日米ロインクロス

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    ロインクロス(Loincloth)とは古代から存在する伝統的な衣服の一種で、長い布を使った腰布・腰衣のことです。
    日本の褌(ふんどし)もこれに含まれます。

    世界各地で見られますが国や地域ごとに装着方法に違いがあり、日本の褌やインドのランゴータのように股下に通して固定するタイプは労働者の動きやすさを考慮して腰巻タイプから派生したと言われています。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Fundo001.jpg
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    博多祇園子ども山笠 2002-002

    平岡八幡宮 祭典 烏相撲 2003 池ノ上 少年裸祭 003
    Copyright : Yozo Sakaki
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)

    現代の日本では普段着としての利用はほとんどありませんが、祭り等の神事で正装とすることは多く、この伝統は今も受け継がれています。

    上の画像は子供が参加する祭りの一例で、上から順番に福岡県の「博多祇園山笠」、 京都府の「平岡八幡宮例祭」「上賀茂神社での烏相撲」、岐阜県の「池ノ上みそぎ祭」です。

    見てわかるように、それぞれ褌の形が違います。
    日本の褌には「六尺」「越中」「締め込み」「もっこ」など多様なタイプがあり、博多山笠では締め込み、烏相撲では六尺褌、池ノ上みそぎ祭では越中褌が正装となっています。

    また、現代ではあまり馴染みのないタイプですが、日本にはかつて「黒猫褌」という子供用の褌があったそうです。
    昭和初期に登場し、戦前の水泳の授業などで水着として使われていたもので、生地が黒色であったため黒猫の愛称で呼ばれていました。
    昭和30年頃までは幼児〜小学生の水着として全国で採用されていたそうです。

    Googleの画像検索で「黒猫褌 子供」を検索


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    アメリカにも褌、つまりロインクロスは先祖の時代から存在し、現代でも普段着としている地域もあります。

    アメリカ大陸における先祖といえばもちろんアメリカ先住民を指しますが、昔はコロンブスの誤認をそのまま使い「インディアン」と呼んでいました。
    ラテンアメリカの人々をインディオとも言いますね。

    しかしこれらの呼び名は本来「インドの人」という意味なので、現在ではネイティブ・アメリカン(またはアメリカ・インディアン)と呼ぶのが一般的なようです。

    上の画像はアメリカの画家、トーマス・ポロック・アンシュツ(1851-1912)による1907年の作品「Indians on the Ohio」

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Anschutz Thomas P Indians on the Ohio.jpg
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    america_indian02.jpg america_indian03.jpg

    先祖を崇める祭りやイベントはもちろんアメリカにもあり、参加者がインディアンに扮することもあります。
    白人によって作られたステレオタイプのイメージもありますが、大体において共通しているのが、頭に鳥の羽を飾り、軽装の場合はロインクロスを着用しているところ。

    上の画像はインディアンに関連したイベントの様子です。
    日本の褌とはかなり違いますね。
    素材は皮で、巻くというよりは穿くといった感じでしょうか?

    子供たちがインディアンに扮するイベントは夏休みのサマーキャンプにも多いようです。
    サマーキャンプといえば体験によって学問や道徳を学べる行事ですが、昔の文化を重んじるという意味では日本の祭りとの共通点もありそうです。

    インディアンの教えは現代のアメリカにも息づいているでしょうし、サマーキャンプとの相性も良いのかもしれませんね。

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    こちらのロインクロスは布製。
    前に垂らすところは日本の越中褌に似ていますが、後ろにも垂らすのは日本の褌には見られないタイプですね。
    形はのれんの付いたヒモ水着といった感じで、こちらのほうが着脱はしやすそうです。


    「肖る」(あやかる)という言葉があります。
    他人に憧れ、自分もその人のようになりたいと思う、あるいはそうなるという意味。
    先人を尊ぶことはとても大切なことであり、そのために格好から入るというのもひとつの方法です。

    どの国も子供たちへの伝統文化の引き継ぎには苦労していることでしょう。
    時代に合わせて姿を変えることもときには必要かもしれませんが、あえて変えないということも、歴史の深さを学ぶためには大切なことです。
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    Lying Girl

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    スイスの彫刻家、フリーデル・グリーダー(1890-1980)による1952年の作品「Lying Girl」
    スイス北東部の都市、クロイツリンゲンにあるウェールリ小学校に設置されているブロンズ像です。

    手前に水が溜まるようになっている噴水彫刻で、横たわる少女が水面に手を伸ばしています。
    タイトルは訳すと「嘘つき少女」となるので、何かの物語のワンシーンなんでしょうね。
    小学校にあることから、学校で習う道徳的な物語かもしれません。

    作者のフリーデル・グリーダーはスイスの女流芸術家。
    公園に設置されている彫像の作者として知られていますが、画家や写真家としても作品を残している多彩な女性だったようです。

    彼女の作品はクロイツリンゲンにある「ローゼネック美術館」にて常設展示されています。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:WehrlischulhausMaedchen.jpg
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    キューピッドの弓矢

    「天使」とはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖典や伝承に登場する「神の使い」です。
    元々は目には見えない霊的な存在とされていましたが、近世以降のローマ神話では青年や少年、とくに幼い男の子の姿として伝承されるようになりました。

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    「The Birth of Venus」1863年
    アレクサンドル・カバネル(1823-1889/フランス)
    File:Alexandre Cabanel - The Birth of Venus - Google Art Project 2.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    この「天使」と混同されやすいものに「キューピッド」があります。
    キューピッドとはローマ神話に登場する愛の神クピド(クピードー)の英語読み。
    ラテン語でアモル(アモール)とも呼ばれ、ギリシア神話の愛の神エロス(エロース)と同一視されています。

    神の使いである「天使」と、愛の神である「キューピッド」
    パッと見てその違いがわかりますか?

    どちらも背中に翼のある裸の子なので、姿から判断するのは難しいですね。
    「愛の天使キューピッド」というどっちつかずの言葉もあります。

    大まかな違いとしては、弓矢を持っているかどうかで判断することができます。
    たとえば企業の商標の場合、「森永製菓」のエンゼルマークはその名のとおり天使です。(弓矢を持っていない)
    フラワーギフトの「花キューピット」のロゴマークはキューピッドです。(弓矢を持っている)

    食品会社の「キユーピー」のイラストは、名前からするとキューピッドのはずですが弓矢は持っていません。
    これは米国のイラストレーター「ローズ・オニール」が1909年に発表した「キューピー」というキャラクターを採用しているからです。
    しかしこのキューピー自体はローマ神話のクピドをモチーフにしています。

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    ローズ・オニールのイラストをもとに製作されたキューピー人形(1912年)
    File:German-bisque-kewpies.png
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    その他にも、恋愛・結婚関連の企業がパンフレット等にキューピッドの絵柄を取り入れることも少なくないですね。


    さてそのキューピッドが持っている弓矢ですが、その矢には2種類あり、黄金の矢で射られた者は激しい愛欲に取り憑かれ、鉛の矢で射られた者は恋愛を嫌悪するようになると言われています。

    必ずしもラブラブになるわけではなく、愛するか嫌悪するかの判断はまさにキューピッドの気まぐれなのですが、なぜか現代では愛を成就させてくれる恋愛の象徴として広く親しまれています。
    これも見た目の可愛らしさがそうさせたのでしょう。

    こうして人々に好まれてきた愛の神だからこそ、これまでに数多くの絵画、彫刻、写真作品が作られました。


    【絵画】

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    左はイタリアの画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)による1601年の作品「Amor Vincit Omnia」
    右はドイツの画家、フリードリヒ・バリー(1763-1823)による1810年の作品「Zegevierende Amor」

    カラヴァッジョの作品は周りに物が散乱し、バリーの作品は折れ曲がった矢が散らばっています。
    どちらも現代のキューピッドのイメージとはだいぶ違いますね。

    現代のイメージに近い、非常に可愛らしいキューピッドを描いた画家といえば、ウィリアム・アドルフ・ブグローを置いて他には語れません。

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    フランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1886年の作品「L'Amour vainqueur」

    ブグローの画風は新古典主義の流れを汲む伝統的なものですが、官能的な裸婦や可憐な天使など、その甘美な画風は現在も人気が高く、多くの人に親しまれています。

    ちなみに上の3つの絵画はいずれも「愛の勝利」「勝利のアモル」等と訳される、同じテーマを描いた作品です。
    弓矢を誇らしげに掲げている点も共通しています。
    同じテーマを描いても作者によってこれほど雰囲気が違うというところが面白いですね。


    【彫像】

    可愛らしいキューピッドを描く画家の代表がブグローであるなら、可愛らしいキューピッド像を作る彫刻家の代表はベルテル・トーヴァルセンと言えるでしょう。

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    デンマークの彫刻家、ベルテル・トーヴァルセン(1770-1844)による1826年頃の作品「Cupid with his bow」

    トーヴァルセンは神話を題材とした大理石像を多く手掛けた彫刻家のひとり。
    彼の作品は肉体の柔らかさが非常に上手く表現されており、慈愛に満ちた雰囲気を醸しています。

    年齢の違う複数のクピド像がありますが、どれも弓矢を構えてはおらず、たたずんでいるポーズがほとんどです。
    プシュケに恋わずらいしたときのシーンかもしれません。

    cupid_triumphant_thorvaldsens_museum.jpg

    この彫像も同じくトーヴァルセンによる1814年の作品「Den triumferende Amor」
    訳は「勝利のアモル」となり、上でご紹介した絵画3作品と同じテーマです。

    どうやらこのテーマは古い芸術作品では比較的ポピュラーなようですね。

    File:Cupid Triumphant - Thorvaldsens Museum - DSC08601.JPG
    ライセンス:パブリックドメイン


    【写真】

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    昔から弓矢はモデル撮影の小道具としても定番でした。
    男の子に弓矢を持たせれば、それだけでキューピッドのイメージを形作ることができます。
    翼を背負わせればさらにイメージに近付きますが、それだと仮装になってしまうので、写真作品としてはこのほうが良いのでしょう。

    その昔、先が吸盤になっている弓矢のオモチャがありましたが、ほとんどが男の子向けでした。
    弓矢、銃、ロケットなど、男の子が「遠くへ飛ばす」という行為を好むのは、太古の昔から当たり前に備わった感情なのかもしれません。

    さてキューピッドを表現した芸術作品。
    画家ならブグロー、彫刻家ならトーヴァルセンときたら、写真家ならば誰でしょう?

    私はイギリスの写真家、オリバー・ヒルを思い出します。

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    イギリスの写真家、オリバー・ヒル(1887-1968)による1923年の作品「The Garden of Adonis」

    今から100年近く前に発表された、神話をモチーフとした幻想的な写真集。
    カーリーヘアの10歳くらいの少年がキューピッドを演じています。


    【キューピッド今昔】

    eros_bow_musei_capitolini.jpg bow_and_arrow04.jpg

    左は古代ギリシアの彫刻家リュシッポス(紀元前390年頃)による、弓に弦を張るエロス(クピド)の像。
    これはイタリアのカピトリーノ美術館にあるレプリカですが、オリジナルが作られたのはなんと2300年以上も前です。

    File:Eros stringing his bow, Roman copy after Greek original by Lysippos, 2nd century AD, Capitoline Museums (12516239325).jpg
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    そして右は詳細不明ですが、海辺で弓矢遊びをする少年。(矢は人に向けているのではないと思います)
    大昔のキューピッドと現代のキューピッドをこうして比べてみても、それほど大きな違いはありませんね。

    もともとは狩猟の道具や武器として発明された弓矢。
    この弓矢を愛の道具として少年に持たせたローマ神話の伝承は、多くの作家のインスピレーションを刺激し、数々の作品を生み出しました。

    手法による表現の違いはあれど、愛の神が人々の心に存在する限り、少年と弓矢の組み合わせはこれからも受け継がれていくのでしょう。
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    書籍「イメージの冒険 - 7 写真」

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    私が所有している本のご紹介です。
    1978年から1982年まで、河出書房新社より「イメージの冒険」という書籍が刊行されていました。
    全7巻のシリーズで、それぞれイメージを掻き立てられるテーマを設け、多方面からわかりやすく解説している本でした。

    ○ イメージの冒険 - 1 「地図」 不思議な夢の旅
    ○ イメージの冒険 - 2 「絵本」 不思議の国一覧
    ○ イメージの冒険 - 3 「文字」 文字の謎と魅力
    ○ イメージの冒険 - 4 「少女」 謎とエロスの妖精
    ○ イメージの冒険 - 5 「神話」 始原の夢と戦慄
    ○ イメージの冒険 - 6 「イラストレーション」 線と色彩がうみだす、もうひとつの宇宙
    ○ イメージの冒険 - 7 「写真」 光をとらえる驚異

    当時の私はこの中から7巻の「写真」を買いました。
    定価は1,800円と決して安くはありませんが、様々な写真家の作品が掲載されていてとても為になったことを覚えています。

    篠山紀信、高梨豊、沢渡朔、浅井慎平らのインタビュー、写真術の誕生と歴史、現在の様々な写真技術、そして未来のデジタル製版についての考察など、じつに盛りだくさんな内容でした。

    未来の技術としてデジタル製版が紹介されているのに、この本にはデジタルカメラについての記述が全くありません。
    この頃は写真といえばフィルムカメラだったので、デジカメは想像もつかなかったのでしょう。

    しかしこの13年後にはCASIOから民生用のデジタルカメラQV-10が発売され、本格的にデジカメ時代が始まります。
    今では写真といえばデジタルが当たり前ですから、つくづくこの分野の変化の大きさを感じます。


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    左は目次ページの一部で、右は沢渡朔氏のインタビュー記事。
    沢渡氏といえば1973年の写真集「少女アリス」の作者として有名ですが、当ブログでも過去に一度とりあげています。(該当記事)

    私も子供の頃に購入しましたが、こうして技術的な裏話などを知るとさらに感慨深いですね。


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    「イメージの冒険 - 7」には、ルイス・キャロル(1832-1898)について書かれた記事もありました。
    左の画像がそのページで、右はキャロルが1879年に撮影した写真。
    ルイス・キャロルについては私も過去に記事にしていますので、そちらも併せてご覧ください。(該当記事)

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Hatch, Evelyn (Lewis Carroll, 29.07.1879).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    この記事、誰が書いているのかと見てみれば、なんとあの日本が誇る劇作家、寺山修司氏ではないですか。
    しかも掲載されたのは寺山氏が亡くなるわずか半年前。

    キャロルの内面をえぐるように考察している寺山氏の文章は、写真を解説したこの本の中ではちょっと異質ですが、写真というものは技術的・歴史的な話にとどまらず、他のアートと同じく人間の精神の話にまで行き着くものなんでしょうね。

    「写真」の奥深さを感じることのできる一冊でした。
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    オカイナ族のボディペイント

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    アメリカの人類学者、トーマス・ウィッフェン(1816-没年不明)による、1914年に発表された記録写真。
    南米のアマゾンに住む「オカイナ族」の少女たちです。

    体に幾何学模様のような、独自のペイントを施していますね。
    これは祭りなどでダンスを踊るときのファッションで、ヘビを表しているそうです。

    この写真を撮影したトーマス・ウィッフェンはイギリスのケンブリッジシャー州生まれの人類学者。
    ブラジルとコロンビアの先住民族の文化研究で知られています。
    26歳の時にアメリカのニューヨーク市に移住し、その後イギリス出身の女優と結婚しています。

    彼は1908年、92歳にしてコロンビア南部のプトゥマヨ県を訪れ、文明に侵されていないいくつかの先住民族と接触しました。
    そして家屋、農業、料理、武器の製造に至るまで、先住民族の生活様式を事細かく研究。

    その研究成果は1915年にロンドンの出版社によって「The north-west Amazons」という書籍として発表されました。
    この本では先住民たちの歌や舞踊、儀式、精神的・魔法的な習慣についても説明しており、カニバリズム(食人)の実践についても取り上げています。

    okaina_girls_by_thomas_whiffen02.jpg
    【ボディペイントを施した少女らによるヘビのようなダンス】

    世界には100を超える未接触部族(現代文明との接触を拒んでいる部族)がいると言われていますが、今やこのような少数民族とその文化は絶滅の危機にあります。

    理由のひとつとして、やはり文明国との接触による文明国側からの介入が挙げられるでしょう。
    キリスト教の宣教師の意見も少なからず影響しているようで、たとえばこんな話もあります。

    デイリー新潮 2014年6月の記事
    「ビートたけしが迫る 世界の下半身事情」

    特異な風習であっても、長きにわたり受け継がれてきた伝統ならば彼らなりに意味のあることです。
    ところが文明国は文明国の物差しでそれを計り、善し悪しを決めようとする。
    少数民族の伝統や風習は、できるだけ残ってほしいものですね。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ/Flickr
    File:Okaina girls by Thomas Whiffen (1914).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    Cupid Rekindling the Torch of Hymen

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    この作品は前に一度紹介したことがありましたが、作者についての説明がまだだったので改めてご紹介。

    スコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(1802-1860)による1831年の作品「Cupid Rekindling the torch of Hymen」
    ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート美術館」が所蔵している大理石像です。

    タイトルは直訳すると「ヒュメンのトーチを再燃させるクピド」という意味。
    向かって左のトーチを持っているのが婚姻の神ヒュメンで、右にいるのが愛の神クピドです。

    ヒュメンもクピドもどちらも神でありながら少年の姿で表現されることが多いですね。
    婚姻や愛を司る神は純潔であるというイメージからこうなったのでしょうが、現代人から見るとちょっと奇妙にも思えます。

    この彫像では身を委ねるようなクピドや、ヒュメンがクピドの腰に手を回していることなどから、互いに気の置けない仲であることがわかりますね。
    ヒュメンは他人の婚姻を司り、クピドは他人の恋愛を司り、気がつけばどちらも独り者。
    たまにはふたりで慰め合うこともあるのでしょう。

    ちなみにタイトルにある「kindling」とは点火や燃焼という意味ですが、気持ちを掻き立てるという意味もあるので、トーチの火と心の火をかけているのかもしれませんね。

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    作者のジョージ・レニーは1802年、スコットランドのイースト・ロージアンで生まれました。
    父は農業学者であり叔父は土木技術者でしたが、彼は幼少期から芸術に興味を持ち、若くしてイタリアのローマに渡り彫刻を学びます。

    母国に戻った後も彫刻家として活動し、1828年から1837年まで王立芸術アカデミーやサフォーク・ストリート・ギャラリーにて作品を発表しています。

    1841年、彼はイギリスのサフォーク州の州都、イプスウィッチの議会議員となりました。
    主な功績としては、農業に関する法律の制定やデザイン学校のための議会委員会の設立など。

    議員としてのキャリアは6年ほどでしたが、彼は1847年12月15日にフォークランド諸島の知事に就任します。
    1855年にイギリスに戻り、1860年3月22日に病気のためロンドンでその生涯を終えました。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:George Rennie Cupid Rekindling the Torch of Hymen at the V and A 2008.jpg
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    Lupercalia

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    イギリスの彫刻家、コンラッド・ドレスラー(1856-1940)による1907年の作品「Lupercalia」
    イギリスのリバプールにある「ウォーカー・アート・ギャラリー」で展示されているブロンズ像です。

    少年が笑みを浮かべながらムチを振るっています。
    表情を見る限りはとても楽しそうですね。
    この像が何を意味しているのかは後述するとして、まずは作者の紹介から。

    作者のコンラッド・ドレスラーはロンドン生まれの彫刻家。
    ロンドンの国立美術大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」にて彫刻を学び、1894年にイギリスのバーケンヘッドにDella Robbia Potteryというセラミック工場を設立。
    その後は建築用タイルや壁パネルの製造会社、Medmenham Potteryを設立しました。

    イギリスの陶器産業に貢献した人物ですが、この彫像を含めいくつかのブロンズ作品も残しています。

    dressler_lupercalia03.jpg dressler_lupercalia04.jpg

    画像出典:ketrin1407
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    さて、ここで唐突に「バレンタイン・デー」の話を・・・。

    日本ではバレンタイン・デーは女性が男性にチョコレートを贈る日ということで知られていますが、これは単にチョコメーカーの広告戦略から始まったに過ぎません。
    本来のバレンタイン・デーは、キリスト教の司祭であるウァレンティヌス(バレンタイン)が処刑された日とされています。

    古代ローマ帝国の皇帝クラウディウス2世は、兵士の士気が下がるのを理由に兵士の結婚を禁じていました。
    しかし司祭であるウァレンティヌスは兵士のために秘密裏に結婚式を執りおこない、そのため捕らえられ処刑されてしまったのでした。
    ウァレンティヌスは当時ローマ市内で毎年おこなわれていた祭り「ルペルカリア祭」に捧げる生贄とされました。

    兵士の結婚のために殉教したウァレンティヌス司祭のこのエピソードから、彼が処刑された2月14日(ルペルカリア祭の前日)を男女の愛の誓いの日とし、バレンタイン・デーと呼ばれるようになったと言われています。

    この話がこの彫像とどう関係あるのかと言いますと、このムチを振るっている少年の姿こそ、ウァレンティヌス司祭が生贄として捧げられた「ルペルカリア祭」の様子を表したものなのです。
    タイトルもズバリ「Lupercalia」(ルペルカリア)となっていますね。


    ではその「ルペルカリア祭」とはどんな祭りだったのでしょうか?
    ルペルカリア祭は古代ローマ時代の牧歌的な年次祭であり、ローマ神話の神「ファウヌス」を崇める祭りでした。
    ファウヌスはギリシア神話の神「パン」に相当する農牧の神です。

    ファウヌス(パン)は山羊のような半人半獣の姿をしており、山羊が多産のシンボルであったことから、陰茎をそそり立たせた性豪の神としても有名です。

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    【街に設置されたファウヌス(パン)の彫像と子供たち】
    Copyright : Ole Morten Eyra


    ルペルカリア祭は古代ローマで毎年2月15日におこなわれていた男女の祭りで、狼の祭典とも言われていました。
    裸体の神事青年たちが村の中を走り回りながら、群衆の女性たちに向かってヤギの皮でできたムチを振るうというものでした。
    ただし暴力的なものではなく、柔らかいヤギの皮ですから当たったとしてもそんなに痛くはなかったのでしょう。

    裸でムチを振るう役は下層階級の者はできず、都市部の上層階級の男性がおこなっていました。
    そのためか女性たちは打ってもらいたくて自ら背中を剥き出しにしていたそうです。

    豊作と多産を祈願する祭りなので、日本で言えば神社でおこなわれる五穀豊穣・子宝祈願の祭りに近いですね。
    日本ではさすがに観客に鞭打つことはありませんが、水をかけたり墨を塗ったりする祭りはあるので、日本とローマの神話はどこか似ているところがあるのかもしれません。
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    Kindliche Neckerei

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    ドイツの彫刻家、ポール・アイシェル(1859-1910)による1899年の作品「Kindliche Neckerei」
    タイトルは「幼いからかい」という意味。

    幼いとは言っても10歳以上だとは思いますが、男の子が植物を振り上げて女の子をからかっています。
    女の子もさほど嫌がっている様子ではなく、ふたりは普段から仲の良い幼馴染なんでしょうね。

    作者のポール・アイシェルはドイツの都市、マルクドルフで生まれました。
    1875年から1877年にかけてシュツットガルトの芸術学校に通い、1880年まではベルリン大学の美術学科に通っていたことはわかっていますが、それ以外のことはほとんど知られていません。

    無名ではありませんが、生い立ちについては謎多き作家のようです。
    作品は主にブロンズ像ですが、公園の石像なども手掛けています。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Paul Aichele - Kindliche Neckerei.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    美を学ぶこと・美であること

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    【ルーブル美術館にて、彫像を鑑賞する子供たち】

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:School children in Louvre.jpg
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    学校での理科の実験の授業が年々減り続けている...という話を聞いたことがあります。
    子供たちは実験に興味があるのに、学校側は他の教科に時間を割いて、結果的に「子供の理科離れ」という言葉で語られています。

    しかしそれ以上に深刻なのが美術の授業。
    近年は小学校の図画工作や中学校の美術の授業数がどんどんと削られています。
    学校が心を育てる場でもあるなら美術という教科はとても大切なのに、大人はそれを重要視していないという有様。

    学校で美術を学ぶ意味とはなんでしょうか?
    学ぶというと堅苦しさがありますが、要するに興味を持つことの意味です。

    絵を上手に描けるようになるため?
     いや、将来それを仕事にするのでなければ必要ないことです。
    芸術の深さを理解するため?
     いや、そんな哲学的なこと、社会ではなんの役にも立ちません。
    モノ作りの楽しさを覚えるため?
     いや、それは美術科以外でも得られることです。

    ではなんなのか?
    私は美術を学ぶ意味とは「人間を知り、人間を好きになること」だと思っています。

    私が子供の頃から美術作品を好きなのは、人間が誰しもひとつだけ持っている「心の器」を表現しているからです。
    人を知ることは己を知ることであり、それは思いやりを育むためにも必要なこと。
    たとえ風景画や静物画であっても、作者の生い立ちや作品への思いから人間のなんたるかを知ることはできます。

    orlovsky_paris03.jpg
    【トレチャコフ美術館にて、裸体像を鑑賞する子供たち】

    人の体を「誰もが持っている心の器」と言いましたが、これを素晴らしいものと感じるか嫌らしいものと感じるかは人それぞれです。
    しかし子供たちは初めから偏った見方をするべきではなく、その判断を己の感覚に委ねるためのひとつが美術の授業なのだと私は思います。

    子供たちは美術作品の裸体像から人間を学び、自分を学びます。
    自分の体が親によって(または神によって、地球によって)作られた作品であることを知り、とても大切なものなのだと理解します。

    子供たちは自分の体を大切にしているからこそ、それを使って喜びを表現するのです。
    これこそまさに、命の芸術と言えるでしょう。

    では子供たちがその「心の器」を披露するのはどんなときでしょう?


    【水辺で遊ぶとき...】

    oldphoto_waterboys.jpg

    近年ではこういった光景もだいぶ少なくなりましたが、ふた昔ほど前までは都会の親水公園でも子供たちは裸になって遊んでいました。(国によっては現在もお馴染みの光景ですね)
    この写真は背景にビルが見えるので住宅街でしょうか。
    子供たちは大人に見られても気にしない、大人たちは裸の子供を気にも留めない、そんな大らかさが昔の人々にはありました。


    【診察や身体検査のとき...】

    body_measurement01.jpg body_measurement02.jpg

    この写真はいつ頃のものかは不明ですが、戦前の子供の身体検査はおもに全裸でおこなわれていました。
    ただし学校での身体測定は男女共に下着を穿いていました。
    昭和も半ばになると男子はブリーフのみ、女子は下着の上下でしたが、今は男女とも体操着の上下でしょうか?
    肌が隠れていると身体の異常に気付くのも遅れてしまいます。


    【データを取るとき...】

    measurements_1937.jpg

    1937年頃、当時の米国農務省と大学が協力し、医学的見地から子供の服を作成してそれを国民が簡単に購入できるようにするためのプロジェクトを立ち上げました。
    この写真はそのプロジェクトに関連し、人体測定学の教授が子供の体形を計測しているときの様子です。
    このような学術的な人体データも、正確に取るためには裸でおこなう必要があります。


    【芸術作品のモデルになるとき...】

    antoine_bourdelle.jpg

    これは1907年に撮影された、フランスの彫刻家アリスティド・マイヨール(1861-1944)の彫像制作風景。
    粘土でブロンズ像の原型を作っているところですが、人体に忠実な作品を作ろうとすればやはりモデルの存在は欠かすことができません。
    これは画家の場合も同じですね。


    【役者として演技をするとき...】

    movie_shoot.jpg

    これは映画かテレビドラマの撮影シーンでしょうか?
    子役といえど、物語によっては裸で演技しなければならない場合もありますね。
    裸での演技に関しては、日本の子役よりも海外の子役のほうが堂々としている印象があります。
    もっとも近年では自粛が進み、表現の幅がどんどんと狭くなっているのですが。


    美を学び、人の美を知り、自分の美を社会の文化に役立てる。
    私がそうであったように、子供たちにとって美術という教科は道徳心を学ぶための教科でもあります。
    「子供の美術離れ」「美術教育の危機」と言われて久しい現代ですが、美術の授業はあまり減らさないでほしいものですね。
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    Pojken med guldgåsen

    luterkort_pojkenmed01.jpg

    スウェーデンの彫刻家、エイナー・ルーテルコート(1905-1981)による1951年の作品「Pojken med guldgåsen」
    タイトルは「金のガチョウと少年」という意味。

    頭部が大きく、体形は完全に幼児ですね。
    棒を手に持ち、その棒の先には風呂敷のような袋をぶら下げています。

    しかし目立つのはその袋ではなく、もう少し下のほうにある袋。
    立派ですねぇ。(^^;)


    作者のルーテルコートは1905年に首都のストックホルムで生まれました。
    1926年からストックホルムの王立芸術アカデミーで彫刻を学び、その後はパリの国立高等美術学校、ローマの美術大学、ミュンヘンの美術アカデミーを卒業しています。

    1930年代からはスウェーデンの有名な陶器メーカー「ウプサラ・エケビー」で働き、その後ストックホルムに自身のワークショップを開きました。
    彼はスウェーデンの女優、イングリッド・ルーテルコート(1910-2011)の最初の夫でもあります。

    luterkort_pojkenmed02.jpg

    この作品はスウェーデンの都市エレブルーにある「スベアパーク」という公園に設置されているブロンズ像で、高さは約80cm、重さは約60kg。
    愛と温もりを求めて金の山羊を探すという、ハンス・クリスチャン・アンデルセン原作の童話が基となっているそうです。

    この画像ではタイトルのとおり、袋の中にガチョウがいるのがわかりますね。
    金のガチョウというか金がダッチョウというか、とにかく幼いながらも立派な少年の彫像でした。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Gossen med guldgåsen, Varberg.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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