The Dragonfly

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    イギリスの女流画家、ネリー・ジョシュア(1877-1960)による1905年の作品「The Dragonfly」

    タイトルのDragonfly(ドラゴンフライ)とはトンボのこと。
    描かれているのは妖精ですが、羽の形状からイメージしてこのタイトルを付けたんでしょうね。
    妖精といえば背中に蝶の羽を持つものが一般的ですが、トンボのような羽の妖精もファンタジックな絵ではよく見かけます。

    さてそのトンボですが、西洋では昔は不吉な虫と考えられていたそうです。
    ドラゴンや妖精を邪悪な生き物とみなした物語もあるので、関連性があるのかもしれません。
    日本ではトンボは季節の風物詩でもあり、どちらかというと好まれている虫ですね。

    ちなみにトンボという名の語源については・・・
    飛ぶ棒 → トンボウ → トンボと変化したという説があります。

    この絵の作者、ネリー・ジョシュアはロンドンのハムステッド生まれの女性。
    インテリアの要素を取り入れた人物画を描く画家で、妹のジョーン・ジョシュアも芸術家でした。

    1890年代にロンドンのヘザーリー美術学校で絵画を学び、その後は王立アカデミーや女性アーティスト協会にて作品を発表。
    ファンタジックな作風で知られており、この「The Dragonfly」もその頃の作品です。


    さて、このトンボのような妖精、男の子でしょうか?女の子でしょうか?
    え?語源が「飛ぶ棒」だから男の子?
    なるほどっ!山田くん座布団ぜんぶ持ってって!( `・ω・´)/

    でもそのとおり、正解は男の子。
    この絵には「Fairy Boy」というもうひとつのタイトルが付いていました。


    画像出典:Sofi
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    Odalisque Min

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    ドイツの芸術家、エリザル・フォン・クッパー(1872-1942)による1910年の作品「Odalisque Min」

    シンメトリーな宗教画のようにも見えますが、謎めいた雰囲気の絵ですね。
    天使をイメージさせる少年ではなく、どちらかと言うと青年でしょうか。
    人体図鑑の挿絵としても使えそう。

    頭上にある牛の乳のようなものは何でしょう?
    それを両手で掴んでドクロの上に乗っているというシュールな光景。足下には蛇もいます。
    陰なのか陽なのか、正なのか邪なのか、見る者によって解釈が分かれそうですね。

    作者のエリザル・フォン・クッパーは19世紀ドイツのアーティストですが、その肩書きは芸術家、詩人、歴史家、翻訳家、劇作家とじつに多彩。
    エストニアで生まれてロシアのサンクトペテルブルクで育った彼は、その後ドイツのベルリンで学問を学びました。

    1902年から1915年にかけてイタリアを旅した後、歴史家・哲学者のエドゥアルド・フォン・メイヤー(1873-1960)と共にスイスのロカルノに定住。
    この頃に画家としての活動を始めています。

    1925年から1929年にかけてスイスのミヌーシオにあるヴィラ(かつての貴族の邸宅)を「サンクチュアリウム・アルティス・エリザリオン」という芸術コレクションの場に変貌させ、これを一般の人が利用できるようにするという条件でミヌーシオの自治体に寄贈しました。
    現在この建物は公共の図書館やコンサートホールになっています。

    彼は既存の宗教に囚われない独自の宗教感を持っており、それを視覚化した作品を多く手掛けていました。
    特に目立つのは男性主体のユートピアを描いた作品。
    女性や子供が登場しないので見ようによっては異様な光景ですが、平和的な雰囲気を感じさせます。

    絵の中に若い自分を描くこともあり、そのせいか彼の絵の登場人物はどれも似通っています。
    既存の世界観の表現というよりは、理想郷の追求が根底にあったのかもしれませんね。
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    Bath Time

    meyer_1908_bathtime.jpg

    デンマークの画家、カール・ウィルヘルム・マイヤー(1870-1938)による1908年の作品「Bath Time」

    作者のマイヤーはデンマークの都市、オールボー生まれ。
    コペンハーゲンの美術学校で絵を学び、画家としてのキャリアをスタートさせました。
    第一次世界大戦に影響を受けた作品はあまり成功しませんでしたが、終戦後に描いた肖像画や風景画は広く認められ、庶民の生活を描いたその作風からいつしか付いたニックネームは「貧しい者の画家」

    たしかに彼の作品群を見てみますと、薄明かり差し込む部屋に親がいて子がいるという、ごく普通の庶民の暮らしを描いた作品が多いようです。
    この絵は当時では当たり前だった、部屋の中での沐浴シーンですね。

    真ん中で存在感のある後ろ姿を見せているのはこの家の長男でしょうか。
    次はボクの番だと言わんばかりに服を脱いでスタンバイ。

    次男はそんなお兄ちゃんを見ながら笑っていますし、末っ子はひとりで水遊び。
    お母さんは長男の自己主張など意に介さず、黙々と娘の髪を結っています。

    どこにでもある庶民のワンシーンであるがゆえに、そこに漂う「幸福感」のようなものを感じます。
    貧しさとは無いことではなく失うことである、そんなふうに思わせてくれる作品です。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Carl Vilhelm Meyer - Lordagrengoring (ca.1908).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン
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    Sankte Per framför porten till Paradise

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    デンマークの画家、マルタ・オーディン・エンゲルステッド(1852-1930)による1891年の作品「Sankte Per framför porten till Paradise」
    日本語に訳すと「楽園の門の前の聖ペトロ」となります。

    楽園へと続く門の前に聖ペトロなる人物がいて、これは検閲しているんでしょうか?
    なにやら揉めているようにも見えますね。

    列をなす人の中には不安そうな者もいれば、笑っている者もいます。
    剣を装備した番兵のような天使たちと、咥えタバコでポケットに手を突っ込んでいる野暮ったい男の存在に作者のユーモアを感じます。

    作者のエンゲルステッドは1852年、デンマークのシェラン島で生まれました。
    1870年に学校を卒業後、デンマーク王立芸術アカデミーへと進み、最初の作品を発表。
    1880年に賞を授与され、その賞金とアカデミーの奨学金基金によりドイツ、オランダ、フランス等に留学しました。

    アカデミー卒業後の彼の芸術活動は心理的なアプローチが特徴で、人間の感情やユーモアを織り交ぜた作品が多いようです。
    天使に剣や槍は似合いませんが、仁王立ちする天使をキョトンとした表情で見つめる子供たちが可愛いですね。

    この絵はデンマークのオールボーにある北ユトランド美術館が所蔵しています。
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    Narcissa

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    アメリカの画家、ウィリアム・サージェント・ケンドール(1869-1938)による1907年の作品「Narcissa」
    ニューヨークのブルックリン美術館が所蔵しています。

    6歳くらいの女の子が鏡を見ながら、リボンを身にまとって遊んでいます。
    この子は作者であるケンドールの2番目の娘で、名前はベアトリスちゃん。

    タイトルのNarcissa(ナルシッサ)とは、おそらくナルシストと同じ意味で付けられたものでしょう。
    ナルシストとは自己愛。自分に恋をしてしまったギリシア神話の美少年「ナルキッソス」が語源です。
    つまり、鏡に映った自分の姿を見て悦に入っている女の子、という絵ですね。

    kendall_statuette.jpg

    これも同じ子を描いたもので、1914年頃の作品「A Statuette」
    Statuetteとは小さな彫像の意味。
    絵画なのになぜタイトルが彫像?
    まぁこれも作者なりの理由があるのでしょう。

    ウィリアム・サージェント・ケンドールはニューヨーク生まれの画家。
    家庭での情景を描くことで有名でした。

    彼は若い頃ペンシルベニア美術アカデミーの学生として、芸術家トマス・エイキンズの下で美術を学びました。
    1886年にニューヨークに戻り、アート・スチューデンツ・リーグで勉強した後、1​​888年にパリのエコール・デ・ボザールに入学。

    1892年に再びニューヨークに戻り、自身のスタジオを設立しました。
    そこで教えていた学生のひとりであるマーガレット・ウェストン・スティトニーと1896年に結婚し、エリザベス、ベアトリス、アリソンという3人の娘をもうけました。
    彼の絵のモデルの多くは妻と娘たちです。

    その後イェール大学の教師となり1913年からは学校長も務めましたが、残念なことに1921年に離婚。
    大学を辞任し、家を売却し、その後はバージニア州の孤立した山間部に移り住んで絵を描き続けたそうです。
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    安定した立ちポーズ

    正面を向いて両足を肩幅よりも開いて立つポーズ、私はそれを「仁王立ち」と呼んでいたんですが、よくよく調べてみると仁王立ちとは『仁王の像のようにいかめしく力強い様相で立つこと』だそうですね。

    つまり「ここは通さない!」とか「かかって来い!」といった雰囲気のある、ドッシリと構えた立ち姿のことなんですね。なるほど〜!

    horyu-ji14s3200.jpg

    ちなみに「仁王」とは日本の寺院等に安置されている「金剛力士」のこと。
    これは奈良県の寺院、法隆寺の金剛力士像です。
    下手なモデルよりもずっとカッコイイですね。(^^)

    File:Horyu-ji14s3200.jpg
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    では、ただ単に足を開き気味にして立っているだけのポーズはなんと言うのでしょうか?
    大の字ならぬ、人の字・・・みたいな。

    そんな立ちポーズはシンプルゆえに、街の彫像やデッサン画ではよく見かけます。
    たとえば彫刻作品・・・

    barwig_nackter_knabe_1908.jpg crocetti_pescatore_1935.jpg

    左はオーストリアの彫刻家、フランツ・バーウィグ(1868-1931)による1908年の作品「Stehender nackter Knabe」
    右はイタリアの彫刻家、ヴェナンツォ・クロセッティ(1913-2003)による1935年の作品「Pescatore con cappello」
    どちらもシッカリと立って安定感はありますが、ちょっと寂しげな雰囲気もありますね。


    kasper_aufschauender_1930.jpg larrive_jeune_1908.jpg

    左はオーストリアの彫刻家、ルートヴィヒ・カスパー(1893-1945)による1930年の作品「Aufschauender knabe」
    右はフランスの彫刻家、ジャン=バティスト・ラリヴ(1875-1928)による1908年の作品「Jeune athlète」
    単なる立ちポーズではなく、腕や首の角度が良いアクセントになっています。


    gardet_tireur.jpg howardcook_nudeboy_1950.jpg

    左はフランスの彫刻家、ジョセフ・アントワーヌ・ガルデ(1861-1891)の作品「Tireur darc」
    右はアメリカの彫刻家、ロバート・ハワード・クック(1921- )による1950年の作品「Nude Boy with Rifle」
    それぞれ弓矢とライフルを上に向けて構えているシーン。安定して撃つためには足の開きが重要です。


    次は絵画を見てみましょう・・・

    fidus_neuesleben_1902.jpg holmgren_nudeboy.jpg

    左はドイツのイラストレーター、フィドゥス(1868-1948)による1902年の作品「Neues Leben」
    右はスウェーデンの画家、ヴィルヘルム・ホルムグレン(1863-1943)の作品「Nude Boy」
    絵画の場合はモデルに無理をさせないためにも、ただの立ちポーズになるのは仕方のないことです。


    adolph_robert_shulz.jpg 1886-1929_model.jpg

    左はアメリカの画家、アドルフ・ロバート・シュルツ(1869-1963)によるデッサン画。
    右はポルトガルのポルト美術館で1886年から1929年にかけて展示された作者不詳の作品。
    左はまさに仁王立ちですが、右はちょっとリラックス気味かな。


    muenier_le_jeune_modele.jpg jag_acke_Fausto_1904.jpg

    左はフランスの画家、ジュール・アレクシス・ミュニエ(1863-1942)の作品「Le Jeune Modele Posant Dans L'Atelier」
    右はスウェーデンの画家、ヨハン・アクセル・グスタフ・アッケ(1859-1924)による1904年の作品「Fausto vd Kysten」
    左は画家たちの前でポーズをとる少年、右は砂浜で遊ぶ幼児でしょうか。
    どちらも安定した後ろ姿。何故か髪型が似てますね。


    このような、足を肩幅以上に開いた立ちポーズは、やはり少年を題材としたものが多いようです。
    そりゃあ女の子でははしたないとか、逆に男の子は男らしさが強調されていて良いとか、理由は様々あるんでしょうね。

    しかし数は少ないながらも女の子の彫像も存在します。

    unknown_girl_statue.jpg

    これは公園に設置された立ちポーズの少女像。
    詳細は不明ですが、おそらく北欧の国ではないかと思います。(確証はありません)

    どっしりと構えたその様子には、周りを見張っているかのような貫禄さえ感じます。
    まさにこの公園の仁王様・・・って言ったらこの子に怒られちゃうかな?(^ω^)
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    美術モデルの子供たち

    academy_modelboy.jpg

    以前、有名な画家がアカデミー時代に描いたデッサン画をいくつかご紹介しましたが(該当記事)、有名無名を問わず当時の生徒の作品は今でも残っていたり、書籍で紹介されていることもあります。

    絵画、とくに人物画家を目指す生徒にとってヌードデッサンは基礎中の基礎であり、技術習得のための大切な授業である、というのは以前お話ししたとおりですが、そのことで決して忘れてはならないのは、モデルとなってくれる人の存在です。

    美術学校や絵画教室等で人物のデッサンをおこなう場合、専用のモデルを雇ったり、ときには生徒自身がおこなうこともありますが、人体の視覚的特徴をつかむという美術的技法の習得には、モデルの協力は必要不可欠です。

    ルーブル美術館の入館案内書の記述によれば、絵や彫刻の美術モデルは紀元前からその存在が確認されており、モデルと名のつくものの中では最古の存在だとの説もあるそうです。


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    File:École des beaux-arts (from the live).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    この写真はフランスのパリにある国立高等美術学校「エコール・デ・ボザール」での授業の様子。
    19世紀に撮影された写真です。
    真ん中に男性モデルが立っていますね。


    bashkirtseff.jpg
    File:Bashkirtseff - In the Studio.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    そしてこちらは同じくフランスのパリにかつて存在していた美術学校「アカデミー・ジュリアン」での授業の様子。
    ウクライナの女性画家、マリ・バシュキルツェフによる1881年の作品です。

    エコール・デ・ボザールが女人禁制であったのに対してアカデミー・ジュリアンは女性の生徒も多く、このように子供をモデルにして授業をおこなうこともあったようです。
    生徒の中には自分の子をモデルに絵を描いていた母親もいたかもしれませんね。


    ではここで19世紀のアカデミーの生徒たちが描いた、子供モデルの絵を見てみましょう。
    要するに画家たちが学生の頃に描いた絵ということになりますが、中には授業で描いたとは思えないほど立派な作品もあります。


    unknown_1890-1900.jpg unknown_19th.jpg

    1890年から1900年頃にかけて描かれたデッサン画。
    モデルの子もずっと手を持ち上げているポーズは大変でしょうね。


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    左は1900年、右は1840年から1865年にかけて描かれたと思われるデッサン画。
    左は練習作といった感じですが、右はかなり丁寧な作品です。


    unknown_1890.jpg unknown_1840.jpg

    どちらも油彩画で、左は1890年頃、右は1840年頃の作品。
    座っているポーズなら少しは楽かな?


    unknown_19th_1.jpg unknown_19th_2.jpg

    これ、どちらも同じモデルに見えませんか?
    もしかしたら同じ授業で描かれたものかもしれませんね。19世紀の作品です。


    unknown_01.jpg unknown_02.jpg

    この二つは制作年不明。
    このまま額に入れて飾っても様になるほどシッカリしたデッサンですね。

    モデルになる子は思春期前の男の子が多かったようです。
    裸になることに抵抗がないというのも理由でしょうが、女の子よりも筋肉質で凸凹が多く、形体や明暗など対象の視覚的特徴をつかむというデッサンの授業には最適だったのでしょう。

    アカデミーの生徒たちに中には、その後世界的な画家となった人もいます。
    その足跡の一端を担ったモデルの子供たちも、こうして貴重な資料として残っているわけですから、立派な貢献だと言わざるを得ません。

    現代の日本では、美術や医学などの真面目な用途であっても、子供のモデルを使うことは非常に難しくなっています。
    そこには原因として、子供の裸を性的興奮材料として見てしまう一部の人に対する、懸念や不安があるからでしょう。

    しかし子供に限らず「人の姿は美しいもの、素晴らしいもの、大切なもの」という認識を広めるには、各アーティストの活躍や美術館による市民への関わり、幼い頃からの美術教育などが大切なのだと思います。
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    Jeune fille se defendant l'Amour

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    フランスの画家、ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)による1880年の作品「Jeune fille se defendant l'Amour」
    「アモルから身を守る若き少女」という意味。
    アモルとはギリシア神話に登場する愛の神エロースのことで、ローマ神話のクピド(キューピッド)とほぼ同じです。

    この絵はブグローの絵の中で私がとくに好きな作品でもあるんですが、弓を使わず矢を直接突き立てようとしているところが珍しいというか、愛の神に似合わぬ攻撃性を感じますね。
    女性が拒んでいるのはアモルの行為に対してでしょうか?
    それとも愛そのものでしょうか?

    appleangel_w.jpg

    昔この絵でデスクトップピクチャを作ったことがありました。
    ウィリアム・テルじゃないけど、リンゴを狙っているほうが可愛くてイイですね。(^^)


    1825年にフランスの港町、ラ・ロシェルにて生まれたブグローは、1846年にパリの国立高等美術学校エコール・デ・ボザールに入学し美術を学びました。
    1876年に美術アカデミーの会員となり、1888年にはエコール・デ・ボザールの教授に就任しています。

    画風は新古典主義の流れを汲む伝統的なもので、神話をテーマにしたものが多いようです。
    官能的な裸婦や可憐な天使、憂愁を帯びた若い女性など独特の世界を築いています。

    生前の名声は死後しだいに衰えていきましたが、20世紀末から再評価され、今や彼の絵はインテリアグッズ等にも数多く使われています。
    名前は知らなくても絵は見たことがある、という人は多いのではないでしょうか。

    bouguereau_drawing1885.jpg

    これは上の絵画を描いた5年後、1885年に描かれたデッサン画です。
    5年も経ってからまた同じ絵を描くくらいですから、よほど気に入った作品だったのでしょう。

    どちらも全く同じ図柄に見えますが、よく見るとアモルが持っている矢の先端が少し大きくなっているんですね。
    5年間で少し成長したってことかもしれません。(^^)
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    笛を吹く少年

    絵画や彫刻には笛を吹く少年のモチーフが意外と多く使われています。
    少年と笛の組み合わせにどんな意味があるのかはともかく、数ある楽器の中で子供にも扱いやすく、演奏している姿が可愛らしいといえばやはり笛になるのでしょうね。
    日本の子供たちにも馴染みのある楽器です。

    笛を吹く少年といえば、最も有名なのはフランスの画家、エドゥアール・マネ(1832-1883)のこの作品でしょう。

    manet_young_flautist_or_the_fifer.jpg

    タイトルもそのまま「笛を吹く少年」(原題:Le Joueur de fifre)
    フランス近衛軍の鼓笛隊の少年を描いた、1866年制作の絵画です。

    ファイフと呼ばれる木製の横笛を吹いています。
    日本の浮世絵の影響を受けているらしく、立体感を極力排除した平面的な絵作りは当時としては斬新でした。


    では逆に立体感のあるアートといえば?・・・もちろん彫像ですね。
    美術館だけでなく街に置かれている彫像にも、笛を吹く少年像が数多く存在します。
    そのいくつかをご紹介。


    dallmann_junge_mit_flote.jpg

    スイスの彫刻家、エルンスト・カール・ダルマン(1889-1947)による1934年の作品「Junge mit Flöte」
    スイスのチューリッヒの公園に設置されています。
    男の子が水の動きを見ながら演奏しているような楽しい作品。


    angles_idylle.jpg

    フランスの彫刻家、ジャクイーン・アングルス(1859-1905)による1890年の作品「Idylle」
    1890年にパリのサロンで展示されました。
    これはなんという笛でしょうか? 仔羊もうっとり聴き惚れています。


    zdenko_kalin_boy_with_a_whistle.jpg

    スロベニアの彫刻家、ズデンコ・カリン(1911-1990)による1946年の作品「Boy with a Whistle」
    デンマークのチボリ公園に設置されています。
    背筋を伸ばして表情も真剣。 演奏しているのは行進曲でしょうか?


    nikolay_littleshepherd.jpg

    ロシアの彫刻家、ブリスタノフ・ニコライ(1835-1864)による1861年の作品「Little Shepherd」
    ロシアのサンクトペテルブルクの美術館が所蔵しています。
    Shepherdは羊飼いのことなので、これは犬笛かもしれませんね。


    czech_fluteboy.jpg

    詳細は不明ですが、チェコ共和国の公園に設置されているブロンズ像。
    この笛はリコーダーでしょうか?
    雨のシミが涙のようにも見え、居残りで笛の練習をさせられているかのようです。


    satyr_playing_flute.jpg

    1,2世紀頃に制作されたローマ彫刻のひとつ。
    フランスのパリのルーブル美術館が所蔵しています。
    2000年前の音楽を聴いてみたいですね。


    nude_youth_with_flute.jpg

    これは1941年に作られたハンガリー製の置物(磁器)で、タイトルは不明。
    量産品だったのか作者も不明です。
    演奏しているというよりは、笛を持って何かを語っているって感じですね。
    七三分けに哀愁が漂います。(`・ω・´)
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    HS Johanneskyrkan Tammerfors

    simberg_photo01.jpg

    フィンランドの画家、ヒューゴ・シンベリ(1873-1917)が1905年に撮影した写真。

    「HS Johanneskyrkan Tammerfors」というタイトルが付けられていますが、HSは作者のイニシャルで、Johanneskyrkan Tammerforsとは「タンペレの聖ヨハネ教会」という意味です。(タンペレはフィンランドのピルカンマー県の都市)

    画家がなぜ写真を?と思ってしまいますが、これは絵画を制作するときの最初のデッサン画のために撮影されたものです。
    最終的な絵画作品は、タンペレにある「聖ヨハネ教会」の大聖堂の壁面を飾っています。

    tampere_kathedrale.jpg
    File:2003-03-29 Tampere Kathedrale Gemälde an Galerie.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    作者のヒューゴ・シンベリはフィンランドを代表する象徴主義画家のひとり。
    1891年から美術学校で絵を学び、1895年からアクセリ・ガッレン=カッレラの個人的な弟子となりました。

    彼の作品には陰鬱な雰囲気のものが少なくありませんが、ある種のペーソスを含む独自の美しさを醸しており、1900年代初頭のヨーロッパにおける新しい芸術の実践者でもあります。


    1903年、建築家のラルス・ソンクの手により、聖ヨハネ教会の大聖堂の建築工事が始まりました。
    教会側は内装にアールヌーヴォーの作風を希望しており、独自の芸術スタイルを持つヒューゴ・シンベリに依頼。
    シンベリは1905年から1906年にかけ、教会の屋根とステンドグラスに「傷ついた天使」と「死の庭」と題された2つの作品を掲げました。

    そして大聖堂のフレスコ画の中心的なモチーフとなった「花輪を持つ少年」の制作では、シンベリは息子をモデルに写真を撮り、スケッチを描きました。
    以下の画像は、彼が撮影した写真と、それを元に描かれた絵画です。

    simberg_photo02.jpg simberg_painting02.jpg

    simberg_photo03.jpg simberg_painting03.jpg

    simberg_photo04.jpg simberg_painting04.jpg
    Category:Hugo Simberg
    Copyright : Finnish National Gallery
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    tampereen_tuomiokirkko.jpg
    File:Tampereen tuomiokirkko 7.JPG
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    これらの絵画は大聖堂の壁面にこのようにディスプレイされています。
    通常教会の壁画といえば聖人や神、天使を描いたものが主流ですが、このように思春期の少年をモチーフとしたものは珍しいですね。

    44歳という若さで亡くなったフィンランドの画家、ヒューゴ・シンベリ。
    現在彼は首都ヘルシンキの墓地で静かに眠っています。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    ライセンス:パブリックドメイン
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    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
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    説明記事
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    都道府県:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に、街で子供の笑顔写真を撮り続ける。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

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