の画像の少年「ヘンリク・ルドウィック・ルボミルスキ」王子です。(11歳頃の像)

    1777年にポーランド人の貴族の息子として生まれたヘンリク王子は、それはそれは美しい子供でした。
    その美しさから男の子でありながら女の子のように育てられ、親戚の侯爵夫人(叔母)に連れられての旅行中は、行く先々で人々から賞賛を浴びたそうです。
    スイスの有名な観相学者、ヨハン・カスパー・ラヴァーター(1741-1801)も彼の顔を版画化して研究しています。

    その衝撃的な美貌は多くの芸術家を虜にし、公爵夫人の要請により彼をモデルとした絵画、彫刻作品が数多く作られました。

    彫刻作品の中でもっとも有名なのが上の画像の大理石像。
    イタリアの彫刻家、アントニオ・カノーヴァ(1757-1822)による1788年の作品「Il Principe Henryk Lubomirski come Amore」

    タイトルは訳すと「アモルのようなヘンリク・リボミルスキ王子」となります。
    アモルとはローマ神話の愛の神クピド(キューピッド)の別名ですが、この像は背中に翼がなく、またタイトルも「アモルのような...」と言っているので、あくまでもヘンリク王子の彫像なんですね。

    そしてヘンリク王子を描いた絵画としては、代表的なものといえばこのふたつでしょうか。

    kauffmann_henryk_lubomirski.jpg vigee_lebrun_henryk_lubomirski.jpg
    File:Kauffmann - Henryk Lubomirski.jpg
    File:Prince Heinrich Lubomirski as Genius of Fame by E.Vigee-Lebrun (1789, Gemäldegalerie, Berlin).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    左はオーストリアの女流画家、アンゲリカ・カウフマン(1741-1807)による1786年の作品。
    右はフランスの女流画家、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(1755-1842)による1789の作品。

    この絵は「神話的肖像画」と呼ばれるもので、モデルに神話的な衣装や装飾を施してから描く肖像画のことです。
    今で言えばコスプレ写真みたいなものですね。

    これら三者の作品を見て面白いなぁと思ったのは、男性作家と女性作家の作品作りに対する傾向の違い。
    もちろん彫像と絵画という違いはありますが、男性であるカノーヴァは王子を他のものに例えることなくありのままの姿で表現し、女性であるカウフマンとルブランは王子を翼のあるアモルに見立ててファンタジックな作品に仕上げています。

    また、カノーヴァの作品が全裸であるのに対して、女性たちの作品はどちらも赤い布で股間を隠しています。
    モデルの放つ美しさにどうアプローチするか、どう受け止めるかという意識の違いとも言えそうですね。
    まぁ単に王子が女性の前では全裸になれなかっただけかもしれませんが。


    じつはカノーヴァもその後、王子をアモルに見立てた作品を完成させています。

    canova_cupid2.jpg

    この作品は以前も紹介したことがありましたが(該当記事)、アントニオ・カノーヴァによる1791年頃の作品。
    13歳のヘンリク王子をモデルとしています。

    一番上の画像は11歳頃なので、比べてみるとたしかに少し大人っぽくなったような気がしますね。
    成長期なのに肝心の部分があまり変わっていないのは、まぁ王子様ですから、カノーヴァの配慮かもしれません。(^^;)
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    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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