Desnudo de niña sobre escalera

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    スペインの画家、アドルフォ・ロサノ・シドロ(1872-1935)による絵画作品「Desnudo de niña sobre escalera」

    タイトルは「階段の上の裸の少女」という意味で、階段状の棚の上に腰掛けた少女の絵。
    しかしよく見るとところどころ描きかけ、つまり未完成です。

    時代的にもこの画像が制作途中で撮影した写真なわけはないので、現在もこの状態で保管されているってことでしょう。
    完成前に作者が亡くなってしまったのか、途中でボツにした絵なのか。
    詳細はわかりませんが、完成した絵も見たかったですね。

    作者のシドロはスペインの都市、プリエゴ・デ・コルドバで生まれました。
    幼い頃スペイン南部のマラガに移り住み、15歳から美術学校に通い始めます。
    一旦は法律を学びますが、絵に対する情熱を捨てきれず、その後本格的に画家を目指します。

    彼はマドリードを拠点として多くの作品を描きました。
    明るい色彩と詳細なタッチ。二十歳にして独自のスタイルを持っていた彼の才能が花開いたのは1892年、コルドバで開催された展覧会でした。

    1913年からはスペインの美術雑誌や新聞等で定期的に絵を発表し、人々から高い評価を得ていたシドロ。
    晩年は生まれ故郷のプリエゴに戻りましたが、1935年11月、病気によりこの世を去りました。

    この絵のように未完成のまま残っている作品は、他の作者でも意外と多いのかもしれません。
    何世紀も前の古い宗教画だと、作者の死後は弟子たちによって・・・という話も聞きますが、こういう絵は他人が加筆しないでそのままにしておいてほしいですね。

    タグ: Europa  少女  絵画  ♂♀ 

    20世紀の彫像の20セイキ

    みなさんの住んでいる街には、公共の場に裸像が設置されていますか?
    私の地元にはあります。公園には裸の男性像、駅前には裸の母子像があり、人々の憩いの場となっています。

    街の彫像に裸像が多いのは何故でしょう?
    それは、それらの彫像が人の尊厳や平和への願いなど「目には見えないけれど大切なもの」を訴えているからです。
    服で覆い隠すことのない人間本来の姿だからこそ、人々に訴えかける「心の象徴」となり得るわけです。

    しかしだからといって我々が街で全裸になったら、それは露出事案であり犯罪ですよ。
    海外には全裸になっても良いイベント(パレード等)がありますが、普段の日はもちろん許されてはいません。

    つまり普段公共の場で全裸になっても問題がないのは、幼い子供たちと彫像だけ。
    子供と彫像だけに許された特権・・・ということは「子供の姿をした彫像」であれば尚更、特別な役割を担っているということですね。

    現在、街にある彫像の多くは20世紀(西暦1901年〜2000年)に作られた作品です。
    そこで今回はヨーロッパの街にある20世紀の彫像をご紹介し、ついでに世紀と性器をかけて(単なるダジャレです)股間のアップの写真も一緒に並べてみました。

    20世紀の彫像の20セイキ。
    偉大な彫刻家がその部分をどのように造形したのか、ジックリ鑑賞してみましょう。

    アップの写真は私がトリミングしたのではなく、初めからアップで撮影されている写真です。
    すべてブロンズ像でした。掲載順は国名と作者名の50音順。


    henri_koenig_geneva-parc_de_la_grange1947.jpg henri_koenig_geneva-parc_de_la_grange1947up.jpg

    スイスの彫刻家、アンリ・ケーニッヒ(1896-1983)による1947年の作品。
    スイスの都市ジュネーブにある「グランジュ公園」のバラ園に設置されている14歳の少年像。

    棒は指サックみたいで単純過ぎますが、袋はちゃんと中に玉がふたつあることを思わせるおむすび形。
    14歳にしては幼いかなという気もしますが、彫像的にはこんなものでしょう。


    henri_koenig_geneva-rue_cavour1975.jpg henri_koenig_geneva-rue_cavour1975up.jpg

    こちらも同じくアンリ・ケーニッヒによる1975年の作品「Adolescent sans date」
    ジュネーブにある「ボルテール博物館」の前に設置されている14歳の少年像。

    こちらは先がちょっと尖っていて、下ろしたての筆みたいですね。


    heinz_schwarz_geneva-quai_wilson1976.jpg heinz_schwarz_geneva-quai_wilson1976up.jpg

    スイスの彫刻家、ハインツ・シュワルツ(1920-1994)による1976年の作品「L'adolescent et le cheval」
    ジュネーブ湖の近くの広場に設置されている14歳の少年像。

    上のケーニッヒの作品と比べてみると、同じ14歳でもこちらはずいぶんと立派。
    形自体はそんなに細かい作り込みではありません。


    friedrich_frutschi_switzerland-interlaken.jpg friedrich_frutschi_switzerland-interlaken_up.jpg

    スイスの彫刻家、フリードリヒ・フルチ(1892-1981)の作品。
    スイスの都市インターラーケンの公園の噴水前に設置されている12歳の少年像。

    棒が単なる棒になっていて袋と一体化しているようにも見えるし、もうちょっとそれらしく作り込んでも良かったかも。


    milo_martin_switzerland-morges1962.jpg milo_martin_switzerland-morges1962up.jpg

    スイスの彫刻家、ミロ・マーティン(1893-1970)による1962年の作品「Boy and Girl」
    スイスの都市モルジュの公園に設置されている13歳の少年と少女の像。

    こちらもそんなに細かな造形ではありませんが、形はほぼ再現しています。
    でも袋がちょっと大きめかな。


    carl_milles_stockholm1950.jpg carl_milles_stockholm1950up.jpg

    スウェーデンの彫刻家、カール・ミレス(1875-1955)による1950年代の作品。
    首都ストックホルムにある「ミレスゴーデン彫刻庭園」に設置されている少年像。

    魚の上で飛び跳ねているというコミカルな像のせいか股間の形もコミカルで、体の割にはかなり小さめ。


    carl_milles2_stockholm1950.jpg carl_milles2_stockholm_1950up.jpg

    こちらも同じくカール・ミレスによる、ミレスゴーデン彫刻庭園内の彫像。

    これは半魚人でしょうか? 少年かどうかは微妙ですが、棒は完全に幼児のそれ。
    袋はボール形ではなく、左右に分かれて垂れ下がったキンチャク形。


    john_borjeson_stockholm-national_museum.jpg john_borjeson_stockholm-national_museum_up.jpg

    スウェーデンの彫刻家、ジョン・ボルジェソン(1835-1910)の作品。
    首都ストックホルムの「国立博物館」の敷地内に設置されている少年像。

    桃の上にウインナーを乗せたような形で、筋肉質な上半身と幼い股間のアンバランスな感じが面白いですね。


    macgillivray_edinburgh-coates_gardens1.jpg macgillivray_edinburgh-coates_gardens_up1.jpg

    スコットランドの彫刻家、ジェームス・ピッテンドリ・マクギリブレー(1856-1938)の作品。
    首都エディンバラの「コーツガーデン広場」に設置されている2体の少年像。

    左右どちらも同じような少年に見えますが、向かって左側の子は先の太いキノコ型で・・・

    macgillivray_edinburgh-coates_gardens2.jpg macgillivray_edinburgh-coates_gardens_up2.jpg

    ・・・向かって右側の子は少し埋もれているタイプでした。

    形が違うということは、モデルも二人いたってことでしょうね。
    部分といえどコピーで済まさないところに、作者の職人魂を感じます。


    ここでちょっと小休止。
    私が昔住んでいた街は、近代美術館があるせいか公園などに美術作品が設置されていることが多く、私も子供の頃から親しんでいました。

    面白いなと思ったのは、公園の彫像を見ている人たち(観光客など)がその彫像の写真を撮るとき、裸婦像の場合は全身を撮るだけで終わりにするのに、男性の裸像の場合は股間を狙って撮る人が少なくないということ。

    でもこれはイヤラシイ気持ちではなく、そこに面白さを感じるからでしょう。
    公園で遊んでいる子供たちも、男性像の股間を指差して笑っていたりします。
    無関心でいるよりは笑顔になってくれたほうが、作者も彫像たちも嬉しいでしょうね。

    さて残りは10セイキ・・・

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    ジェイ・スチュアートのイラスト作品

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    アメリカの画家(イラストレーター)ジェイ・スチュアート(1926-1993)による1960年頃の作品。

    ボクシングをする少年の絵ですが、見てのとおりトランクスを穿かずに闘っているのが特徴です。
    つまり架空のスポーツ。ある種マンガ的な要素として表現したものでしょう。
    画材は主に鉛筆やパステルで、デッサン画のような柔らかなタッチですね。

    作者のジェイ・スチュアートはアメリカのニューイングランド地方の生まれ。
    第二次世界大戦直後にニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグで美術を学び、1950年代半ばにはリベラル・アーツ・カレッジの芸術学科の講師となりました。

    彼はスポーツ愛好家でありながら、1日に5箱のタバコを吸うヘビースモーカーでした。
    健康の悪化により50歳になる前に退職を余儀なくされ、それからは地元のボクシング少年たちのために、ボクシングクラブを禁煙にするなどの活動もしていたようです。

    しかし1993年11月、彼は67歳のときに自宅で亡くなっているところを発見されました。
    死因は喫煙による肺気腫でした。

    jay_stuart_untitled03.jpg

    それにしてもこの作品、ノーパンボクシングとは奇抜は発想ですね。
    裸の格闘技といえば古代ローマのパンクラチオンのようなレスリング系を思い浮かべますが、ボクシングではおそらく実際にはないでしょう。

    考えてみれば、世界中に様々な格闘技あれど、試合内容とコスチュームが密接に関係しているのは日本の柔道と相撲くらいでしょうね。
    柔道も相撲もそのコスチュームを掴んで試合するわけですから。

    ボクシングの場合はトランクスは必須ではないし、むしろ無いほうがローブローの反則がわかりやすくて良いかもしれませんね。

    タグ: America  少年  絵画  スポーツ 

    作者不詳の彫刻作品

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    ロシアのサンクトペテルブルクにある「アカデミー・オブ・ファインアーツ・ミュージアム」という美術館で展示された1930年の作品。

    残念ながらタイトル及び作者不詳です。
    これだけ立派な作品なのに不詳なのは勿体無い気もしますが、単にこの展示では表示されていなかっただけかもしれません。

    川で水遊びしている少年たちの像でしょうか。
    ひとりが艶かしいポーズをとり、もうひとりがそれを見つめているというシーン。
    大人の男性同士だと違う世界に行ってしまいそうなシチュエーションですが、子供同士だと可愛らしい日常のひとコマですね。

    st_petersburg_academy_arts02.jpg st_petersburg_academy_arts03.jpg

    これは素材は何でしょう?石膏でしょうか?
    大理石のような滑らかさはありませんが形はとてもリアルで、あばらの浮き出た胸や細めのお尻などはこの歳の少年の姿を見事に再現していると思います。

    作者がわからないので書けることはここまでですが、もしロシアに行くことがあればこの美術館に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

    タグ: Europa  少年  彫像  笑顔  ♂♀ 

    肖像的立ちポーズの少年

    だいぶ前に「絵画で眠る少年たち」と題して、横になって眠っている少年を描いた絵画をいくつか紹介しましたが、今回はそれとは反対に「立っている少年」を描いた絵画。

    立ち上がって何かをしているのではなく、アトリエのモデルのようにただ立っているだけの絵です。
    単色の素描(デッサン画)ではよくある絵ですが、彩画の場合はポートレイト(肖像画)としての意味合いが強くなりますね。

    記念撮影風の構図でありながら、作家ごとの作風の違いがよく表れていて面白いもんです。
    2枚ずつ見ていきましょう。

    dohm_nogen-dreng.jpg callot_lenfance_dorphee.jpg

    左はデンマークの画家、ハインリッヒ・ドーム(1875-1940)による1923年の作品「Nøgen dreng på Skagen strand」
    日本語訳は「スカーゲン・ビーチの裸の少年」
    砂浜で息子をちょっと記念撮影、といった感じの絵ですね。

    右はフランスの画家、ジョルジュ・カロ(1857-1903)による1884年の作品「L'enfance d'Orphee」
    日本語訳は「オルフェの幼少期」
    オルフェとはギリシア神話に登場する詩人、オルフェウスのことです。


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    左はポーランドの画家、スタニスワフ・ヴィスピアンスキ(1869-1907)による1893年の作品「Nude Boy」
    これはアトリエでモデルを描いた絵ですね。
    この構図だとこの子は台に乗っているってことでしょうか?

    右はイギリスの画家、ニール・ムーア(1950- )による作品「Portrait of Leandro」(制作年不明)
    レアンドロ君の肖像画。
    この子が誰なのかはわかりませんが、屈強な番兵のようにも見えるたくましい子ですね。


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    左はロシアの画家、アレクサンダー・ノボスコルツェフ(1853-1919)による1875年の作品「Мальчик с веслом」
    日本語訳は「オールと少年」
    たくましい立派な体形してますね。
    姿勢も良くて表情も凛々しく、いかにも肖像画といった感じ。

    右は中国の画家、李貴君(1964- )による2009年の作品。(タイトル不明)
    体は華奢ですが秀才っぽい少年。
    聴いているのは音楽じゃなくて、もしかしたら英語の学習教材でしょうか?


    waagner_untitled.jpg hirsch_lenfant_au_lezard.jpg

    左はオーストリアの画家、アルフレッド・ワーグナー(1886-1960)による1918年の作品。(タイトル不明)
    イラスト風であり壁画風であり。
    後光が差していて、ただの立ちポーズながら荘厳な雰囲気があります。

    右はフランスの画家、オーギュスト・アレクサンドル・ハーシュ(1833-1912)による1860年の作品「L’enfant au lézard」
    日本語訳は「少年とトカゲ」
    トカゲも撫でていると頭を持ち上げてきたりして、可愛いもんです。

    File:Alexandre-Auguste Hirsch - L'enfant au lézard, 1860.jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

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    Sittande gosse

    marklund_sittande_gosse01.jpg marklund_sittande_gosse02.jpg

    スウェーデンの彫刻家、ブラー・マークランド(1907-1977)による1936年の作品「Sittande gosse」
    ストックホルム郊外の街、Västertorpの地下鉄の駅の出口付近に設置されているブロンズ像です。

    少年が何かに腰掛けているだけの像ですが、何をしているところなのか外観からはさっぱりわかりません。
    それともとくに意味はないのかな?

    太ももの上が剥げているので、この子の上に座ってしまう人は多いのでしょう。
    イス代わりにもなる彫像、たしかに待ち合わせには便利かもしれません。

    作者のマークランドはスウェーデンのオンゲルマンランド地方の村フーズムにて、パン職人の家に生まれました。
    初めは大工を目指していたようですが、1926年に彫刻家となりました。

    彼は生涯のあいだにいくつかの賞を獲得しています。
    1953年には国王からのメダルを、1965年には優れた彫刻家に与えられるセルゲル賞を受賞。
    1959年から芸術アカデミーのメンバーとなり、その後は教授を務めたという経歴の持ち主です。

    marklund_sittande_gosse03.jpg

    ところでこの少年、よく見るとモノがちょっと上向き。
    どうして上向きにしたんだろう?と思いましたが、なんのことはない、男性は座った状態で足を閉じると(足で挟まないようにすると)自然と上向きになっちゃうんですね。

    上向きなら上向きで、そこから水を出せば公園の噴水彫刻としても面白いかもしれません。
    でも小便小僧と違って幼児ではないから、ちょっと下品になってしまうかな?

    やっぱり駅前でイス代わりになっているほうが無難みたいですね。(^^)

    タグ: Europa  少年  彫像  ♂♀ 

    モデルと計測

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    これは珍しい写真・・・というより珍しいイベントを撮影した写真と言うべきでしょうか。
    デンマークの首都コペンハーゲンにある「トーヴァルセン美術館」で1910年におこなわれた展覧会の様子です。
    見てのとおり、彫刻作品と人間を一緒に並べて展示しています。

    トーヴァルセン美術館はデンマークを代表する彫刻家、ベルテル・トーヴァルセン(1770-1844)の作品が収められている美術館。
    そこでおこなわれた100周年記念のイベントらしいんですが、作者の没年は1844年だし、これらの作品が作られたのは1820年頃だし、この美術館がオープンしたのは1848年だし、何についての100周年なのかはわかりませんでした。

    しかしいかにも北欧らしい、大らかな展覧会ですね。
    人間を彫像に見立てるイベントは今でもたまにおこなわれていますが、美術館でヌードの少年を展示するというのは極めて珍しいんじゃないでしょうか。

    彫刻作品も人間もどちらも芸術である!という考えであればこその試みと言えますが、もし今同じことをしたらおそらく批判が殺到するでしょうね。たとえその子が楽しんでいたとしても。

    作品が作られた19世紀ではなく、21世紀となった現代でもなく、アートが一般に浸透し始めた20世紀初頭だからこそ実現できたイベントという気もします。

    この展覧会に来た人たちは、彫像と人間、どちらをより深く鑑賞したのでしょうか?
    裸のガキなど見てもつまらん!という人も多かったとは思いますが、巨匠の作品がどこまで正確に作り込んでいるかを確認するには、実際に比べてみるのが一番。

    これはそのための展覧会でもあったのでしょう。
    その証拠にこの展覧会のタイトルは「モデルと計測」だったそうです。
    ちなみに左の作品は過去に一度紹介しています。(該当記事)

    タグ: Europa  少年  彫像  OldPhoto  衣装  ♂♀ 

    「ヘンリク・ルボミルスキ」という少年

    canova_henryk_lubomirski01.jpg canova_henryk_lubomirski02.jpg

    唐突ですが、皆さんは「世界で最も美しい少年」といったら誰だと思いますか?

    洋画が好きな人なら海外の子役から選ぶでしょうし、「そりゃあもちろんうちの子だよ」という親御さんもいるでしょうね。
    以前このブログで紹介した日本のジュニアモデルの男の子もかなりの美形でした。

    ギリシア神話では、花のヒアシンスの語源となった「ヒアキントス」という少年は、太陽の神アポロンと西風の神ゼピュロスの両方から惚れられるほどの美少年でした。
    花のスイセン(Narcissus)の語源となった「ナルキッソス」という少年は、泉に映った自分の姿に恋をしてしまったそうです。(自己愛を意味するナルシストの語源でもあります)
    また「ヒュラス」という少年は、彼のあまりの美しさに魅了された泉の精霊たちにより、水の中に引き込まれてしまいました。

    これらは神話なのでもちろん実在した人物ではありません。(宗教的には実話ってことになっているんでしょうけど)
    では、実在した人物で、数百年の長きにわたり「世界で最も美しい少年」と言われているのは誰でしょう?

    前置きが長くなりましたが、それが上の画像の少年「ヘンリク・ルドウィック・ルボミルスキ」王子です。(11歳頃の像)

    1777年にポーランド人の貴族の息子として生まれたヘンリク王子は、それはそれは美しい子供でした。
    その美しさから男の子でありながら女の子のように育てられ、親戚の侯爵夫人(叔母)に連れられての旅行中は、行く先々で人々から賞賛を浴びたそうです。
    スイスの有名な観相学者、ヨハン・カスパー・ラヴァーター(1741-1801)も彼の顔を版画化して研究しています。

    その衝撃的な美貌は多くの芸術家を虜にし、公爵夫人の要請により彼をモデルとした絵画、彫刻作品が数多く作られました。

    彫刻作品の中でもっとも有名なのが上の画像の大理石像。
    イタリアの彫刻家、アントニオ・カノーヴァ(1757-1822)による1788年の作品「Il Principe Henryk Lubomirski come Amore」

    タイトルは訳すと「アモルのようなヘンリク・リボミルスキ王子」となります。
    アモルとはローマ神話の愛の神クピド(キューピッド)の別名ですが、この像は背中に翼がなく、またタイトルも「アモルのような...」と言っているので、あくまでもヘンリク王子の彫像なんですね。

    そして絵画では、代表的なものといえばこのふたつでしょうか。

    kauffmann_henryk_lubomirski.jpg vigee_lebrun_henryk_lubomirski.jpg
    File:Kauffmann - Henryk Lubomirski.jpg
    File:Prince Heinrich Lubomirski as Genius of Fame by E.Vigee-Lebrun (1789, Gemäldegalerie, Berlin).jpg
    ライセンス:パブリックドメイン

    左はオーストリアの女流画家、アンゲリカ・カウフマン(1741-1807)による1786年の作品。
    右はフランスの女流画家、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(1755-1842)による1789の作品。

    この絵は「神話的肖像画」と呼ばれるもので、モデルに神話的な衣装や装飾を施してから描く肖像画のことです。
    今で言えばコスプレ写真みたいなものですね。

    これら三者の作品を見て面白いなぁと思ったのは、男性作家と女性作家の作品作りに対する傾向の違い。
    もちろん彫像と絵画という違いはありますが、男性であるカノーヴァは王子を他のものに例えることなくありのままの姿で表現し、女性であるカウフマンとルブランは王子をアモルに見立ててファンタジックな作品に仕上げています。

    また、カノーヴァの作品が全裸であるのに対して、女性たちの作品はどちらも赤い布で股間を隠しています。
    モデルの放つ美しさにどうアプローチするか、どう受け止めるかという意識の違いとも言えそうですね。
    まぁ単に王子が女性の前で出せなかっただけかもしれませんが。


    じつはカノーヴァもその後、王子をアモルに見立てた作品を完成させています。

    canova_cupid2.jpg

    この作品は以前も紹介したことがありましたが(該当記事)、アントニオ・カノーヴァによる1791年頃の作品。
    13歳のヘンリク王子をモデルとしています。

    一番上の画像は11歳頃なので、比べてみるとたしかに少し大人っぽくなったような気がしますね。
    成長期なのに肝心の部分があまり変わっていないのは、まぁ王子様ですから、カノーヴァの配慮かもしれません。(^^;)

    タグ: Europa  少年  絵画  彫像  ♂♀ 

    Brothers showering under the porch...

    cornell_capa_brothers_showering.jpg

    アメリカの写真家、コーネル・キャパ(1918-2008)による1946年の作品「Brothers showering under the porch at their vacation home」

    LIFE(ライフ)という雑誌を知っていますか?
    1936年から2007年までアメリカで発行されていた、世界的に有名な報道写真誌です。
    フォトジャーナリズムと呼ばれる、写真を主体とした報道の在り方。その普及における先駆的な雑誌でした。
    第二次世界大戦前から戦後の復興期、テレビの本格普及前までが黄金期でしたが、厳しい経営事情を背景に2007年4月20日号を最後に廃刊となりました。

    コーネル・キャパはLIFE誌の黄金期に表紙写真を手掛けたカメラマンのひとりです。
    この写真は幼い兄弟が別荘の洗い場でシャワーを浴びているシーン。
    1946年撮影ですから、第二次世界大戦が終わった翌年ですね。
    顔は見えませんがほのぼのとしていて、終戦後のアメリカの雰囲気をよく表しています。

    キャパという名前を聞いて「ロバート・キャパ」を思い出した方は写真家に詳しい方でしょう。
    コーネル・キャパは、あの知る人ぞ知る有名な報道写真家、ロバート・キャパの弟なのです。
    ちなみに日本に「CAPA」というカメラ雑誌がありますが、これもロバート・キャパにちなんで付けられた誌名です。

    弟のコーネル・キャパは1918年、ハンガリーのブタペストで生まれました。
    18歳の時にフランスのパリに移住し、兄のロバートとともに報道写真家の仕事を開始します。
    1937年にはニューヨークへ移住してLIFE誌の現像所で働き、アメリカ空軍への従軍を終えた1946年からはLIFE誌専属の写真家となり、数々の表紙写真を撮影しました。

    1954年に兄のロバートが北ベトナムで地雷により死亡してからは、兄が設立に関わった国際的な写真家グループ「マグナム・フォト」に加わり、ソビエト連邦やイスラエル、アメリカの政治家などを取材しました。

    晩年は兄の写真集の前書きを執筆するなど、兄の功績と名誉を人々に伝えることに努めていましたが、2008年5月、90歳の時にニューヨークで亡くなりました。


    現在LIFE誌は膨大な写真アーカイブのうち20%ほどをフリーで公開しています。
    今後徐々にデジタル化を進め、最終的には保管写真のすべてを公開する予定だそうです。

    アメリカの偉大な報道写真雑誌「LIFE」の誌面を飾った素晴らしい報道写真の数々。
    興味のある方はご覧になってはいかがでしょうか。

    「LIFE 写真アーカイブページ」
    http://time.com/photography/life/

    タグ: America  少年  Water  OldPhoto 

    Adonis / Spring of Life

    alfred_waagner_adonis.jpg alfred_waagner_spring_of_life.jpg

    オーストリアの画家、アルフレッド・ワーグナー(1886-1960)による1920年の作品「Adonis」と、1921年の作品「Spring of Life」

    どちらの作品も少年が両腕を上げている絵ですが、輪郭線を太くしているところやテクスチャーのような背景がイラスト風で、しかもそれがそのまま衣装の模様へと繋がっているところが面白いですね。

    左の作品のタイトルAdonisは、ギリシア神話に登場する美と愛の女神アフロディーテに愛された美少年のこと。
    右のSpring of Lifeはこれはそのまま「人生の春」ですが、どこらへんが春なのかはよくわかりません。(^^;)

    作者のワーグナーは1886年生まれのオーストリアの画家。
    彼の作品は主にアール・ヌーヴォーと呼ばれた芸術様式に属します。
    (Art Nouveau:19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動。「新しい芸術」の意)

    彼はもともと首都ウィーンの大学で科学と工学を専攻する学生でした。
    学ぶ中で色彩の科学的性質に魅せられた彼は、次第に絵画に関心を持つようになり、1907年からオーストリアの画家、バートールド・ロフラーのもとで絵画を学び始めます。

    1913年には二つの静物画と少女のヌード画を発表し、1914年にはロンドンの国際似顔絵展にも出展しましたが、その後第一次世界大戦による徴兵のため故郷を離れることを余儀なくされました。

    終戦後は故郷に戻ってウィーン分離派の第54回展覧会に参加し、その後は長年温めてきたアートコミュニティの創設に関わりました。
    この絵は終戦後(大正9年)に描かれたものですが、当時としてはかなりモダンな絵だったんでしょうね。


    画像出典:Boris Wilnitsky Fine Art

    タグ: Europa  少年  絵画  ♂♀ 

    いらっしゃいませ

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    RUKA

    Author:RUKA


    当ブログは子供を表現した世界の絵画、彫像、写真作品をご紹介しています。
    天使に見立てているので必然的に裸の作品が多くなりますが、すべてアートまたは家庭的な生活記録に限定しています。

    子供は本来この世界における夢であり希望であり、その姿は大人にとってノスタルジーや心の潤い、癒しの対象でもあります。

    古くから子供の姿は愛すべきものとして認識され、絵画や彫像、写真等で様々に表現されてきました。天使のイメージもそのひとつです。
    そして各家庭でも、我が子への愛情ある記録(写真撮影)が数多くなされています。

    当ブログではそれら子供や天使をテーマにしたアート作品と、写真共有サイトFlickrで一般公開されている子供写真をご紹介しています。(できるだけ天使の姿に近いものを選んでいます)

    ふと訪れては日々の疲れを癒す天使の園・・・そんな憩いの場としてお使いいただければ幸いです。

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    著者について...
    名前:RUKA (Rukachas)
    国籍:日本
    都道府県:埼玉(生まれは宮城)
    性別:男性
    年齢:あっという間の半世紀
    インターネット歴:20年

    20代の頃に仕事で幼稚園に足を運んだのを機に街で子供の笑顔写真を撮り続ける。 1999年に「The Light of Smile 笑顔の灯り」という子供の笑顔をテーマにしたサイトを開設。 サイト終了後はこのブログで世界の天使像や世界の子供写真を紹介している。 6人の甥と姪の伯父さんでもある。

    メールアドレス: ruka_rukachas@ybb.ne.jp
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