作者不詳の絵画作品

    日々アート作品を眺めていると、作者名がUnknown(アンノウン)となっている作品も意外と多いことに気付かされます。
    つまり作者不詳。
    詠み人知らずならぬ描き人知らず。
    広く知られていないだけかもしれないので、もしご存知の方がおられましたらぜひ情報提供よろしくお願いします。

    unknown_painter.jpg

    そんな作品の中で最近心惹かれたのがこの絵。
    大胆に描きなぐったようなタッチの、なんとも不思議な魅力の絵画です。

    画家が工房で絵を描いているシーンですね。
    中央に赤いマフラーをした画家がいて、そのすぐ前にはポーズをとる裸の女性がいます。
    しかしよく見るともうひとり、右端にこの様子を覗いている人物が・・・。

    画家とモデルはカメラ目線というか、こちらを見ていてまるで記念撮影のような和やかさですが、物陰から覗いている人物によって不穏な空気も漂わせています。

    ライバルがこの画家の仕事ぶりを偵察に来たのか?
    それともモデルとの関係を危惧した妻が旦那を見張っているのか?

    いろいろと考えさせられますが、登場人物が子供にも見えるので・・・

    『画家の卵であるA君はクラスメイトのC子ちゃんに絵のモデルになってほしいと頼み込みました。最初は渋っていたC子ちゃんでしたがA君の巧みな話術で今ではすっかりプロ気分。同じクラスのB君はその様子を見て自分も画家になりたいと思うのでした...』

    なぁんて勝手なストーリーも浮かんできます。
    近付いて見たときと離れて見たときで印象が変わり、目を細めると新たな発見もありそうな面白い作品ですね。
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    タグ: 少年  少女  絵画 

    キューピッドの弓矢

    「天使」とはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖典や伝承に登場する「神の使い」です。
    元々は目には見えない霊的な存在とされていましたが、近世以降のローマ神話では青年や少年、とくに幼い男の子の姿として伝承されるようになりました。

    cabanel_venus.jpg
    「The Birth of Venus」1863年
    アレクサンドル・カバネル(1823-1889/フランス)
    File:Alexandre Cabanel - The Birth of Venus - Google Art Project 2.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    この「天使」と混同されやすいものに「キューピッド」があります。
    キューピッドとはローマ神話に登場する愛の神クピド(クピードー)の英語読み。
    ラテン語でアモル(アモール)とも呼ばれ、ギリシア神話の愛の神エロス(エロース)と同一視されています。

    神の使いである「天使」と、愛の神である「キューピッド」
    パッと見てその違いがわかりますか?

    どちらも背中に翼のある裸の子なので、姿から判断するのは難しいですね。
    「愛の天使キューピッド」というどっちつかずの言葉もあります。

    大まかな違いとしては、弓矢を持っているかどうかで判断できます。
    たとえば企業の商標の場合、「森永製菓」のエンゼルマークはその名のとおり天使です。(弓矢を持っていない)
    フラワーギフトの「花キューピット」のロゴマークはキューピッドです。(弓矢を持っている)

    食品会社の「キユーピー」のイラストは、名前からするとキューピッドのはずですが弓矢は持っていません。
    これは米国のイラストレーター「ローズ・オニール」が1909年に発表した「キューピー」というキャラクターを採用しているからです。
    しかしこのキューピー自体はローマ神話のクピドをモチーフにしています。

    german-bisque-kewpies.jpg
    ローズ・オニールのイラストをもとに製作されたキューピー人形(1912年)
    File:German-bisque-kewpies.png
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    その他にも、恋愛・結婚関連の企業がパンフレット等にキューピッドの絵柄を取り入れることも少なくないですね。


    さてそのキューピッドが持っている弓矢ですが、その矢には2種類あり、黄金の矢で射られた者は激しい愛欲に取り憑かれ、鉛の矢で射られた者は恋愛を嫌悪するようになると言われています。

    必ずしもラブラブになるわけではなく、愛するか嫌悪するかの判断はまさにキューピッドの気まぐれなのですが、なぜか現代では愛を成就させてくれる恋愛の象徴として広く親しまれています。
    これも見た目の可愛らしさがそうさせたのでしょう。

    こうして人々に好まれてきた愛の神だからこそ、これまでに数多くの絵画、彫刻、写真作品が作られました。


    【絵画】

    caravaggio_amorvincetomnia.jpg bury_zegevierende_amor.jpg

    左はイタリアの画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)による1601年の作品「Amor Vincit Omnia」
    右はドイツの画家、フリードリヒ・バリー(1763-1823)による1810年の作品「Zegevierende Amor」

    カラヴァッジョの作品は周りに物が散乱し、バリーの作品は折れ曲がった矢が散らばっています。
    どちらも現代のキューピッドのイメージとはだいぶ違いますね。

    現代のイメージに近い、非常に可愛らしいキューピッドを描いた画家といえば、ウィリアム・アドルフ・ブグローを置いて他には語れません。

    amour_vainqueur_1886.jpg

    フランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1886年の作品「L'Amour vainqueur」

    ブグローの画風は新古典主義の流れを汲む伝統的なものですが、官能的な裸婦や可憐な天使など、その甘美な画風は現在も人気が高く、多くの人に親しまれています。

    ちなみに上の3つの絵画はいずれも「愛の勝利」「勝利のアモル」等と訳される、同じテーマを描いた作品です。
    弓矢を誇らしげに掲げている点も共通しています。
    同じテーマを描いても作者によってこれほど雰囲気が違うというところが面白いですね。


    【彫像】

    可愛らしいキューピッドを描く画家の代表がブグローであるなら、可愛らしいキューピッド像を作る彫刻家の代表はベルテル・トーヴァルセンと言えるでしょう。

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    デンマークの彫刻家、ベルテル・トーヴァルセン(1770-1844)による1826年頃の作品「Cupid with his bow」

    トーヴァルセンは神話を題材とした大理石像を多く手掛けた彫刻家のひとり。
    彼の作品は肉体の柔らかさが非常に上手く表現されており、慈愛に満ちた雰囲気を醸しています。

    年齢の違う複数のクピド像がありますが、どれも弓矢を構えてはおらず、たたずんでいるポーズがほとんどです。
    プシュケに恋わずらいしたときのシーンかもしれません。

    cupid_triumphant_thorvaldsens_museum.jpg

    この彫像も同じくトーヴァルセンによる1814年の作品「Den triumferende Amor」
    訳は「勝利のアモル」となり、上でご紹介した絵画3作品と同じテーマです。

    どうやらこのテーマは古い芸術作品では比較的ポピュラーなようですね。

    File:Cupid Triumphant - Thorvaldsens Museum - DSC08601.JPG
    ライセンス:パブリックドメイン


    【写真】

    bow_and_arrow01.jpg bow_and_arrow02.jpg

    昔から弓矢はモデル撮影の小道具としても定番でした。
    男の子に弓矢を持たせれば、それだけでキューピッドのイメージを形作ることができます。
    翼を背負わせればさらにイメージに近付きますが、それだと仮装になってしまうので、写真作品としてはこのほうが良いのでしょう。

    その昔、先が吸盤になっている弓矢のオモチャがありましたが、ほとんどが男の子向けでした。
    弓矢、銃、ロケットなど、男の子が「遠くへ飛ばす」という行為を好むのは、太古の昔から当たり前に備わった感情なのかもしれません。

    さてキューピッドを表現した芸術作品。
    画家ならブグロー、彫刻家ならトーヴァルセンときたら、写真家ならば誰でしょう?

    私はイギリスの写真家、オリバー・ヒルを思い出します。

    adonis_30.jpg

    イギリスの写真家、オリバー・ヒル(1887-1968)による1923年の作品「The Garden of Adonis」

    今から100年ほど前に撮影された、神話をモチーフとした幻想的な写真。
    カーリーヘアの10歳くらいの少年がキューピッドを演じています。


    【キューピッド今昔】

    eros_bow_musei_capitolini.jpg bow_and_arrow04.jpg

    左は古代ギリシアの彫刻家リュシッポス(紀元前390年頃)による、弓に弦を張るエロス(クピド)の像。
    これはイタリアのカピトリーノ美術館にあるレプリカですが、オリジナルが作られたのはなんと2300年以上も前です。

    File:Eros stringing his bow, Roman copy after Greek original by Lysippos, 2nd century AD, Capitoline Museums (12516239325).jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    そして右は詳細不明ですが、海辺で弓矢遊びをする少年。(矢は人に向けているのではないと思います)
    大昔のキューピッドと現代のキューピッドをこうして比べてみても、それほど大きな違いはありませんね。

    もともとは狩猟の道具や武器として発明された弓矢。
    この弓矢を愛の道具として少年に持たせたローマ神話の伝承は、多くの作家のインスピレーションを刺激し、数々の作品を生み出しました。

    手法による表現の違いはあれど、愛の神が人々の心に存在する限り、少年と弓矢の組み合わせはこれからも受け継がれていくのでしょう。
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    Greased pole

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    メキシコの画家、ダニエル・レサマ(1968- )による2005年の作品「Greased pole」

    ポールの上に乗っている女性はなぜ動物の耳のカチューシャを付けているのか?
    飛び降りている少年はなぜ全身を青く塗っているのか?
    皿を持った男女はなぜパンツを下ろしているのか?
    いやそれ以前に、そもそもこれは何の絵なのか?

    画像検索してまとめてご覧になるとわかりますが、ダニエル・レサマの作品はリアルなのかフィクションなのか混乱させるところがあります。
    シュールと言うほど非現実的な光景ではなく、それでいて実際にはあり得ないと思えるような、とにかく不思議な雰囲気の作品ばかり。

    Googleの画像検索で「Daniel Lezama」を検索

    作者のダニエル・レサマは1968年生まれのメキシコの画家。
    メキシコシティにあるサン・カルロス・アカデミーで視覚芸術を学び、1995年に画家としてデビューしました。

    2000年に「ルフィーノ・タマヨ・ビエンナーレ」にて優勝し、これまでに20回以上の個展を開き、60以上のグループ展に参加しています。
    彼の作品はニューヨークのエル・ムセオ美術館、ロンドンやメキシコの近代美術館などで公的にコレクションされています。

    彼の絵に登場する人物の多くは太っており、それがコミカルでもあるのですが、全体に漂うテーマは至ってシリアス。
    生と死と性にまつわる精神を見える形で、言い換えればわかりやすい方法で訴えかけています。

    このようなテーマで群衆を描くことは、西洋絵画ではよくあることです。
    しかし彼の作品にはそういった絵に付き物の色気や妖艶さがほとんどありません。
    作品によっては猟奇的であったり狂気を感じさせますが、いわゆるホラーではなく、どこかの村の奇妙な儀式を見せられているような感覚があります。

    daniel-lezama_groom.jpg

    こちらは2004年の作品で、タイトルは「Groom」
    Groomとは新郎のこと。
    新郎にしては幼過ぎますが、結婚式の余興でしょうか?
    なぜか年配の女性たちに逆さ吊りにされています。

    楽器を演奏する者やとんがり帽をかぶる者、舞い散る紙吹雪などがパーティーの盛り上がりを示していますが、床に散らばったトウモロコシの皮は何を意味しているのでしょうか?

    一見すると虐待かと思ってしまうような絵ですが、少年の表情が冷静なだけに考えさせられる作品です。


    彼の作品集はAmazonでも購入できます。
    Daniel Lezama: Árboles De Tamoanchan (Amazon.co.jp)
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    The Guest Room

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    アメリカの女流芸術家、ドロテア・タニング(1910-2012)による1950年の作品「The Guest Room」

    卵の殻が散らばった薄暗い部屋の中、女性が球体関節人形と寝ている。
    ベッドの横には玉の付いた棒を持った怪しい頭巾男。
    手前では裸の少女が直立し、それを奇妙なマスクを被った異形の人間が眺めている。

    じつにシュールな光景ですね。
    ゲストルームとは来客用の寝室のことですが、こんな寝室だったら悪夢にうなされてしまいそう。

    作者のドロテア・タニングは、シュルレアリスムを主とした画家、版画家、彫刻家、作家。
    シュルレアリスムの代表的な画家であるドイツ人画家、マックス・エルンストの妻でもあります。

    シュルレアリスムとは芸術の形態や主張のひとつで、日本語では「超現実主義」と訳されます。
    日本ではシュールという言葉は「現実離れ」という意味で使われることが多いのですが、元々は現実から完全に隔離された非現実を表現しているのではなく、無意識や集団の意識、夢、偶然などを重視していると言われています。

    シュールであると言われている絵画や写真がなんとなく不安を感じさせるのは、現実外だからではなく意識外だからかもしれませんね。
    こういう絵にはあまり説明はいらないものです。

    ドロテア・タニングはイリノイ州のゲイルズバーグで生まれ、地元のノックス大学で絵を学びました。
    1941年にニューヨークに移り住み、1942年にドイツから亡命してきたマックス・エルンストと出会い、結婚。
    1956年にフランスに移住し、ふたりで絵の仕事を始めました。

    夫のマックス・エルンストが1976年に他界し、彼女は数年後にアメリカに帰郷。
    その後は回顧録や詩集などを発表し、2002年と2005年には文学界から最優秀賞に選ばれています。

    2012年1月31日、彼女はニューヨークの自宅で101歳で亡くなりました。
    二度目の詩集を出版したばかりでした。

    彼女の作品は日本ではあまり知られていませんが、1984年に東京渋谷のギャラリー「アートスペース美蕾樹(ミラージュ)」で紹介されたのが最初とも言われています。


    【Dorothea Tanning】
    https://www.dorotheatanning.org
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    Les joueurs d’aulos en Arcadie

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    フランスの画家、アルフォンス・イザンバート(1818-1870)による1847年の作品「Les joueurs d’aulos en Arcadie」

    タイトルは日本語に訳すと「アルカディアのアウロス奏者」となります。
    「アルカディア」とはギリシャのペロポネソス地方を構成する行政区のひとつで、古代より理想郷として伝承され多くの絵画に描かれてきました。

    そして「アウロス」とはこの絵の少女が吹いている楽器のことで、オーボエの基となった管楽器とされています。
    共鳴菅が根元から二本に分かれており、通常は左右の手で操作します。

    この絵では左の少年が演奏を手伝ってあげていますね。ふたりは恋人同士でしょうか?
    少年は手元ではなく少女の横顔を眺めています。

    古代ギリシアではアウロスは様々な行事で演奏されていました。
    しかしその奏者は主に奴隷や売春婦だったそうです。
    この子たちがそのような身分であるとすると、練習する光景にも複雑な思いが見えてきます。

    作者のイザンバートはギリシア神話を題材に歴史的な絵を描いた画家。
    彼の描く人物はギリシア彫刻のモデルを理想化したもので、とても質素で滑らかな体形をしています。

    写真のようなリアルさではなく、独自のデフォルメにより物語的に表現された彼の作品。
    まさに古代の理想郷を描くのに相応しい画風ですね。
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    Le Livre de la Jungle

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    フランスのイラストレーター、ピエール・ジュベール(1910-2002)による1989年の作品「Le Livre de la Jungle」
    ジャングルブックの主人公モーグリを描いた作品です。

    当ブログでは過去何回か「ジャングルブック」に関連した作品をご紹介してきました。
    ジャングルブックとは、イギリスの作家ラドヤード・キップリング(1865-1936)が1894年に出版した小説で、インドのジャングルを舞台に狼に育てられた少年モーグリが活躍する物語。

    joubert_le_livre_de_la_jungle02.jpg joubert_le_livre_de_la_jungle03.jpg

    余談ですが、日本では「狼に育てられた少年」「狼に変身する少年」「狼が来たぞと嘘をついた羊飼いの少年(イソップ童話)」のいずれもオオカミ少年と呼ぶことがあるので混乱しがちです。
    日本のシニア世代にはテレビアニメ「狼少年ケン」を思い出す人も多いと思いますが、これもジャングルブックがモチーフとなっていた可能性はありますね。(ジャングルブックはインド、狼少年ケンはアフリカという違いはありますが)

    さて本家のジャングルブックですが、これまでに様々なアーティストによりモーグリ少年を題材とした絵画、イラストレーション、アニメーション、ビデオ映像、実写映画が作られました。
    中でも現在も多くの人を魅了し続けている作品がこのピエール・ジュベールのイラストです。

    ジュベールは最近の映画のようにモーグリを作り変えることなく、原作のイメージをそのままに伝えています。
    狼に育てられたインドの少年、モーグリを最も正確に伝えているのがジュベールのイラストではないでしょうか。
    ちょっとイケメン過ぎる気もしますが。(^^)

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    作者のジュベールは1910年にフランスのパリで生まれました。
    1924年からパリの芸術学校に通い、1927年から1934年までフランスの新聞「L'Illustration」誌でイラストの仕事に従事。

    その後は宗教的、歴史的な絵を描いていましたが、15歳からボーイスカウトの活動をしていたためスカウト関連の書籍のイラストも多く手掛け、その分野の第一人者となりました。

    彼は77年にもわたるキャリアの中で数千点もの作品を生み出しています。
    そのほとんどは希望に満ちた少年の冒険を描いたものであり、これらはフランスのボーイスカウトの発展にも繋がりました。

    後世の漫画家やイラストレーターに大きな影響を与えたフランスの画家、ピエール・ジュベール。
    フランスのラ・ロシェルにて、2002年に91歳で亡くなりました。
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    Przed lustrem

    kempinski_przed-lustrem.jpg

    ポーランドの画家、マチェイ・ケンピンスキー(生年不明- )による作品「Przed lustrem」
    日本語訳は「鏡の前で」

    作者のケンピンスキーについては詳しい情報が得られませんでした。
    彼の作品を掲載しているサイトは多いのですが、ほとんどがPinterestだったので画像以外の情報がほとんどありません。
    オフィシャルサイトを見てわかったことは次のとおり。

    マチェイ・ケンピンスキーは風景画や肖像画を描くポーランドの画家。
    作品に象徴的な意味を込め、色彩と造形に注意を払いながらある種の緊張を表現しています。
    彼はポーランドの画家協会とグラフィックデザイナー協会のメンバーであり、協会主催の展覧会で作品を発表しています。

    オフィシャルサイトのギャラリーを見てみますと、写実的な作品もあれば抽象的な作品もあり、またシンプルなイラスト風の作品もあり、作者の多彩な才能が伺えます。

    本人が絵に象徴的な意味を込めていると語っているとおり、確かに考えさせられる作品が多いですね。
    大胆なタッチで描かれたその絵は、まるで遠くから実際の光景を眺めているような錯覚さえ覚えます。
    顔を描いていない作品が多いことも、見ている者の想像力を刺激します。

    この作品にはどんな意味があるのでしょう?
    ちょっと薄暗い部屋の中、少年が大きな鏡に自分の姿を映しています。
    コンプレックスがあるのか、それとも逆にウットリしているのか。

    男の子は成長期に一度くらいは自分の体にときめく時期があるものです。
    まさに芽吹く時ですが、他人がこの芽を摘むことはできません。
    生きている証しを人への優しさに繋げてほしいですね。


    【MACIEJ KEMPIŃSKI - MALARSTWO】
    http://maciejkempinski.pl
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    En moders syn

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    デンマークの画家、ジェンス・フェルディナンド・ウィルムセン(1863-1958)による1910年の作品「En moders syn」

    タイトルは「母親の視線」という意味。
    宇宙空間のような水の中のような風景と、そこに漂うふたりの男の子。
    110年も前の作品とは思えないほど幻想的な絵ですね。

    たぶん兄弟だと思いますが、母親の視線ということで子宮の中のイメージもあるのでしょうか?
    しっかり握られた手と唇に当てた指、どんな意味が込められているのかと想像力を掻き立てられます。

    作者のウィルムセンはデンマークのコペンハーゲン生まれ。
    初めはラウリッツ・タクセン(1853-1927)とペデラー・セヴェリン・クリエール(1851-1909)のもとで学んでいましたが、次第に象徴主義(サンボリスム)の影響を受けていきました。

    象徴主義とは人間の内面や夢、神秘性などを象徴的に表現しようとするもので、文学上の象徴主義と関連して名づけられました。
    ウィルムセンのこの絵も人間の神秘性を表現したものなんですね。
    なるほどたしかに神秘的であり、ふたりの男の子が神々しくも見えます。

    彼は絵画以外にも彫刻、建築、写真に興味を持ち、1928年の彫刻作品はデンマークの文化遺産「Danish Culture Canon」にも登録されています。
    また1947年にはスウェーデンから「オイゲン皇太子勲章」を授与されました。

    デンマークのフレデリクサントにある「JFウィルムセン博物館」では、彼の多くの作品が展示されています。
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    Uli im Leonardo da Vinci Kreis

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    アメリカ生まれのドイツの写真家、ウィル・マクブライド(1931-2015)による1978年の作品「Uli im Leonardo da Vinci Kreis」
    日本語に訳すと「レオナルド・ダ・ヴィンチ・サークルの中のウリ」となります。
    ウリとはこの子の名前です。

    「レオナルド・ダ・ヴィンチ・サークル」とは、イタリアの芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)が描いた線画「ウィトルウィウス的人体図」のこと。

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    これが「ウィトルウィウス的人体図」
    古代ローマの建築家であったウィトルウィウスの著書「建築論」を基にした、ダ・ヴィンチが1487年頃に書いた手稿です。
    手足を大きく広げた男性の姿が描かれており、周りを囲む真円と正方形に指先が内接しているという構図になっています。

    ダ・ヴィンチと言えば有名な絵画「モナ・リザ」の作者ですが、絵画以外にも音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学など、様々な分野に顕著な業績を残したことで知られています。

    「ウィトルウィウス的人体図」は解剖学や生理学に長けたダ・ヴィンチならではの作品であり、この図は後世の人体デザインに大きな影響を与えました。
    現代では医学に関するシンボルとして多く用いられています。

    マクブライドの作品はこの図をモチーフとしたもので、それはタイトルからも明白。
    場所はアトリエだと思いますが、大きな板に黒い布を貼って円と四角を描き、少年に乗ってもらったんですね。
    たぶん足の下にでも小さな足場があるのでしょう。


    作者のウィル・マクブライドはドイツの報道・芸術写真家。
    アメリカのミズーリ州の都市、セントルイスで生まれた彼は子供時代をイリノイ州のシカゴで過ごし、その後バーモント州のバーモント大学に通い、1953年にニューヨーク州のシラキュース大学を卒業しました。
    1953年から1955年にかけて米軍の仕事でドイツに滞在し、1955年にドイツのベルリンに移住。

    ベルリンに移住した後、彼は写真家としてドイツの文化を記録し続けます。
    遺跡や都市の景観、ベルリンの壁の建設など。
    しかし最も重要なテーマとしたのは、葛藤と貧困の中で自由を求める若者のライフスタイルの記録でした。
    彼はドイツの住人として街に、そして人に溶け込み、ドキュメンタリースタイルの写真を撮り続けました。

    彼の作品は人体をテーマとしたものが多く、1974年にドイツで発行された子供向け性教育写真集「Zeig Mal!」(英語版タイトル"Show Me!")にも彼の作品が使われています。
    2000年以降はイタリアのボローニャ、ドイツのベルリン、ミュンヘン、フランクフルト等で個展が開かれ、2004年にはドイツ写真協会よりエリック・サロモン賞を授与されました。

    数々の賞を受賞し、その地位を不動ものとした写真家ウィル・マクブライド。
    2015年1月にドイツのベルリンにて84歳で亡くなりました。


    ところで一番上の写真を見て気付いたことですが、左足の指先がちょっとイビツになっていませんか?
    怪我でもしているのかと思いましたが、他の写真を見てみると・・・

    will_mcbride_uli-hager.jpg
    「Uli Hager with Wall Drawing」(写真集「40 Jahre Fotografie」より)

    この写真では足の指が綺麗に写っています。
    ということは最初の写真は足場の一部が同化して見えているだけなのか、現像上の不備か、それとも複製時の修正ミスか?(その可能性が高いかな?)
    いずれにしても画像上での問題のようですね。

    この写真では壁に体の輪郭が描かれ、各部位のサイズが記されています。
    ウィトルウィウス的人体図のモチーフといい、体をトレースした壁画といい、写真家ウィル・マクブライドの感性には芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチと似たものを感じます。

    表現の仕方は違っても、彼らの芸術魂を支えていたのは人間への深い愛情だったのでしょう。


    【Will McBride】
    http://www.will-mcbride-art.com

    Googleの画像検索で「will mcbride」を検索

    Amazon.com.mxより
    Will McBride: 40 Jahre Fotografie
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    ダリウス・スキテックの絵画作品

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    当ブログではいつも心を癒せる作品をご紹介していますが、今回は趣向を変えてちょっと不気味な作品をご紹介。
    ポーランドが生んだ新進気鋭の画家、ダリウス・スキテック(1980- )によるホラータッチの絵画。

    子供をメインとした絵ではありますが、ご覧のように不気味なモンスターが描かれています。
    濃い色彩と濃い画風。悪夢のような風景にたたずむ少年少女たち。
    子供の頃に見たら怖くてトイレに行けなくなるような絵ですね。

    作者のダリウス・スキテックはポーランド西部の都市、ポズナン生まれのアーティスト。
    アングラ的な作品のせいか作者についての情報はほとんど得られなかったんですが、その作品からは真摯なメッセージを感じます。

    いわゆるシュールレアリスムであり、ホラーでグロテスクな要素を直接的に散りばめているかなりアクの強い絵です。
    子供とホラーというと「子供にとっては...」という捉え方と「子供というものは...」という捉え方の二つがありますが、彼の絵はその両方を同時に表現しているようにも思えます。

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    私にとって子供は天使のイメージですが、人によっては悪魔だったりゴブリン(小鬼)だったりと、不気味なイメージを持つ人も少なくはないのでしょう。
    昔から小説や映画等ではよくあるモチーフですね。
    エクソシストのリーガンちゃん然り、呪怨の俊雄くん然り、チャイルドプレイのチャッキーさん然り。(最後のは人形ですけど...)

    しかし子供が醸す「何を考えているかわからない」という不気味さでいえば、私が真っ先に思いつくのは1976年のスペイン映画「ザ・チャイルド」(原題:Who Can Kill a Child?)

    スペインのとある孤島を舞台に、子供たちが突如大人を惨殺し始めるというストーリーの映画ですが、ゾンビのようなスプラッターではなく、オカルトでもなく、子供たちは終始可愛らしい子供のまま。
    だからこそ恐ろしい。

    同じようなストーリーでスティーブン・キング原作の「チルドレン・オブ・ザ・コーン」というアメリカ映画もありますが、ザ・チャイルドのほうが不気味さが抜きん出ているように思います。(子役の可愛さも)
    機会があればぜひご覧ください。

    スキテックの絵画も子供をホラー的に描くことはなく、子供は可愛い子供として描かれています。
    ヌードであることは無防備の状態であると同時に偽りのなさでもあり、グロテスクな怪物と絡めて描くことで子供特有の内面性がより色濃く反映されています。

    芸術におけるホラーというジャンルは非常に誤解されやすいものですが、それは人間の体についても同じ。
    こちらに向かって微笑みかける裸の子供たちと、おどろおどろしい怪物たちの様相に何を感じるか、それはある意味、子供たちが大人に対して持つ印象なのかもしれません。


    【Dariusz Skitek】
    https://dariuszskitek.blogspot.jp
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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    Flickrは米Yahoo!が運営する写真共有コミュニティサイトです。
    当ブログはFlickrにて一般公開されている写真から、シェアが可能なもの(SNSやブログでの表示が許可されているもの)を選んでご紹介しています。

    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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