美術モデルの子供たち

    academy_modelboy.jpg

    以前、有名な画家がアカデミー時代に描いたデッサン画をいくつかご紹介しましたが(該当記事)、有名無名を問わず当時の生徒の作品は今でも残っていたり、書籍で紹介されていることもあります。

    絵画、とくに人物画家を目指す生徒にとってヌードデッサンは基礎中の基礎であり、技術習得のための大切な授業である、というのは以前お話ししたとおりですが、そのことで決して忘れてはならないのは、モデルとなってくれる人の存在です。

    美術学校や絵画教室等で人物のデッサンをおこなう場合、専用のモデルを雇ったり、ときには生徒自身がおこなうこともありますが、人体の視覚的特徴をつかむという美術的技法の習得には、モデルの協力は必要不可欠です。

    ルーブル美術館の入館案内書の記述によれば、絵や彫刻の美術モデルは紀元前からその存在が確認されており、モデルと名のつくものの中では最古の存在だとの説もあるそうです。


    ecole_des_beaux-arts.jpg
    File:École des beaux-arts (from the live).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    この写真はフランスのパリにある国立高等美術学校「エコール・デ・ボザール」での授業の様子。
    19世紀に撮影された写真です。
    真ん中に男性モデルが立っていますね。


    bashkirtseff.jpg
    File:Bashkirtseff - In the Studio.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    そしてこちらは同じくフランスのパリにかつて存在していた美術学校「アカデミー・ジュリアン」での授業の様子。
    ウクライナの女性画家、マリ・バシュキルツェフによる1881年の作品です。

    エコール・デ・ボザールが女人禁制であったのに対してアカデミー・ジュリアンは女性の生徒も多く、このように子供をモデルにして授業をおこなうこともあったようです。
    生徒の中には自分の子をモデルに絵を描いていた母親もいたかもしれませんね。


    ではここで19世紀のアカデミーの生徒たちが描いた、子供モデルの絵を見てみましょう。
    要するに画家たちが学生の頃に描いた絵ということになりますが、中には授業で描いたとは思えないほど立派な作品もあります。


    unknown_1890-1900.jpg unknown_19th.jpg

    1890年から1900年頃にかけて描かれたデッサン画。
    モデルの子もずっと手を持ち上げているポーズは大変でしょうね。


    unknown_1900.jpg unknown_1840-1865.jpg

    左は1900年、右は1840年から1865年にかけて描かれたと思われるデッサン画。
    左は練習作といった感じですが、右はかなり丁寧な作品です。


    unknown_1890.jpg unknown_1840.jpg

    どちらも油彩画で、左は1890年頃、右は1840年頃の作品。
    座っているポーズなら少しは楽かな?


    unknown_19th_1.jpg unknown_19th_2.jpg

    これ、どちらも同じモデルに見えませんか?
    もしかしたら同じ授業で描かれたものかもしれませんね。19世紀の作品です。


    unknown_01.jpg unknown_02.jpg

    この二つは制作年不明。
    このまま額に入れて飾っても様になるほどシッカリしたデッサンですね。

    モデルになる子は思春期前の男の子が多かったようです。
    裸になることに抵抗がないというのも理由でしょうが、女の子よりも筋肉質で凸凹が多く、形体や明暗など対象の視覚的特徴をつかむというデッサンの授業には最適だったのでしょう。

    アカデミーの生徒たちに中には、その後世界的な画家となった人もいます。
    その足跡の一端を担ったモデルの子供たちも、こうして貴重な資料として残っているわけですから、立派な貢献だと言わざるを得ません。

    現代の日本では、美術や医学などの真面目な用途であっても、子供のモデルを使うことは非常に難しくなっています。
    そこには原因として、子供の裸を性的興奮材料として見てしまう一部の人に対する、懸念や不安があるからでしょう。

    しかし子供に限らず「人の姿は美しいもの、素晴らしいもの、大切なもの」という認識を広めるには、各アーティストの活躍や美術館による市民への関わり、幼い頃からの美術教育などが大切なのだと思います。
    関連記事

    タグ: Europa  少年  絵画  CC-License  OldPhoto 

    コメント

    Secret

    いらっしゃいませ

    現在の閲覧者数:
    このブログについて...

    RUKA

    Author:RUKA


    子供の笑顔はこの世を平和にする至高の灯り。埼玉在住の子供大好きRUKA (♂)です。(RUKAはチェコ語で手を意味します)

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真を紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんなブログとしてお使いいただければ幸いです。
    コメントも気軽にどうぞ。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    Flickrは米Yahoo!が運営する写真共有コミュニティサイトです。
    当ブログはFlickrにて一般公開されている写真から、シェアが可能なもの(SNSやブログでの表示が許可されているもの)を選んで紹介しています。
    Flickrの写真に関するご質問はFlickrまたは写真の著作者にお問い合わせください。

    説明記事
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    都道府県:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に、街で子供の笑顔写真を撮り続ける。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    ruka_rukachas@ybb.ne.jp
    RUKAのサイト・ブログ

    RUKAのTwitter
    リンク
    アンケート
    Translation
    ブログ内検索
    アートギャラリー
    カテゴリ
    タグ

    少年 Europa 少女 Water 笑顔 America Asia Face 衣装 水着 CC-License イベント 彫像 日本 スポーツ 風呂 RUKA 伝統 ブロンズ像 絵画 ペイント Thong 音楽紹介 Africa 大理石像 Oceania OldPhoto 動画 彫刻 

    日別表示
    11 | 2016/12 | 01
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 29 30 31
    月別表示
    最新の記事
    最新のコメント
    メッセージフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    ユーザー掲示板
    AngelBoys FairyGirls