隠せばOK? - 2【パンツ編】

    彫刻作品はのちにレプリカ(複製品)が作られることがあります。
    美術館や公共施設に設置されるような精巧なレプリカの場合は、オリジナルから型を取りほとんど変わらぬように作られますが、一般に出回っているインテリアとしての彫像(置物など)の場合は形が若干違っていることもあります。

    また一部には、パンツを穿いているように改変したものもあります。
    オリジナルは全裸であるのに、それを模した製品ではパンツを穿いているということです。

    私も詳しくはないのであくまでも憶測ですが、パンツ姿に改変する理由として次の3つがあるような気がします。

    1 - 売上を考えて
    部屋に全裸の像を飾るのは恥ずかしいと考える人はまだまだ多いですから、一般人が買いやすいようにパンツを穿かせたのかもしれません。

    2 - 製造元の独自判断
    有名な作品をテーマに置物などを作るとき、製造元が歴史や現代の風潮などを鑑み、パンツを穿いていたほうが良いだろうと判断したのかもしれません。

    3 - 許可を得ず製造したときの言い訳
    たとえば製造元によっては、姿を少し変えて作ることで、著作権や意匠権の侵害となることを回避しようとしているのかもしれません。

    今回は「複製品でパンツを穿かせられた彫像」についてです。


    alfonso_canciani_lanciasassi01.jpg alfonso_canciani_lanciasassi02.jpg

    これはイタリアの彫刻家、アルフォンソ・カンチアーニ(1863-1955)による1894年の作品「Lanciasassi」
    斜め上を見上げて石を投げている少年の像です。
    左がオリジナルで、右は卓上サイズの置物でしょうか、半ズボンを穿いています。

    この像は1746年にオーストリアの占領軍に対して投石した少年がモチーフらしいので、歴史的に見ればズボンを穿いているほうが正しいと言えますね。
    イタリアのコルモンスの街にも設置されていますが、それはオリジナルと同じく全裸です。

    神話の登場人物ではなく一般人なので、このような改変ならば不自然さはありません。
    でも作者としては意図があって裸像にしたのでしょうから、そのへんの意図をどう汲み取るかですね。


    vincenzo_gemito_acquaiolo01.jpg vincenzo_gemito_acquaiolo06.jpg

    これはイタリアの彫刻家、ヴィンチェンツォ・ジェミート(1852-1929)による1881年の作品「L'acquaiolo」
    水売りの少年の像です。
    この作品のレプリカの多くはオリジナルに忠実ですが、中にはこのように半ズボンを穿いているものもあります。

    19世紀の水売りであれば、右の姿のほうが正しいのかもしれません。
    もちろん裸の子に売り子をさせていた水売り商もいなかったとは言えませんが。

    前回の記事のように股間にカップを付けるくらいなら、こうしてズボンを穿かせてしまったほうが自然であり、品性もなんとか保てるように思います。
    とは言っても、こういう改変も少年像だからできることですけどね。


    himobikini.jpg
    【ヒモパン?】(画像出典:Amazon.co.jp)


    石を投げる少年も水売りの少年も、穿いているのが半ズボンならさほど違和感はありません。
    しかしレプリカの中には「なんでこんなパンツなんだ?」と思ってしまうような像もあります。


    lotto_granchio_01.jpg lotto_granchio_03.jpg

    これはイタリアの彫刻家、アンニーバレ・デ・ロト(1877-1932)による1920年の作品「Il Granchio」
    海で魚捕りをしていた少年がカニに足を挟まれてしまったシーンなので、全裸であることはべつに不自然ではありません。
    むしろ正しいとも言えます。

    ところが一般向けに売られているこの像のレプリカは、ほとんどが前掛けのようなものを着けています。
    しかもそのデザインも製品によってまちまちで、右の画像ではまるでヒモ水着というか、極小ビキニというか。

    身につけるものによっては、無邪気な子供のイメージを損なわせてしまいます。


    renda_thefirstelation01.jpgrenda_thefirstelation02.jpg

    これはイタリアの彫刻家、ジュゼッペ・レンダ(1859-1939)による1895年の作品「The first elation」
    左がナポリの美術館にあるオリジナルで、右はサイズがわかりませんがレプリカですね。

    この像も同じようにおかしなパンツ姿に改変されていて、見ようによっては女性用の下着にも見えます。
    一般向けの商品は股間を隠していたほうが良いという判断だとしても、このパンツはアリなんでしょうか?

    股間の露出を下品だと思ってそうしたのだとしたら、これはかえって逆効果ですね。


    shellbikini.jpg
    【パーティ用貝殻ビキニ】(画像出典:楽天市場)


    最後はレプリカではないのですが、関連がありそうな作品。

    john_hodge-fountain.jpg

    イギリスの彫刻家、ジョン・ホッジ(生没年不明)によるブロンズ作品。
    イギリスのエセックス州の街、ブレインツリーの広場にある噴水彫刻です。

    う〜ん、なんで貝殻ビキニにしたんでしょうか?
    これならむしろ何も着けていないほうが健全ですよね。

    水辺に裸の子は当たり前なのに、それでもやっぱり隠せと抗議した市民がいたんでしょうか?
    だとしたら、作者がその是非を市民に問うている、と考えることもできますね。


    【結論!パンツによっては下品さアップ】

    オリジナルではせっかく無邪気で子供らしい姿に作られているのに、股間を隠すというただそれだけのためにパンツを穿かせると、逆に品位を下げてしまうこともあります。

    ズボンであれば下品にはならないでしょうが、神話の登場人物の場合はズボンを穿かせるわけにはいきません。
    私としては、オリジナルが全裸であるなら、レプリカもそのままを保ってほしいと思います。


    では、作者が初めから股間だけ隠れるように作った彫像なら不自然さはないのかというと、じつはそういった作品にも不自然なものがあるんです。
    次回は「布が落ちない理由」について考えてみたいと思います。


    関連記事:隠せばOK? - 1【カップ編】
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    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

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    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
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