ステファン・ザントマンの写真作品

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    ドイツの写真家、ステファン・ザントマン(生没年不明)による写真作品。

    作者については詳細どころか、名前以外まったく不明です。
    よって今回は作品の印象のみを述べた記事になってしまいますが、ご了承ください。

    この作品は石を組んだ壁を少年がよじ登っているところを捉えたものです。
    撮影年がわかりませんが、左下の石に1961と書かれていますね。

    この写真は3つの意味で芸術性を感じさせます。(あくまでも私の主観ですが)
    ひとつは背景。
    明るい石と暗い陰による市松模様のようなコントラストが、画面に力強さと安定感を与えています。

    二つめは構図。
    斜めになって片足を上げているポーズにより、動的な印象が強く表現されています。
    少年の体が画面の左半分を占め、このままでは絵的なバランスが悪いのですが、それを右半分のツタが補っており、全体的にはバランスのとれた構図となっています。

    三つめは人体の魅力。
    背中に浮き出た筋肉と力強いポーズは、ギリシア彫刻のようにそれそのものが鑑賞に値します。
    鉱物である石、植物であるツタ、生物である人間。
    自然が生み出したこの三者が絶妙なバランスで絡み合っている、絵画のような思慮深い作品となっています。

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    こちらは水辺で遊んでいる子供たちを撮影したものですが、これも良い瞬間を捉えています。
    画作りもどこか独自で、スナップ撮影でありながら絵画のように練り上げられた構図、彫刻のような造形美を感じさせる作品です。
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    書籍「The Boy a Photographic Essay」

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    アメリカのブック・ホライズン社が1964年に出版した写真集「The Boy a Photographic Essay」
    タイトルのとおり写真で構成されたエッセイ集で、複数の写真家による400枚近い作品が収められています。

    とくに多く収録されているのが、1963年の映画「Lord of the Flies」(邦題:蝿の王)に出演した子役たちの写真。
    アメリカの写真家、ケン・ヘイマン(1930- )が映画のロケ現場で撮影したもので、メイキングシーンとしても貴重な記録となっています。

    「Lord of the Flies」は1963年に公開されたイギリス映画で、原作は1954年出版のウィリアム・ゴールディングの小説。
    そのストーリーは・・・

    大戦中に疎開地へと向かう飛行機が墜落し、乗員である少年たちは南太平洋の無人島に置き去りにされてしまいます。
    少年たちはこの島で生き抜くために規則を作り、みんなで協力し合おうとしますが、次第に派閥ができ、争いが起き、そしてとうとう仲間同士の殺戮が・・・というもの。

    19世紀以前に流行した、孤島に漂着する物語の派生とも言えますが、この作品はそれまでとは正反対の悲劇的な展開となっています。
    さらに映画では、イギリスが核攻撃を受けたため陸軍幼年学校の生徒が疎開先へと向かう途中で遭難した、という設定になっているそうです。

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    映画の制作にあたってはイギリスの子役が多数動員され、実際に孤島でロケーションがおこなわれました。
    自給自足ではありませんが、まさに小説のストーリーと同じく、子役の少年たちは島での集団生活を経験したわけです。

    このときアメリカ人写真家であるケン・ヘイマンも同行し、少年たちの様子を記録していました。

    映画の公開は1963年でしたが、島で撮影がおこなわれたのは1961年。
    そのときの様子は当時のLIFE誌にも掲載されました。

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    LIFE 1963年10月25日号より
    (Time Inc.提供によるLIFE誌のフリー・アーカイブ)

    ケン・ヘイマンは20世紀を代表するアメリカの写真家。
    高校生のときに写真に興味を持った彼は、コロンビア大学在学中に2年間の兵役を経たのち本格的に写真家を目指します。

    大学で人類学者のマーガレット・ミード教授の生徒となったことが、彼にとっては何よりも幸運でした。
    彼はミード教授に写真エッセイによる論文を提出し、このことで教授の研究とヘイマンが撮影した写真は互いに重要なものとなり、以後20年以上に渡る交友が始まったそうです。

    ヘイマンはこれまでに60カ国以上の国で撮影をおこない、LIFE誌を始め多くの雑誌に写真を掲載しました。
    またそれらの作品はロサンゼルス現代美術館、ニューヨーク国際写真センター、ホールマーク・ギャラリー、パリのサブリスキー・ギャラリー等でも展示されています。

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    1964年発行の写真集「The Boy a Photographic Essay」には、映画「Lord of the Flies」の子役たちの写真が多数収められています。
    島での生活ぶりを捉えた写真は好評を博し、1966年と1967年にも再販されました。

    「Lord of the Flies」は原作であるウィリアム・ゴールディングの小説も、ピーター・ブルック監督による1963年の映画も、ともにファンの多い名作です。
    ヘイマンが撮影した子役たちの写真も負けず劣らずの名作揃いですので、映画と合わせてご覧になるとより深い魅力を味わえることでしょう。


    Amazon.comより
    The boy. A photographic essay Hardcover – 1964
    Harper’s Booksより
    The Boy: A Photographic Essay.

    YouTubeより
    Lord of the Flies (1963)
    標準の YouTube ライセンス
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    「こどもの日」を迎えて...

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    本日5月5日は日本における「こどもの日」
    1948年に制定された、子供の人格を重んじ子供の幸福を願う、国民の祝日です。

    私は子供を天使になぞらえ、子供の姿(生物としての外見)にも尊さを感じています。
    ほとんどの一般人は、子供の裸を見ても何とも思わないか、もしくは可愛いと思うかのどちらかです。

    しかし悲しいかな、世の中には子供の裸を猥褻だと思い込んでいる人も少なからず存在します。
    赤ちゃんのオムツ替えや、子供がお風呂で遊んでいる写真さえも微笑ましく見ることができず、親が公開している子供の成長記録さえ批判する者もいます。

    子供の裸が猥褻に見える者がいるからといって、子供そのものが猥褻物なのではありません。
    人間の姿は奇跡の賜物であり、子供はさらに尊いものです。
    その姿を蔑ろにするようなことはあってはならないことです。

    子供を守るということは、子供の尊厳を守ることでもあります。
    人間の子供という、可愛らしく、美しく、何物にも代え難い素晴らしい存在を「尊び」「大切にする」気持ちを世界中の人々が持ち続けてほしいと、私はそう願っています。

    RUKA

    (写真は1910年頃のインドネシア、バリ島の子供たち)


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:COLLECTIE TROPENMUSEUM Portret van twee Balinese jongens TMnr 10003610.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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    ハヨ・オルティルの写真作品

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    ドイツの写真家、ハヨ・オルティル(1905-1983)による1950年代から1970年代にかけての写真作品。
    真夏の太陽の下、健康的な姿で遊ぶ少年たちを捉えたモノクロ写真です。
    ナチュリストのサマーキャンプの様子を撮影したものだと思いますが、単なるスナップ写真ではなく絵画的な画作りが成されているところが見事ですね。

    とくに上の写真。
    6人の少年たちは大きな杭を持って、いったい何をしているのでしょうか?
    ユーモラスでもありシュールでもあり、男の子特有の意味不明な行動が良いアクセントとなっています。


    作者のハヨ・オルティルの正式な肩書きはドイツの教育者、および作家。
    1905年にオステローデ・アム・ハルツで生まれた彼はイギリスのロンドン大学で英語とスポーツを専攻し、1934年に英文学に関するテーマで博士号を取得します。
    その後ドイツ北部の都市ブレーメンにて、英語、哲学、スポーツを教える教師となりました。

    オルティルは1941年から1945年までオーストリアの首都ウィーンで暮らし、そこでナチュリストの人々と出会います。(ナチュリスト:自然の中で裸で活動するという健康法を実践している人)
    1950年にはブレーメンのナチュリスト協会の議長を務め、12歳から18歳までの男女が参加できる団体「ハンザ・シー・パイレーツ」を創設しました。

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    【船の仕組みを学んだり、自ら帆を張って沖に出たり】

    団体の主な活動はカヌーやヨット教室を通じた自然体験学習。
    オルティルもカヌー旅行やキャンプ等に参加していましたが、ある日メンバーの男の子たちから写真を撮ってとせがまれたことから、定期的に写真を撮るようになったそうです。

    オルティルが出版した書籍はオランダ語、スウェーデン語、デンマーク語、英語に翻訳され、青少年の自然体験とマリンスポーツ活動の発展に貢献しました。

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    【太陽の日差しで体の健康、動物との触れ合いで心の健康】

    オルティルはブレーメンの中でも特に尊敬された教師でした。
    1967年9月に退職してその後は静かに余生を送るのですが、1983年に他界するまでのあいだ、かつての生徒たちやその両親は彼を献身的に支え続けたそうです。

    また2005年には、当時ブレーメンの市長であったヘニング・シェルフ氏も演説の場でオルティルを讃える言葉を述べています。


    Amazon.comより
    Ortils Pan Unknown Binding – Import
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    絵画の少年現る!

    日本の漫画家、荒木飛呂彦さんの代表作『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』には、絵画や漫画などのキャラクターを実在化させる「ボヘミアン・ラプソディー」というスタンド能力が登場します。

    知らない人にはナンノコッチャな話でしょうが、要するにこの漫画には「ウンガロという男の特殊能力により絵画や漫画のキャラクターが実体となって街に溢れてしまった」というシーンがあるのです。

    作中にはイタリアのウフィツィ美術館にあるボッティチェリ作の絵画「ヴィーナスの誕生」から抜け出たヴィーナスが街の中を歩くという描写もあります。

    絵から人物が抜け出るという話は漫画やアニメではよくある設定ですが、実際に起きたらそれこそ大事件!
    とくに美術界は大混乱でしょうね。

    今回は「絵画の中の少年がもし現実の世界に現れたら・・・」をテーマにしてみました。
    (写真は引用として使用していますが出典が不明です。関係者から削除依頼があれば削除しますのでご了承ください)


    【蛇使いの少年】

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    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Jean-Léon Gérôme - Le charmeur de serpents.jpg

    フランスの画家、ジャン・レオン・ジェローム(1824-1904)による1870年の作品「The Snake Charmer」

    この蛇使いの少年が、スタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」により現実の世界に現れると・・・

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    こうなります!

    ジェロームの絵はインドでこの写真はカンボジアですが、東南アジアでは今もこのような文化が残っているのでしょうか?
    ファンタを持っているところが現代っ子らしいですね。



    【水辺でうつぶせの少年たち】

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    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Joaquín Sorolla - Chicos en la playa.jpg

    スペインの画家、ホアキン・ソローリャ(1863-1923)による1910年の作品「Chicos en la playa」

    水辺で遊ぶ少年たちを描いたこの絵画も、スタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」により・・・

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    このように現実の光景に!

    ひとり多いけれどポーズも構図もそっくりだし、奥から2番目の子がこちらを向いているところも同じ。
    美術館で絵を鑑賞した後に川に行って子供たちの水遊びを鑑賞するのも乙なもんです。



    【馬を連れた少年】

    sorolla-the_horse_bath.jpg
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Joaquín Sorolla y Bastida - The Horse’s Bath - Google Art Project.jpg

    これも同じくホアキン・ソローリャによる1909年の作品「El baño del caballo」

    裸の少年が馬を連れて海岸を歩いているシーンですが、これもスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」によって・・・

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    我々の目の前に出現しました!

    馬が白馬じゃない点には目をつぶるとして、どちらも海辺だし、遠くにヨットが見えるところも同じ。
    絵のタイトルは訳すと「馬の風呂」となるので、昔は馬を水浴びさせるときに人間も裸になるのはよくあることだったのでしょう。



    【スパルタの少年】

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    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Christoffer Wilhelm Eckersberg - Three Spartan boys practising archery - Google Art Project.jpg

    デンマークの画家、クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ(1783-1853)による1812年の作品「Three Spartan boys practising archery」

    古代ギリシアの都市、スパルタの少年たちが弓の訓練をしているところ。
    もしこの少年がスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」で現代の街に現れたらもう大変!

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    なんたってスパルタの戦士ですから、繁華街や大通りは彼らの恰好の射的場となってしまいます。

    この写真は前掛けをしているのでスパルタの格好とはちょっと違いますが、街に現れたらその危険な美しさに人々はパニックですね。



    【草原に立つ少年】

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    Copyright : Otto Lohmüller
    http://www.otolo.eu/

    ドイツの画家、オットー・ローミュラー(1943- )による1984年の作品「Matts am Atlantik」

    草原にたたずむ少年を描いたこの絵にもスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」の効果が現れたようです。

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    そのままのポーズで草原に出現!

    画像はドットの集まりですからこうして見るとどちらも同じように見えますが、実際に現物を目の当たりにすると、立体であり、温かく、そして動くという違い、つまり生命の有る無しの差は大きいのでしょうね。
    妊娠して命を育むことは、どんな芸術家よりも芸術的であると言えます。


    漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン」に登場する、ボッティチェリのヴィーナスが街を歩くシーンでは、ニュース番組のレポーターが...
    『美しい!美しすぎるッ!ヴィーナスがわたしたちの目の前を歩いて行くのです!女性の裸体となりますがボカシはいっさい入れず放映されています!』
    と絶叫しています。

    もし本当に絵画の中の人物が目の前に現れたら、ヴィーナスに限らずともそれはとても美しく、神秘的な光景であることでしょう。
    動くその姿は美術館で鑑賞するとき以上の感動があるはずです。

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


    絵画の画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    ライセンス:パブリックドメイン


    YouTubeより
    「クイーン - ボヘミアン・ラプソディ」(オフィシャルビデオ)
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    Дети солнца

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    ロシアの写真家、ニコライ・フィリポフ(1948- )による1972年の作品「Дети солнца」
    日本語に訳すと「太陽の子供たち」となります。

    海岸で無邪気に遊ぶ小さな天使たち。
    どの子も6歳以下の幼児ですが、この歳の子は裸に余計な感情を持たないので、まさに純真無垢、天真爛漫、天衣無縫!
    昔の川や海、幼稚園や保育園では当たり前に見られた光景ですね。

    天使の無邪気さに心洗われ、躍動する姿に命の尊さを知る。
    我々大人もこの頃の気持ちを持ち続けたいものです。


    作者のニコライ・フィリポフは1964年から活動しているロシアの写真家。
    1970年には「大通り」という作品が、ソビエトの写真家の作品から選出されたベスト100に選ばれました。

    1972年にモスクワ州立大学のジャーナリズム学部を卒業し、1984年以降にフォトジャーナリストとして活躍。
    この海岸で遊ぶ子供たちの写真は1972年の発表なので、大学を出て間もない頃の作品ですね。
    1973年には「子供のアルバム」と題して、リトアニアの都市カウナスの図書館で展覧会を開いています。

    彼はその後も数多くの個展やグループ展を開き、人間の素晴らしさを人々に伝え続けました。
    1985年には国際ジャーナリスト連盟から、フォトジャーナリズムの発展に貢献したとして名誉あるメダルを授与されています。

    現在もロシア各地の美術館、博物館で展覧会を開いており、ドキュメンタリーでありながら物語のようでもある彼の作品は、今も多くの人々を魅了し続けています。


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    大自然の中での無邪気な語らい。
    まるで小さなアダムとエバ。
    50年近く前の写真ですが、この天使らしさが現代の子供たちにも受け継がれていることを切に願います。


    画像出典:MySSSR - НИКОЛАЙ ФИЛИППОВ
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    山下ヴィーナス

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    この画像は今から35年前、まだ十代だった私が横浜の山下公園で撮影した写真です。

    私が最も好きな花であるパンジーの花壇に美しい裸婦像が設置されていました。
    足下に大きな貝殻があるのでヴィーナス像でしょうね。

    世界のヴィーナス像にはこのように腕を上にあげているものも何体か存在しますが、画像検索してもこれと全く同じ像は見つかりませんでした。
    有名な作品のレプリカではなく、ガーデン・オーナメントとして量産されたものかもしれません。

    それにしてもこのポーズ、このスタイル、この表情。
    まさにヴィーナスの目覚めを思わせる非常に美しい作品です。
    心なしか周りのパンジーたちもうっとり見つめているように見えます。

    余談ですが、写真にはこちらに向かってカメラを構えている人も写っています。
    ということはこの人の撮影した写真には、若かりし頃の私の姿が写っているんですね。
    う〜ん、見てみたい気もします。(^^;)

    画像を拡大すると見える黄色い斑点はフィルムに付いたカビです。
    あれから長い年月が経ったのだと、つくづく感じさせられます。

    でも何十年経とうと何百年経とうと、そこに写るヴィーナスが美しいことに変わりはありません。
    もし時代とともに変わるものがあるとすれば、それは美とどう向き合うかという人々の意識でしょう。


    Copyright : RUKA
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    書籍「Strandläufer ~Sandpipers」

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    フランスの写真家、ジャックス・デュバル(生没年不明)による1988年の書籍「Strandläufer ~Sandpipers」
    ドイツのJanssen-Verlagという出版社から発行された、全編モノクロの写真集です。

    作者のデュバルに関しては、生い立ちや経歴についてはほとんどが不明です。
    しかし地元フランスの子供たちのイキイキとした姿を捉えた彼の作品は現在も評価が高く、貴重な記録にもなっています。

    タイトルの「Strandläufer」とは鳥の「イソシギ」のこと。
    Strandläufer がドイツ語で、Sandpipers が英語。

    イソシギとは海浜や河口などに生息するシギ科の鳥ですが、デュバルは何故このタイトルを付けたのでしょうか?
    きっと彼は、いつも浜辺で遊んでいる少年たちとイソシギに共通点を見つけたのでしょう。
    イソシギの写真とデュバルの作品を並べてみると、たしかに非常に似通っていることがわかります。


    【飛び立つイソシギ】

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    イソシギと人間の子じゃまるで違うだろうと思ったら大間違い。
    翼を広げたイソシギのように力強く跳ね、飛びまわる子供たちの姿。

    夏の強い日差しの下、速いシャッター速度で捉えた彼らの姿は、鳥のごとく優雅で、大胆で、躍動感に溢れています。
    このときばかりは天使ではなく、イソシギとして夏を謳歌するのです。



    【たたずむイソシギ】

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    砂浜にたたずみオブジェと化す。
    それは目を凝らすと、ときにイソシギであったり、ときに遊ぶ子供たちであったり。

    単なる生き物の姿が、そこでは緻密に計算され形作られた彫刻作品のように、見る者に感動を与えます。
    それは我々に命の尊さを教えてくれているかのようです。



    【戯れるイソシギたち】

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    体操競技のように、祭りのように、そしてイソシギのように戯れ躍動する子供たち。
    目まぐるしく変化し、いっときたりとも同じ所にはいない。
    太陽の熱い日差しと爽やかな海風に呼応し、少年たちは今日もイソシギとなる。

    そしてその光景を見た人々は思うのです。
    命とはかくも素晴らしきものだったのかと・・・

    (イソシギの画像はパブリックドメインのフリー素材を使用しました)
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    書籍「Studio-Kinder」

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    ドイツの写真家、ダリオ・レイトナー(生没年不明)による、1989年に出版された写真集「Studio-Kinder」

    タイトルは訳すと「スタジオの子供」となりますが、鍛えた体をした少年たちのポートレイト集です。
    1500部しか印刷されなかったため、今では大変希少な本となっているそうです。

    Amazon.comより
    Studio Kinden (Boy Photobook) Paperback – 1989


    全てスタジオ内で撮影された、肖像画のようなモノクロ写真の数々。
    写真家のダリオ・レイトナーはこの84ページの大作のために、12歳の少年たちをモデルとして起用しました。

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    これは私の推測ですが、この本のモデルはスポーツクラブの生徒たちではないでしょうか?
    というのも、どの子もかなりの筋肉質で胸板が厚く、どう見ても一般の子供の体形ではないからです。

    体操クラブ? 水泳教室? それともボディービル?
    12歳にしてはかなり鍛え上げられており、とくに上半身の筋肉の発達には目を見張るものがあります。
    まるでギリシア彫刻のような荘厳ささえ感じます。

    写真のモデルといえば通常はスラリとした男女を採用するものですが、この写真集は初めから筋肉美をコンセプトとしていたのでしょう。
    そのため美術的見地だけでなく、ジュニアスポーツや医学の観点からも貴重な資料となっています。

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    素人モデルに対する配慮か、撮影はパンツや布で下半身を隠した状態でおこなわれました。
    しかし少年たちの中には自ら全裸になる者も少なくなかったようです。
    普段から体を鍛えているので、全身を誇示したいという気持ちがあったのかもしれませんね。

    男性の第二次性徴期の特徴である筋肉の発達。
    筋力トレーニングでその特徴をさらに際立たせた子供の写真は歴史的に見ても希少です。

    作者のレイトナーについては詳細不明ですが、彼の作品はアメリカの写真家アーヴィング・ペン(1917-2009)の女性写真や、ドイツの写真家ハーバート・リスト(1903-1975)の男性写真に匹敵する人体研究であると言われています。
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    書籍「Chrysalides」

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    イタリアの写真家、マウロ・バートンチェロ(生没年不明)が1985年に出版した写真集「Chrysalides」
    まるで中世の遺跡に精霊たちが現れたかのような、非常に幻想的な作品です。

    Amazon.itより
    CHRYSALIDES: PHOTODREAMS Copertina rigida – 1985


    ChrysalidesとはChrysalis(クリサリス)の複数形で、サナギのこと。
    そう、蝶などが成虫になる前のあのサナギです。

    もう幼虫ではない・・・でもまだ成虫にはなれない・・・
    不安定で不確定な殻の中、静かに目覚めを待つサナギの少女たち。

    少女といっても小さな子供ではなく、思春期の少女たちです。
    具体的に言えば、胸が膨らんで隠毛が生える第二次性徴が現れてからの少女たち。

    しかしだからこそ、おとぎ話の精霊のような妖しげな雰囲気を醸しているのでしょう。

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    硬く冷たい無機質な石畳と、霧のように漂う柔らかな少女たちとのコントラスト。
    ページをめくればそこに現れるのは夢うつつな幻想世界。

    ソフトフォーカス(フォギー?)気味な描写も、シャッター速度が追いついていない被写体のブレも、増感現像したかのような粗い粒状感も、すべて作者の思惑どおりであるかのような完成された世界観がそこにはあります。

    以前の記事でフランスの写真家ジェラール・マロの作品は彫刻的であると言いましたが(該当記事)、こちらのバートンチェロの作品はまさに絵画的と言えますね。
    モノクロ写真でありながら、その場の空気感まで伝わってくるようです。

    作者のマウロ・バートンチェロはイタリアのビエモンテ州北東部の都市、ノヴァーラ出身の写真家。
    詳細はほとんどわかりませんでしたが、肖像画や裸婦作品で有名な方だそうです。


    File:Mb-Chrysalides.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


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    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
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    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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