水に飛び込む少年の彫像

    chong_firstgeneration01.jpg

    シンガポールの彫刻家、チョン・ファーチョン(1946- )による2000年の作品「First Generation」
    シンガポールのリバーサイド地区にあるフラートンホテルとカベナ橋の近くに設置されています。

    5人の少年がシンガポール川に飛び込んで遊んでいる、そんな情景を再現した5体のブロンズ像。
    ポーズや表情がじつに見事で、実際に動き回っている一瞬を捉えたかのような躍動感があります。

    chong_firstgeneration02.jpg

    一番下の子は空中に浮かんでいるように見えますが、背中を押されている子の右足とくっ付いているんですね。
    柵の向こう側にいる子はそそくさとズボンを脱いで、自分も早く飛び込みたいといった様子。
    ヤンチャな男の子たちの楽しさが伝わってきます。

    作者のファーチョンは、シンガポールの公共施設の彫像で知られている彫刻家。
    子供の頃から美術の分野で頭角を現し、1967年からはマレーシアの学校で教師をしていました。
    2014年にはシンガポールの最高峰の芸術賞である「文化メダリオン」を授与されています。

    この作品のタイトル「First Generation」は直訳すると「最初の世代」となりますが、要するに昔の子供たちはこうして遊んでいたのだということをノスタルジックに表現しているわけです。

    かつてこの地に最初の移民が定住した頃、彼らにとってこのシンガポール川は命の源、無くてはならないものでした。
    裸の少年たちが川沿いの木から飛び込んで遊ぶ光景は、決して珍しいことではなかったそうです。
    今では観光地になっており、このような光景は見る影もありませんが、遠い昔に思いを馳せる作者の気持ちがよくわかる作品です。

    ところで、ここから約1万1千キロメートル離れたところに、これと同じく水に飛び込む少年の彫像があるのをご存知ですか?


    calderon_raqueros01.jpg

    こちらはスペインの彫刻家、ホセ・コボ・カルデロン(1958- )による2001年の作品「Raqueros」
    スペインのカンタブリア州の都市、サンタンデールの埠頭に設置されている4体のブロンズ像です。

    2人は座って海を眺め、1人は立ち上がって飛び込む準備、もう1人はすでに飛び込みの最中ですね。

    calderon_raqueros02.jpg

    あまりに無防備なこのポーズ。
    上に乗られたりイタズラされたりしないか心配になりますが、そのへんは観光客のモラルに任せているのでしょう。

    作者のカルデロンはここサンタンデールで生まれ、アメリカのシカゴ市の学校で学びました。
    その後サンフェルナンドの美術学校でフレスコ画や石像を学び、1994年から1997年まではシカゴ美術研究所にて講師をしています。

    この作品のタイトル「Raqueros」とは、直訳すると「レッカー車」という意味だそうです。
    この子たちのどこがレッカー車?
    それは19世紀から20世紀初頭、この港に来る英国船の乗組員と乗客らが呼んでいた、子供たちのニックネームに由来します。

    当時この地の貧しい子供たちは、この港で裸のまま一日を過ごしていました。
    理由は、港に付けた船の乗客らが落としたコインや帽子、サンダルなどを海に飛び込んで回収するため。
    船員や乗客らに気に入られ、コインを貰うため・・・つまり生計を立てるためにしていたことでした。

    この子たちの飛び込みは単なる遊びではなく、切実な理由があったんですね。
    それを知ってから上の写真を見ると、たしかに楽しそうには見えないことに気付かされます。


    シンガポールとスペイン、同じような場所に設置された、水に飛び込む少年たち。
    しかしこうして作者の言わんとしていることや歴史的背景を知ると、作品から伝わる印象もガラリと変わります。
    大切なのは、見た目ではなく、何を伝えているか・・・なのです。
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    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に、街で子供の笑顔写真を撮り続ける。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
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