Le Joueur de billes

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    フランスの彫刻家、ジョセフ・ルイ・エンダーリン(1851-1940)による1880年の作品「Le Joueur de billes」
    フランスのランス市にある「ランス美術館」で展示されています。

    タイトルは英語ではBall Player・・・つまりボール競技をしている少年の像です。
    地面に小さな玉が転がっていますが、裸でプレイしているということは正式な競技ではなく、投げたり転がしたりする遊びですね。
    昔の日本の子供たちがやっていたビー玉遊びのようなものでしょうか?

    作者のエンダーリンは1851年、5人兄弟の末っ子として生まれました。
    1867年から1869年にかけてフランスの都市ナンシーに滞在した後、1870年に美術スタジオに入学し、その後1875年にパリの国立美術学校に進学。

    彼は1880年にローマの彫刻競技に2度出場しますが、惜しくも最終選考には選ばれませんでした。
    やがて彼が最初に賞を獲得したのは、このボール遊びをする少年の像でした。
    この作品によって賞金を得た彼は、その後イタリアで2年間の研修をおこないます。

    2年間の研修の後パリに戻った彼は、そこで自らのワークショップを開設。
    1905年まで毎年欠かさずに展覧会を開き、サロンに参加し、いくつかの賞や金メダルを獲得しました。
    1902年には大統領により、名誉大臣の騎士団の勲章を与えられています。

    しかし1929年に妻が死去し、彼は大きなショックを受けてしまいます。
    その後はパリの南にあるブール・ラ・レーヌという地区に住み、静かに余生を送りました。

    公共事業も手掛け、フランスに大きな功績を残した彼は1940年5月29日に死去し、現在はモントルージュの墓地に埋葬されています。


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    File:Le joueur de billes.jpg
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    Fisher Boy

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    アメリカの彫刻家、ヒラム・パワーズ(1805-1873)による1841年の作品「Fisher Boy」

    Fishermanは漁師のことですから、Fisher Boyは漁をする少年のことですね。
    右手に持っているのは漁のための投網でしょう。

    貝殻を携帯電話のように耳に当てていますが、当時の若い漁師は悪天候を察知するために貝殻をこうして使っていたんだとか。
    これでどうして海の天候がわかるのかわかりませんが、漁師たちの知恵だったのかもしれません。

    この彫像は高さ約150cmの大理石像で、イタリアのフィレンツェの少年をモデルにして制作したそうです。
    大理石像ならではの柔らかな質感と、漁師の少年ならではの引き締まった体が美しく表現されています。

    この彫像「Fisher Boy」はロシアのアナトール・デミドフ皇太子も所有していたほどの逸品で、1851年には英国でも展示されました。


    作者のヒラム・パワーズはアメリカのバーモント州、ウッドストックの生まれ。
    14歳のときに家族でオハイオ州に移りますが、やがて両親が死去し、彼は地元の店で事務員として働きます。
    その後17歳でシンシナティにある時計メーカーに勤め、持ち前の造形技術によってその工場の最初のメカニックとなりました。

    彼は二十歳を過ぎたあたりから彫刻芸術に深い関心を持ち始めます。
    ルイジアナ州の自然学者ジョセフ・ドルフィーユはパワーズの造形技術を高く評価し、自身が所有する西洋博物館に彼を助手兼芸術家として招き入れました。
    博物館での仕事によって彫刻の技術をさらに高めた彼は、1834年にワシントンDCに移住します。

    ワシントンDCで第7代アメリカ合衆国大統領、アンドリュー・ジャクソンの肖像を制作した彼は、その仕事で名声とまとまった金を得て、1837年にイタリアのフィレンツェに移り住みます。
    その後は亡くなるまでずっとフィレンツェに留まりました。

    彼はフィレンツェでアカデミーの教授となりましたが、彼の息子のひとりも彫刻家となったそうです。
    最近では2007年にオハイオ州のシンシナティにあるタフト美術館にて、「ヒラム・パワーズ:大理石の天才」という展覧会が開催されました。
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    色々なポーズの小便小僧

    mannekenpis_brussel.jpg

    これはベルギーの首都、ブリュッセルの街にある有名な彫像「Manneken Pis」
    彫刻家のジェローム・デュケノワ(1570-1641)が1619年に制作した噴水彫刻で、日本では「小便小僧」の名で知られています。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Manneken Pis Brussel.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

    「ジュリアンという男の子が爆弾の火をオシッコで消して町を救った」という伝承とともに有名になった作品ですが、この像が世界中の人々から慕われているのはその武勇伝だけでなく、やはり見た目の愛らしさからでしょう。
    男の子がオシッコをしている姿はユーモラスであり、可愛らしいものです。

    片方の手で水の出口をつまみ、もう片手の手を腰に当てて膝を少し曲げているというポーズ。
    さすが世界中の小便小僧の基本形。
    堂々としたポーズに貫禄さえ感じます。

    この形の小便小僧をはじめとして、世界にはオシッコをする少年をモチーフとした噴水彫刻がたくさんあります。
    しかし中にはちょっと変わったポーズの小便小僧も存在するようです。
    今回はそれらを見ていきましょう。


    mannekenpis_japan04.jpg

    まずは日本から。
    徳島県三好市の渓谷、祖谷渓(いやだに・いやけい)には、断崖絶壁に立つこんな小便小僧がいます。(水は出ません)

    かつて村の子供たちがここに立って度胸試しをしたという逸話にちなんで作られたそうで、ベルギーの小便小僧とはまったく関係がないようです。
    手を腰の後ろに当てているので、ちょっとお爺さんぽいポーズですね。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Peeing Boy Iya Valley.JPG
    ライセンス:パブリックドメイン



    3578156970.jpg

    場所は中国だと思いますが、トイレのショールームでしょうか?
    ポーズ自体はベルギーの小便小僧と似ていますが、違うのは体が金色なところと、上に向けているところ。
    この子の場合、トイレを汚さないようにすることは爆弾の火を消すよりも難しそう。

    画像出典:Julien Naked
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス



    mannekenpis03.jpg

    ドイツの都市、デュースブルクのとある公園にはこんなポーズの小便小僧がいます。
    服をたくし上げ、両足を大きく開き、自分のモノをシッカリ見つめながらの放尿。
    実際の幼児のオシッコポーズに近いのはこちらのほうだと思います。

    画像出典:"Manneken Pis" Brunnen in Duisburg - 3



    manneken_pis_berlin.jpg

    ドイツのベルリンにある某動物園の敷地内にはこんな変わった小便小僧が。
    右手の子ガメから水がピューッ! 左手の子ガメから水がピューッ!
    そして真ん中のカメからもピューッ!というトリプル噴水。
    カメのお母さん怒ってますよ。



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    スコットランドの島、アラン島にある某ホテルの敷地内にいる小便小僧くん。
    最初見たときは女の子かと思いましたが、荒削りながらもちゃんと棒と玉が付いています。
    はしゃぎながら出しているようにも見えて、小便小僧の場合は躍動感がありすぎるのも違和感ありですね。

    画像出典:Camp water feature (_K5_0930)
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス



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    クロアチアの都市、ザグレブの某公園にいる貫禄のある小便小僧。
    「諸君!見たまえこの放尿を!」
    と言わんばかりの堂々たるポーズと厳つい表情。
    ユーモラスですが、あまり可愛い像ではないような・・・。



    boy_and_frog_fountain_kansascity.jpg

    アメリカの都市、カンザスシティの街の一角にはこんな小便小僧がいます。
    両手を上にあげた男の子がカエルにオシッコをかけている・・・のかと思ったらそうではない!
    カエルが口から水を出して、男の子の股間に当てているんですね。
    これは小便小僧なのか?・・・っていうかその前に、なんじゃこのプレイは!

    画像出典:Boy and Frog Fountain



    jean_marianne_bremers-dieske.jpg

    オランダの都市、スヘルトーヘンボスの街にいる小便小僧。
    川でオシッコをしていた男の子が敵の兵士を発見して町の人に危険を知らせた、という15世紀の話をもとにした彫像だそうです。
    座った姿勢の小便小僧は珍しいですね。
    水に勢いはありませんが、幼児にしてはあまりに立派なので思わず手を合わせたくなるかも。



    franz_kafka_museum_prague.jpg

    チェコ共和国のフランツ・カフカ・ミュージアムの広場にはこんな小便小僧・・・いや、小便おじさんがいます。
    大人が向かい合ってオシッコしているという、ちょっと近づき難いような作品。(^^;)
    ちなみに池はチェコの国の形になっているそうです。

    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:Franz Kafka Museum Prague.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン



    national_theatre_prague

    今回紹介した中で一番奇妙な作品かもしれません。
    2002年、チェコ共和国のプラハ国民劇場の外壁にお目見えした、高さ10メートルもの巨大噴水彫刻。
    股間からランダムな間隔で発射されるそうで、通行人からの評判はどうだったんでしょうかねぇ?

    もはや小僧ではないし、もしかしたら小便でもないのかもしれません。
    なんとも言えない哀愁を感じる作品です。(そうでもないか)

    画像出典:Národ sobě navždy


    以上、ちょっと変わったポーズの小便小僧いろいろでした。
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    Cupido

    jose_alvarez_bouquel-cupido.jpg

    スペインの彫刻家、ホセ・アルバレス・ボケル(1805-1830)による1828年の作品「Cupido」
    高さ約140cmの大理石像で、スペインのマドリードにある「プラド美術館」が所蔵しています。

    ローマ神話に登場するクピドの像ですが、遠くを見つめながら何かを考えているような仕草ですね。
    また良からぬイタズラでも思いついたのかな?

    この像、男性器が付いてはいるものの、どことなく女性的に見えるのは気のせいでしょうか?
    とくに腕、足、腰はまるで思春期の少女のようにふくよかで、体脂肪率も高そうに見えます。
    クピドらしくないとも言えますが、もともと神話の人物に明確な姿はないので、こういうハイブリッドなところもアートの面白さではありますね。

    作者のホセ・アルバレス・ボケルは19世紀初期に活動していたスペインの彫刻家。
    父親は彫刻家のホセ・アルバレス・クベロで、祖父は石像彫刻家、弟は建築家という芸術一家でした。

    1805年にフランスのパリで生まれた彼は、その後イタリアのローマで暮らし、父親から絵画や彫刻を教え込まれます。
    19歳のときにスペインに移り住み、サラゴサのアカデミーで絵画と彫刻作品を発表。
    父親の手助けもあり、彼の作品はいくつかの賞を獲得しました。

    23歳のときのこの作品を見ても、非常に才能ある若者だったことがわかります。

    しかし1830年、彼はなんと25歳という若さでこの世を去りました。
    父親が死去して2年9ヶ月後のことでした。

    死因は不明ですが、あまりにも若すぎる芸術家の死に言葉もありません。
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    Eros

    rudolf_schadow-eros.jpg

    ドイツの彫刻家、ルドルフ・シャドウ(1786-1822)による19世紀初期の作品「Eros」
    首都ベルリンにあるプロイセン王国の宮殿、シャルロッテンブルク宮殿の内部に設置されている大理石像です。

    ギリシア神話の愛の神エロースが大きな翼を閉じ、岩場に腰掛けて休んでいるところ。
    口元に手をやって何かを思案しているようにも見えます。

    手にはいつもの弓矢ではなく、丁寧に編んだ花飾り。
    もしかしたらプシュケが来るのを待っているのでしょうか?
    見た目は10代前半といった感じですが、幼児のような突起物が愛らしさと親しみやすさを高めています。

    作者のルドルフ・シャドウはイタリアのローマにて、ドイツ古典主義の代表的な彫刻家、ヨハン・ゴットフリード・シャドウの長男として生まれました。
    子供時代をドイツのベルリンで過ごし、1810年、24歳のときに画家である弟と共にイタリアのローマに留学します。

    彼はローマで彫刻家のアントニオ・カノーヴァとベルテル・トーヴァルセンから教えを受け、その才能の高さを示しました。
    作品の多くは人々から高い評価を得て、プロイセン王、エステルハージ皇太子、デヴォンシャー公も彼の作品をコレクションに含めています。

    そんな才能ある彫刻家でしたが、1822年にわずか35歳でこの世を去りました。
    現在は生まれ故郷であるローマの墓地に埋葬されています。
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    ベイヨー・ロンコネンの彫刻作品

    veijo_ronkkonen01.jpg
    画像出典:BIGSTOCK

    フィンランドの南カレリア州のパリッカラに存在する奇妙な彫刻庭園。
    この場所を訪れた人は、誰もが驚きの声を上げることでしょう。

    この画像だけでは驚きが伝わらないので、まずはGoogleの画像検索をご覧ください。
    Googleの画像検索で「Veijo Ronkkonen」を検索

    多くの人が「なんだこれは!?」と思ったのではないでしょうか。

    あまりにも奇抜で不気味な彫刻の数々。
    しかも森の中に数百体が設置されているという、彫刻庭園というよりもお化け屋敷か肝試し会場のよう。

    veijo_ronkkonen02.jpg

    彫像と言うべきか人形と言うべきか、大雑把な粘土細工にも見えるこれらの作品。
    一体一体がそれぞれ違うポーズをしており、塗装までされているので不気味さがさらに増しています。

    さらにこの庭園、スピーカーで森の中に効果音を流すなど、観客を楽しませる(怖がらせる)仕組みにも凝っているようです。

    作者はベイヨー・ロンコネン(1944-2010)というフィンランドの彫刻家。
    若いころ製紙工場で働いていた彼は、1961年に彫刻を作り始め、以後人生の大半を彫刻作りに費やします。

    16歳の時に最初の給料でリンゴの苗木10本と、コンクリートを購入した彼。
    ここから「家の周りに広大な森を作り、そこに自作の彫刻を設置する」という彼の壮大な計画が始まります。
    彼はその後50年間で約450体もの彫刻を作り上げ、この奇妙な彫刻庭園は完成したのでした。

    彼は家から出ることがあまりなく、他人ともコミュニケーションを取りたがらない人でした。
    死去する3年前の2007年には「フィンランディア賞」を受賞しましたが、授賞式には出席していません。

    彼は庭園を訪れる客と会うこともほとんどありませんでした。
    しかし庭園にはゲストブックが設置され、そこに書かれる客からのメッセージを読むことが彼の楽しみだったそうです。

    彼の死後、この彫刻庭園は親族によって売却されました。
    現在は別のオーナーによって運営され、毎年2〜3万人が訪れるパリッカラの人気観光スポットとなっています。
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    人間になれたら...

    george_rennie-hymen.jpg george_rennie-hymen_like.jpg

    以前の記事で、絵画の中の人物が本物の人間になって現れたら・・・と考えてみたことがありましたが(該当記事)、イメージを掴みやすいのは絵画よりもむしろ彫像のほうでしょう。
    もともと彫像は駅前や公園にも設置され、街の風景にすっかり溶け込んでいますから。

    彫像が勝手に動き出したらそれこそホラーですが、数十年前までは夏になると、動く芸術作品があちらこちらの水辺で見られたものです。
    公園の池でも、動かぬ芸術作品のそばで動く芸術作品がはしゃぎまわる光景は珍しくありませんでした。

    今回は「もし彫像が本物の人間になったら・・・」というテーマで、同じポーズをしている画像を並べてみました。

    上の画像はスコットランドの彫刻家、ジョージ・レニー(1802-1860)による1831年の大理石像「Cupid Rekindling the Torch of Hymen」

    ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で展示されている、婚姻の神ヒュメンの像です。
    いつもライトで照らされているとはいえ、もし人間になれたら暖かい太陽の下で水浴びしたいでしょうね。


    beni_ferenczy-kisfius_diszkut.jpg beni_ferenczy-kisfius_diszkut_like.jpg

    ハンガリーの彫刻家、ベニ・フェレンツィ(1890-1967)によるブロンズ像「Kisfiús díszkút」

    首都ブタペストのベルヴァーロシュという街の通りに設置されているこの像は、うつむき加減でどことなく寂しげ。
    もし人間になって自由に歩けたら、少しは笑顔になれるでしょうか?
    潮風を気にすることなく、広い海岸を歩かせてあげたいですね。


    街にある彫像がなぜ裸なのか、考えてみたことがありますか?
    現代社会の中で我々がつい忘れがちな、生命への敬い、自然からの恩恵、そして人間であることの意味。
    それらを無意識のうちに理解させてくれるのが、真の姿、すなわち心の鏡としての彫像たち。


    joseph_bosio-hyacinth.jpg joseph_bosio-hyacinth_like.jpg

    フランスの彫刻家、フランソワ・ジョゼフ・ボジオ(1768-1845)による1817年の大理石像「Hyacinth」
    右はフランスの写真家、ジェラール・マロ(1946- )による1982年の写真作品。

    ルーブル美術館で展示されている横たわるヒアキントスの像。
    頭に円盤が当たって倒れ込んだシーンですが、その美しい姿態はたくさんの人を感動させています。
    もし命を吹き込まれたら、さらに多くの人を魅了することでしょう。


    henri_koenig-adolescent.jpg henri_koenig-adolescent_like.jpg

    スイスの彫刻家、アンリ・ケーニッヒ(1896-1983)による1975年のブロンズ像「Adolescent」
    右はフランスの写真家、ジャックス・デュバル(生没年不明)による1985年の写真作品。

    ジュネーブのヴォルテール博物館の前で、腰に手を当てて立っているスタイルの良い男の子の像。
    もし人間になったら、この場所で交通安全運動でもしてもらいましょうか。
    えっ?わき見運転が増えそう?


    charles_ray_the_new_beetle.jpg charles_ray_the_new_beetle_like.jpg

    アメリカの彫刻家、チャールズ・レイ(1953- )による2006年の彫刻作品「The New Beetle」

    車のオモチャで遊ぶ彫像の男の子も、浜辺で弁当箱のようなものを開ける人間の男の子も、どちらもくつろいでいることに違いはありません。
    違うのは、かたわらに家族がいるか否か。


    siegfried_krepp_1970.jpg siegfried_krepp_1970_like.jpg

    ドイツの彫刻家、ジークフリード・クレープ(1930-2013)による1970年のブロンズ像。

    住宅街の公園に設置されているこの彫像は、人間になっても逆立ちを続けるのでしょうか?
    雨の日も、風の日も、来る日も、来る日も・・・。


    人形が人間になるという話で最も有名なのは、イタリアの作家、カルロ・コッローディ作の童話「ピノッキオの冒険」
    ピノキオの名でも知られ、多くの映画やアニメーションが作られました。

    「人間になれたピノキオは幸せだったのだろうか?」という疑問は今でも論じられることです。

    街の彫像は人間になれたらはたして幸せなのでしょうか?
    美術館の彫像はすぐにでも外に出たいと思うかもしれません。
    駅前の彫像はもっと静かな場所に行きたいと思うかもしれません。

    しかし彫像たちはきっと、動きたいとは思っても人間になりたいとは思わないでしょう。
    何故なら彼らは、自分たちに課せられた大切な役割を知っているのだから。
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    タグ: Europa  少年  ♂♀  彫像  OldPhoto 

    Narcisse

    jean_pierre_cortot_narcisse01.jpg

    フランスの彫刻家、ジャン=ピエール・コルト(1787-1843)による1818年の作品「Narcisse」
    フランスのアンジェ美術館で展示されている大理石像です。

    英語ではNarcissusと書く、ギリシア神話に登場するナルキッソスという名の美少年。
    泉に映った自分の姿を見て自分に恋をしてしまった少年で、自己愛を意味する「ナルシスト」の語源でもあります。

    泉の片隅に座り込み、自分の姿を眺めているナルキッソス君。
    自己中だったり自分の能力を過信するいわゆる「うぬぼれ」の人ならごまんといますが、自分自身に恋をするというのはやはり特殊な感情なのでしょう。

    しかしナルキッソス君がそうなったのにはワケがありました。
    ある日、エコーという名の森の精霊が彼に恋をします。
    しかし彼はその求愛を冷たくあしらい、エコーを見捨てました。
    それを知った神メネシスは怒り、ナルキッソスに他人を愛せなくなる呪いをかけたのでした。

    メネシスによって泉へと呼び寄せられたナルキッソスは、水を飲もうと水面に近づき、そこに映る美少年(自分自身)に恋をしてしまいます。
    そしてそこからいっときも離れることができなくなり、やがてやせ細って死んでしまいました。

    ナルキッソスの亡き骸のあとにはスイセンの花が咲いたと言われています。
    スイセンを英語でNarcissus(ナルシスまたはナーシサス)と言うのはそのためです。

    jean_pierre_cortot_narcisse02.jpg

    1枚目の画像も構図的にはなかなか良いのですが、やはりこの作品の良さは足のほうから眺めてこそだと思います。
    顔だけでなく体全体が美しい子ですね。

    この像の作者であるジャン=ピエール・コルトはフランスの首都パリ生まれの彫刻家。
    13歳のときに彫刻家のチャールズ・アントワーヌ・ブリドンの講座に出席し、その後は彫刻家のもとで働きながら古代彫像の制作などに携わりました。

    1809年にパリのエコール・デ・ボザールにて彼の作品がグランプリを受賞。
    その後はイタリアのローマに移住し、その頃同じくローマに滞在していた画家のジャン・オーギュスト・ドミニク・アングルの友人となりました。

    1819年、パリに戻った彼はサロンにてこのナルキッソスの大理石像を発表します。
    この像は人々から高い評価を得て、彼の名声を確実に高めました。
    その後1840年まで作品を発表し続け、その間1825年にはサロンの所長に選出され、さらにエコール・デ・ボザールの教授となりました。

    ジャン=ピエール・コルトは18世紀後半のフランス芸術とグレコローマンの伝統を継承した、新古典主義の流れを汲む彫刻家でした。
    生涯にわたりロマンチックな表現を貫き、数々の名作を残した彼は、1843年に55歳の若さでこの世を去りました。


    画像出典:ウィキメディア・コモンズ
    File:AngersMBA 14.jpg
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


    YouTubeより
    「平沢 進 - ナーシサス次元から来た人」


    ♪ 香れよ胸の水仙 尽きる命をなだめて
     吹けよ街に 一陣の風 眠る我が子が癒えるまで...

    ライブ映像はこちら
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    J.L.デルモンテの彫刻作品

    j_l_delmonte_unknown.jpg

    ベルギーの彫刻家、J.L.デルモンテ(生没年不明)による、水をかぶる少年のブロンズ像。
    場所は公園の休憩所でしょうか?
    こういう涼しげな像を見ながら1日をのんびり過ごすのも良さそうですね。

    この彫像、下が池になっており、バケツのところから水が出るようになっています。
    この子は罰を受けているわけでも荒行をしているわけでも、アイス・バケツ・チャレンジをしているわけでもありません。
    たぶん川などで沐浴しているシーンでしょう。

    各地の公園には噴水彫刻が設置されていることがありますが、このように本体に常に水が掛かる構造のものは少ない気がします。
    いくらブロンズでも常に濡れていたら腐食しやすいですから。
    水垢も付きやすいので日々の手入れは大変でしょうが、訪れる者にとっては非常に見応えのある像だと思います。

    また、少女ではなく少年であるところもよく考えられています。
    何故かって、男性なら風呂で湯をかぶったときにわかると思いますが、勝手に小便小僧になってしまうんですよね。(^^)
    そんな水の動きの面白さもこの像の魅力といったところでしょうか。

    bucketshowerboy.jpg unknown_fountain_sculpture.jpg

    同じ姿の人間と彫像。
    「ちょいとそこの少年くん、バイトしないかい? 水をかぶるだけの簡単な仕事さ!」
    もしこんなことを言われても、実際にやるのは超大変。
    1時間もやっていたら手足はふやけ、体は冷えきり、確実に風邪をひいてしまいます。

    やはりこういうことはブロンズ像にまかせたほうが良いみたいですね。

    作者のJ.L.デルモンテに関しては情報がまったく得られませんでした。
    検索してもトマトケチャップばかり見つかります。(T_T)
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    Stehender Knabe

    peterich_stehender_knabe01.jpg peterich_stehender_knabe02.jpg

    ドイツの彫刻家、パウル・ペテリッヒ(1864-1937)による1909年の作品「Stehender Knabe」
    ベルリンの旧国立美術館にて展示されている大理石像です。

    タイトルは「立っている少年」という、そのままの意味。
    地毛なのかカツラなのか、バッハのような髪型をした少年が頭の上で手を組んでたたずんでいます。
    美術館の少し高い位置に設置されているので人々は下から見上げることになり、そのため容姿の美しさがより強調されています。

    作者のパウル・ペテリッヒは1864年、ドイツの都市バート・シュヴァルタウで生まれました。
    1881年に高校を卒業し、父親の工房で彫刻関係の仕事をしながらリューベック商業学校へと通います。
    1884年に国から奨学金を受け、ハンブルグ美術大学とベルリン・アートアカデミーに入学し、ドイツの彫刻家、フリッツ・シャーパーの弟子となりました。

    各地の記念碑のデザインを手掛け、1899年にイタリアに渡り結婚。
    その後ドイツのラステード地区にて教授の職に就きます。
    1907年からは妻と5人の子供とともに再びイタリアのフィレンツェ近郊に移り住み、数々の大理石像や記念碑を制作して国内外から高い評価を得ました。

    彼は1914年から1922年までドイツのドレスデンに住み、その後1927年までイタリアのカプリ島に住んでいました。
    ドイツとイタリアを行き来する人生だったんですね。
    彼はオランダ南西部の都市ハーグにて、1937年にその生涯を終えました。

    彼の作品の大部分は石や金属を使った胸像でしたが、現在その多くは所在不明となっています。
    一部は博物館や公共の場のモニュメントとして使われていますが、金属を使った多くの作品は第二次世界大戦中に溶かされてしまったそうです。
    現在彼の出身地であるバート・シュヴァルタウの博物館には、彼の貴重な作品が保存されています。

    peterich_traumender_knabe.jpg

    1909年に制作されたこの少年像ですが、こちらの資料ではタイトルが「Träumender Knabe」となっています。
    意味は「夢見る少年」
    もしかしたら製作時のタイトルはこれだったのかもしれません。

    うつむき加減で目を閉じているので、こちらのタイトルのほうがシックリきますね。
    夢見る少年であり、我々に夢を見せてくれる少年でもあります。
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    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

    画像の著作者は私を含め様々ですが、著作権的に問題のない方法で掲載しています。
    また、公序良俗に反する画像や違法な画像、猥褻な画像は一切ありません。
    【当ブログの掲載ポリシー】

    説明記事(お読みください)
    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    出身:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:21年

    20代の頃に仕事で幼稚園に出向いたのを機に子供の笑顔写真を撮り始める。
    1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。
    サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。
    6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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