La Bourboule

    michel_simonidy-la_bourboule_poster.jpg

    ルーマニアの画家、ミシェル・シモニディ(1870-1933)による1895年の作品「La Bourboule」

    正確には1895年にフランス中南部の街「ラ・ブルブール」の駅に貼り出された、この街の水を宣伝するポスターです。
    ラ・ブルブールは1875年以降に発展した、水で有名な街で、温泉街としても知られています。
    ヨーロッパで最初の小児医療リゾートが作られた地域でもあります。

    このポスターは輪郭線を強調したイラストチックな絵柄で、当時としてはかなり洗練されたポスターであったろうと思います。
    美しい女性がふたりの幼い子供に水を与えているところですが、子供のひとりが背中に矢を背負っていることから、女神とキューピッドをモチーフにしているのでしょう。
    しかし翼は描いておらず、身近な子供のような親しみやすさを醸しています。

    この絵の作者、ミシェル・シモニディはルーマニアの首都ブカレスト生まれの画家。
    アールヌーボー様式を代表する画家のひとりであり、デザイナーでもありました。
    ルーマニアでの名前はミハイル・シモニディでしたが、パリに定住した後はミシェル・シモニディと名乗っています。

    彼は芸術学校でレオン・ボナット、フェルディナンド・ハンバート、ガブリエル・フェリエらの生徒として学び、卒業後はパリのサロンで定期的に作品を発表しました。
    彼の作品は1889年の国際博覧会で佳作に入賞し、1900年の国際博覧会では銀メダルを獲得しています。

    彼は知り合いの写真家とともに数多くのポスターをデザインし、その多くが賞賛されました。
    この絵は当時のラ・ブルブールからの依頼により制作されたものですが、現在も街の壁にこのように大きくディスプレイされ、道ゆく人の目を楽しませています。

    affiche_la_bourboule.jpg

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Affiche La Bourboule.JPG
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
    関連記事

    タグ: Europa  少年  少女  絵画  CC-License 

    Young Boy with a Teapot

    gillies-young_boy_with_a_teapot.jpg

    スコットランドの画家、ウィリアム・ジョージ・ギリーズ(1898-1973)による1921年の作品「Young Boy with a Teapot」
    「ティーポットを持つ少年」という、見た目そのままのタイトル。

    12歳くらいでしょうか、いかにも絵のモデルといった佇まいですね。
    かたわらに置いてあるティーポットを抱きかかえ、注ぎ口の根元を指でつまんでいます。

    これはもう皆さん御察しのとおり、紛れもなく大人への成長の意味を込めた作品ですね。
    ポットの注ぎ口を指でつまませることになんの意味もないはずはなく、チラリと見えているこの子の陰茎との対比を狙っているのは明らか・・・だと思います。

    ともすると下品になりがちなポーズですが、真面目そうなモデル君と素朴な画風がそれを防いでいます。
    ちょうど思春期あたりの少年をモデルにしたことで、テーマを見る側の心に委ねているような、心の写し絵のような作品になっているところが上手いですね。

    作者のウィリアム・ジョージ・ギリーズはスコットランドの画家であり、また美術教師でもありました。
    1924年にエジンバラ芸術大学を卒業し、フランスのパリで2年間修行した後に教師として同大学に戻ります。
    その後40年に渡って教鞭を取り、1959年からは退職する1966年まで校長を務めました。

    彼は主に風景や静物をテーマにしていましたが、作品にはしばしば1936年に亡くなった陶芸家である弟、エマ・スミス・ギリーズが作った陶器が登場しています。
    もしかしたらこのティーポットも弟が作ったものかもしれません。

    この絵は1921年、ギリーズが芸術大学の在学中に描いたものです。
    つまりこのシンプルな背景は大学の教室だったんですね。
    教室にモデルを招いてのヌードデッサンの授業は、昔の美術学校では当たり前におこなわれていました。

    モデルの少年に思わせぶりなポーズをさせたのは他の生徒だったのかもしれませんが、結果的にはシンプルながらも味わい深い作品となりました。
    関連記事

    タグ: Europa  少年  ♂♀  絵画 

    Schatten über der Seele

    schatten_uber_der_seele.jpg

    ドイツの画家、トーマス・エッツェンスペルガー(1958- )による2011年の作品「Schatten über der Seele」

    黒煙をあげる街並みを背景に、不安げな表情で頬杖をつく少年。
    タイトルは「魂の影」という意味ですが、戦争を憂いている子供の絵でしょうか?
    いや、体の傷から察するにこの少年こそが戦争の被害者なのでしょう。

    この絵を描いたのは、Tomé(トメ)という名で活動している、トーマス・エッツェンスペルガー氏。
    ドイツ在住の画家であり、美術教師でもある男性です。

    1958年にスイスのチューリッヒで生まれた彼は、大学を卒業後に雑誌「Reflex」のイラストレーターを務め、その後スイスの新聞「Walliser Bote」に定期的に漫画を掲載します。

    1978年、彼はスイスのフリブール大学で医学を学びましたが、その後グラフィックデザイナーに転向。
    1983年にフリーランスの漫画家として、スイス、ドイツ、アメリカの雑誌や新聞に漫画「PiPO」を掲載し、いくつかのコミック本を出版しています。

    そして1995年にはドイツのアウクスブルク大学で再び学び始め、中等学校の教師としての学位を取得しました。
    現在は10歳から17歳までの子供たちの美術教師をしています。

    彼は2011年に「子供の肖像画博物館」を設立しました。
    270以上の子供の肖像画と50以上の芸術作品を展示し、それらを通じて子供の権利のための活動をおこなっています。

    redhands.jpg

    子供の貧困、飢餓、そして様々な虐待などの問題は依然として世界中に根深く残っています。
    そしていくつかの国では未だ30万人もの子供たちが兵士として駆り出されているという事実があり、これはまぎれもなく深刻な問題です。

    彼はそんな子供への虐待に抗議すべく、赤い手のひらをサインとして人々への啓蒙活動をおこなっています。
    赤い手のひらは、子供を兵士として利用することに抗議するために使用するサインです。
    子供の手を血で染めてはいけない!という意味が込められているのでしょう。

    実際にたくさんの子供たちの手形によって作られたこれらの作品は、政治家の手に委ねられ、ユニセフ等の団体によって「子供を守る」という意識を広めるために使われています。

    彼はたくさんの子供の肖像画を描いていますが、その作品は決して明るいものばかりではありません。
    怪我を負った子供、血に染まった子供、虐待を受けている子供など、悲惨な現実を強烈なヴィジュアルによって訴えかけています。

    幸せな天使がいるならば、傷付いている天使もいます。
    我々は片方の天使だけに目を向けるのではなく、すべての天使の幸せについて考えなくてはなりません。


    Copyright : Thomas Etzensperger (Tomé)

    【Tomé s Kinderporträtmuseum】
    https://kinderportraitmuseum-aktionen.jimdo.com

    (この記事は、著作者本人からのご紹介により執筆いたしました)
    関連記事

    タグ: Europa  少年  絵画  ペイント  Face 

    ガストン・ゴアの絵画作品

    goor_unknown1964.jpg

    フランスの画家、ガストン・ゴア(1902-1977)による1964年の作品。
    タイトルは無題です。

    ギリシア神話の神々を描いたものでしょうか?
    ひとりひとりのキャラクターはわかりませんが天上の楽園といった感じですね。

    1964年といえば日本で東京オリンピックがあった年。
    古代オリンピック発祥の地であるギリシャのオリンポス山の雲の上には、まさにこのような神々がいたのかもしれません。

    作者のガストン・ゴアは1902年、フランスのリュネヴィルに生まれました。
    17歳のときに国立高等美術学校「エコール・デ・ボザール」に入学し、貧しいながらも勉学に励み、1925年にパリに移住。
    彼はそこで作家であり美術評論家であるアンドレ・サーモンを通じて、イラストレーターのアンドレ・ギデと出会いました。

    そしてイラストレーションの仕事に就き、フランスの有名な週刊誌、L'Illustration誌に作品を掲載します。
    1931年には「国際植民地展」のイラストも担当しました。
    また、その間いくつかの書籍も出版しています。

    彼は1952年からイギリスで数年間を過ごし、ロンドンのギャラリーでも展覧会を開いています。
    1974年にフランスの片田舎に移り住み、1977年12月に癌によりこの世を去りました。
    彼は亡くなる直前まで絵を描き続けていたそうです。
    関連記事

    タグ: Europa  少年  ♂♀  絵画 

    絵画の少年現る!

    日本の漫画家、荒木飛呂彦さんの代表作『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』には、絵画や漫画などのキャラクターを実在化させる「ボヘミアン・ラプソディー」というスタンド能力が登場します。

    知らない人にはナンノコッチャな話でしょうが、要するにこの漫画には「ウンガロという男の特殊能力により絵画や漫画のキャラクターが実体となって街に溢れてしまった」というシーンがあるのです。

    作中にはイタリアのウフィツィ美術館にあるボッティチェリ作の絵画「ヴィーナスの誕生」から抜け出たヴィーナスが街の中を歩くという描写もあります。

    絵から人物が抜け出るという話は漫画やアニメではよくある設定ですが、実際に起きたらそれこそ大事件!
    とくに美術界は大混乱でしょうね。

    今回は「絵画の中の少年がもし現実の世界に現れたら・・・」をテーマにしてみました。
    (写真は引用として使用していますが出典が不明です。関係者から削除要請があれば削除しますのでご了承ください)


    【蛇使いの少年】

    gerome_the_snake_charmer.jpg
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Jean-Léon Gérôme - Le charmeur de serpents.jpg

    フランスの画家、ジャン・レオン・ジェローム(1824-1904)による1870年の作品「The Snake Charmer」

    この蛇使いの少年が、スタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」により現実の世界に現れると・・・

    snakerboy_cambodia.jpg

    こうなります!

    ジェロームの絵はインドでこの写真はカンボジアですが、東南アジアでは今もこのような文化が残っているのでしょうか?
    ファンタを持っているところが現代っ子らしいですね。



    【水辺でうつぶせの少年たち】

    sorolla-chicos_en_la_playa.jpg
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Joaquín Sorolla - Chicos en la playa.jpg

    スペインの画家、ホアキン・ソローリャ(1863-1923)による1910年の作品「Chicos en la playa」

    水辺で遊ぶ少年たちを描いたこの絵画も、スタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」により・・・

    watersideboys.jpg

    このように現実の光景に!

    ひとり多いけれどポーズも構図もそっくりだし、奥から2番目の子がこちらを向いているところも同じ。
    美術館で絵を鑑賞した後に川に行って子供たちの水遊びを鑑賞するのも乙なもんです。



    【馬を連れた少年】

    sorolla-the_horse_bath.jpg
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Joaquín Sorolla y Bastida - The Horse’s Bath - Google Art Project.jpg

    これも同じくホアキン・ソローリャによる1909年の作品「El baño del caballo」

    裸の少年が馬を連れて海岸を歩いているシーンですが、これもスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」によって・・・

    boyandhorse.jpg

    我々の目の前に出現しました!

    馬が白馬じゃない点には目をつぶるとして、どちらも海辺だし、遠くにヨットが見えるところも同じ。
    絵のタイトルは訳すと「馬の風呂」となるので、昔は馬を水浴びさせるときに人間も裸になるのはよくあることだったのでしょう。



    【スパルタの少年】

    eckersberg-three_spartan_boys_practising_archery.jpg
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Christoffer Wilhelm Eckersberg - Three Spartan boys practising archery - Google Art Project.jpg

    デンマークの画家、クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ(1783-1853)による1812年の作品「Three Spartan boys practising archery」

    古代ギリシアの都市、スパルタの少年たちが弓の訓練をしているところ。
    もしこの少年がスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」で現代の街に現れたらもう大変!

    bowandarrowboy.jpg

    なんたってスパルタの戦士ですから、繁華街や大通りは彼らの恰好の射的場となってしまいます。

    この写真は前掛けをしているのでスパルタの格好とはちょっと違いますが、街に現れたらその危険な美しさに人々はパニックですね。



    【草原に立つ少年】

    lohmuller_matts.jpg
    Copyright : Otto Lohmüller
    http://www.otolo.eu/

    ドイツの画家、オットー・ローミュラー(1943- )による1984年の作品「Matts am Atlantik」

    草原にたたずむ少年を描いたこの絵にもスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディー」の効果が現れたようです。

    lonelyboy.jpg

    そのままのポーズで草原に出現!

    画像はドットの集まりですからこうして見るとどちらも同じように見えますが、実際に現物を目の当たりにすると、立体であり、温かく、そして動くという違い、つまり生命の有る無しの差は大きいのでしょうね。
    妊娠して命を育むことは、どんな芸術家よりも芸術的であると言えます。


    漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン」に登場する、ボッティチェリのヴィーナスが街を歩くシーンでは、ニュース番組のレポーターが...
    『美しい!美しすぎるッ!ヴィーナスがわたしたちの目の前を歩いて行くのです!女性の裸体となりますがボカシはいっさい入れず放映されています!』
    と絶叫しています。

    もし本当に絵画の中の人物が目の前に現れたら、ヴィーナスに限らずともそれはとても美しく、神秘的な光景であることでしょう。
    動くその姿は美術館で鑑賞するとき以上の感動があるはずです。

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


    絵画の画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    ライセンス:パブリックドメイン


    関連記事:人間になれたら...


    YouTubeより
    「クイーン - ボヘミアン・ラプソディ」(オフィシャルビデオ)
    関連記事

    タグ: Asia  Europa  少年  ♂♀  Water  絵画  OldPhoto  音楽紹介  CC-License 

    The Slave Market

    boulanger-the_slave_market.jpg

    フランスの画家、ギュスターヴ・ブーランジェ(1824-1888)による1882年の作品「The Slave Market」
    日本語でのタイトルは直訳の「奴隷市場」

    当ブログでこの作品を紹介することに関しては正直迷いました。
    子供が描かれているとはいえ、テーマが重過ぎるからです。
    しかしこの作品から何か大切なことも学べるだろうと、採り上げてみました。

    この絵は古代ローマ時代におこなれていた奴隷市場、つまり人身売買の様子です。
    奴隷とは、人間としての名誉、権利、自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人のこと。
    程度の差はあれ、古代にはこのような奴隷制度が世界中に存在したと言われています。

    ステージの一番左にいるのは5,6歳の裸の男児で、隣では体格の良い青年が腕組みをして立ち、その前には体を隠すようにうずくまっている女性がいます。
    真ん中の黒人女性は怯えるような仕草をしており、その隣には半透明の衣をまとい胸をさらしている大柄な女性。
    一番右には10歳くらいの少女が立ち、その前では衣装をはだけた女性がしゃがみ込んでいます。

    これから彼らを商品としたセリ(競売)が始まります。
    ステージに腰掛けて昼食をとっている黄色い服の男性は競売人です。

    買う側は上流階級の人間だと思いますが、農業や荷運びなどの重労働、家事、その他、何に従事させるかによって競る対象も変わるのでしょう。
    幼い子供がどのような仕事をするのかは想像の域を出ませんが、女性のうちの二人が自ら服をはだけているのも、悲しいかな生きるすべなのかもしれません。


    この絵の作者、ギュスターヴ・ブーランジェは植民地出身者の両親から生まれ、14歳で孤児となりました。
    1846年、22歳のときにパリのエコール・デ・ボザールに入学し美術を学び始めます。
    1849年にローマ賞を受賞し、1882年には芸術アカデミーのメンバーとなり、1885年からはアカデミー・ジュリアンの教授となりました。

    彼は主に東洋の文化を描く東洋画家でしたが、実際にイタリア、ギリシャ、北アフリカ等を訪れ、歴史的・文化的に正しい絵を描くよう心掛けたそうです。
    そのため古代ローマ時代の奴隷制度を描いたこの作品も、史実とそう大きくは違っていないと思われます。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Boulanger-gustave-clarence-rudolphe-french-1824-1888-the-slave-market.png
    ライセンス:パブリックドメイン
    関連記事

    タグ: Europa  少年  少女  ♂♀  イベント  絵画  CC-License 

    A Mother Love

    corinth-mother_love.jpg

    ドイツの画家、ロヴィス・コリント(1858-1925)による1911年の作品「A Mother Love」

    タイトルは「母の愛」または「母性愛」と訳せますが、窓辺で母親が息子を愛撫しているシーンです。
    沐浴しているところなのか、息子の愛らしい姿を見て思わず引き寄せたのでしょう。
    親子の愛情を感じる作品です。

    作者のロヴィス・コリントは19世紀から20世紀にかけて活躍したドイツの画家・版画家。
    1858年に東プロイセンのタピアウ(現在のロシアのグヴァルジェイスク)にて、皮革工場と農場を営む両親のもとに生まれたコリントは、8歳から15歳までケーニヒスベルクの叔母の家で暮らしました。

    しかし12歳の時に戦争が勃発し、15歳のときに母親が他界。
    それからは父親の農場で暮らしましたが、この頃から画家になりたいと強く望むようになりました。
    彼にとって絵を描くことは辛い生活からの逃避行であり、新たな人生を始めたいという願いでもありました。

    1876年からケーニヒスベルクのアカデミーで絵画を学び始め、1880年に教師の推薦でミュンヘン美術アカデミーに入学すると、彼はその才能をさらに開花させます。
    初期の作品は非常に自然主義的でしたが、その後は次第に表現主義的な特質を取り入れ、活気あふれる肖像画や風景画を描き始めます。

    彼は1900年にベルリンに移り住み、1902年に女性のための絵画学校を開設。
    最初の生徒であるシャーロット・ベレンデと結婚し、二人の子供をもうけてからは家庭生活が彼の作品の主要なテーマとなりました。
    1908年には「Das Erlernen der Malerei」という美術史に関する書籍も出版しています。

    しかし1911年12月、彼は脳卒中により左半身麻痺という悲劇に見舞われます。
    その後も妻の助けを借りて右手のみで絵を描き続け、1925年にはバイエルン芸術アカデミーの名誉会員となりましたが、同年7月17日に肺炎により亡くなりました。

    彼の作品にはヌード画が多いのですが、そのどれもが家族の優しさや温もりを感じさせるものばかり。
    幼少期に親元を離され15歳で母親を亡くしたコリントは、亡き母への愛情を絵画という形で表現していたのでしょう。
    関連記事

    タグ: Europa  少年  ♂♀  絵画 

    Tigah, the Balinese Goddess

    locatelli-tigah_the_balinese_goddess.jpg

    イタリアの画家、ロムアルド・ロカテッリ(1905-1943?)による1940年の作品「Tigah, the Balinese Goddess」

    赤い髪飾りをつけた少女が大きな布を広げてこちらを見て微笑んでいます。
    模様が描かれているので装飾用の布でしょうか?
    グリコのポーズが決まってますね。
    なんとなく幸せな気分になる作品です。

    作者のロカテッリは1905年、3世代続く芸術家の家に生まれました。
    兄弟は父親とともに教会の装飾画の仕事に従事しており、ロカテッリも学校で応用芸術を学びました。

    ある日父親が教会での仕事中に足場から落下して怪我を負い、彼も働くことを余儀なくされました。
    やがて13歳の彼の絵は批評家の目に止まることとなり、その後1926年、病気に苦しむ父親の姿を描いた作品「Il Dolore(痛み)」が高く評価され、彼は若くして大いなる名声を得ました。

    その後ローマに移住すると、サヴォワのウンベルト皇太子から肖像画を依頼されたり、マルグッタ通りに出したスタジオが繁盛するなど成功を収めていましたが、旅をして見聞を広めたいという欲求にかられ、1939年にインドネシアへと旅立ちます。

    彼は妻とともにインドネシアのバリ島に移住し、デンパサールにスタジオを設立しました。
    そこで描き上げた絵画のひとつが、バリ島の女神をモチーフとしたこの絵です。
    模様入りの生地の前にヌードモデルを配したこの作品は、彼の名声をさらに押し上げました。

    その後アメリカのニューヨークで作品を出展するまでになったロカテッリでしたが・・・
    1943年2月24日、彼はフィリピンのマニラ北部で鳥を狩りに出かけたまま行方不明となってしまいます。

    当時のマニラは日本軍のフィリピン進攻によって占領されており、日本軍に敵対するゲリラ活動も活発になっていました。
    それらに巻き込まれたのではないかという話もあります。
    彼の失踪は謎が多く、遺体は現在も発見されていません。
    関連記事

    タグ: Asia  少女  笑顔  ♂♀  絵画 

    Standing Nude Ephebe With Shield and Staff

    witkamp-standing_nude_ephebe.jpg

    オランダの画家、エルンスト・ヴィトカンプ(1854-1897)による1877年の作品「Standing Nude Ephebe With Shield and Staff」

    タイトルは日本語に訳すと「盾と杖を持つ、立っている裸のエフェベ」となります。
    エフェベとは青年という意味もありますが、古代ギリシアにて軍事訓練を受けていた17〜18歳くらいの男性のこと。
    この絵は17歳にしては体の中心部が幼く見えますが、古い絵画や彫刻ではよくあることです。

    作者のエルンスト・ヴィトカンプはオランダの首都アムステルダム生まれの画家。
    地元の美術学校で絵を学んだ後、ベルギー、フランス、ドイツを旅して技術を磨き、1882年には若いアーティストに与えられる賞、Willink van Collen賞を受賞しています。

    彼はアムステルダムのビジュアルアーティスト団体、Society Arti et Amicitiaeの役員であり、フォーダー博物館の責任者でもありました。
    しかし残念なことに、43歳の若さでこの世を去っています。


    さて彼が描いたこのエフェベの絵、最初に見たときはちゃぶ台を立てているのかと思いましたが(んなわけない!)盾だったんですね。
    右手に持っている杖も武器として使用するものだそうです。

    古代ギリシアの国々、とくに「スパルタ」と呼ばれる都市国家では、屈強な兵士を育てるために日夜厳しい軍事訓練がおこなわれていました。

    スパルタの少年は7歳になると強制的に親元から離され、軍の施設で規律の厳しい集団生活を課せられます。
    軍事訓練は下着姿に裸足でおこなわれ、これはスパルタの法律家リュクルゴスが「裸足で訓練をおこなえばより強靭な足となり、速く走れるようになる」と考えたからだそうです。

    食事は必要最小限の量しか与えず、これもリュクルゴスが「空腹に慣れさせれば戦闘時に欠食しても長時間持ち堪えられるようになる」と考えたからです。
    また従順にさせるため、反抗的な子や規律を破った子には鞭打ちなどの懲罰を与えていました。

    12歳になると下着を制限され、全裸での生活を基本とされます。
    幼い子が下着姿なのは粗相(そそう)をするからかもしれませんが、12歳から裸にさせるのにはどんな理由があるのでしょうか?逃走させないため?
    祭りのときはみな裸で踊らされたそうです。

    成長期に十分な栄養を与えず、思春期に裸で生活させるというのは少年たちの人格を無視した酷い話ですが、それだけ戦闘に特化した国だったということでしょうか。
    上の絵を見て17歳にしては幼く見えると言いましたが、もしかしたら当時のスパルタの少年はこの過酷な生活のため、実際に発育が遅かったのかもしれませんね。

    スパルタの軍事訓練はあまりの厳しさで有名になり、その名は現代も「スパルタ教育」という言葉で残っています。
    関連記事

    タグ: Europa  少年  ♂♀  絵画 

    隠せばOK? - 3【タオル掛け編】

    「神話の登場人物だから全裸な、ただし股間だけは隠してくれよ」

    こんな制作依頼をされたら、彫刻家はとても悩むでしょうね。

    何故なら以前の記事で述べたとおり、何かを貼り付ければ不自然だし、神話のキャラがパンツを穿いていたらなおさら不自然。
    絵なら前景を重ねて見えなくすることもできますが、彫像はそうもいきません。

    そこで多くの彫刻家は、ふわりと舞う布が股間をさりげなく隠しているという、なんともファンタジックな彫像を作るわけです。
    昔から絵画でもよくある手法ですね。

    psyche_et_lamour.jpg

    たとえばこれはフランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1889年の作品「Psyche et L'Amour」
    青い布によってクピドの股間だけが都合よく隠れています。
    男性器を隠すか隠さないかは作者にもよりますが、ブグローは概ね、幼児以外は隠す傾向にあったようです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Psyche et LAmour.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン


    さて本題の彫像の話に戻りましょう。


    peinte_orphee_cambrai.jpg peinte_orphee2.jpg

    これはフランスの彫刻家、アンリ・ペインテ(1845-1912)による1888年の作品「Orphee endormant Cerbere」
    ギリシア神話に登場する吟遊詩人、オルフェウスの像です。
    左がフランスのカンブレー市の公園に設置されているブロンズ像で、右はたぶん置物ですね。

    元々は全裸であるこの作品も、レプリカではほとんどが布で股間を隠した姿となっています。
    インテリアとしては隠したほうが良いという判断でしょう。

    しかしこのレプリカを見て、ある種の違和感を感じませんか?

    そう、いくら男性と言えども、通常このように布が引っ掛かることはないんです。
    布が掛かるということは、すなわち大事なものが上向きになっているということです。
    タオルフックのように。

    towelhook.jpg
    【タオルフック】(画像出典:Amazon.co.jp)


    「ええっ?真面目な彫像なのに!?」
    もちろん見えてはいませんが、見えないがゆえに確かめようもありません。

    このようなタオル掛け状態の彫像は他にもいくつかありました。


    runeberg_angel_helsinki.jpg runeberg_angel05.jpg

    これはフィンランドの彫刻家、ウォルター・ランバーグ(1838-1920)による天使像。
    左は首都ヘルシンキの街の広場に設置されているオリジナルで、右は墓地に設置されているレプリカ。
    見事にタオル掛けになっていますね。

    「純真な天使がそのような状態になるはずがない!」
    そう思う人の気持ちもわかりますが、布が引っ掛かるということはそういうことです。


    eugene_marioton_zephyr-.jpg jules_isidore_lafrance-saint_jean.jpg

    これは左がフランスの彫刻家、ユージン・マリトン(1857-1933)による1894年の作品「Le Zéphyr」
    ギリシア神話に登場する西風の神ゼピュロスの像で、布は掛かっているというよりも巻き付いているといった感じですね。
    西風の神はこういうことも自由自在なのでしょう。

    右はフランスの彫刻家、ジュールス・イサイドア・ラフランス(1841-1881)による1873年の作品「Saint Jean-Baptiste enfant」
    画像出典:Footsteps - Jotaro's Travels

    こちらは10歳くらいの少年に見えますが、子供ならなおさら通常の状態で引っ掛かることはありません。
    しかも軽い布ではなさそうだし、そうとう元気な子ですね。


    augustin_moreau-vauthier_cupid.jpg  auguste_moreau_cupid-holding

    これは左がフランスの彫刻家、オーガスティン・モロー・ヴァウティア(1831-1893)による1875年の作品「Cupid」
    アメリカのロサンゼルス郡立美術館が所蔵しています。
    そして右はフランスの彫刻家、オーギュスト・モロー(1834-1917)による作品「Cupid holding an Arrow」

    どちらもクピドの像で、作者の名前がどちらもモロー。
    でも股間はモロではなく、かろうじて隠れています。

    左は「見て見て!リボンが掛かってるよ!」と言っているようで、右は「どうだい!矢の重さにも耐えられるぜ!」と言っているような・・・言ってないですね。(^^;)


    【まとめ】

    今回はちょっとオフザケ気味でしたが、3回に分けて「裸像の股間は隠したほうが良いのか?」について考察してきました。
    結論としては「隠さないほうがずっと良い!」

    カップを取り付けた姿は不真面目に見えるし、パンツを穿かせたレプリカを作っても不自然なだけだし、布が掛かっていればそういう状態であるようなイメージを与えてしまう・・・。
    結局のところ裸像は、ありのままの姿が最も健全であるということです。

    一番最初の島根県の公園の話に戻りますが、ダビデ像にパンツなんか穿かせたら、それこそ「教育上悪い」下品な公園になっちゃいますよ。


    関連記事:隠せばOK? - 1【カップ編】
    関連記事:隠せばOK? - 2【パンツ編】
    関連記事

    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  絵画 

    いらっしゃいませ

    現在の閲覧者数:
    このブログについて...

    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:21年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
    RUKAのサイト・ブログ
    メッセージフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    アクセスの国別比率
    Flag Counter
    アンケート
    ユーザー掲示板
    Translation
    ブログ内検索
    アートギャラリー
    RUKAのアルバム
    カテゴリ
    タグ

    少年 Europa 少女 Water ♂♀ America 笑顔 衣装 水着 Face Asia CC-License イベント 彫像 スポーツ 日本 RUKA 絵画 風呂 伝統 ペイント Thong ダンス OldPhoto 眠り Africa 音楽紹介 Oceania 動画 

    最新記事
    試合直前 2018/09/21
    頭隠して尻隠さず 2018/09/20
    プールのヴィーナス 2018/09/19
    Le Joueur de billes 2018/09/18
    海は広いぞデッカイぞ! 2018/09/17
    砂浜で凧揚げ 2018/09/16
    Fisher Boy 2018/09/15
    海でブリッジ 2018/09/14
    石並べ 2018/09/13
    サンドランナー 2018/09/12
    アルバム機能を追加 2018/09/11
    God's Gift 2018/09/11
    お風呂でフィッシング 2018/09/10
    おやつのリンゴ 2018/09/09
    ジョージ・ヒューグルの写真作品 2018/09/08
    日別表示
    08 | 2018/09 | 10
    - - - - - - 1
    2 3 4 5 6 7 8
    9 10 11 12 13 14 15
    16 17 18 19 20 21 22
    23 24 25 26 27 28 29
    30 - - - - - -
    月別表示
    おすすめサイト
    Pro Photographer