Adonis / Spring of Life

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    オーストリアの画家、アルフレッド・ワーグナー(1886-1960)による1920年の作品「Adonis」と、1921年の作品「Spring of Life」

    どちらの作品も少年が両腕を上げている絵ですが、輪郭線を太くしているところやテクスチャーのような背景がイラスト風で、しかもそれがそのまま衣装の模様へと繋がっているところが面白いですね。

    左の作品のタイトルAdonisは、ギリシア神話に登場する美と愛の女神アフロディーテに愛された美少年のこと。
    右のSpring of Lifeはこれはそのまま「人生の春」ですが、どこらへんが春なのかはよくわかりません。(^^;)

    作者のワーグナーは1886年生まれのオーストリアの画家。
    彼の作品は主にアール・ヌーヴォーと呼ばれた芸術様式に属します。
    (Art Nouveau:19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動。「新しい芸術」の意)

    彼はもともと首都ウィーンの大学で科学と工学を専攻する学生でした。
    学ぶ中で色彩の科学的性質に魅せられた彼は、次第に絵画に関心を持つようになり、1907年からオーストリアの画家、バートールド・ロフラーのもとで絵画を学び始めます。

    1913年には二つの静物画と少女のヌード画を発表し、1914年にはロンドンの国際似顔絵展にも出展しましたが、その後第一次世界大戦による徴兵のため故郷を離れることを余儀なくされました。

    終戦後は故郷に戻ってウィーン分離派の第54回展覧会に参加し、その後は長年温めてきたアートコミュニティの創設に関わりました。
    この絵は終戦後(大正9年)に描かれたものですが、当時としてはかなりモダンな絵だったんでしょうね。


    画像出典:Boris Wilnitsky Fine Art
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    Wild Flower

    william_stott_wild_flower.jpg

    イギリスの画家、ウィリアム・ストット(1857-1900)による1881年の作品「Wild Flower」

    ソバージュヘアーの少女が台の上に腰掛けていて、その手前に花瓶に生けられた花が飾られているという絵。
    モデルは12歳くらいでしょうか。ちょっと気だるい雰囲気を醸していますね。

    タイトルは野生の花、または野草のことです。
    野に咲く花は摘んでしまうと、花瓶に入れても数日でしおれてしまいます。
    アトリエで何時間もモデルをしていれば、彼女も気分がしおれてしまうでしょうね。
    もしかしたらそういう意味を含めたタイトルなのかもしれません。

    作者のウィリアム・ストットは1857年にイギリスのランカシャー州オールダムで生まれました。
    美術学校を卒業した後フランスのパリに移住し、フランス人画家ジャン・レオン・ジェロームのもとで学びながら、サロンに定期的に出展するなどして成功を収めました。

    1889年にフランス印象派の展示で有名なデュラン・リュエル・ギャラリーにて個展を開催。
    彼の作品の多くは風景画でしたが、1880年代後半からは古典の人物や寓話をテーマとした作品へと移行しています。

    1900年2月25日、彼はロンドンからベルファストへと向かう旅行中、フェリーの中で亡くなりました。
    43歳という若さでの突然死だったそうです。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:William Stott of Oldham. Wild Flower.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    横たわるヴィーナス

    Lounging Demeter

    お庭で日光浴する幼い女の子。
    ポーズが横たわるヴィーナスみたいだね。
    神々しささえ感じます。(°▽°)

    Lounging Demeter
    Copyright : littledminor
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)


    ちなみに「横たわるヴィーナス」といえば有名なのは・・・

    tiziano_vecellio_venus_of_urbino.jpg

    イタリアの画家、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1490-1576)による1538年の作品「Venus of Urbino」
    ウフィツィ美術館所蔵の絵画で、日本でも2008年に国立西洋美術館で初公開されました。


    palma_vecchio_resting_venus.jpg

    そしてこちらはパルマ・イル・ヴェッキオ(1480-1528)による1520年頃の作品「Resting Venus」
    ドイツのアルテ・マイスター絵画館が所蔵しています。

    上の女の子の写真はポーズ的にはこっちに近いですね。
    顔立ちもかな?


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Tizian 102.jpg
    File:Resting Venus, by Jacopo Palma Vecchio.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    仮想の仮装少年

    Costumes for boys
    Harem

    Second Lifeという仮想現実ゲーム(?)の画面。
    リアルタイムで動かせるCGも綺麗になったもんですね。

    Costumes for boys
    Harem
    Copyright : Lovyne Odil
    (Flickrのシェア機能を使って紹介しています)
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    タグ: America  少年  衣装  Thong  ペイント  絵画 

    モデル君は背中で語る - 2

    以前書いた記事「モデル君は背中で語る」の続きです。(該当記事)

    今回は後ろ姿を描画した絵画と写真作品をご紹介します。
    彫像は必ずしも背中側が主題とは限らないので除外しました。

    それにしても人の背中というのは不思議なものですね。
    「背中で泣く」とか「背中が笑っている」という言葉がありますが、意識せず感情が表れていることがあります。
    自分からは見えにくい部位だからこそ、隠しきれないのかもしれませんね。

    まずは絵画作品から。

    torjay_miracles.jpg ivanov_st-nu-boy.jpg

    左はハンガリーの画家、トルジェイ・バルター(1964- )による2009年の作品「The first miracles」
    右はロシアの画家、アレクサンドル・アンドレイビッチ・イワノフ(1806-1858)による1830年の作品「A Nude Boy Standing」

    庭で遊ぶモデル君と壁際でポーズをとるモデル君。
    どっちの背中が楽しそう?


    colstee_boy-look-sea.jpg ht_boys-bath-sea.jpg

    左はオランダの画家、ペーター・コルスティ(1960- )による2006年の作品「Boy looking over the Sea」
    右はイギリスの画家、H・Tによる作品「Boys bathing in the Sea」

    海をクールに見つめる少年と海に入って遊ぶ少年。
    背中は口ほどにものを言う?


    rohlfs_back.jpg stott_sumday.jpg

    左はドイツの画家、クリスチャン・ロールフス(1849-1938)による1905年の作品「Männlicher Rückenakt」
    右はイギリスの画家、ウィリアム・ストット(1857-1900)による作品「Study of A Summer's Day」

    どちらもアトリエでのモデル君ですが、ちょっとお疲れ気味。
    背中にそれが表れてる?


    hofman_untitled.jpg simberg_garland_of_life.jpg

    左はポーランドの画家、ワラスティミル・ホフマン(1881-1970)による作品。(タイトル不明)
    右はフィンランドの画家、ヒューゴ・シンベリ(1873-1917)による1905年の作品「Garland of Life」

    天使の翼も後ろ姿があってこそ絵になる構図ですね。
    少年の背中は愛らしくもあり、たくましくもあり。


    次は写真作品。

    holland_day_boy_standing.jpg george_hugles_boyhood_australia.jpg

    左はアメリカの写真家、フレッド・ホーランド・デイ(1864-1933)による1896年の作品「Boy standing, playing pipe in the woods」
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Boy standing, playing pipe in the woods 1896-1897.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    右はオーストラリアの写真家、ジョージ・ハグレスによる作品。
    どちらも森の中で精霊のようにたたずむモデル君。
    顔が見えにくい後ろ姿ゆえに、イメージが膨らみます。


    maxwell_justin_and_leo.jpg simberg_lauri-railo.jpg

    左はアメリカの写真家、ロバート・マックスウェルによる作品「Justin and Leonardo」
    右はフィンランドの画家、ヒューゴ・シンベリ(1873-1917)による1905年の作品。
    上の絵画で一番最後のシンベリの作品、その制作のために撮影された写真です。

    モデル君はときに道具を持たなくてはならないので大変です。
    左の子が抱えてるのは犬かな?


    ken_heyman01.jpg ken_heyman02.jpg

    アメリカの写真家、ケン・ヘイマン(1930- )による1961年の作品。

    モデルは当時の映画「Lord of the Flies(蠅の王)」に出演した子役たち。
    撮影のために島で集団生活した子供たちの様子は、1964年発行の書籍「The Boy a Photographic Essay」に収められています。(現在もAmazon等で購入できます)


    jacques_duval.jpg gloeden_gallo.jpg

    左はドイツの写真家、ジャックス・デュヴァルによる作品。
    右はドイツの写真家、ヴィルヘルム・フォン・グレーデン(1856-1931)による1900年頃の作品。
    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Gloeden, Wilhelm von (1856-1931) - n. 0228 - 20c - Gallo p. 20.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    ちょっと重心をずらした斜めのポーズが草木のある風景に溶け込んでいます。
    野性味を醸し出すには後ろからのショットのほうが良さそうですね。


    絵や写真は彫像とは違い、回り込んで別角度から見ることができません。
    作者が後ろ姿を表現すれば、それがそのまま作品の構図となります。

    なぜ後ろ姿なのか? なぜ背中からなのか?
    表情が見えないながらも、その小さな背中が語りかけてきます。
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    Portrait of a Young Boy with his Ayah

    thomas_hickey_portrait_of_a_young_boy.jpg

    アイルランドの画家、トーマス・ヒッキー(1741-1824)の作品「Portrait of a Young Boy with his Ayah」
    制作年はわかりませんでした。

    ベッドの上にいる子は女の子にも見えますが男の子です。
    裸の男の子がベッドの上にいて、そばの女性が上のヒモに手を掛けている、というシーン。
    このふたり、いったいどういう関係なんでしょうか?

    答えはタイトルにありました。「...with his Ayah」
    Ayah(アヤ)とは、インドで子供の世話を専門におこなう使用人(お手伝いさん)のことです。
    この絵はインドに住む西洋人のおぼっちゃまと、その家に雇われたアヤの女性を描いた作品でした。

    このアヤという職業について詳しく見てみますと、現在のインドではアヤは他の使用人に比べて給料が高く、それでいて特別な資格は必要なく、子供好きで子供の世話ができればOKだそうです。
    年齢は15歳くらいから50代くらいまで様々で、ベビーシッターと違って小学生以上の子の世話もするので、もうひとりのお母さんといった感じですね。


    この絵の作者、トーマス・ヒッキーはアイルランドの首都ダブリンで菓子屋の家に生まれました。
    若い頃はロイヤルダブリン協会の学校で美術を学び、1776年から1780年まではイギリスのバースに住んでいましたが、インドやポルトガルにも訪れています。

    彼は肖像画家であり、イギリスの外交官ジョージ・マカートニー伯爵や、アイルランドの医師ロバート・エメット博士など多くの人から肖像画制作を依頼され、数多くの名画を残しています。
    1798年には再びインドを訪れ、インドに定住し絵画制作に従事しました。

    約200年前のこの作品、イギリスによって植民地化される前ですが、この頃のインドの身分制度を如実に表しています。
    今でこそ給料もそこそこ良いアヤという仕事も、当時はイギリス系の裕福な家庭の子供を世話するために雇われるインド人女性のことであり、決して人気の職業というわけではなかったようです。
    子供の世話とは言っても、本来の大人と子供とは全く逆の身分の差がそこにはあるわけです。

    子供が裸で寝るのは、この時代としては当たり前のこと。(イギリスでは現在も約3割の人が裸で寝ているそうです)
    もしこの少年がアヤに添い寝を命令したら、その場合はどうしていたんでしょう?
    もしかしたら、そういうことも役割のひとつだったのかもしれませんね。
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    タグ: Europa  少年  絵画 

    大人と子供がペアの絵画

    昨年7月の記事で、「兄と妹」「父親と娘」「お爺さんと孫娘」そして「姉と弟」「母と息子」「お婆さんと男の子」がペアになっている彫像を紹介しながら、それぞれの組み合わせについて考えたことがありました。
    (該当記事「兄・父・爺」 「姉・母・婆」

    今回は大人と子供がペアになっている「絵画」を鑑賞してみましょう。
    大人と子供が一人ずつ、ツーショットで描かれている絵画です。

    まずは「成人男性と少年」のペア。

    sascha_schneider_werdende_kraft.jpg

    ドイツの画家、サシャ・シュナイダー(1870-1927)による1904年の作品「Werdende Kraft」


    leighton_the_hit.jpg castelnau_lecon_de_musique.jpg

    左はイギリスの画家、フレデリック・レイトン(1830-1896)による作品「The Hit」(制作年不明)
    右はフランスの画家、ユージン・カステル(1827-1894)による1866年の作品「La leçon de musique」


    pyotr_basin_marsyas_teaches_flute.jpg jules-cyrille_cave_la_lecon_de_flute.jpg

    左はロシアの画家、ピョートル・バシン(1793-1877)による1821年の作品「Marsyas teaches young Olympus playing the flute」
    右はフランスの画家、ジュール=シリル・カーヴ(1859-1940)による作品「La leçon de flûte」(制作年不明)


    一番上の絵は、屈強な男が成長期の少年に体づくりをレクチャーしているところですね。
    背景の山々はオリンポスでしょうか?
    その下のフレデリック・レイトンの作品は弓矢の使い方を教えているところで、あとの3枚はすべて笛の吹き方を教えているところ。

    たまたまかもしれませんが、成人男性と少年の組み合わせは、どれも「優しく教えている」という作品でした。


    次は「成人女性と少年」のペア。

    paul_delvaux_la_visite.jpg

    ベルギーの画家、ポール・デルヴォー(1897-1994)による1939年の作品「La Visite」


    berger_psycheandcupid.jpg bouguereau_lamour_desarme.jpg

    左はフランスの画家、ジョセフ・ベルガー(1798-1870)による作品「Psyche and Cupid」(制作年不明)
    右はフランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1894年の作品「L'Amour Desarme」


    emile_levy_the_education_of_cupid.jpg henning_von_gierke_cupid_and_psyche_iv.jpg

    左はフランスの画家、エイミール・レビー(1826-1890)による作品「The Education of Cupid」(制作年不明)
    右はドイツの画家、ヘンイング・ボン・ギールケ(1947- )による2008年の作品「Cupid and Psyche IV」


    成人女性と少年の組み合わせとなると、少年側が天使である、または天使に見立てているパターンが多いようです。
    彫刻と違って、母親と息子というペアはあまり見受けられません。

    エイミール・レビーの作品は一見すると弓矢を教えているようにも見えますが、これは「あの男性を射りなさい」とクピドに命じているんですね。
    男性が使い方を教えているのに対し、女性は自分のためにそれを使わせるという、この違いは面白いですね。

    最後のギールケの作品はタイトルが「Cupid and Psyche」なので、これも少年を天使に見立てているのでしょう。
    女性が天使の翼を取り除いたという意味なんでしょうか?

    成人女性と少年の組み合わせは、どことなく女性の強さが表れている作品でした。


    最後は「成人女性と少女」のペア。

    henry_brown_fuller_illusions.jpg

    アメリカの画家、ヘンリー・ブラウン・フラー(867-1934)による1895年の作品「Illusions」


    bouguereau_baiser.jpg gabriel_de_cool_unknown.jpg

    左はフランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1863年の作品「Le Baiser」
    右はフランスの画家、ガブリエル・デ・クール(1854-1936)による1911年の作品「Le Tub」


    成人女性と少女のペアの絵はあまり見つからなかったんですが、どれも何気ない日常を切り取ったような、ファミリー写真的なほのぼのしたものが多いように感じました。

    上の絵は姉と妹、その下は母と娘、最後は家政婦とその家の娘でしょうか?
    いったい何を話しているのかと、セリフが気になるシチュエーションですね。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ(一部)
    File:Frederic Leighton - The Hit.jpg
    File:Петро В.Басін - Фавн Марсий учит юношу Олимпия игре на свирели (1821).jpg
    File:Jules-Cyrille Cave - La lecon de flute.jpg
    File:Henry Brown Fuller Illusions.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    キャロルの愛したアリス・リデル

    alice_liddel_beggar_girl.jpg

    ご存じですか?と聞くのもおかしなほどに有名な童話「不思議の国のアリス」
    数学者でオックスフォード大学の教授でもあるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(1832-1898)が、ルイス・キャロルというペンネームで1865年に出版した童話です。

    ウサギを追いかけて野原の穴に入っていった少女アリスが、不思議の国で体験する奇想天外な物語。
    体の大きさが変化する薬とケーキ、カエルや魚の顔をした人たち、荒っぽく皿を割りまくる料理女、ニヤニヤして顔だけになるチェシャ猫、気の変な帽子屋、泣き虫のウミガメ、怒ってすぐに首をはねたがるトランプの女王などなど・・・そのストーリーはナンセンスとユーモアに溢れ、作家キャロルとしての文才と数学者ドジソンとしての緻密な思考力を感じさせます。

    もともとドジソンは歩き方がぎくしゃくしていたり、どもる癖があったために内気な性格で、大学の仲間や生徒たちからは気難しいつまらない人間だと見られていました。
    しかし無類の子供好きだった彼は、普段から知り合いの子供たちの前で人形を動かしたり手品をしたり、お話を聞かせて喜ばせる一面も見せており、その時ばかりはどもりの癖も影をひそめたといいます。

    そんな彼が子供たちの中でもとりわけ強い愛情をそそいだのが、同大学の学園長の次女である10歳の少女でした。
    少女の名はアリス・プレザンス・リデル(1852-1934)。
    そう、不思議の国のアリスという物語は、ドジソンがこの子のために作ったお話だったのです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Alice Liddel - Beggar Girl.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    three_liddell_sisters.jpg

    一番上の写真はドジソンが撮影した6歳のときのアリス・リデル。
    そしてこちらの写真は同じくドジソンが撮影した学園長の三人娘。(1860年)
    左端の子が次女のアリスですね。


    1862年7月4日、テムズ川のほとりで初めてアリスに語られた不思議な物語は、その後ふたりが出会うたびにふくらんでいきました。
    アリスはドジソン先生というさえない独身男の語る物語にワクワクと胸を躍らせたでしょうし、ドジソンはアリスを喜ばせたいとの一心で空想力を大いに働かせたに違いありません。

    この物語はのちにドジソン自身が挿し絵を描いて一冊の本にし、その年のクリスマスにアリスにプレゼントしたのですが、それが知り合いの目にもふれ愛読されるうちに絶賛され、そして後の1865年、ジョン・テニエルという風刺画家の見事な挿し絵を添え、正式に刊行されたというわけです。
    最初の1冊目はアリス自身に、2冊目はビクトリア女王に贈られたそうです。

    john-tenniel_alice.jpg

    物語のセリフとテニエルによる挿し絵が、まさにアリスという少女の印象を世に決定付けました。
    金色の長い髪、エプロンドレス、ちょっと蓮っ葉でおしゃべり、大人びた口調、ちょっとのことでは動じない性格。
    一見しただけでもドジソンが愛したアリス・リデルとはかけ離れたキャラクターのようにも思えます。(実際のアリスは黒髪)
    これはもう一人のアリスを形作ることにより、感情移入しながらもアリス・リデルという少女のイメージを壊したくなかった、そんな気持ちの表れなのかもしれません。

    ドジソンのアリスへの想いはまさに「惚れる」という感覚でしたが、それは滑稽とも思えるほどプラトニックなものでした。
    当のアリスはそんなドジソンの想いなど知る由もなく、時には突き放したりわがままを言ったりしながら、子供ながらにどもりの独身男を振りまわしていました。
    後にドジソンからの求婚をキッパリと断ることからも、この愛は単なる一方通行で終わったようです。

    当時のアリス・リデルの心の内については、年老いた彼女自身が回想するという設定の1985年のイギリス映画「ドリームチャイルド」で見てとれます。

    YouTubeより
    「Dreamchild (1985) - Video Trailer」
    https://youtu.be/o8JvMdfNOrg

    数字の世界に生きながらも少女を空想の世界へといざなったドジソンは、もしかしたら究極のロマンチストだったのかもしれません。
    後生の子供たちに素晴らしい物語を残してくれた彼の言葉として、本の冒頭に次のような序詩が添えられています。(日本語訳)

    『アリス、この子供らしいお話をお受け。そしてやさしい手で置くがいい、子供の夢が思い出の神秘の絆につながっているあの場所に。巡礼がかぶるしおれた花の花かずらが、はるかな国でつつまれたように...』
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    オーウェ・ゼルゲの人物画

    owe_zerge_unknown.jpg

    スウェーデンの画家、オーウェ・ゼルゲ(1894-1983)による人物の油彩画。
    タイトルと制作年は不明です。

    よくあるアトリエでのモデル描画なので、習作の可能性もありますね。
    ゼルゲの他の作品にはこの子とよく似ている肖像画が多く見受けられるので、もしかしたら息子さんかもしれません。

    こういうモデル、女性の場合は裸婦と言いますが、少年の場合はなんと言うんでしょう?
    らしょうねん?・・・羅生門みたいだな。

    作者のオーウェ・ゼルゲは肖像画、裸婦、花、風景等の絵画で知られるスウェーデンの画家で、スウェーデンの都市クリシャンスタードで生まれました。
    1914年から1915年までアルシンの美術学校に通い、その後ストックホルムのスウェーデン王立芸術アカデミーに入学します。

    1920年にフランスに留学し、翌年にパリのサロンで賞を獲得。
    その翌年にはストックホルムの展覧会にも参加しています。
    1923年に彼の作品がイェーテボリの美術館に収蔵され、毎年の展覧会で定期的に展示されました。

    長年の功績が称えられ、1975年、81歳の時に文化賞を受賞していますが、彼の故郷ではさほど有名ではないそうです。
    彼の作品は現在、スウェーデンのゲーブル、クリシャンスタード、トメリラの博物館で鑑賞できます。
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    The Pool

    robert_riggs_the_pool.jpg

    アメリカの画家、ロバート・リッグス(1896-1970)による1933年の作品「The Pool」

    学校の授業でしょうか?
    たくさんの少年たちがプールに飛びこんだりベンチで日光浴したりとくつろいでいます。
    水着を着ていないのでまるで川遊びのような光景ですが、昔の学校にはこういった全裸のプール授業もあったんでしょうか?
    それとも多少ユーモアを交えた作品なのかな?

    作者のロバート・リッグスは19世紀末にアメリカのイリノイ州の都市、ディケーターで生まれました。
    若い頃は地元のミリキン大学で学んでいましたが、1915年にニューヨークの美術学校「アート・スチューデンツ・リーグ」に移り、卒業後はフィラデルフィアの広告会社に勤務。
    第一次世界大戦中はフランスの赤十字社に勤め、終戦後はアメリカに戻って雑誌のイラストレーターとして働きました。

    彼の作品の多くは1930年代に描かれ、ボクシングやサーカスをテーマとしたものが多いようです。
    1939年に国立デザインアカデミーのメンバーとなり、1961年から1963年まではフィラデルフィアの美術学校で講師を勤めました。

    ニューヨーク・アート・ディレクターズクラブの優秀賞を10年連続で受賞するなど、優れた功績を残したロバート・リッグス。
    彼の作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、フィラデルフィア美術館、米国議会図書館の常設コレクションに収蔵されています。

    雑誌のイラストレーターということで、彼の作品は実際の出来事を描いたものなのか想像上のものなのか、見ただけでは判断しにくいですね。
    この作品はどうなんでしょうか?

    ・・・と思って調べてみたら、このような写真が見つかりました。

    elisofon_junior_swimming_pool.jpg boys_swimming_kallbad.jpg

    左はアメリカの写真家、エリオット・エリソフォン(1911-1973)による1930年の作品で、右は作者不詳ですがスウェーデンのヨーテボリで20世紀初頭に撮影された写真です。(パブリックドメイン)

    どちらもリッグスの絵との共通点がありますね。
    学校の授業または水泳教室のようであり、水着をつけておらず、そして少年のみであるということ。
    リッグスが描いた「The Pool」は想像上の絵ではなく、当時としてはよくある光景だったんですね。

    現代の子供たちの中には同性の前でも裸になれず、修学旅行で風呂に入ることをためらう子もいるそうです。
    でももしそれが自分の体を恥じているためだとしたら悲しいですね。

    いつの時代の子供たちも、人間に生まれたことを誇りとし、自分の姿に自信を持ってほしいと思います。
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    いらっしゃいませ

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    Author:RUKA


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    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    都道府県:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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